発売日、午前七時。
目覚まし時計より早く、俺はスマホの振動で飛び起きた。
SNSの通知が止まらない。試しにトレンドを一覧すると、そこに「ジャンプBLACK」「魔都精兵アンソロジー」「東風舞希」の文字が躍っている。
(始まった)
肺の奥から震える息が漏れた。手のひらは汗で湿っている。まるで自分の身体が戦場に放り込まれたみたいだった。
俺は身支度もそこそこに、最寄りの書店へ向かった。開店直後の店頭には、BLACKの見本誌が平積みされている。表紙の羽前京香が、今日も鋭い眼差しでこちらを見据えていた。
その横に、俺の『東風舞希』がどう並んでいるかは分からない。棚に並ぶ背表紙だけでは、自分の作品の存在を確かめられないもどかしさがあった。
「あの、これください」
言いながら、見本誌を一冊手に取る。店員の若い女性がピッとバーコードを通した。
「これ、表紙の人がすごい人気で、朝から何冊か売れてますよ」
「そ、そうなんですか」
「中身も気になりますよね。あの、よかったら感想聞かせてください」
(俺が作者だとは知らないのか)
短い会話を交わし、俺は書店を出た。雑誌を抱えたまま、近くの公園のベンチに腰を下ろす。まだ朝だというのに空気は湿気を含んで、じっとりと肌にまとわりついた。
スマホを再び見る。レビューサイトには既に数十件のコメントがついている。
「東風舞希、ガチで美人すぎ」「竹村先生の表紙も、アンソロジーの再現度も最高」「文句なしにいい」
けれどその中には、こういう声もあった。
「エロすぎて笑うけど、どこか切なかった」「東家の旦那さん、早く生き返れ」
(深刻なのか、何なのか)
俺は安堵と不安が同時に胸を占めるのを感じていた。
作品は読まれている。だからこそ、その先の評価が怖い。
ほどなくして、羽良嶋さんから着信が入る。
「発売直後ですが、好調です」
彼女はいつもの淡々とした声だった。だが電波越しでも、どこか弾んでいるのが分かる。
「特に電子版の先行配信が伸びています。朝の時点で総合ランキング五位。魔都精兵アンソロジー内では単話売上一位です」
「…一位」
「現段階では、ですが」
それでも、胸の内側から熱いものが込み上げてきた。順位が全てじゃない。分かってる。でも、こんなに早く反応が来たのは初めてだった。
「読了率も悪くありません。今回、主人公の行動がはっきりしていたのがいい方向に出ています」
「そ、そうですか」
「ただ、まだ序盤です。発売日の勢いで売れているだけかもしれない。ここから先は、読者の口コミでどこまで伸びるか。あなたの物語が、人の記憶に残るかどうかの勝負です」
羽良嶋さんは、相変わらず容赦なく続けた。
「それに、次に動くのはあなただけではありません。同時進行で、次の対決がもう始まっています」
ジャンプBLACKのアンソロジーになる作品は?
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HUNTER×HUNTER
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NARUTO
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ONE PIECE
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鬼滅の刃
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ダイの大冒険
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チェンソーマン
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ドラゴンボール
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魔都精兵のスレイブ
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僕のヒーローアカデミア