六花アカネ夢芽が「あなた」とラブラブエッチする短編集 作:前野へーた
秋、東京都ネリマ市、ツツジ台高校2階の教室。
放課後、ユウはムラムラしていた。ゆうべ、恋人の新条アカネがちょっとエッチな自撮りを送ってきたからだ。
そのアカネは、隣の席で取り巻きの女の子たちと騒いでいる。藤色のショートボブが、はしゃぐたびに軽く跳ねた。制服の下にある体つきは華奢なのに、笑って身を乗り出すたび、パーカーの胸元がぷるんと前へ押し出される。
本人はまるで気づかず、髪を耳にかけてまた笑った。
「えー、それエグいって!」
甲高い声で笑い、くるっとこちらへ首を回す。窓から差しこむ秋の夕日が、大きな赤い瞳と、ぷっくりした唇を照らした。
ユウだけではない。教室中の男の目が、吸い寄せられるようにアカネへ向いていた。スポーツが得意なイケメンも、勉強のできる金持ちも……黒板を消していた男性教師でさえ、ちらちらと視線を送る。
だけどアカネは、その誰にも一顧だにしない。反応するのはユウにだけだ。ちらっと視線を送ってすぐ逸らし、うっすら嬉しそうに笑うだけ。
かと思えば、スマホを取りだした。
「それ美容室行ってきたの? かわいぃ~♪ ねぇ、写真撮ろうよ!」
友だちと一緒に自撮りを始める。ちょうどインカメがユウにも向く角度なのは、きっとわざとなのだろう。画面の中のアカネに、ゆうべ届いた自撮り写真がオーバーラップした──薄紫のレースブラから、収まりきらない胸がもにゅっとはみ出していた、あの一枚だ。
ユウの頬がかっと熱を持った。その熱が下半身にも伝わってきて、やばいと思う。ここは教室で、他の目もあるのに、下着姿のアカネを想像してしまうなんて。
そんなユウをちらりと振り返ったアカネは、にんまりと微笑んだ。友だちに囲まれたままで、ユウにだけ「あ・と・で・ね♡」と口の形で伝えてくる。
「ちょっとお手洗い行ってくるね~♪」
友人たちから離れ、教室を出ていく。
その後ろ姿を、ユウは目で追った。
小柄な体は、オーバーサイズの紫パーカーにすっぽり沈む。なのに白いブラウスの胸元だけ布が張って、ボタンの隙間が横へ引かれている。パーカーの裾からプリーツスカートが、スカートの裾から厚手のタイツに包まれた太ももがちらちらのぞいた。
すれ違った女の子が「アカネ~いい匂い」と笑う。
ユウは知っている。温めたミルクみたいな甘ったるい匂いがアカネの体臭だ。
童顔で妖精みたいに小さいのに、胸だけが反則みたいに育っている。守ってやりたいのか押し倒したいのか分からなくなるのが、付き合って半年、初めてエッチしてから三ヶ月の彼女、新条アカネなのだ。
彼女はドアを通るとき、一度だけ振り返って小首を傾げた。ぷるんとした唇にリップクリームを付け直す。それから指を一本立てて、唇をつーっとなぞった。
「ちゅ……ん、んふ」
唇が吸いたてる濡れた音が聞こえたのは、気のせいだろうか。
スマホが鳴る。トーク画面を開くと、さっき既読をつけたばかりの吹き出しの下に、入力中の丸が三つ躍って、ぽん、と一行に変わった。
『3階のトイレで待ってまーす♡』
続けて、ぽん、ともう一通。
『放課後は駅前の新しいカフェ行こ? だから、服は汚しちゃだめだよ♡』
◆◆◆
トイレのドアをばたんと閉める。人が少ない3階に設けられたオールジェンダー対応のトイレは、学内で有名な「カップル御用達」だ。誰が持ち込んだか分からない芳香剤が3つも並んでいる。『ここはトイレです』の張り紙がむなしい。
「ユウ~……ね、ムラムラした? 私としたくなったでしょ♡」
アカネは熱っぽい瞳でじっと見つめてきた。指でユウの股間を確かめると、「あう」とか細い声を漏らして顔をじんわりと赤くし、それから慌てて表情を取り繕う。
「あー、がっちがち。ユウ、ここどうしたのぉー? いけないんだあ、かわいい女の子をトイレに連れ込むなんて♡」
どっちがだよと反論する間もなく、 アカネはパーカーの裾を両手で掴むと、頭から抜くようにして脱いだ。下から、赤いリボンを結んだ白いブラウスが現れる。
