ダウナー系JKの妹が、平然とエッチさせてくれる話。 作:東雲(しののめ)
どうしたらいい――
この場面でそんなことを言われて、平然と応えられる人物がどれほどいるだろう。
案の定、俺はどうしたらいいか分からなかった。
「連れ込まれたってお前……」
しかしこのままフリーズしているわけにもいかない。
こうしている間にも妹には危機が迫っているのだ。
『なんでそんなことになったんだよ』
震える指先でなんとか返信を送る。
またしても既読が一瞬でつくあたり、どうやら楓はメッセージ画面を開いたままらしい。
『会った時から目がギラギラしてたから、もしかしたらとは思ったんだけどね』
『だ、大丈夫なのか!?』
『平気。今はおっぱい揉まれてるだけだから』
大丈夫かなどと尋ねている場合ではない。
しかし彼女の平気という言葉は嘘ではないのだろう。
双房を揉みしだかれながら、淡々とスマホをいじる姿が容易に想像できた。
『そいつはどうしてお前を……』
直接の面識はないはずだ。
なぜ男は会ってすぐの妹を、トイレに連れ込んだりしたのだろう。
『ゲーム内で何度かそういう話をしたことはあったんだけどね』
『でも会ったのは今日が初めてなんだろ』
『うん。でも私のこと見てヤレそうって思ったんでしょ』
『な……』
『実際この人おっぱい触るのすごい上手だし、きっと手当たり次第なんじゃないかな』
『誰でもいいってのかっ!』
『ヤリチンなんてそんなもんだよ』
男は見た目通り、性に奔放な男だったというわけか。
『連れ込まれて面倒なのに、ちょっと気持ちいいのがまた癪』
困り顔のスタンプが言葉に添えられる。
しかし本人の表情に困っている様子がないと、直感的に感じてしまう。
『あ』
『ど、どうした?』
『マンコに指いれられた』
またしても打鍵する手が止まる。
俺は文字通り硬直してしまった。
すぐにの返信がないことを、状況がまだ理解できていないと勘違いされたのか、数拍置いて楓からまた写真が送られてくる。
「おいおい……」
胸のあたりでスマホを構え、カメラを真下に向けて撮ったらしい。
どうやら今は後ろから抱きつかれているようで、まず男の左手が服の中に入り、片胸を揉みしだいていた。
楓の着る上着が薄手のせいで、画面越しでも、男の五指が生地の下からくっきりと浮かび上がってしまっている。
そして下半身に目を移すと、ショートパンツのチャックだけ開けられ、薄青色のパンツに浅黒い右手を突っ込まれていた。
『今こんな感じ』
『ど、どうなってるんだ』
『どうって、まぁ手マンだよね』
俺の言葉はこの状況そのものへの困惑だった。
しかし妹はそれを、女性器を愛撫されての感想を求められたと受け取ったようで、更に要らない解説をしてくれる。
『やっぱり上手いよ。女の弱点をよく理解してるって動き』
『理解なんて……会ったばかりなのに……されるわけ』
『経験値なんだろうね。私もすぐにGスポ見つけられてゴリゴリ刺激されてるし』
あ、あぁ……。
『あと伸ばした陰毛エロいってさ』
『俺が、頼んだやつ……』
『そ。てかこの人も陰毛にこだわり強い感じらしくて、少しいじってみたいとか――』
頭の中がかき混ぜられ、もはや後半は妹の言葉を理解できなくなる。
とにかく言えることは、楓は現在進行系で好き勝手にやられてしまっている。
