3
――莉乃が二人を想って涙を流す頃、玲はモールでも家でもない場所で目を覚ました。
「……、――」
目を開けた瞬間、この身が異常事態に晒されていることを理解する。
正面には全裸の美沙希が椅子にくくりつけられている。美沙希と同じく裸の玲は立ったまま天井から吊るされているようで、見上げると両手首に掛けられた手錠が鎖に繋がっているのが見えた。
(ここは……雨夜? いえ……)
あちこちに視線を配りながら、玲は静かに考える。
確か、莉乃と美沙希とともにショッピングモールにいたはずだった。帰り際にトイレに行った莉乃を待ちながら美沙希と話していたら、知らない男の人に声をかけられ――そして、つい先ほど意識を取り戻したのだ。
腕時計も含め、身に着けていたものは全て奪い取られたらしい。腕を高く上げた姿勢で吊られた玲の爪先はギリギリ床に届いてはいるが、少しでも動けば足が浮く不安定な状況だ。
(美沙希は、まだ……)
パイプ椅子に座らされた美沙希はうなだれるようにして、まだ眠っているらしい。
美沙希の両手は背中に回されている。玲から美沙希の手の状態は見えないが、きっと後ろで手錠に繋がれ、パイプ椅子の背にくくりつけられているのだろう。
両足は束ねるように枷がかけられており、パイプ椅子の足に鎖で繋がっている。パイプ椅子の足元にはコンクリートのブロックが置かれ、椅子はその場に固定されているようだ。
「――う……」
美沙希の意識も戻りつつあるようで、くぐもった声を漏らしている。
豊かな胸元に唾液が落ちる。美沙希の口には赤色のギャグボールが嵌められて、垂れ流しの唾液が鎖骨や乳房を妖しく濡れ光らせていた。
「……」
そんな美沙希の淫靡さに、状況も忘れて見入りかけてしまう玲。
(……いけない)
すぐに我に返って、玲は鋭くかぶりを振る。
短い髪が翻り自分の頬をはたく中、改めて部屋の状況を確かめることにした。
(雨夜ではない……わね)
拐かされた玲が真っ先に思い出したのは、かつて玲と莉乃を性奴隷として弄んだ雨夜という女のことだが、少なくともここは雨夜の息がかかった場所ではないらしい。
打ちっぱなしのコンクリートは薄汚れ、部屋の隅に設置されたカメラの上には埃も溜まっている。窓はなく、玲から見て左側、美沙希から見て右側に金属製のドアがある以外は何の装飾もない室内は、とても雨夜の美学にはそぐわないものだ。
(それに)
思い出すのは、意識を失う寸前のモールでのこと。
玲と美沙希に声をかけたのは男だった。雨夜が男の協力者を使うことは考えにくく、この件に雨夜が関わっていないと考えて良いだろう。
(……じゃあ、誰が?)
雨夜は無関係だと分かったところで、二人を攫った何者かの正体は分からないまま。
「ん……うう……」
それでも考え続ける玲の目の前、美沙希が目を覚ます。
「ぅあ……? ――……!?」
頭を上げて玲を正視した美沙希の瞳が見開かれる。
人身売買などの裏社会を知る玲は何とか冷静でいられたが、そんなものとは無縁の日々を送る美沙希の衝撃は計り知れない。
正面にいる玲に向けて声を上げようとして口に嵌められたギャグボールに気付き、自分が裸で拘束されていることを知る――受け入れがたい状況にパニック寸前の美沙希を更なる混乱に陥れようとするかのように、不意にドアが開いた。
「うう……!?」
大きく息を乱した美沙希がドアのある右側を向けば、あらわな乳房が上下に揺れる。
「――」
対する玲は息を潜め、現れた男たちを注視していた。
現れた男は合計六名。全員が黒いTシャツに色の濃いズボン姿だが、Tシャツの柄やズボンの色合いや形はそれぞれ異なる。用意されたコスチュームというよりは私服のトーンを合わせたような格好で、それだけでも彼らが人身売買グループとしては低位の――半グレやごろつき程度の者たちだろうと当たりがつく。
(……犯罪組織ではないにしても……)
だからといって安心は出来ない。
かつて行方不明だった莉乃を探す過程で、玲はこうした男どもの危険を充分に思い知っていた。二十代そこそこの不良グループの類は、時に比類なき残酷さを見せる……警戒心を募らせる玲に、一人の男が近づいた。
「起きてんな」
