冒険者になったけど仲間がいないので元S級でムチムチ爆乳の友ママにパーティ組んでもらった。 作:ユリイカ
胸の高鳴りが止まらない。
リュートはバクバクと暴れる心臓をぎゅっと抑えながら、滲み出す脂汗を拭う。
グレイウルフの群れと遭遇して以降は魔獣に襲われることもなく平穏な道が続いていた。しかし歩くほどに疲労するはずの身体が熱を帯び始めていた。最初は小さな違和感だったものが、今では明確に異常だと分かるほどに肥大していた。
十中八九、先ほど食べた生肉のせいだろう。そう思いつつ、リュートは少し前を進むセリアを見る。彼女も同じものを食べたはずだが、特に違和感はない。むしろ足取りは軽く、活力に溢れているように見える。
「はぁ、はぁ……っ」
その細い紐に締め付けられた肉体から目が離せない。じっとりと汗が浮かび、呼吸が荒くなる。目の奥で火花が散るような感覚を覚え、胸元を握る。
「リュート君?」
彼の歩みが鈍くなっていることに気付いたセリアが、不思議そうに振り返っていた。彼女の美貌に目が奪われてしまう。
「大丈夫? 少し休憩する?」
「いや……大丈夫だから……。これくらいじゃ疲れないよ」
「分かったわ。でも無理は禁物だからね」
首を振るリュートを見て、セリアは再び前を向いて歩き出す。一歩足を踏み出すたびにダイナミックに揺れる尻肉が、青年の心を燃え上がらせた。
相手は幼馴染の母親なんだぞ!
リュートは唇を噛んで、首をもたげる劣情を抑えつける。子供の頃から幾度となくお世話になってきた女性である。どれほど美人でも、母親のような存在にそんな思いを抱いてはいけない。向こうだってそのはずだ。今もこうして無理を聞いてくれているのに、失礼なことはできない。
彼は血の味を口の中に感じながら、なんとか理性を保つ。魔獣肉は今後絶対に食べないと誓いながら、木々もまばらな森の中を歩き続ける。
自分のすぐ背後でそんな懊悩があったとも知らず、セリアは軽快な足取りで道を往く。だが、日もまだ高いうちに、彼女は突然立ち止まった。
「よし、今日はこの辺りで野営しましょう」
「えっ? もう?」
突然の進軍停止にリュートは間の抜けた声を漏らす。周囲を見渡してもまだ明るい。足を止めるにはいささか早すぎるように思えた。
そんな青年の疑念を見透かした熟練冒険者は唇を尖らせる。
「テントを張って焚き火を用意して、その後食事まで摂るなら何時間くらいかかると思う? 少なくとも夕暮れまでに明かりは用意しないといけないけど、燃料もたくさんあるわけじゃないのよ」
「なるほど、確かにそうだね」
実感のこもった言葉には説得力がある。村では日帰りどころか半日あれば往復できる程度の範囲でしか"冒険"していなかったリュートにとっては、目から鱗が落ちるような衝撃があった。
セリアはさらに、この辺りが野営に最適の場所でもあるとリュートに教える。
「川のせせらぎが聞こえる? 綺麗な水源が近くにあるのとないのとでは、まるで違うのよ」
「……うん、聞こえる。確かに水も気を付けないといけないのか」
耳をすませば森のざわめきの中に涼やかな音が混ざる。水というものは意外と重たく、持ち運びにくい。実際、村で用意した水はあっという間に底を突きかけていた。当然、喉が乾けば身体は弱る。そんな当たり前のことすら思い至らなかったリュートは、改めて自分の未熟を痛感するのだった。
「それじゃ、私は水を汲んでくるわね。リュート君はテントと焚き火の用意をお願い」
「はいっ」
手分けをすれば、時間も節約できる。
川へ向かうセリアの背中を見送り、リュートは早速設営に取り掛かる。芳しい匂いを振り撒く彼女が見えなくなり、作業に熱中することで、全身を苛む熱も忘れられると思った。
事実、黙々とロープを結んでいると雑念は消えていく。代わりに蘇ってきたのは、グレイウルフの牙の恐ろしさ。それを華麗に斬り払う彼女の頼もしさ。何より、自分の無力であった。
まだ駆け出しのFランクと、多少のブランクがあるとはいえ竜種すら相手取るSランクを、同じ土俵に上げるのが間違いといえばそう。だが、比べざるを得ない。
「俺もいつかは、セリアさんくらい強くなれるかな……」