そして、それに対して俺はなにもできないということ。
彼女の正確な場所も知らず、急いで駆けつけることもできない。
それに今さら向かったところで手遅れた。
「なんなんだよ……」
どうやってもこちらが手出しできない状況。
妹は、そんなこと当然分かっているはずだ。
なのにどうして、わざわざ俺が苦しむようなことを――
『なんで、なんで、俺にそんなこと言うんだよ』
助言も何もあったものではない。
もはや弱音を吐くしかなかった。
『お兄ちゃんが言ったんじゃん』
しかし楓は、なにも見せつけるために連絡をしたわけではなかった。
淡々として、けれどどこか毅然とした芯を持って、それを言った気がする。
『――悪い男につかまったら遠慮なく頼れって』
彼女は今朝、俺が送り出す時に言った言葉を告げたのだった。
ハッとする。
そうだ。頼れと言ったのは自分だ。
妹は困難な状況に陥り、兄である俺を頼ってきたのである――
『このままだと私、間違いなくセックスしちゃうよ?』
彼女は俺に答えを求める。
『どうしたらいい?』
できるものなら、その場からすぐにでも逃げ出してほしい。
しかし楓が脱兎の如く去るイメージは湧かないし、そもそも現実というのはそう都合よくはいかない。
『男を振り払って逃げるってのは……』
『ちょっとむずいかも』
だろうな。
相手の男がここまで来て、何もせず楓を手放すわけがないのだ。
タイムリミットが近づく中、俺は悩みに悩んだ末に、ようやく絞り出すように答えを出す。
『……セックスだけは、絶対にしないでくれ』
それは俺が望み、楓が応え、現実的にも実現できる唯一の線だと思った。
『本番は避けろってことね』
『……ああ』
『まぁ、今さらはmゃhkんも』
『楓?』
『ごめん誤字った。突然ベロチューされたからさ』
だがそれから三分ほど連絡が途絶える。
おそらくあの男がまた楓の唇に貪りついているのだろう。
その間はスマホをいじれず、されるがままにキスに応じている楓が想像できた。
『返信遅れた。とにかく、今さらはいさよならで別れるってのは無理筋だもんね』
楓に性処理をしてもらっている自分には分かる。
きっと彼女の目の前にいる男は、野生の獣のごとく下半身をたぎらせているだろう。
やめて、帰らせて、と言って素直に頷くわけがない。
むしろ拒絶すればするほど、相手は興奮するのではないだろうか。
『一発抜いてあげるしかない、か』
『い、いいのか』
『仕方ないよ。ある程度スッキリすれば帰してくれるでしょ』
いわば肉を切って骨を断つ。
本番はしないが、それ以外で処理をするということだ。
苦渋の決断だが、楓の貞操を守る術はこれしかない。
『口か、手か、それとも……何で抜くかは相手に任せようと思うんだけど』
『構わ、ない』
『了解。ちょっと訊いてみるね』
数十秒時間をおいて。
『フェラすることで話がつきました』
と、一文が飛んでくる。
『それで、終わるんだろうな』
『うん。お兄ちゃんに本番ダメって言われたし、そこは絶対に守る』
楓の絶対は絶対だ。二言はない。
そこだけは唯一安心していいのだが……。
『本当に、本当に、セックスはしないよな?』
『しないよ』
『フェラだけでちゃんと済ますんだぞ?』
『はぁ、信用ないんだね私』
『いやお前を信じてないわけじゃ……』
『分かった。じゃあ証拠見せる』
証拠?