彼がこの集団のリーダーなのだろう。
カメレオンのようにギョロっとした目を持つ金髪の男だった。左手の甲に王冠のタトゥーが入った彼は玲に近づくと、むき出しの尻肉をむんずと掴む。
「……っ!!」
「エロいケツしてるよな」
玲の臀部を揉みながら、男はニタニタと玲の肢体を眺め回す。
引き締まったヒップに豊かなバスト。長身でクールな美貌の玲が全裸で吊るされているのは実に男好みと見えて、男は尻肉を弄びながら何度も視線を上下させる。
「っ……」
触られる不快感に玲は唇を噛み、美沙希は耐えられないとばかりに声を上げる。
「んん……!! んう!! うう!!」
ギャグボールから唾液が垂れるのもお構いなしに、必死に訴えかける美沙希。
大切な恋人が男によって触られているのだ。美沙希からすれば耐えがたい仕打ちで、男たちの好奇の視線を浴びながらも美沙希は呻いて悶え続ける。
「んうう!! ううっ、ううーっ!!」
「ひひ。白浪さん、俺らもイイっすか?」
あらわな乳房を揺らす美沙希の姿に鼻息を荒くしながら、男たちの中の一人が言う。
リーダーの男の名前は白浪(しらなみ)と言うらしい。白浪が男の言葉に鷹揚に頷くと、残る五名も玲を囲み、好き勝手に手を伸ばす。
「――っく……」
男たちの手は無遠慮に玲の身体をまさぐりだす。
愛撫と呼ぶには乱暴で身勝手な所作だった。後ろに回り込んだ男の一人が裸の背中をすっと撫でる。無毛の腋窩をなぞる者もいれば、なめらかな太ももの感触を楽しむ者もいる。
「んんうっ!! うぅっ、うううッ!!」
男たちに好き勝手まさぐられる玲を前に、美沙希は悲鳴のような声を上げる。
白浪から事前に指示が出ていたのだろう、男たちは玲にしか触ろうとしない。
「うぅッ!! くう、んうう!」
唾液を散らしながら美沙希はしきりに訴えかける。
(美沙希……)
大切な恋人が何を言おうとしているのか、玲には分かる気がした。
恋人だけが身体を触られるなんて耐えがたいことだ。代わりに自分を――と言っているのは男たちにも想像がつくだろうに、彼らは美沙希に指一本触れようとはしないのだ。
「っ!」
美沙希を見つめる玲の瞳に痛苦の色が宿る。
「へへ、良い肌だな」
見れば、玲の二の腕をつねる男がいた。
感情を押し殺し、美沙希ばかりを見る玲の気を引いたつもりだろう。男はニンマリ笑いながら玲の腕に爪まで立て、耐えがたい屈辱とともに痛みまでもたらすのだ。
「ずっと触ってられるな」
後ろにいる白浪は言いながら、執拗に玲の尻を揉む。
美沙希とは大違いの力強さで指が食い込む。弾力豊かなヒップは白浪の指を沈めたかと思えばすぐに反発し、白浪は手のひらに伝わる感触を存分に楽しんでいる。
「お前らの調べはついてるぜ。朝来玲に鳥羽美沙希、だろ?」
「っ……」
「うう……!」
名前まで知られている事実に玲は眉を寄せ、美沙希は息を呑む。
手荷物も彼らに奪われているのだ、中に入っていた身分証明などから名前どころか住所すらも知られているかもしれない。眉間に皺を刻んだ玲は彼らを睨もうとするが、白浪に臀部をつねられて身体が跳ねる。
「……っ……」
囚われた二人からは見えない玲の背後、引き締まったヒップには赤い痕が残っていた。
強くつねられた痕跡はキスマークのようでもある。つねった痕を白浪が撫でるたびヒリヒリした痛みが奥深くまで伝わる気がして、玲は腰を悶えさせてしまう。
「腰揺らしてんな」
「誘ってんだろ」
好色そうな笑みを浮かべる男たちは言って、改めて玲に手を伸ばす。
腕や背中、耳に触れていた彼らの手が、ついに玲の乳房に届く――うう、と美沙希が呻く中、玲の乳房は左右から男に掴まれる。
「っ……く……」
美沙希とはまるで違う、ゴツゴツした無骨な手だった。
手のひらは熱く汗ばんでいて、玲の素肌にべったりと張りつく。名前も知らない男に乳を揉まれる不快感に玲は呻き、気遣うように美沙希の方を見る。
「ううううっ!! ううっ!! うううーっ!!」
美沙希は狂ったように声を上げ、拘束を解こうとこれまで以上に暴れている。
しかし、ブロックで固定されたパイプ椅子はいくら暴れてもびくともしない。乳房と長いウェーブヘアを乱す美沙希は顎や首筋まで唾液まみれにしながら、男たちを何とか玲から引き離そうと喉を絞る。
