冒険者になったけど仲間がいないので元S級でムチムチ爆乳の友ママにパーティ組んでもらった。 作:ユリイカ
「うう、この歳でこんな怒られちゃうなんて……」
大人なのに、と肩を落とす姿は幾分幼く見えた。そんな感想を慌てて飲み込み、リュートはセリアの肩に上着を羽織らせる。シーツから引き摺り出され、床に座らされて説教を受けていた彼女は、上半身に何も着けていないあられもない姿であった。
「まったく、ちゃんと反省してるの?」
「してます! してます!」
ローザの怒気に慌てて頷くセリアは、いっそ哀れだった。
それでも説教自体はさほど長くはなかった。飛翔魔法の疲労はかなり大きいようで、ローザの方が顔色を悪くしていたのだ。そんな体調で休もうとしていたところに隣室で騒がれたら、確かに怒りのままドアを蹴破っても仕方がない。
椅子に座りながらもぐったりとしているローザに、リュートも心配が勝る。とはいえ、この部屋のベッドはいろんな染みによって悲惨な状況だ。とても彼女を寝かせられたものではない。
「部屋まで支えるよ」
「い、いいわ。一人で行けるから」
「おっと。フラフラじゃないか」
立ちあがろうとして、そのまま崩れ落ちるローザを、青年は慌てて支える。ローブ越しに掴んだ彼女の身体は、思ったよりも細く柔らかい。現在はともかく戦士職として鍛えていたセリアとは、やはり違う。
そんな実感に浸っている暇もなく、リュートはなかば強引に彼女の肩を支えて部屋の外に歩き出す。ローザはもはや、抵抗する力もないようだった。
「ご、ごめんねローザ。ゆっくり休んでね」
心配そうに声をかけるセリアは、しかし立ち上がらない。
「私はちょっと、今は立てないから……」
むっちりと脂肪のついたふくよかな彼女は、足が痺れていた。
瞳を潤ませたS級冒険者(状態異常:麻痺)に見送られながら、リュートは移動する。情事の声も易々と貫通するほどである。距離はたかが知れている。しかし、ドアを押し開けて入った部屋は、リュートたちが泊まる部屋とはまるで違う。調度品も豪華なものが揃えられ、ベッドはふかふかの羽毛入りである。机の傍に、ローザのものであろう荷物が置いてある以外は簡素なものだが、それだけに部屋としての格の違いが浮き彫りになる。
「ここまでで、いいから……。さっさと出なさい」
ぐったりと力のない声でローザが言う。だが、はいそうですかと放り出せるほど、リュートも非情ではなかった。セリアと同じ年齢のはずだが、敏腕経営者として活躍し、その疲労も蓄積していたのだろう。彼女は金髪を乱れさせ、無意識か青年の首に抱きつくようにして立っている。
ローブ越しにも確かに感じるのは、押し付けられる柔らかな果実。セリアのボリュームには一歩及ぶものの、明らかに大きい。しかも、何かローブの下で窮屈そうに締め付けられているような。
「ローザさん、ローブ脱ぎましょうか」
「だ、だめっ。もう寝るから、さっさと出なさい」
「寝るならなおさら、身軽な方がいいでしょ」
やめなさいと押し除けようとする手にも力がない。リュートはこれでも、自己流ながら鍛錬を続けてきた青年である。微弱な抵抗もものともせず、ローザをベッドに横たえると、ローブを留める胸元のボタンを外す。
「やめなさいって、言ってるでしょ!」
ローザの声と同時に、季節外れの分厚いローブが解かれる。それは、そう――誰かがS級冒険者の証であるビキニアーマーを隠していた時と同じように。その下に、歴戦の魔法使いの正装があった。
「ローザ、さん……これって……」
「あ、ああ……」
愕然と立ち尽くし、目を丸くするリュート。ローザは赤面し手で顔を覆う。
解き放たれたローブの内側にこもっていた女の匂いと熱気が流れ、白く長細い四肢があらわになる。年齢を考えれば違和感が表出するような大胆な露出には、既視感があった。
しかし、これは、ビキニアーマーとはまた違う。
「フリフリの、ミニスカート?」