腰のベルトには鞘が吊り下がっている。納められた剣は、まだ血の味を知らない。普段、小動物を狩るときに使うのは、もっぱら背中に背負った短弓のほうだった。
リュートは冒険者の中でも、やはり花形と言われる戦士職に憧れを抱いている。どんな冒険譚でも、主役は剣を振るい魑魅魍魎を薙ぎ倒す勇敢な戦士だった。まさしく、身の丈ほどもある大剣を軽々と扱うセリアのような。
一方で現実としてリュートに適性が認められたのは狩人。森や原野の状況を読み、五感を研ぎ澄ませて周囲を観察する、斥候を得意とする役割だった。生まれつき耳がいい彼だからこそ、セリアの言う川のせせらぎもすぐに察知することができた。
「狩人も悪くはないんだろうけどさぁ」
冒険者が活動する上で、熟練の狩人は重要な役割を担う。危険な土地での案内人を務め、獰猛な魔獣との対敵を巧妙に回避する彼らの技量で、パーティの生存率すら大きく変わる。
だがやはり、地味というイメージは拭いきれないのだ。
「セリアさん、ずいぶん遅いな」
テントを立ち上げ、薪も組み上げた。そんなところではたと気付く。
川に水を汲みに行ったはずのセリアがまだ戻ってきていない。さほどの距離はないはずで、手間取るようなこともない。テントを建てている間にも戻ってきておかしくはない。
どくん、と心臓が揺れる。血の気が引くのを自覚しながら、リュートは耳を澄ませる。だが、川音に紛れたのか彼女の気配は感じ取れない。
「セリアさん!」
魔獣の中には森の木々に擬態し、音もなく襲いかかる凶悪なものもある。リュートは最悪の予想に支配され、放たれた矢のように走り出す。木々の間をすり抜け、茂みを飛び越え、なだらかな傾斜を駆け降りていく。だんだんと水の音が大きく明瞭になっていく。
差し込む日差しが、木々の向こうの水面にキラキラと輝いている。そこにセリアは――
「うぉおっ!?」
川に飛び込む勢いで走っていたリュートは、咄嗟に手前の木の幹に激突して止まる。手のひらで口を押さえ、呼吸まで止める。一言足りとも、発するわけにはいかなかった。
思えば、彼女にとって久々の遠出である。普段から村中にパンを配達しているとはいえ、その距離は高が知れている。半日程度とはいえ朝から歩き通して、汗も掻くだろう。リュートの嗅覚は彼女の全身から香り立つ香ばしい匂いを捉えていた。
「ふぅ、冷たくて気持ちいいわねぇ」
なぜ、彼女は率先して水を汲みに行ったのか。
冷たい川の流れに両足を差し、手のひらに掬い上げた水を顔に浴びる。しっとりと濡れた濃い亜麻色の髪の先から雫が落ちていた。輝く水面に照らされて、真珠のような肌まで煌めいている。その姿はまるで、教会で見た女神の絵のようで。
「綺麗……」
茂みの暗がりで、リュートは無意識に言葉をこぼす。
水を浴びて火照った身体を冷やし、汗を流すセリア。人の気配などない森の奥で油断し切った彼女は、川縁に全てを置いていた。つまり、今や彼女は一糸纏わぬ生まれたままの姿であった。
幼馴染の母親の、ずっと近くにあったけれど見ることなどあるはずがない裸体。恥ずかしげもなく曝け出された豊かな双丘も、水滴を纏って揺れている。その先端の、小さな膨らみに目を奪われてしまうのは男の性というものだ。
ざば、と波を立てながら屈むセリア。必然、リュートのいる方向へまんまるな美尻が突き出される。ハリを保ちながらも年相応に弾力を持たせた安産型の曲線が、確かな立体感を持って迫り出してくる。
荒い鼻息でそれを見つめていると、むっちりと太く逞しい両足の隙間から、黒い茂みが垣間見えた。それがなんであるかを理解した瞬間、青年の情欲が燃え上がる。
もはや立っていられないほどの昂ぶり。気を回す余裕もなく、股間に手を伸ばす。当人に知られることなく、獣の眼光でその肢体をしゃぶりつくそうとした。――その矢先だった。
「誰っ! って、きゃああああっ!?」
リュートの目に殺気が宿ったか。S級冒険者の直感が働いたのか。
向こうを向いていたセリアが鋭い声と共に振り返る。すわ魔獣か野盗かと臨戦の構えを見せた彼女は、しかし直後に頬を真紅に染めて絶叫するのだった。