「うううッ――う!!」
美沙希の声がひときわ高くなったのは、白浪が玲の前に回り込み、足元に屈んだから。
男の顔が恋人の股間に迫る――恐ろしさのあまり声を上げる美沙希に合わせ、玲もひときわ大きく身をよじる。
「……ッ、やめ……なさい……!」
両腕で吊るされ、爪先立ちの状態で出来ることは少ない。
身体をひねれば簡単に足が床から離れ、両手にかかる負荷が増す。痛みに眉を寄せる玲だが、それでも近づく白浪から離れたかった。
「やめて……ッ!!」
「めんどくせェな」
無力に揺れる足をもがかせる玲の太ももを掴む白浪は、すぐ近くにいた男に呼びかける。
「おい、あっちにナイフでも当てとけ」
「うす」
指示された男は玲の乳をひと揉みしてから美沙希の元へ。
「――やめてッ!!」
鋭い声を上げる玲に見せつけるように、男はポケットから小型ナイフを取り出す。
「!」
短い刃だが、鈍い輝きは禍々しい。
ナイフの刃は美沙希の頬に当てられた。
「……う……!」
寝かせた刃が押し付けられた瞬間、美沙希の顔が青ざめる。
「動いたら、お前のオンナの顔をズタズタにするぜ」
「――……!」
男の言葉に、玲は今度こそ動けない。
頬にナイフを当てられた美沙希には、刃の冷たさが伝わっていることだろう。美沙希の態度からしてもナイフが本物なことは疑いようもない。血相を変えたのは玲も同じで、そんな玲を見上げる白浪は口角を吊り上げて笑む。
「そうだ。大人しくしてろよ」
抵抗を止めた玲は、変わらず男たちに囲まれている。
美沙希の頬にナイフを当てる男を除いて五名。玲の正面に白浪が屈み、左右を固める男たちは玲の乳肉を弄ぶ。後ろに並ぶ二人の男のうち一人は尻を、もう一人は玲のうなじから髪の毛先を弄んでいる。
四方を固められたうえ美沙希を人質に取られた玲は、白浪が恥丘に触れても逆らえず、ただされるがままだった。
「綺麗に使ってるな」
玲の淫裂を広げた白浪は、粘膜部をじっと見つめていた。
もう何ヶ月も美沙希としか交わっていない割れ目が男の指に開かれる。小ぶりながらも存在感のある淫核を認めた白浪がその場所をなぞると、玲の総身を不本意な快楽が駆け抜ける。
「……っ、……!」
ゾクリと背筋を反応させる玲に、白浪は笑う。
「感度も良好か。そこのオンナに開発されたってトコか? 毎日よろしくやってるんだろうな」
「……変なこと、言わないで……」
抵抗出来なくなりつつも、玲はそう絞り出す。
白浪の言葉はまったく的外れだ。玲の感度が高いのは美沙希と出会う前から――雨夜の屋敷で性奴隷となった時に培われたもの。付き合い始めてから感度を上げたのはむしろ美沙希の方だが、そんなことを男たちに伝えるつもりは毛頭ない。
「変なこと? 本当のことだろ?」
嘯く白浪の指がラビアを開いた。
潜り込んだ指はすぐに水気を探り当てる。尻や胸をまさぐられた快楽はまだ淡く、水音が響くほどではないものの、それも白浪が本格的な愛撫を始めるまでのことだった。
「……っ、……」
白浪の指先が膣穴に沈み、浅い場所をゆるくかき回し始める。
美沙希とは違う動かし方が玲の性感帯を苛む。唇を噛んで白浪を睨む玲だが、唇の隙間からは熱っぽい溜息が漏れてしまう。
「中も濡れてるな」
「っ……」
唇を噛みしめる玲の左右から伸びた手が、乳肉を思いきり揉みしだく。
美沙希ほどではないが玲の胸も大きい方。ボリューム感のある乳丘はそれぞれ違う男に掴まれ、ひしゃげるほど強く揉まれている。一切の遠慮がない乳揉みは不快きわまりないのに、性の喜びに慣れきった女体は刺激に反応を示してしまう。
「……ぅ……っ」
「乳首もビンビンじゃねえか」
「エロいおっぱいしてるもんな。女同士でヤるばっかなんて勿体ねえよ」
好き勝手に言う男の魔手は乳頭にまで。
玲の気持ちとは無関係に勃起した乳首をつままれた瞬間、不本意な快楽が押し寄せる。思わず息を詰まらせるとあちこちから低い笑い声が響いて、全裸の玲をますます辱める。
「顔赤くなってるな」
「ああ、感じてるみたいだ」
乳首をつまみ、引っ張られるたび、電流のような快感が迫る。
