※この作品はR-18です。

読み切り漫画家・綴木想真は連載したい   作:ボルメテウスさん

10 / 45
アンソロジー

「さて、綴木先生。次の掲載テーマが決まりました」

 

羽良嶋さんが、俺の前に一枚の企画書を滑らせた。その瞬間、打ち合わせスペースの空気が、心なしかピリリと引き締まるのを感じた。

 

「えっと…『魔都精兵のスレイブ』?」

 

「ええ。大人気連載の、公式アンソロジー企画です」

 

俺は思わず、受け取った企画書をまじまじと見つめ直した。魔都精兵のスレイブ。名前はもちろん知っている。週刊少年ジャンプの看板バトル漫画の一つだ。異空間「魔都」と、そこから現れる怪物「醜鬼」。特殊能力を得た女性だけの武装組織「魔防隊」と、彼女たちの指揮下で戦う男「スレイブ」の物語。

 

アンソロジーってことは、本編とは別に、色んな作家がこの世界観を使って思い思いの漫画を描く、ってことだ。

 

「これはまた…デカい企画にぶち込んでくれましたね」

 

「BLACKが、単なる性描写だけの雑誌ではないという証明にもなります。それに、あなたの強みを活かせるテーマでもある」

 

羽良嶋さんは、いつもの冷静な口調で言ったが、その目は期待に光っているように見えた。俺は企画書をもう一度見返す。そこには「作品解説」と題されたページがあった。彼女が、スッと横から指を差す。

 

羽良嶋さんの声が、少しだけ熱を帯びる。資料を読み込んだのか、それとも元々のオタク気質が出ているのか。

 

「主人公の和倉優希は、魔防隊七番組の組長、羽前京香の能力で『スレイブ』、すなわち奴隷となります。この主従と信頼の関係。そして、京香を始めとした魔防隊の女性たちが、己の欲望やトラウマと向き合いながら戦う姿。ただの能力バトルじゃない、人間賛歌であり、欲望の肯定でもあるんです」

 

「なるほど…女性キャラそれぞれが、何かしらのコンプレックスを能力に変えて戦ってるってことか」

 

「そうです。そこがポイントです」

 

羽良嶋さんは、ピンっと指を鳴らした。

 

「このアンソロジーで求められているのは、単なるスピンオフじゃない。『魔都精兵のスレイブ』という作品が持つ、様々な側面を、各作家がどう料理するか、なんです。ある作家はバトルを、ある作家は恋愛を、ある作家はコメディを、切り取るでしょう」

 

彼女は俺の目をじっと見据えた。

 

「綴木先生。あなたはこの作品の、どの『欲望』を切り取りますか? 京香の支配欲? 優希の献身? それとも、他の組員の飢え?」

 

俺は企画書の表紙、羽前京香の勝ち気なイラストを見つめながら、ペンを回した。

 

アンソロジー。他の作家も同じ原作から飛び立つなら、俺はどう差別化するか。

 

「まずは、キャラクターから決めないとな」

ジャンプBLACKのアンソロジーになる作品は?

  • HUNTER×HUNTER
  • NARUTO
  • ONE PIECE
  • 鬼滅の刃
  • ダイの大冒険
  • チェンソーマン
  • ドラゴンボール
  • 魔都精兵のスレイブ
  • 僕のヒーローアカデミア
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。