尻の半分ほどまでしか隠せていないフリル付きの可愛いピンクのミニスカート。すらりとしたウエストとヘソが露出した短い丈のドレスにも、同じカラーとフリルがあしらわれ、アクセントに金色が施されている。
いっそ殺せとばかりに耳まで赤くしたローザは、さっきまで半裸ビキニアーマーの仲間に説教していた人物と同じとは思えない。まさか彼女があんな正論を繰り出しながら、その実分厚いローブの下に――丈の足りていない女児向けのドレスのような衣装を身に纏っているなんて。
「ち、違うの。まだ、使えるから……」
声を掠れさせながら、抗弁しようとするローザ。身じろぎするほどミニスカートが揺れて、まろやかな曲線を描く尻肉が曝け出される。胸元も、その衣装が想定していないボリュームをなんとか詰め込んでしまったせいでギチギチと音を立てそうなほどに緊張している。彼女の体調不良の何割かは、そこの締め付けもあるのだろう。
リュートは思わず彼女の苦しげな胸元に手を伸ばし、締め付ける真紅のリボンを引き解く。途端、白く柔らかな果実が溢れ出し、新鮮な空気が谷間を通る。ローザの顔色も青白いものから赤みが戻り始めた。
「これって、ローザさんの現役の頃の装備ですか」
リュートの問いに美魔女は無言のまま、しかし素直にこくりと頷く。敏腕経営者として頭角を現しているローザは、冒険者時代も財布の紐を握っていたという。よく言えば倹約家。セリアの言葉を借りるならばケチである。
飛翔魔法を使うには、ローザでも魔法薬や魔装具で底上げしなければならない。よく見れば、この女児用ドレスのように見える可愛らしい衣装にも、リュートやセリアを遥かに凌駕する濃密な魔力が宿されていることが分かる。
たまに飛翔魔法を使う程度であれば、現役時代に使っていて今ではすっかりサイズアウトしてしまったこれを強引に着込んで、その上からローブを着てしまえばいい。どうせ使った後は消耗して寝込んでしまうのだから、見た目を気にする必要もない。
息も絶え絶えのローザの言葉を広い組み上げたところ、リュートはそのように理解した。
つまり、ローザもセリアも、根は似たもの同士ということであった。
「セリアには……秘密よ」
戒めを解かれ身は楽になったが、代わりに精神が疲弊した様子のローザが、リュートの服の裾を掴んで懇願する。
「心配しなくても、言いませんよ」
そんなに性格は悪くない、と青年は答える。その言葉で安心したか、
「すぅ……すぅ……」
ローザは長い睫毛を下げ、穏やかな寝息を立て始めた。
残されたリュートが立ち去ろうとしたものの、その裾はぎゅっと握られて離してくれない。無理に離そうとすれば彼女の整った柳眉が悩ましげに揺れ、どうすることもできない。
「リュート君、大丈夫?」
タイミングの悪いことに、足の痺れから復活したセリアがドアを叩いてきた。部屋の主があられもない女児ドレス姿で眠っている姿を見せるわけにもいかず、リュートは慌てて声をあげる。
「大丈夫。えっと、ローザさんが心配だから、ちょっと付き添うよ。セリアさんも部屋で休んでて」
「そう? じゃあ、悪いけど……」
幸か不幸か、セリアもこの状況でリュートと再び二人きりとなるのは気まずいようだった。すんなりと引き下がる気配に、青年はほっと胸を撫で下ろし、状況があまり変わっていないことを思い出す。
仲間のため、わざわざ窮屈な魔装具に身を押し込み、高価な魔法薬を飲み、翔け付けたローザはやはり優しい女性である。
「んぅ……」
そんな彼女はまるで拠り所を見つけたかのように、青年の腕をぎゅっと掴んだまま身を丸めて眠り続けていた。
安心しきった穏やかな寝顔を見ていると、リュートも欠伸が込み上げてくる。地面での野宿から一日歩き通し、さらには隣の部屋に聞こえるくらいの激しい行為と、すでに身体は限界のようだった。緊張が切れると、途端に瞼が重くなる。
抗い難い眠気に、そのままローザの横に倒れ込む。薄れる意識のなか、彼はわずかな疑問を抱く。
――彼女は一人でここまでやってきたのか?