「……っ……!」
背をのけぞらせて快感を逃がそうとする玲だが、絶えず注がれる刺激に身体の疼きは止まらない。
それに、愛撫を受けるのは両乳首だけではない。後ろに立つ男は二人がかりで玲の首筋から背、さらに尻までなぞっては玲の興奮を高めさせる。
「……っく……ぅ……」
懸命に声を抑えようとする玲だが、呼気を色づかせるように喘ぎが漏れ出てしまう。
白浪の指を受け入れた膣肉も潤んでゆく。薄かった水気が豊かになるにつれ膣穴から淫靡な水音が立つようになり、伴って白浪の指遣いは大胆なものに変わる。
「っう……っ……ふ……、……うぅ……」
「あんまり声我慢するなよ。苛めたくなるぜ?」
言いながら、白浪は二本目の指を玲の中に。
「――っぁあ……!!」
挿入りこむ指の感覚に、玲はビクンとのけぞった。
美沙希との行為では互いの指を受け入れるばかりだった。白魚のような美沙希の指とは違う、節の目立つ男の指は異物感が強く、秘所で何が起こっているかを知らしめるよう。
「っく……うう……っ、……う……!!」
快と不快を同時にもたらす侵入に眉根を寄せる玲の中、白浪の指が大きく膣壁をえぐりだす。
「――っう……ぁ、……ッああ……!!」
堪えがたい肉悦に声を上げた玲に、うう、と呻きが続く。
(――今の声――)
見開いた瞳がさまよって、呻きの主を認める。
「――ッ……!!」
瞬間、玲の顔が悲痛に歪んだ。
呻き声を上げたのは美沙希だった。依然としてナイフを突きつけられたまま、美沙希は玲を見つめていた。
(……美沙希……!)
改めて、大切な恋人の目の前で穢されている事実を――それが美沙希を傷付けている事実が胸を締め付ける。
玲自身に非があることではなくとも、自分が美沙希を苦しめていることは間違いない。元から色白な顔をますます白くした美沙希の瞳には確かな絶望の色が見て取れる。
(――ああ……)
ギャグボールから唾液を垂らす美沙希の眼差しに、汚辱感がこみ上げる。
汚辱感は白浪をはじめとした男たちにも、そんな男たちに触られる自分にも向けられるもの。こんな行為を受けているのに感じてしまう身体をいくら忌まわしく思っても男たちの愛撫は止まらず、身体の熱も募るばかりだ。
「っふ……ぅう……ッ……!」
せめて声だけでも抑えたいのに、膣穴を勢いよく出入りする白浪の指がそれを許さない。
二本指を揃えて玲の膣に押し込み、子宮口から膣壁までくまなくまさぐる。掻き出された蜜液に玲の内ももは濡れ、コンクリートに囲まれた無機質な室内には淫猥な女の香りが広がりつつある。
「濡れまくってんな」
深いストロークを繰り返しながら白浪は呟く。
「子宮口が柔らけえな。前に犯ったシンママと同じくれえだな。……もしかして、ガキこさえたことでもあんのか?」
「……っ……」
白浪の問いに、しかし玲は答えない。
雨夜の屋敷で性奴隷として過ごした日々のことは、美沙希には伝えていない。当然、あの屋敷で惨めな出産ショーを晒したことも美沙希には打ち明けていないのだ――何も言えず俯く玲からは、正面にいる美沙希がどんな表情をしているかも分からない。
「ま、何でも良いけどな」
白浪は玲の過去を追求するつもりはないらしく、その後も何度か指を往復させてから引き抜く。
ぬぽッと音を立てて指が抜き去られると、糖蜜が秘所から滴る。すでに粘膜部全体を包むほど大量の愛液が溢れ出ており、白浪の二本指も付け根までグッチョリ濡れていた。
「こんなに濡れてるおかげで、後ろも準備できそうだしな」
呟く白浪が次に狙うのは、玲のアヌスだった。
「――! そこは……!」
「ヤッたことないとは言わせねえよ」
玲の何を知っているのか、白浪はそう言い放つ。
「こんだけエロい女がケツ処女なわけねえだろ」
「……ッ……!」
偏見そのものの意見だが、玲がアナル処女を失っていることは事実だった。
菊門に指先があてがわれると、窄まりはやんわりと広がる。それだけでアヌスの経験があることが伝わったと見えて白浪はニヤリと笑い、膣を弄った時と同じ力強さで玲の菊肉をえぐりだす。
「……う……ッ、……く……、っふ……!!」
背後に立つ男は尻肉を掴み、ヒップの割れ目を広げている。