「このあとお出かけだから、これは着たままね」
制服のブラウスは着たままするらしい。着衣のぶんだけ、かえってもどかしいことになるだろう。
彼女はそのまま両腕を背中へ回した。指先が背中の中ほどで少し迷って、ぷつ、と小さな金具を外す。
ブラウスの前は閉じたまま。けれど、内側でブラが役目をやめたのが、布の上からでも分かった。ぴんと張っていた胸元が、ふっと緩む。支えを失ったふくらみが自重でわずかに下がり、白い生地がその重みのぶんだけ前へたわんだ。
あの薄紫のレースが、いま布の内側でくたりと緩んでいるのだと思うと──。
「もっと見て。見ていいんだよ。このおっぱい、全部ユウのものなんだから」
小柄な体には不釣り合いな重みを、アカネは両腕で下からきゅっと寄せてみせる。緩んだふくらみが真ん中で押し合って、白いブラウスがはち切れそうに張った。
「おいで、ユウ。ぱふぱふってしたげる♡」
ユウは遠慮無く、小柄な恋人の胸に顔をうずめた。ミルクみたいな匂いをたっぷり、はくはくと吸い込む。
「ユウってほんと、おっぱい好きだよね。……ふふ、いいよ。ぜんぶユウのだもん♡ 私、93センチのHカップもあって良かったな~って思う。ユウも私が彼女で嬉しいでしょ? ね?」
返事の代わりにスカートをまくり、タイツの上から小さめな尻の丸みを揉む。
耳たぶに息が当たるように囁くだけで、アカネは「ん……っ」とか細く呻き、ビク、とひとつ震えた。そんな恋人が愛おしい。
「あン、いけないんだ、耳元で『好き』なんて言っちゃって。腰、ちから入らなくなっちゃうじゃん……ん~ユウ好き、ヤバいくらい好き~……♡」
アカネはふりふりふりとお尻を左右に振りながら、鼻にかかった甘え声をとろぉと漏らす。落ち着きのない腰やヒップを撫で回すと、「あンッ♡」と甘えた喘ぎ声が喉から洩れる。
「おしゃぶりの前に、キスしよ……?」
クラクラとよろめき、しなだれかかる小さな身体を、ユウは右腕に抱きとめた。下から見上げ、舌を見せながら視線を送るアカネの唇に、唇を重ねていく。
「息、当たってる……」
二人の身長差はかなりある。ユウは男としては普通だが、アカネが149センチとかなり小柄なのだ。ハグもキスもしにくいくらいだが、それでもアカネは精一杯背伸びして舌まで差し出す。
「んふぁ……ん、んふ、ふはぁぁ……」
ぴちゅぴちゅと水音を立て、ねろねろと絡み合う舌の戯れ。唇を割ってユウの舌が深々と入り込むと、アカネは頭を揺らしてちゅうちゅう吸い付く。ふっ、ふっ、と鼻から抜ける熱い息が頬をくすぐった。
ユウの左手が上へ移り、ブラウスの腋から前へ回って、Hカップの膨らみの片方をじっくりと揉みほぐす。
アカネはおっぱいを揉まれてふるふると震えた。耳まで赤いのに、ねちこく口を吸うことを止めない。まぶたを夢心地に閉じ、ユウの腕に全体重を預けている。
「っんん、んふぅ……んっ……」
アカネの手も、ユウの股間まで下りていく。小さな手が柔らかくソコをさすりはじめた。さわさわと撫でるような動きだ。緩やかに、滑らかに、スローに、髪と揃いの淡い藤色ジェルネイルをした指が、勃起ペニスへの愛撫を繰り返す。
やがて唇が離れ、銀色の糸が伸びた。
ユウの荒い息に、アカネの、はぁっ、はぁっ、と甘く湿った吐息が重なって、広い空間に響く。
赤い瞳がたまらなそうに、とろりとユウを見つめていた。ちろりと唇をなめ、ゆらゆらと落ち着かなげに腰を揺らす。
「はー、あーー……、やっぱだめ、キスってエッグ、ああん……ね、ねえ、そろそろ座ろ、ね? かわいいカノジョが、オクチで抜いてあげるから」
アカネはユウの肩をぽんぽんと叩いて、便器に座らせようとする。でも、ユウはアカネを座らせて、自分が立った。
「……もー。そーいう紳士的なとこ、カノジョ以外に見せちゃだめなんだからね? 分かってる?」
