オルソラが腰をゆっくりと振り始めた。
最初はほんのわずか、前後に揺れる程度の動きだった。だがその微細な揺らぎが、彼女の内壁のひだ一つ一つを俺の肌に押し当てていく。熱く濡れた粘膜が蠢くたびに、根元から先端へ波のような刺激が這い上がってくる。
「んっ……」
オルソラの唇から漏れた声が、夜気に溶ける。
彼女の腰の曲線が俺の掌の下で動いている。手を置いたままその動きに身を任せていると、波打つ彼女の肉体のリズムが直接掌から伝わってくる。まるで潮の満ち引きのような、ゆるやかな律動。
──これが、俺のものだ。
頭の片隅で冷静な自分が呟く。だがその声はすぐに熱に溶かされた。
彼女の動きが少しずつ大きくなる。前後の揺れが回転を帯び、腰を沈める角度が深くなっていく。受け入れるだけだった彼女の内壁が、今は主動(しゅどう)的に俺を吸い上げ始める。
「……っ、オルソラ……」
「ん……?」
彼女は目を細めたまま俺を見下ろす。汗で張り付いた金色の前髪の向こうで、潤んだ瞳が揺れている。その表情は苦悩にも似ているのに、口元には確かに快楽の色が浮かんでいた。
「あんた……そういう顔するんだね」
彼女がくったりと笑う。その笑みの余韻の中で、彼女の内壁がきゅっと収縮した。
「っ……!」
予期せぬ締め付けに背筋が弓なりになる。彼女はそれを見逃さなかった。
「ふふ……感じてるのかい」
揶揄うような声。だが彼女自身の声も震えている。俺の反応を見て楽しんでいるわけではない。彼女もまた、この感覚に溺れかけているのだ。
彼女の腰の動きが加速していく。
ゆるやかな波だったものが、次第に反復の間隔を狭めていく。打ち寄せる波が高くなり、引く時間が短くなる。彼女の呼吸がそれに合わせて荒くなり、胸の頂点が揺れるたびに俺の胸板を掠める。その乳首の硬さが、皮膚越しに焼き付くようだ。
「あっ……あんた、もう……」
オルソラの声が途切れる。彼女の腰が不規則に揺れた。俺の先端が彼女の奥の深い場所を突いたのだろう。彼女の背筋が反り、開いた口から溢れた声が声にならない嗚咽に変わる。
「そこ……っ」
彼女が呟いた。その一言が火薬のように俺の中で弾けた。
俺は無意識に腰を突き上げていた。
彼女の動きに合わせるのではなく、自分から奥へと突き入れる。彼女の体重を受け止めながら、さらに深く、さらに熱く。
「──あっ!」
オルソラの身体が跳ねた。両手が俺の胸に突っ張り、指先が筋肉に食い込む。爪が立てられる痛みが、逆に快感の輪郭を鮮明にする。
「ごめ……っ、大丈夫か……」
「だいじょう……ぶ……」
彼女は息を切らしながら答える。だがその瞳は俺を捕まえて離さない。
「もっと……いいよ」
その言葉が俺の中で何かを壊した。
俺は彼女の腰を掴んだ。白い肌に指が食い込み、彼女の身体がびくりと震える。主導権が彼女から俺へと移っていく。だがそれは支配ではない。互いに求め合う方向が一致しただけだ。
腰を打ち付ける。
肉と肉がぶつかる音が部屋に響く。湿った、生々しい音。その音のたびに彼女の内壁が痙攣し、俺を離すまいと吸い付いてくる。
「あっ、あっ……んっ……!」
オルソラの声が高くなる。おっとりとした調子はもうどこにもない。あるのは快楽に翻弄される一人の女の声だけだ。
彼女の内壁がうねるように収縮を繰り返す。俺の形をなぞるように、あるいは俺をさらに深く招き入れるように。熱い粘膜が包み込み、締め付け、また緩む。その三拍子の反復が、俺の理性を少しずつ削り取っていく。
「オルソラ……もっと……」
「んっ……あたしも……っ」
彼女の腰が自ら動き始める。俺の突き上げに合わせて彼女が腰を落とし、最も深い場所で互いの身体がぶつかる。その衝撃が彼女の全身を走り、揺れる乳房が重なり合う音までが聞こえてくるようだ。
彼女の身体が前のめりになる。俺の胸に倒れ込みながら、耳元で荒い息を吐く。汗ばんだ額が俺の首筋に押し当てられ、彼女の心臓の鼓動が直接伝わってくる。
速い。激しい。それでいて脆い。
「……っ、あんたの中に……あたし、入ってきたい……」
彼女が囁いた。その言葉の意味は分からない。物理的にはもう繋がっている。だが彼女が求めているのはそれ以上の何かだ。
俺は彼女の背中を抱きしめた。腕の中で彼女の身体が震えている。汗で滑る肌、背骨の隆起、肩甲骨の窪み。そのすべてを掌で確かめながら、俺はさらに強く腰を打ち上げた。
「──っ!!」
オルソラの身体が弓なりに反った。彼女の内壁が一瞬で収縮し、俺を根元まで絞り上げる。痛いほどの締め付け。だがその痛みすら快楽に変換されて、脳の奥で白い光が弾ける。
彼女の爪が背中に食い込む。血が滲むかもしれない。だがそんなことはどうでもよかった。
彼女の中が、さらに熱くなる。
さっきまでのぬるんだ熱とは違う。粘膜がより深く俺に絡みつき、離すまいとする意志のように蠕動が激しくなる。俺の肉棒の形を一ミリまで覚え込もうとするかのような、執拗で容赦のない収縮。
「……っ、オルソラ、きつ……っ」
「んっ……だめ……っ、あたしも……っ、抑えられない……っ」
彼女の声が泣いているように聞こえた。だがその涙は悲しみのものではない。
互いの呼吸が溶け合い、汗が混ざり合い、熱が一つになる。
彼女の膣肉が、より強く求めるように締め付けを強めていく──
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