「うっわ、もう二本も挿ってる」
「ケツほじられて感じてるみてえだし、欲求不満だったのか?」
玲の尻肉を揉みしだき、時おり左右に揺らしながら嘲る男たち。
乳首もつままれ、乳房も揉まれているのだ。敏感な場所を同時に苛まれる玲の淫悦は高まるばかりで、触られていない淫裂からは絶えず愛蜜が垂れてしまう。
「マンコもヒクヒクして欲しがってるな」
白浪は別の指で膣肉を再びまさぐりながら、今以上に股間に顔を寄せる。
「な……!」
凝視するにしても近すぎる白浪の顔に、玲は狼狽が隠せない。
(――まさか――)
疑念がよぎった瞬間、白浪は玲の股間に口をつけた。
「やめ――ッ……ぅ……!!」
制止しかけるも、秘所に走る快美に声が止まる。
白浪は玲の割れ目を唇で覆い、レロリレロリと舐め上げだしたのだ。指とも違う生温かくやわらかな感触は苛烈な悦びをもたらし、玲は美沙希が見ている前なのに声も腰も止まらない。
「ふ……っ、く、ぅ――あ、ぅう……っ!!」
尖らせた舌先がクリトリスをつつき、ウネウネ動く舌腹が割れ目全体をなぞり上げる。
その間も乳房や尻は弄ばれているのだ。迫る快美感は絶えず玲を襲い、玲が悩ましげな声を上げるほどに美沙希もくぐもった声を漏らす。
「う――うう……!」
見開いた瞳いっぱいに涙を浮かべ、美沙希は何かを懇願するような声を上げる。
目の前で恋人を辱められる痛苦に声を漏らしても、白浪の責めは止まらない。ニ穴をほじりながらクンニリングスを施す白浪のせいで玲の淫悦は高まるばかりで、美沙希の前だというのに腰がくねってしまう。
「っふ……ぅ、あっ……あぁっ……!!」
美沙希にしか聞かせたくない声を響かせるたび、秘所の熱が増してゆく。
女体をまさぐる男たちの手つきも熱を帯びていた。潰すように乳を揉まれると手のひらの内側で勃起乳首が潰れ、痛みと紙一重の快楽が爆ぜる。掴み上げられた尻肉が揺れるたび言いようのない疼きが体内に広がり、熱を帯びた女体は繰り返し跳ね上がってしまう。
「んぅう……っ!! っは――ぁあ……っ!!」
手首を吊り上げる鎖と手錠が打ち鳴らされる金属音すらかき消す声だった。
勃起したクリトリスは何度も吸われて痺れるような悦びを広げる。愛液か白浪の唾液かも分からない汁で下半身を濡らす玲をしばし見上げてから、白浪はダメ押しとばかりに淫核を舐め上げる。
「――くうっ……!」
快美感に身体を震わせる玲は、すっかり息が上がってしまっていた。
白浪は口と手を離したが、他の男たちは変わらず玲を弄ぶ。火照った素肌をまさぐられる口惜しさに唇を噛みしめる玲をじっくり眺めてから、白浪は美沙希の方に振り返る。
「……う……」
白浪の視線を受け、美沙希の肩が震える。
ナイフを押し当てられながら恋人が責めを受ける姿を見続けた美沙希の消耗は激しい。頬に涙の跡を残しながら玲を見つめる美沙希は痛々しく、白浪は嗜虐的な笑みを浮かべる。
「ナイフはもういい。アレ持って来い」
「うす」
白浪が言いつければ、美沙希の隣に立っていた男はナイフをしまって部屋を出て行く。
「……何を……っん、……するつもり……?」
「処女でもねえんだ、分かるだろ?」
「……!」
白浪のその言葉だけで、玲はこの後に起こることを悟ってしまう。
果たして、部屋に戻ってきた男は淫具を手にしていた。先端が球状になった鉄製U字フックが白浪に手渡されると、白浪は迷うことなく玲の膣にフックを突っ込む。
「っく……!?」
下準備も要らないほど濡れているとはいえ、不躾な動きに大きく眉が寄る。
球の直径は平均的な亀頭程度。性に慣れ、濡れた膣穴はフックの先端をたやすく呑み込むが、硬質な金属と膣壁に当たる球の異物感がたまらない不快感を催す。
「う……っぐ、……う……!」
敏感になった膣内に物が挿入った興奮と、金属質からもたらされる不快感が膣でせめぎ合う。
U字フックの片側には長い鎖。鎖の一端を手にした男は脚立で上がると、天井近くで何やら作業を始めた。
(……滑車、ということは……)
天井の滑車に鎖が取り付けられると、玲の膣内に押し込まれたフック越しに負荷が高まる。
「ぐ……!」
鎖が引かれて傾ぐフックにつられ、玲の身体が傾きだす。