メッセージ画面が着信画面に切り替わる。
拒否することはできず、ゆくりと開始ボタンを押すと――
『なに、今度は動画?』
『そんな感じです』
どうやらビデオ通話が始まったらしかった。
男と楓のやり取りが、目と耳を通じて流れ込んでくる。
ミュート状態のため俺の顔や声は相手に届かず、というより男の方はそもそもビデオ通話だとも認識していないようだった。
『さっきも写真撮るから待ってって言われてビビったけど、別にネットに上げるってわけでもないんしょ?』
『記録みたいなものです』
楓の雰囲気を見て、男は自身に危険性はないと知っているらしい。
それを自然に感じ取れるのがまた経験値なのだろうか。
『しかしかえでちゃんも良い趣味してんね。撮ったやつ後でオレにも送ってよ」
『気が向いたらで』
『ちぇー、それ絶対送ってくれないパターンじゃん、まぁいいけどさ』
男はどさりと便座に座ると、大きく足を開いた。
その空いたスペースに、トイレの床に膝を立てて妹が入る。
楓はスマホのカメラを扉に立てかける形で置いたため、こちらからは大仰に座った男の顔と、背中を向けて表情の窺えない楓が見えていた。
まるで王様と奴隷のような構図である。
『じゃ、頼むわ』
わずかに見えた男の一物はとても巨大で、グロテスクなナリをしていた。
己のものとは違い、竿全体がくすんでいて、亀頭も赤黒い。
幾人もの女の唾液や愛液が刻み込まれた、同性から見ても凶悪極まりない、もはや凶器と呼べる代物だった。
一体これに何人の女性が落とされたのだろう――
『あぁ、そのチンコへのキスめっちゃ効くわぁ……』
情事は既に始まっていた。
傅いた楓が前のめりになり、ちゅっと何度もディップしているらしい。
しばらくすると、ぐぷりと音をたてて楓が咥えこんだことが分かった。
『うお。かえでちゃん上手』
『……
『もしかして彼氏に仕込まれたん?』
『……
『何にせよホントすげーよ。こんなの童貞なんかじゃ一瞬だわ』
『……
よく喋る男、それに対して適当にあしらう妹。
楓のテクニックのすごさは身をもって痛感しているが、しかし彼はそれを褒めつつも、まだ表情に余裕が見えた。
『玉の方も頼む』
『ン』
一度男根から口を離すと、僅かに頭を下げる。
じゅぽん、じゅぽんと、楓は玉を強く吸引すると、今度はわざとらしく大きな音を立てて放す。
それを何度か繰り返したと思えば、次に腔内で玉を転がすなど、俺も味わったことがないような技巧を披露する。
もしも同じことをされたら……男が言うとおり、俺は瞬く間に果ててしまうだろう。
『あー……今日のJK大当たりだわ……』
また楓に鬼頭を呑み込まれると、男は腰を曲げリラックスした様子で天井を見上げた。
心底気持ちが良いという様子である。
(なにが大当たりだよ……!)
しかし兄の文句は決して届かない。
妹のしゃぶる音だけが無情に響いている。
時間にして一〇分は越していたと思う。
その光景から目を離せず、必死に耐えていると、男がついに絶頂の訪れを告げた。
『そろそろ射精そうかな』
男は背を起こすと、傅く女の頭に両手を乗せた。
『約束通り口内射精すんだけど――』
そしてニヤニヤとした顔つきで、驚くべきことを語りかける。
『一滴でも零したらセックスな』
な、なにを言ってるんだこの男は。
そんな提案が通るはずないだろう。
『いいよね?』
『…………』
『返事』
『……
あ、浅はかな脅しだ。
あの楓が零すわけがない。
『よっと』
しかし彼はそこらの雑兵ではなく歴戦の猛者だ。
なんと男は、射精する間際になって、右足の先で楓の股を蹴った。
そのつま先は正確にクリトリスを打ち抜く。
『――っ!』
楓の僅かな苦悶の声、口が開き、顎が上がってしまう。
男は狙い通りというようなあくどい目をしていた。
「楓……!」
俺は立ち上がっていた。
このままでは男の思うつぼだ。
『――――』
しかし俺は失念していた。
楓もまた卓越したフェラテクを持つ猛者なのである。
彼女は腰が上がり一度口を離しかけたものの、間髪入れず、自ら転ぶように前のめりになった。
それこそ便器に顔の半分が突っ込むほどだ。
『うぉ~』
強引な吸引の快楽に、男が思わずうめき声を上げる。
ごくんごくんと大きく喉が鳴り、画面越しでも、妹があますことなく精液を呑み込めたのだと分かった。
しばらく射精は続き、その間、妹は便器の中で時を過ごす。
『……クリは反則』
ちゅぽんと音を立てて口を離すと、淡々とその行為を咎めた。
『いやぁ。気持ちよくってつい足が動いちゃった』
白々しい言い訳だが、彼女はそれ以上の追求をしないようだった。
『さいっこうのフェラだった』
『どうも』
しかしこれで難は逃れた。
これで楓は無事に帰れるはずだ。
『じゃ、これで一発目は終了ってことで』
だが、ここでまたも予想を逸した展開が起きた。
一発目?
