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週末は三人で出かけるのが常だった。
その日は夏物の衣類を買い足しにショッピングモールへ向かった。大型連休初日のモールは混んでいて、莉乃と美沙希は玲と手を繋ぎながら店を巡った。
「帰る前に、トイレ行ってもいい?」
おおかたの買い物を済ませた莉乃が言うと、美沙希は頷いて。
「分かった。そこのベンチで待ってるわね」
「……待ってる間、イチャイチャしすぎないでよ?」
「どうかしら」
とぼける美沙希に冗談めかして頬を膨らませてから、莉乃はトイレへ。
――運良くトイレは空いていた。所用を済ませ、軽く髪を整えてトイレを出ても三分ほど。
だというのに、待ち合わせのベンチから二人の姿は消えていた。
「……あれ?」
ベンチの上には、買った物が入った紙袋があるだけ。
莉乃はきょろきょろと辺りを見回すが、雑踏の中にも二人の姿はない。スマートフォンにも何の連絡もなく、メッセージを送ったり電話をかけたりしても反応は一切なかった。
「……?」
仕方なくベンチに座って、しばらく待ってみる。
十分が経ち、二十分が立つ頃に耐えきれなくなって莉乃は立ち上がる。モール内をうろうろ歩き回り、インフォメーションセンターに頼んで呼び出しもしてもらったが玲も美沙希も見つかることはない。
(どこ行っちゃったの? なんで置いていったの?)
無為に探し回る寂しさがこみ上げて、莉乃は何度目かのメッセージを送る。
『先に帰るね。このメッセージを見たらすぐに連絡して!』
帰りのバスでもずっとメッセージ画面を見ていたが、二人から既読がつくことすらない。
一縷の望みをかけて家のドアを開けるが、家の中は出かけた時と寸分の違いもなく、ここにも玲と美沙希の姿はなかった。
「……どこ行っちゃったの……?」
三人で分け合って持っていた荷物を一人で抱えたせいで、左右の肩はすっかり痛い。
玲と美沙希の靴がない玄関にへたり込む莉乃の視界が滲む。のろのろと靴を脱ぎ、家中を歩き回っても玲や美沙希の姿どころか痕跡もない。
「……お姉ちゃん? 美沙希さん?」
呼びかけを空虚に響かせて、莉乃は二人の寝室の前に立つ。
いつもはうるさくてたまらない行為の声が今は恋しい。意を決して、普段は開けないドアを開ける――しかし、そこにも誰もいなくて。
「――なんで……?」
絞り出す声が潤んで、床に涙が落ちる。
「なんで……どこ行っちゃったの……?」
寝室の入り口に座り込んで、静かに泣き出す莉乃。
慰めてくれるはずの温かな手はいつまでもなく、莉乃は夜通し泣き続ける――。