「んう!」
ギャグボールに口を封じられた美沙希が叫ぶ。
滑車が動くたびに鎖は引かれ、フックは上向きに。フックの先端にある鉄球が膣壁をえぐって内側から玲を持ち上げ、玲の足は完全に床から浮いてしまう。
「ぐ――うう……ッ!」
頭の上、手首を戒める手錠が鳴った。
手の位置は変わらないせいで、玲は不格好に腰だけ前に突き出すような体勢だ。
濡れきった秘所から伸びる鉄のフックを美沙希や男たちに見せつける格好となってしまった玲の羞恥は計り知れない。全身を色づかせ、膣内のフックと球に脂汗を滲ませる玲へ、白浪はまた別の道具を見せつける。
「っは……ぁ、……ぁ……ッ……!」
苦しさに喘ぐ玲の前、突きつけられたのは真っ赤なディルド。
大きさと太さは玲の腕とほとんど同じ。玲ですら初めて見るほどの長さを誇るディルドの先端には大きな膨らみがあり、不吉な予感をかき立てる。
(あんなもの……)
見れば、美沙希は目の前にあるディルドが信じられないとばかりに目を瞬かせている。
二人が愛を交わす時、道具を使うことはそう多くはない。 双頭ディルドやローターの類は持ってはいるものの、美沙希は手や唇での愛撫を好むのだ。
こんなに長い物があることすら知らなかっただろう美沙希は呆然とディルドを見つめていたが、ディルドを持つ白浪が玲の背後に回り込むのを見るとハッとして声を上げた。
「うううッ!!」
「なに言ってるか分かんねえよ」
「うぐうッ、う! うううーッ!!」
ギャグボールを嵌められ、言葉を形作ることが出来なくなってなお叫ぶ美沙希。
「ふぐううッ、うぐ!! うぐううぅッ!!」
ジタバタ暴れるも、男たちはもうナイフを取り出そうともしない。
今の二人は脅すまでもなく無力だった。後ろ手に手錠をかけられ、手足をパイプ椅子に固定されたうえにギャグボールを噛まされた美沙希は元から無力で、玲も膣にU字フックを押し込まれてろくに身動きが取れない状況。
「ッ……」
加えて、白浪たちからの愛撫によって感じさせられたことも、玲の抵抗の意欲をくじいていた。
(……肛門に、あれを……)
幸か不幸か、これから何が起きるかの予想はつく。
白浪はあのディルドを玲のアヌスに挿入れるつもりだろう。膣も肛門も散々に弄ばれた経験があるとはいえ、一年近く平和に過ごしてきた玲には勇気が要ること――厳しい目つきで静かな覚悟を固める玲の背後、白浪はヒップの割れ目にディルドの先を押し付ける。
「こっちも汁まみれだし、まあ挿入るか」
前穴から溢れ出た潤みは、尻の割れ目にまで回っていた。
白浪によって手荒にほぐされた菊肉はいまだ疼いている。ディルドを受け入れること自体は可能だと分かっていても、そんな姿を美沙希に見られることだけは考えるだけで辛かった。
(……美沙希――)
自責の念がふつふつとこみ上げる。
白浪がどのようにして玲と美沙希に目をつけたのかは分からないが、玲には自分が、かつて雨夜の屋敷で性奴隷となったことが原因のように思えてならない。
だとすれば、美沙希がこんなことになってしまったのは完全にとばっちり。これ以上美沙希を傷付けたり苦しめたくはないのに、玲の尻割れを広げた白浪は、美沙希の目の前で玲のアヌスにディルドを押し込み始めた。
「――ッぅあ……!!」
「んううう!!」
思わず声を漏らせば、美沙希の悲鳴が続く。
美沙希からは、玲のヒップを犯そうとしているディルドが見えているだろう。コブ状に膨れた先端部をあてがわれた菊座が広がるさまを見ているのは白浪と、室内に配されたカメラのみだった。
「ローション無しでも……まあイケるか」
玲の肛門を注視する白浪が呟く。
ディルドの先端の膨らみはアヌスの皺をじわじわと押し広げている。ほぐしたおかげで尻穴は切れずに済んでいるが、それも挿入が浅いうちだけだろう。
「う……っぐ……う……!!」
「んうううッ!! ううッ、ふうぅう……!!」
玲が呻くたび、美沙希のくぐもった声は高く激しくなる。
(美沙希……私は大丈夫だから――心配、しないで……)
強く念じる玲だが、それを口に出せるほどの余裕は失せていた。
