冒険者になったけど仲間がいないので元S級でムチムチ爆乳の友ママにパーティ組んでもらった。 作:ユリイカ
残念ながら、リュートの旅はここで終わってしまった。セリアが一人部屋になったのをいいことに自慰に耽り、あまつさえその様をオナネタにしていたリュートその人に見られてしまった結果、部屋の中で籠城の構えを取ってしまったからである。
「だ、大丈夫ですよ、セリアさん! 俺、何にも見てないですから!」
「嘘付かないで! 私はどうしようもない変態おばさんなの! このままここでお腹ぺこぺこになって死ぬの!」
「そんなこと言わないでくださいよ……」
ドア越しに聞こえてくる悲痛な叫びにリュートはどうすることもできない。S級冒険者の腕力は凄まじく、彼がどう頑張ってもドアは微動だにしなかった。
「ローザさん、助けてください……」
「変態おばさんなのは事実なんじゃないの?」
「そんなこと言わずに……」
困り果てて頼るのは、セリアの旧友たるローザ。彼女もまたローブの下はサイズの合わない女児ドレスというなかなかの装いだが、とにかく今はそんなことをあげつらっている暇もない。
リュートもセリアを村から連れ出した手前、こんな近所の村で彼女を餓死させるわけにはいかないのだ。
「セリア、諦めて出てきなさい。一泊分しか払ってないんでしょ」
そろそろチェックアウトの時間よ、と経営者らしく厳しい指摘。
「
「セリアさん……」
「あいつは昔からこんな感じよ。リュートの前でどんな風に取り繕ってたかは知らないけど」
幼子のようなキッパリとした拒否に、リュートの中にあった慈母のようなセリアのイメージがガラガラと崩れていく。だがローザがあまり驚かないあたり、これが彼女の素であった。
「でもセリアさんが出てくれないと。……俺の荷物もまだ部屋の中ですし」
「リュート君やっぱり私を置いていくのね! うわーーんっ!」
「ああもう、そんなつもりはないって!」
思わず溢れた困り事をS級冒険者は機敏に拾って泣き喚く。とても二児の母とは思えないいじけっぷりである。
「……騒がしいですね」
「ミルラさん!」
リュートとローザがドアの前で立ち尽くしていると、騒音を聞きつけたむっちり巨乳の色白女性、ミルラが現れる。すらりと長い黒髪に縁取られた起伏のない表情が、わずかに眉を寄せて不快感を滲ませている。
「み、ミルラまで来てるの!?」
リュートの声が聞こえたか、ドアの向こうからセリアの驚く声があがる。まさかかつてのパーティメンバーが勢揃いしているとは、思いもしなかったらしい。
「私ひとりじゃ来れないでしょ。せっかく迎えに来てあげたんだから、さっさと出てきなさい」
「余計に嫌よ!」
ローザのやる気のない説得に、当然の如く同じ答えが返される。
その後もリュートは何度かドアを叩くが、醜態を晒した未亡人の心の傷は思いの外深いようで、頑として動かない。
「どうしよう、こんなところで……」
思い描いていた未来が消えていく。魔獣や野盗の襲撃は予想していたが、まさか仲間のオナバレでこんな窮地に立たされるとは。リュートはもはや、セリアが自分のことをネタにしながら慰めていたことにまで考えは回っていなかった。ただただ、この状況をどう解決するべきかと頭を悩ませる。
「……それでは、私たちとパーティを組みますか?」
「え?」
そんな状況を打開する一言がミルラの口から放たれた。
セリアもドア越しに聞こえたようで、向こう側が静かになる。
「そうねえ。私たちの冒険者証もまだ失効してないし」
「この村にもギルドの支部はありますから。そこでパーティの結成登録をすれば問題ありません」
妙案とローザが手を叩く。
ギルドで登録さえ行えば、リュートは再び旅に出ることができる。
「だ、ダメよ! 二人とも後衛でしょ。狼が出てきたら守れないじゃない!」
「舐めないでよ。現役引退したとはいえ、竜を倒した魔法使いが前衛なしってくらいでそこらの魔獣に負けるわけないでしょ」
「たとえ傷を負ったとしても私がいます。瀕死程度ならすぐに癒すことができましょう」
セリアが反対の声を上げるも、仲間ふたりは毅然と返す。
"紅の翼"は三人全員が元S級冒険者。ローザとミルラがパーティに加わるならば、戦力的な心配などする方が無駄というものである。
「だ、だめだめだめ! ダメ!」
しかし、セリアは頑なにそれを否定する。その姿はまるで……。
「そう思うならさっさと出てきなさい。早くしないと、ほんとに取っちゃうわよ」
ローザの一言がとどめとなった。
「リュート君!」
「ごばっ!?」
ドアが勢いよく開かれ、その前に立っていた青年は哀れ吹き飛ばされる。そのままミルラの柔らかく豊満な谷間に抱き込まれ、甘やかな香りに目を見開いた直後。
「わ、私の方がいいでしょう!? 相性も抜群だし! あ、えっと、パーティ的な意味よ?」
「分かってますよ……」
焦りに焦った40手前の未亡人が、奪い取るようにリュートの腕を引く。彼女は目を見開いて青年に迫った。
「セリアさんと一緒にラスレオに行くって約束したじゃないですか」
「リュート君!」
苦笑する彼を、感極まったセリアは思い切り抱きしめる。その時になって初めて気が付いた。彼女はビキニアーマーすら身につけぬ生まれたままの姿だった。
「ちょ、セリアさん!?」
「リュート君!」
絶対に離さないとばかりに腕の力を強めるセリア。S級冒険者の膂力は凄まじく、青年は潰れたカエルのような呻き声をあげるしかなかった。
「……では、ギルドに行きましょうか」
「なんで!?」
カオスな状況にもかかわらず涼しい顔で歩き出すミルラ。話はついたものと思い込んでいたセリアは驚愕する。
「私たちもパーティを組むのよ。一緒に町までいかないといけないし」
ローザがローブ越しに胸を突き上げるように腕を組む。二人とも飛翔魔法で駆けつけたのは、あくまでセリアとリュートを迎えるため。元々ここからは行動を共にする予定であった。
「え、あ、そ……そうね」
「何よその顔。リュートとの二人きりじゃなくて悪かったわね」
「そんなこと言ってないわよ!」
ふんと鼻を鳴らすローザにセリアは慌てて返す。彼女の腕の中で、青年は今まさに死にそうになっていた。