アカネは便器に座ったまま前屈みになり、ユウの股間を両手で撫で回す。立ったままのユウを下から見上げる格好になって、小柄な体がいっそう小さく見えた。お返しに藤色の髪を撫でると、子猫のように顔を手にすりつけてきた。
それから吸い寄せられるようにズボンのふくらみ、根元の方に鼻を押し付け、甘えるように頬を添わせて、スリスリと擦り付ける。
「ん……ちゅ、んぅ……んっ……」
やわらかそうな唇をすぼめ、股間のふくらみにチュッ、チュッと何度かキスした。さらに下着の上からかぷんと甘く食んで、ちゅうちゅう吸いついてくる。
「くすっ、ギンギンに勃起しててやばーい。そんなに興奮しちゃったの? 見ちゃお~っと」
アカネがチャックを下ろし、ペニスを取り出した。嫌悪感は少しも見せない。根元を軽く支え、楽しげに「むきむき~♡」と包皮を下ろしてから、フーッと息をふきかけ、すんすんと臭いをかぐ。
「あはっ……ここのすご~い段差、これからたくさん舐めたげる」
チュッチュッとすみずみまでキスをプレゼントしてから、アカネは赤い舌を大きく出して見せつけた。
「えー~……えへぇ~……♡」
勃起に指を巻きつけ卑猥にさすりながら、顔の角度を変える。ペニスの根元にベッタリと舌を張り付けると目を細め、便座の上でスカートに包まれたお尻をぷりぷりと揺らした。
「ふぁはぁぁ……」
すくい上げるように、舌と頭とがにゅるんと動いた。ペニスの根元からそろそろと登っていく。通過した部分はヌメヌメと妖しい輝きが残った。舌がカリにたどりつくと頭が軽く揺れ、粘膜が段差を優しくこする。
ペニスがピクピク跳ねると、アカネは「んふっ」と嬉しそうに鼻を鳴らし、ますます目尻を垂らした。
「ユウのキンタマ、空っぽにしちゃお♡」
見下ろす先で、小さな頭がゆるゆると下りてくる。「んっ、でっか……」とつぶやいたその小さな口が、ぬぶぶと音を立てて不釣り合いなものを咥えこんでいく。
「ハーー……ッ♡」
あったかい、とうめいてしまうほど加熱した粘膜がむちゅり……ペニスを包み込み、もごもごと揉んでくる。ふすーという鼻息が当たってこそばゆい。
ほどなく唾液がたっぷりとあふれだして、とろみの中で舌がへちへちっ、へちへちっ、と左右に揺れる。
「んふふ~」
笑みを浮かべたのは、ユウがカリをなめ回されて呻いたからだろう。上目遣いのまましてやったりと目を細め、次はどこを攻めようかと舌をねろねろと回して、根元を軽くしごきながら頭の角度を変えたた。軽く前後させたりして、潤滑を確かめる。
じゅるッと、唾液の音と共に吸われた。
くぽっ、くぽっ、くぽっ
アカネが頭を前後させ始めた。伏せた頭のすぐ下で、Hカップの胸元がゆさっゆさっと揺れる。輪っかになった小さな口に亀頭を包まれ、ふん、ふん、と鼻を鳴らしながら小刻みにシゴかれる、ぬこっ、ぬこぬこっ、ぬこっというリズミカルな感触。
ユウは「うっ、うっ」と思わず呻いて、お返しに、股間でうごめくさらさらの髪を撫でる。アカネの耳に紅潮がかあっと広がった。
「んんっ、んん……っ」
吸い付く音にぐぽっ、ぐぽっと熱が入る。うっ、うっ、と呻くのは、頭を撫でるのと反対の手でたわわに実ったHカップを揉まれているせいだ。先っぽを指で挟むたびにアカネはクウンクウンと弱々しい声を漏らし、ますます唇の、舌の奉仕に拍車をかける。
ユウが呻くと、アカネは「んぅっ」と鼻から甘い声を漏らし、ゾクンゾクンと腰の辺りを震わせた。限界を悟ったのだろう。
熱っぽい視線を向けたまま、ペニスを解放する。ぬぼぼと音を立てて引き抜かれてゆくものは、もう彼女の唾液まみれだ。
「んふう……んぅん、ユウのここ、ぴくぴくしてきた。イっちゃいそうなの、バレバレ~……いいよ、我慢しないで。あっ、でも、服にかかったらカフェ行けないからぁ……ぜんぶ私のオクチに、出しちゃおっか♡」
がっちがちのサオに指を巻きつけてにゅくにゅくとさすり、玉袋を小さな手で優しく揉んだ。お尻をくねくねさせながら、ふーっ、ふーっ、と甘い鼻息を漏らしている。見上げる赤い瞳はユウだけを映していた。
