冒険者になったけど仲間がいないので元S級でムチムチ爆乳の友ママにパーティ組んでもらった。 作:ユリイカ
ゆっくりと目を覚ましたリュートの視界に飛び込んできたのは、白く巨大な果実であった。ミルクのように甘い香りのする魅惑の実りに、青年は蕩けた意識で思わず手を伸ばす。指がどこまでも沈み込むような柔らかさと温かさで、いつまでも揉みしだきたくなる。
「んっ」
顔を深い谷間に押し付け、密着すると、甘やかな香りはさらに強くなる。セリアの小麦のような香りとはまた違う、優しい香り。頭を撫でる手にも慈愛が宿っているような。
――セリアとは違う香り?
「うわああっ!?」
「はぁ、んっ。――おはようございます、リュートさん」
冷水を浴びたように急激に覚醒したリュートが飛び上がる。仰け反る彼の顔を覗き込んだのは、艶やかな黒髪を長く伸ばし、白い布地のゆったりとした服に身を包んだ見知らぬ女性だった。大きく迫り出した爆乳が、わずかな身じろぎで盛大に揺れて青年の目を誘引する。本人は無自覚の様子で、感情の薄い透き通った美貌を向けていた。
「だ、だれ……」
名前も知らぬ初対面の美女に抱きしめられながら眠っていたことに気が付いたリュートは、頭の中を困惑の疑問符で埋め尽くす。清廉と神聖を兼ね備え、柔らかな光に包まれたような美女である。その肉体の感触は、手のひらと頬にしっかりと残っている。
「わざわざ寝かしつけてくれたんだから、お礼くらいいいなさい」
口をぱくぱくとさせるリュートに、死角から別の声がする。振り返れば、ローブを纏う金髪の美魔女、ローザが背筋を伸ばして立っていた。疲労の色はまだ残るものの、かなり血色も良くなっている。一晩寝て、かなり回復したらしい。
ともあれ、目の前の黒髪の幽玄な美女の正体である。
その白い衣には見覚えがあった。村に唯一の教会で、老シスターが着ていたものに似ているのだ。枯れ枝のようなシスターと比べれば、その豊満な肉体と漲る生気は圧倒的なのだが。
高速で回転する思考の末、リュートは一つの結論を導き出す。
「ミルラ、さん」
「そう。はじめまして、ですね」
薄く微笑みを浮かべる爆乳美女。彼女もまたセリアの仲間で"紅の翼"のメンバーであった。神官であるならば、その衣装も頷ける。教会の装いは基本的に統一されているのだ。
たしかラスレオの町で孤児院を運営しているという話だった。ローザと同様に多忙の身であるはずだ。しかし彼女もまた、セリアのことを心配してやってきたのだ。いかに飛翔魔法があるとはいえ、やはり単独での遠征は許されない。ローザとミルラは共に駆けつけたのだ。
「それじゃあ、この宿の残りの一部屋って」
「ミルラが借りてるのよ。私は今更相部屋でもいいって言ってるのに」
お金がもったいない、とローザが嘆息する。そういえば彼女は件の女児ドレスを曝け出したまま寝落ちていたし、リュートも共に寝てしまっていた。二人の装いを整えなおしてくれたのはミルラなのだろう。
「親しき仲にも礼儀あれ、ですよ。プライバシーが保てるならば、そうするべきでしょう」
ミルラ声はまっすぐに染み込んでくる。二人ぶんの重さを支えて翔んだローザの疲労を案じて、彼女に広々とした部屋で休んでもらうための建前に違いなかった。
「そうだ。セリアさんはもう起きてるんですか?」
宿の一番大きな部屋は窓も相応に大きい。そこから見える太陽はすでに随分と高くなっていた。セリアはパン屋をやっているだけあって普段から早寝早起きが染み付いているし、すでに起きていておかしくはない。
「そういえばまだ見てないわね」
しかし、リュートの予想に反してローザとミルラは顔を見合わせる。もう昼過ぎと言っても良いほどの時間帯に、彼女がまだ起きていないとは。リュートの想像力は悪い方へと傾いていく。
まさか昨日、自分が無理を強いたせいで体調を崩してしまったのではないか。あんなビキニアーマーでは、風邪をひいても仕方がない。まさか、自分との関係に気を病んで――。
「お、俺、様子見てきます!」
「いってらっしゃい」
血相を変えて飛び出すリュートをローザとミルラは冷静に見送る。薄い壁で隔てられただけの安宿である。何か異変があれば、軽く壁を叩くだけでも助けを求めることはできる。二人は青年ほど深刻には考えていなかった。
「セリアさん、大丈夫ですか!」
ドンドンとドアを叩く。
「ん……うぅ……んっ」
微かに漏れ聞こえてくるのは、セリアの苦しげな呻き声だった。
リュートの鋭敏な耳はそれを察知し、危険な想像力を働かせる。
「リュート、今日は疲れてるだけだろうし、寝かせてあげたらいいんじゃない?」
「そんなこと言って、倒れてたら大変じゃないですか!」
やんわりと止めようとするローザの手を振り払い、リュートはドアノブを握る手に力を込める。田舎の安宿のなかでも一番狭い部屋である。上等な鍵がついているわけでもなく、青年が体重を乗せれば呆気なく砕けた。
「セリアさんっ! って、なんだ、この匂い……!?」
姫を救う騎士の如く果敢に飛び込んだリュートは、予想だもしないものに目を白黒させる。閉め切った狭い部屋のなかにはねっとりと絡みつくような熱気が充満し、濃厚で生々しい匂いであった。全身を舐められるようなじっとりとした湿気が青年に襲いかかってくる。
部屋の中を探すも、セリアの影は見当たらない。代わりにベッドの上にこんもりと丸くなったシーツがあり、もぞもぞと動いていた。
「はぁっ、はぁっ、うう……リュー……ん……っ♡」
「せ、セリアさん……?」
湿ったシーツの中から聞こえる声は悶え苦しむようでありながら、どこか艶めいている。青年は深く考えることもなく、それに近づいていった。
「ちょ、ちょっと、やめてあげなさいよ」
後ろでローザが気まずそうな顔で制止する。だが、リュートの手はすでにシーツを掴んでいた。
ばさり、と白い布が剥ぎ取られる。
「んほぉおっ♡ リュート君っ! 男の子のにおいっ♡ ううぅ、う、うわあああああっ!?」
そこに居たのはダンゴムシのように丸まって布に鼻先を埋めて尻を突き出した美熟女であった。リュートは麻痺した思考のなかで、セリアが握る布が部屋に置いたままだった自分の着替えであることに気付く。
セリアは火照った顔でムゴムゴと顔面を彼の衣服にうずめ、股間に手を伸ばしていたのだ。
シーツを剥がれ、風が吹き込んだ瞬間、彼女は絶叫して飛び跳ねる。目の前に夢想していた相手そのものが立って唖然とした顔をしているのを認めると、面白いほどに顔面蒼白になっていく。
「ち、ちが……ちがうの、これは……」
数秒前までの興奮は冷めやり、違う意味でビクビクと震えるS級冒険者。よく見てみれば、ベッドの下には脱ぎ散らかしたビキニアーマーが散乱し、汗に濡れた彼女は生まれたままの姿であった。
「決して昨日は邪魔が入ったからとか……そんなのじゃ……」
リュートが黙っているせいで、セリアはどんどん墓穴を掘っていく。
あられもない醜態を晒す親友の姿に、戸口に立ったローザは頭を抱えるのだった。