※この作品はR-18です。

読み切り漫画家・綴木想真は連載したい   作:ボルメテウスさん

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ギャップの構成

俺はキャラクターの全身ラフを見つめた。

 

黒い修道服。フードで顔以外を隠すデザイン。おばあちゃん口調とショート金髪のギャップ。ここまで決まった。

 

「で、問題はここからですね」

 

羽良嶋さんがラフの胸元を指差した。平坦な服のライン。問題はまさにそこだ。

 

「修道服の下はどうするんですか?」

 

羽良嶋さんの声が低くなった。核心を突かれた。

 

修道服は身体の曲線を殺す。胸も尻も包み隠す。BLACKの読者が求めるエロティシズムは、肌の露出か、布の裂け目か。どちらにしても修道服には似合わない。

 

「布地を変えたりするのもいいんですけど…それだとこの清楚なイメージが崩れるんですよね」

 

俺はラフの胸元を指先でなぞった。黒い線が上下左右にぴったりと張り付いている。

 

「そもそも…」

 

ふと思い当たった。

 

「修道服って、体型を誤魔化してるんじゃないんですよ。逆だ」

 

「どういう意味ですか?」

 

羽良嶋さんが眉を寄せた。

 

「布地が厚くてタイトな分、むしろ身体の一部は隠せないんじゃないかと思って」

 

俺はラフを回転させ、正面から胸部に焦点を当てた。

 

「例えば…この豊かな胸」

 

ペン先で丸みを描く。平坦な服のラインにぽっこりと膨らみが出た。

 

「修道服で身体の大半は覆えるけど、胸の膨らみだけはどうしようもない。布地が引っ張られて張り詰める。その輪郭が浮かび上がる」

 

俺の指がペン先で円を描く。

 

「布地を重ねて押さえつけても、押し返してくる質量。この布一枚の下に潜む肉感」

 

羽良嶋さんの目が細くなった。

 

「…物理的な抵抗が生まれるんですね」

 

「そう。服が信仰心の厚さを示す一方で、胸の膨らみは人体の引力を主張する。その相反する力がぶつかって生まれる緊張感。布一枚隔てた質量感」

 

俺はペンを置き、キャラクターの手に手袋を描き足した。その手が無意識に胸元を押さえる仕草。

 

「シスターは手袋をした手で胸元を押さえたりする。それが無防備でないからこそ、却って意識してしまう。布地の下に隠されているはずのものが、布地そのものを変形させて主張しているんだから」

 

羽良嶋さんがゆっくりと頷いた。

 

「神聖な布地による異論。黒い布地と白い肉体の境界線が、ただの倫理を超えてしまっている」

 

「これが最大の武器ですね。このキャラクターのエロティシズムは、布を脱ぐことじゃなくて、布が身体の線を写し取ってしまうこと。その不可抗力から生まれるものだ」

 

俺は自分のラフを見下ろした。平坦な修道服の上に描いた丸い膨らみ。そこには衣服と肌の境目を超えた表現が宿っている。

 

「この修道服越しの豊満さを最大限に生かしましょう。直接見せるのではなく、見てはいけない部分を敢えて見せる構造にする。それが『神聖なもの』と『禁忌』のバランスになります」

ジャンプBLACKのアンソロジーになる作品は?

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