悔しさを胸に抱えたまま、俺は次の読み切りへ向けて頭を切り替えようとしていた。
机の上には白い原稿用紙。いや、今はまだ真っ白な「画面」だ。タブレットにペンを走らせようとしては、すぐに手が止まる。ネームの入り口で迷子になる感覚。アイデアが足りないわけじゃない。ただ、頭のどこかであの「二位」という数字がぐるぐると回っていて、思考のブレーキを踏まれているみたいだった。
「くそっ、しつこいな……」
誰に言うでもなく呟いた。
ペンを置いて背もたれに深く寄りかかる。天井を見ると、夜遅くまで点けっぱなしの蛍光灯がジジッと点滅していた。
その時、スマホが振動した。
画面には「ジャンプBLACK編集部」とある。羽良嶋さんからの着信だった。指でタップする。
「もしもし、綴木です」
『遅くにごめんなさいね。全然大丈夫だった?』
羽良嶋さんの声は、相変わらず落ち着いていて、それでいて電話越しだとほんの少しだけ柔らかい。
「ええ、まあ。ネームが……まだ、うまく形にならなくて」
『そう。だから連絡したのだけど、相談があるのよ』
彼女は一拍置いてから続けた。
『次の読み切り、別の担当に話を通してみない?』
「……別の担当、ですか?」
『編集長の提案なの。あなたの作品は今、読者アンケートで上位に入るくらいまで来てる。でも、編集部評価ではどうしても「羽良嶋の視点に寄りすぎている」って声が出てる。だから次は、別の編集者に客観的な意見をもらってから、もう一度羽良嶋が最後に詰める。そういう二段構えを試してみたいんですって』
俺は息を呑んだ。
羽良嶋さんの視点に寄りすぎている、か。
言われてみれば確かに、ここ最近のネームは「羽良嶋さんにどう思われるか」を無意識に気にしていたかもしれない。彼女が求める「欲望の深さ」や「ハッピーエンドへの到達」に、俺の描きたいものをすり寄らせていた気がする。
「それで、相手の編集者は……?」
『まだ決まってないわ。だから明日、編集部に来てほしい』
「分かりました。行きます」
返事をして通話を終えた。
心臓が少しだけ高鳴っている。新しい視点。自分にはない考え方に出会えるかもしれない。
「別の担当……か」
俺は再びペンを手に取った。頭の中にぼんやりと、次の物語の影がよぎる。まだ輪郭を結ばないけれど、今度こそ、二位の悔しさをぶつけられる気がした。
「だからこそ、これまでの方法とは違う視点が必要かもしれない」
一位と二位の壁。
その差は大きく、だからこそ。
「絶対に覆してみせる」
ジャンプBLACKのアンソロジーになる作品は?
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HUNTER×HUNTER
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NARUTO
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ONE PIECE
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鬼滅の刃
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ダイの大冒険
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チェンソーマン
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ドラゴンボール
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魔都精兵のスレイブ
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僕のヒーローアカデミア