チラリと見えたその男根は――まだまだ萎える様子がなかった。
むしろ女の洗礼を浴びて、一層滾っているようですらある。
『じゃ、二回目頼むわ』
え?
に……二回目?
『オレ性欲強いからさ。最低でも三、四発抜かないと満足しないんだわ』
『ですか』
『本番しなきゃ何回でもしゃぶってくれるんでしょ?』
『面倒ですけどね』
『あーでもセックスさせてくれるなら一回で――』
『それはダメ』
『即拒否じゃん』
問答無用の否定に、男は愉しそうだ。
俺の試練はまだ続くのだ。
出口が見えたと思ったのに、また始めから絶望を味わうという事実に、胸が更に痛む。
『――そういえば、かえでちゃんってお兄さんいたよね』
二回戦目に移行しようという最中、思い出したように男が口を開いた。
それは間をつなぐための、ただの世間話のつもりだったのだろう。
『もしかしてお兄さんのもしゃぶってたりすんの?』
――ドキン。
心臓が一度跳ね上がる。
男は与太話の延長とはいえ、俺のことを話し始めたからだ。
口振りからしてほとんど冗談のノリ……というか、馬鹿にしているようですらある。
『かえでちゃん、ゲームでもお兄さんの話ばっかりだし』
そ、そうなのか?
楓が他人に兄のことを語る姿なんて想像できないが……。
だが沈み駆けていた心が、ほんの少しだけ光を見たのは気のせいか。
『でも彼女の一人もできない童貞君だったっけ?』
う。
『もう大学生なんでしょ。それで女の一人も抱けてないって情けねぇよなぁ』
『…………』
『なーんか男としてカスすぎて可哀想だし、まじでかえでちゃん同情エッチしてあげたら? どうせ誰にでも股開いてるんでしょ?』
『…………』
『あー、でも、初っ端でこんな良い性処理便所使ったら、性癖ひん曲がってより情けなくなっか』
男は本当におかしかったのか、手を叩いて笑っている。
「性処理、便所だと……」
俺はこいつの話を聞いて――初めて本気の殺意を持った。
自分に対してどんなに酷いことを言われても構わない。
俺は、恋人はできたごとがないし、いまだに童貞だし、妹にも面倒を見られまくっている。
彼が思うように心底情けない男なんだろう。
「でも」
でも――楓は違う。
確かに傍から見れば、やる気がなさそうで、面倒ぐさがりで、いつも暗いテンションなのかもしれない。
だけど本当に面倒が嫌いなら、夏休みの間あんなに部活を頑張るだろうか。
最近は家事の手伝いをより一生懸命してくれるようになった。
趣味だって実は全力だ。ゲームではハイスコアが全然出なくて、淡々としながらも内心すごく悔しがっていたのも知っている。
楓は平然としているけれど、平然としているだけで、中身がないわけじゃない。
家族も、友人も、学校も、俺なんかよりずっと真剣に向き合っている。
ちゃんと人間で、ちゃんと女の子なんだ――
『あのさ』
もう我慢ができなくなって、マイクをオンにして怒りをぶつけようと思った。
しかしコンマ数秒、俺が動くよりも早く、楓が言葉を発する。
ここまで黙って奉仕していた楓が、咥えていたものを放し、初めて発言をしたのだ。
きっと言おうとする文句は俺が考えていたことと一緒だろう。
性処理便器などと呼ばれたのだ、ガツンと言ってやれ!