先端部の膨らみは、アナルセックスの経験があって尻穴がほぐされた玲であっても挿入るかどうかといった大きさだ。肛門の皺が押し広げられる不快な違和感は痛みに変わり、玲は息を乱して痛みを耐える。
「う……ッ――ぐ……うう……!!」
だが、白浪は痛みに慣れる余裕も与えずにディルドを埋め込んでゆく。
「おお、挿入る挿入る。先っちょはもう挿入ったな」
玲のアヌスを凝視する白浪は、ディルドの一端を揺らして笑う。
先端の膨らみは玲の体内に収まり、肛門を内側から押し開く。指二本とは比べ物にならない太さのモノに菊肉を押しのけられる痛苦に玲はハアハアと荒い息を吐き、あらわな谷間に汗のしずくを落としてしまう。
「ううぐッ!! ぐ! うぅうう!!」
肛門を犯される玲を前にした美沙希は死に物狂いで声を上げる。
「今、お前の大事なオンナのケツが犯されてんだぜ」
そんな美沙希を煽るように白浪は言う。
「ケツの中パンパンになってるだろうな。コイツのこんな顔、レズセックス程度じゃ見たことねえだろ?」
男たちは意地悪く笑いながら、玲の裸身を好き勝手に撫で回す。
脂汗に濡れ光る裸身の上を、ゴツゴツした男の手が這い回る――おぞましい光景に美沙希は繰り返し何かを叫ぶが、白浪たちは止まらない。
「ほら、もっと奥にぶち込むぜ」
玲の肛内をディルドが削る。
「ッぐ――ぎ、ッぎ……!!」
やっとの思いで押し込まれた先端が奥に進むにつれ、痛みは烈しくなるのみだ。
「が――ぁぐ、う……ッ!! ぅあ、あ……ッ!!」
美沙希との交わりで、アヌスを深くえぐられることなんてなかった。
久しぶりの深い挿入は侵略だ。穏やかな暮らしのおかげで健康的だった肛門粘膜は無情に引き延ばされ、みるまに腫れて玲に痛みを伝える。
「ぁが……ッ!!」
加えて、膣内に押し込まれたU字フックと先端の球からもたらされる痛みも強くなっていく。
鎖を引かれ、腰を突き出す姿勢を強要された玲の膣内、U字フックの球体は同じ場所を苛み続ける。膣壁の一箇所にだけ負荷を強いられる感覚は到底受け入れがたいもので、痛苦に歯の根が鳴りだす。
「っは……ぁ……っは……」
「気絶しねえか。じゃあもうちょいペース上げていいな」
「あがッ!!」
身体がどうにかなってしまいそうな痛みに悶える玲の肛内、ディルドが深く突き刺さる。
「ぅうッ……あ、……!! あ……ッ、ぐ……――!!」
腹の奥底を殴りつけられるような衝撃が走る。
肛門から直腸にかけては限界まで広がっている。ディルドのサオ部分の太さにアヌスは断裂寸前で、先端部に押しのけられる奥地は肉が潰れるような不気味な感覚が強い。
「――っは……ぁあ……、う……ッ……!!」
「感じるか? かなり奥まで挿入ったぜえ?」
痛みを逃がすために姿勢を変えることすら許されない玲に、白浪は容赦ない言葉をぶつける。
視界が瞬くほどの痛みに苛まれる玲は何とか呼吸を整えようと必死だ。
(……まだ、終わっていない……)
菊座を犯すディルドの全長を思い出して、胸に警戒を灯らせる。
あのディルドの長さを考えれば、ディルドはまだ三分の一、下手をすれば半分近く余力を残しているはず――痛みも苦しみもまだ続くと覚悟を固める玲の肛内、果たしてディルドがねじ込まれる。
「――ぁ゛がァ゛ッ!!」
覚悟と警戒を打ち砕くような激痛だった。
腸粘膜が侵入を拒んで蠕動し、ディルドはそれ以上の力で玲の奥へ進もうとする。ゴッ、ゴッと腹の奥を何度も殴られたかと思えば、不意に先端部が奥地へ進んだ。
「ぎッ!!」
菊肉の深部、進んではならない場所が犯される。
腸の奥を犯される禁忌感がこみ上げたかと思えば激痛が追い越す。脂汗はこれまでの比ではないほど溢れ出て、玲の短い髪は頬やうなじにべったり張りつくほどだった。
「ぎ――がッ!! ぁがッ、ぎ……!!」
「うううっ!? ううっ、ううう――!!」
口をパクパクさせだす玲を前に、美沙希はうろたえて叫ぶ。
「んうう!! うーっ!! うううーっ!!」
もうやめて、と懇願するように声を張り続けても、ギャグボールに口を封じられているせいで言葉は届かない。
「ううぅッ!! うぅううッ、うううッ!!」
だとしても、玲の姿の痛々しさのあまり美沙希は声を上げ続ける。