小さくうなずくと、「あは」と崩れるような笑みが返ってくる。
「くす……ユウの好きなトコ、すっかり覚えてるから。飲むのも好きだし、気にせずそのまま出しちゃえ♡」
れろぉーと赤くて唾液まみれの舌を出す。ネイル付きの指でペニスを支えて、たっぷり舌を見せつけたあとにパクリと咥える。ぢゅっと口をすぼめて吸われると、ぷっくり唇の感触がクセになりそうだ。
ペニス全体をほっぺたに深く、ぬっぽりと包まれて、ユウはおう、とうめいた。
ぬ゛ろろぉー、と引き抜くとき、唇が名残惜しそうに吸い付いたまま、温かい粘膜がめくれ返るみたいに絡みつく。アカネの喉から「んぉ……」とくぐもった声がこぼれ、ブラウスがゆさっと大きく揺れる。ゆさゆさっと揺れ続けて、「んぉ、ぉ、ぉっ」と小刻みになって、射精感がだんだん駆けあがってくる。
「んぅぅっ、んぅんっ……んふぅ……」
ユウが腰を震わせると、それだけでアカネは精子の気配を嗅ぎ取ったようだ。はぐっ、と唇全体が陰毛にくっつくほど深く、ずぶずぶとくわえ込む。
ぬ゛るんっと喉の奥と舌で絡められたとき、アカネの「んんーっ♡」というくぐもった歓喜がペニス越しに伝わって、ユウは「おウッ」という動物的な声を漏らした。
びゅっ、びゅるるっ!
アカネはしっかりと太ももに両手を巻きつけて、根元までしっかりと密着させた状態を崩そうとしない。
びゅーっと迸るザーメンを喉で受けた。ふすりふすりと鼻を鳴らしながら、ごくっごくっと直に飲み下していく。
その生々しい音に、ユウは身体の熱をカッと高めた。
◆◆◆
ぬ゛るうっ、と唇をすぼめたまま肉棒が引き抜かれてゆく。
はあっ……と開かれた唇から震える吐息がこぼれ、そこにはたくさんの精子と、白いものに浮かぶピンク色の舌があった。
アカネはそのまま上を向くと、喉をまたゴクッと鳴らす。
出しきった……腰から力が抜けて、頭の芯が ぼーっと白い。狭いトイレの空気がやけに生あたたかくて、放課後の喧騒が、ドアの外で遠く聞こえた。
なのに──飲み下したアカネが、ちろりと唇の端を舐めるのを見た瞬間、股間の芯がまた疼いた。出したばかりなのに、と自分でもあきれる。
アカネの唇は、まだ濡れてテラテラと光っている。うっすら汗ばんだ額には、藤色の前髪が数本はりついていた。それでいて、見上げてくる顔があざとく笑っているのだから、ずるい。
「んふ、ぜんぶ飲んじゃった。……ユウの、あったかいね」
アカネはよいしょ、と立ち上がると、手早くブラウスのボタンを留め、ずれたブラの位置を直した。それからユウのほうへ手を伸ばし、乱れた服をぱぱっと整えてくれる。
「もー、ユウってば、だらしないんだから」
口ではからかいながら、アカネは鼻歌まじりにユウの服を整えていく。曲がった襟を几帳面に直し、最後にぽんと胸を叩いて「うん、かっこいいよ」と笑った。
手洗い場でくちゅくちゅとうがいをして、鏡の前でリップを塗り直す。さっきまでスケベなおフェラ顔をしていたのが嘘みたいに、いつものかわいいアカネに戻っていた。
ドアに手をかけて、アカネは一度動きを止めた。そっと隙間から顔を出し、廊下の左右をうかがう。
「……ん、だいじょうぶ。ばれなかったね。手、つなご?」
小声で言って、ユウの腕をきゅっと取った。細い腕をぴったり絡め、柔らかい胸を二の腕に押しつけたまま、何食わぬ顔でトイレを出る。
「ねー、今日は晩ご飯どうするの? さっき言ってた駅前のカフェ、ハンバーガーも美味しいらしいんだ~。ほら行こ♪」
明るい声でそう誘って、アカネはふと、つま先立ちになった。ユウの耳もとに唇を寄せ、吐息みたいな声で囁く。
「……で、その後はさ。今日、私んち来るでしょ? だれもいないし……朝まで、ずっと一緒にいよ?♡」
二の腕に回された腕に、きゅうっと力がこもる。
その甘い予告だけで、鎮まりかけていた熱が、ユウの奥でまたぶり返した。
(おしまい)
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