『お兄ちゃんの悪口言うの、やめてくんない?』
俺は己の激情をぐっと抑え、妹の行動に対し目と耳を傾けていた。
しかし彼女から発されたのは、自分がまったく予想だにしない言葉である。
『さっきから聞いてて、けっこー不快なんだよね』
『おいおい、なにマジになってんの。もしかしてあれか、ブラコン的な?』
男が肩をわざとらしく落とし、またからかうようなことを言う。
しかし妹は更に言葉の温度を低くして。
『あんまりお兄ちゃんのこと言うならもうやめる』
『いやだからこれ冗談で』
『――やめるよ?』
楓はこちらに背を向けている構図なので、その時の表情を垣間見ることはできなかった。
どんな顔をして言ったのか。
きっと俺が想像できないほど恐ろしかったのだろう。
あれだけ愉悦に浸っていた男が、それを見て一瞬明らかにたじろいだのだ。
それからは目を泳がせ、喋りが止まり、全身に漲らせていた雄のオーラが霧散する。
『……じゃ、続ける』
男が黙ったことで、楓のフェラは続行となる。
しかし二度目の射精はすぐであり、宣言されたような三回戦四回戦は訪れなかった。
『もう射精ないっぽいね』
『あ、あれー……おかしいな、いつもはこうじゃないんだけど、あはは』
『ふぅん、誰にでも股を開くブラコンの性処理便所が目の前にあるのに?』
『っ……』
楓はトイレットペーパーを無造作に取って口元を拭う。
これで本当に終わりという流れ、しかし彼女はまるで気が変わったとばかりに。
『そうだ。やっぱりしてもいいよセックス』
今になって唐突に告げる。
俺と同じく、男も驚いたようだった。
『しよ。セックス』
『え』
『生ハメしたいって散々言ってたじゃん』
『それは……』
『こういうことあっても基本拒否ってたんだけど今回特別。私のマンコ狭くて中も凸凹してるらしいから、挿れたら結構気持ちいいと思うよ』
『な、なんで急に……』
『今なら中出しもOK。妊娠させてくれてもいい。できれば出産したいけど、そっちが中絶を望むなら迷わず堕ろす。どんなことになっても私は文句を言わないし、当然あなたも責任を取らなくていい』
『ちゅ、中絶……堕ろすって……』
口調も表情も、いつもと変わらず平然としている。
しかし相手を気にせず、たたみ掛けるような舌鋒の連打に、男はどんどん顔を強ばらせていった。
性の快感に流されがちな俺たち男の脳に、社会の現実が叩き付けられる。
『まぁあくまで』
これまでした話は、と前置きして。
身支度を終えた妹は、便座に座ったままの男を見下ろした。
『――勃起できたら、の話だけど』
そう告げると楓はトイレから出ようと振り返る。
その拍子に男の男根が見えるが、それはもう力を失っていた。
さっきまでの勇猛さは見る影もない。
『お兄ちゃんだったら』
楓が扉に立てかけていたスマホを拾い上げる。
その拍子、彼女は仮の話をした。
もしも今のように生ハメ妊娠をしてもいいと兄に告げたら、この便座に座る男のように怖じ気づいただろかと。
『お兄ちゃんだったら、フル勃起させて全力で孕ませに来たよ』
それを果たして勇気と呼ぶのだろうか。
この男よりも馬鹿なだけなのではないだろうか。
倫理観が狂っているだけではないだろうか。
だがしかし。
彼女の言う通り、俺は一切迷わずそれに応じただろう。
情けないほど愚直に「やりたい!」と言ったはずだ。
自分をそう動かす小さな理由はいくつもあるけれど、肝心な理由はたった一つ。
「楓が好きだから」
俺の告白の言葉は、切れたマイクのせいで届かない。
しかし今はそれでよかったとも思う。
『今から帰ります』
ビデオ通話は終わっていた。
代わりに妹から一通のメッセージが届く。
安堵を付くと、どっとした疲れと、今日一日の出来事が蘇ってくる
たった何十分の間に様々なことがあったと思う。
辛いことばかりで、死にそうな気持ちに何度もなった。
でも最後の最後。
耐えに耐え忍んだことで、俺の中で明確にしたいことが改めて見えた。
それはつまり。
「――楓と、本気でセックスがしたい」