※この作品はR-18です。

冒険者になったけど仲間がいないので元S級でムチムチ爆乳の友ママにパーティ組んでもらった。   作:ユリイカ

17 / 21
第17話「美魔女の疑念」

 ギルドで新たにパーティを組み直したリュートたちは、出遅れた分を取り戻すべく村を発つ。S級冒険者パーティ"紅の翼"が見知らぬ青年を加えて復活したことでギルド職員が取り乱したり、宿の主人が意味深長なニヤケた笑みを浮かべてきたりといくつかの問題はあったものの、全ては些事である。

 

「まさかこんな形で三人一緒になれるなんて思わなかったわ」

「私だって、アンタがこんな若い男とよろしくやってるなんて知らなかったわよ」

「そ、それは言わない約束でしょ!」

 

 お馴染みのビキニアーマーに身を包み、すっかり気持ちを切り替えたセリアが頬を膨らませる。彼女の隣に立つリュートも耳まで赤くなりながら、煩悩を払うように頭を振った。

 

「こうして町の外を歩くのは久しぶりですね。――この服も懐かしい」

「うぅ。ミルラはサイズも全然変わってなくてすごいわね」

 

 重装戦士ながらむっちりとした贅肉がビキニアーマーの紐を食い込ませて強調されているセリアは、羨ましそうな顔をミルラに向ける。

 現在はラスレオの町で孤児院を営んでいるというミルラは、十数年ぶりにこの法衣に袖を通したという。見た目にさほどの違いはなくとも、冒険者用に防御魔法などが織り込まれた高度な魔道具であり、日常使いするにはいささか重たいようだった。

 しかし、丁寧に保管されていた法衣は年季を感じさせず、それを纏うミルラもまた美しさを保ち続けている。当時の姿をリュートは知る由もないが、きっと今とそう変わらないのだろうと理解できるほどに、その法衣は彼女の豊満な肉体に馴染んでいた。

 

「リュート君、私だって昔はスラッとしてたのよ」

「わ、分かってますよ」

 

 歩くたびゆっさゆっさと揺れる爆乳はセリアに匹敵する。クールな切れ長の眼とのギャップに神聖ささえ感じられ、リュートは思わず目で追いかけてしまう。そんな彼に気付いた美熟女はどこか焦った様子で腹肉を引っ込めて見せた。

 リュートとしてはやはりセリアのむっちりとした四肢とたっぷりの尻肉、何より柔らかな胸の感触が忘れられないのだが、それを真昼間の屋外で公言しないだけの良識はあった。

 

「ローザもほとんど体型変わってないみたいだし……。やっぱりパンの食べ過ぎかしら」

「……そうね」

 

 話の矛先を向けられた美魔女は短く返す。

 分厚いローブがすっかり体型をかくしているものの、リュートの網膜には彼女の年齢相応に弛んだ腹肉が焼きついている。窮屈な女児ドレスが締め付けて、余計にその脂肪が強調されていたのだ。

 

「何よ。なんか文句でもあるのかしら?」

「い、いいえ」

 

 メガネの奥から鋭い眼光を飛ばされると、リュートは慌てて首を振る。飛翔魔法を使った影響でかなり魔力を消耗しているとはいえ、S級冒険者に喧嘩を売るほど愚かではなかった。

 

「なんだかローザと仲良くなってるような……。リュート君、おばさんが前衛ポジションの基礎を教えてあげるわ」

「本当!? 色々聞きたいことがあるんだ」

 

 美熟女が青年の腕を引き、己のむっちりと柔らかい谷間に挟むように密着する。S級冒険者から直々にご教授頂けるとあって、リュートはぱっと目の色を変えた。

 

「……セリアさん、楽しそうにしていますね」

「まったく。心配して損したわ」

 

 ただの近所のおばさんと、息子の友人。そんな関係性にしては距離の近い二人を見ながら旧友たちは言葉を交わす。一線を越えるどころか、彼をネタに一晩中オナっていたのは少々がっつりだいぶドン引きしてしまったが、それでも彼女が仄暗い陰を纏っているよりはよほどいい。

 半年に一度は顔を合わせていた三人だが、セリアの夫が亡くなってからは徐々にその間隔も疎らになり、今では数年に一度となってしまった。あまつさえ、彼女は常にどこか消沈した面持ちで、浮かべる笑顔にも無理をしているような力みがあった。親友として、仲間として、それを指摘することもできず、二人もまた悩んでいたのだ。

 そんな彼女が村の青年と臨時とはいえパーティを組み町までやってくるという。そんな報せをほぼ一方的に受け取って、呑気に待ち構えられるはずもなかった。

 ローザもミルラも、気が付けばかつての装備を引っ張り出して、ギルドに申請を通していた。仮に彼女が無理強いされているようだったならば、S級冒険者の力を全て使って潰すことも考えながら、文字通り飛んできたのだ。

 

「あんなだらしない顔しちゃって」

「良いではありませんか。――新たな一歩を踏み出すことも大切なことでしょう」

 

 セリアは過去に囚われていた。

 夫との思い出を大切にするあまり、今という瞬間を浪費し続けていた。辺境の村で変化のない日々を無為に過ごすのは、親友たちにとっても痛々しい思いがあった。きっとセリアは生涯夫のことを忘れることはない。だが、囚われつづける必要もない。

 

「……若いだけの男なんて、そんなにいいものかしらねぇ?」

 

 ローザはリュートを眺めて片眉をあげる。魔法薬店の経営に奔走していた彼女は、セリアと違って浮いた話のひとつもなく、自身も興味を持っていなかった。とはいえ、親友の姿を見ていると、多少の興味が湧いてくるのも事実である。

 

「まだ未熟ですが鍛錬も積んでいますし、何より素直です。きっと、いい冒険者になるでしょう」

「冒険者の男なんてむさ苦しくて臭いだけだったけど」

 

 何か確信を持つかのように断言するミルラに対して、ローザは懐疑的である。冒険者時代から、荒っぽい男たちに散々迷惑してきたのだ。今はともかく、彼も冒険者に染まれば同じである。

 

「ま、いいわよ。この一週間でしっかり見極めさせてもらうから」

 

 ラスレオの町までの旅路はまだ序盤である。ここから寝食を共にしながら進み、時には窮地に陥ることもあるだろう。そこで本性が明らかになる。

 ローザはいまだ油断しきっていなかった。親友セリアを誑かす悪童という線を捨て切ってはいない。

 

「そもそも年齢が離れすぎでしょう。親子ほどの差があるのに、あんなにイチャイチャできるわけ……。おばさんなんて普通は……」

「ローザ?」

「な、なんでもないわ!」

 

 仲睦まじく身を寄せ合っている二人を見つめながら、ローザは小さく口の中で呟く。怪訝な顔をするセリアに慌てて首を振りながらも、彼女は眉間に皺を寄せたままだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。