クールな美貌に宿っていた警戒心すら吹き飛ぶほどの苦痛を覚えた玲は、目を見開いたまま瞬きすら忘れている。瞳と同じく口も開きっぱなしで、覗く舌の上を荒い呼吸が落ちる。
乳首に爪を立てられ、膣穴に突き立てられたU字フックを動かされても玲は反応すらしなくなった。痛みの許容量を超えたのは明らかで、美沙希はそれを彼らに伝えようと必死だ。
「んうううッ!! うう――ううううッ……!!」
これまで以上の切迫感を伴う美沙希の声は玲にも届いていた。
(――私……今、どうなってるの……)
ともすればヒステリックなほど叫び続ける美沙希の声からして、自分が大変なことになってしまったことだけは分かる。
しかし、烈しい痛みは肛門どころか全身に波及し、玲は自分のアヌスがどうなってしまったかは分からない。粘膜を耕される激痛に浅い呼吸を繰り返す玲の中をえぐりながら、あのディルドの全てが収まってしまう。
「――っ……、――……っ……」
その頃には、もう玲は呻くことすら出来なかった。
見開いた目から生理的な涙を流し、開けっぱなしの口から垂れる唾液はそのまま。
ディルドの取っ手を掴む白浪は、もう片方の手で玲の尻肉をペチッと叩く。
「はは、もう反応も出来なくなってんな?」
「……――」
せせら笑われようと、苛烈に過ぎる痛苦を前にした玲は動けないまま。
時間は永遠のように引き延ばされ、痛みは無限に続くかのように思えた――しかし、白浪は何の前触れもなくディルドの取っ手を思いきり引いて。
「ブッ壊れろ!」
高らかに吼えて、ディルドを引き抜いた。
「ぁぎィ゛い゛い゛――ッ!!」
散々痛めつけられた肛門粘膜がひっくり返るような痛烈な痛みに、あられもない悲鳴を上げる玲。
「んむうううううッ!!」
美沙希も悲鳴を上げては枷を解こうとするも、拘束具は美沙希をその場所に食い止めたまま。
「う――ううう……うぅうううッ……!!」
なおも身をよじって拘束を解こうとする美沙希は、滂沱の涙を流して玲を見つめている。
「が――ァ゛……あ゛……ッ!!」
肛門どころか尻全体が灼熱に包まれた気分で、玲は声を吐き続ける。
男たちはみな玲の後ろに周り、彼女の尻を覗き込む。
「うわカワイソー」
「やっべえじゃん」
太長いディルドを抜き取られた玲の肛門は見るからに痛々しい。
ディルドの太い先端部に引っ張られた腸粘膜はめくれ上がり、肛門からピンク色の粘膜を露出させていた。裂肛寸前まで広がった肛門は暗い内奥を奥底まで晒していて、玲の身体が傷付けられたことが分かる。
「初日から脱腸とは、イイ物が撮れたな」
「んう――……!!」
くつくつと笑う男たちの言葉に、美沙希はこの光景が撮影されていることを知る。
「これからも愉しませてもらうぜ? せいぜい良い画を撮らせろよ?」
「――う、ううう……!!」
悪魔そのものの白浪の囁きに、美沙希は悲痛な呻きを漏らすことしか出来ずにいた――。
●
白浪たちはその後も玲の身体を弄り回した。脱腸してしまったアヌスを撮影し、フックを埋め込まれた膣穴の接写もする――満足した彼らは二人の拘束を解いて立ち去るが、その頃には二人とも起き上がれないほど消耗していた。
(……美沙希……)
コンクリの床に臥せて痛みに苛まれながら、玲は想う。
美沙希はすぐそばに倒れているはずだが、首を持ち上げて辺りを見回す体力すらない。
(あんなもの見て……大丈夫かしら……?)
玲が覚えている範囲では、美沙希の膣や肛門を使われることはなかったはず。
しかし、目の前で玲が凄惨な目に遭い、ナイフで脅されたことは美沙希の心を傷付けただろう。美沙希が今どんな表情でいるかも気になるが、同じくらい心配なのは莉乃のことだ。
(……心配してるわよね)
楽しい買い物中に置き去りにされた莉乃の気持ちを思うと胸が締め付けられる。
かつての玲がそうだったように、莉乃も必死になって玲と美沙希を探していることだろう――あの可愛らしい顔がぐちゃぐちゃの泣き顔になっているのを想像するだけで、玲まで泣きたくなってしまう。
(――いいえ、泣いてはダメ)
ひそかに己を鼓舞する。
彼らの責めを耐え抜き、何とかして莉乃の元へ戻る――そうしなくてはいけないと静かに誓って、玲は静かな眠りに落ちるのだった。