六花アカネ夢芽が「あなた」とラブラブエッチする短編集 作:前野へーた
白いカーディガンが、六花の汗ばんだ肩からするりと落ちた。真っ黒な長い髪と、その下から現れたアイスブルーのキャミ。細い上半身に、色だけが涼しげに映える。
真夏の午後、エアコンの壊れたユウの部屋で、六花が上着を脱いだところだ。ユウは喉の渇きを覚え、思わず生唾を飲んだ。部屋の暑さのせいだけではない。
六花はついさっき、カーディガンをきっちり羽織り、玄関でユウの母に「おばさま、お邪魔します」と頭を下げていた。よそ行きの顔をして、きっちりした服を着ていたのだ。大学でも、涼しげな美貌の六花は男子学生から「手が出せない無理めの女子」で通っている。
「あー……やば。暑い。暑すぎ。エアコンほんとに壊れてるじゃん、やばくない?」
その六花が、脱いだ上着を畳に放って転がるように女の子座りになった。隣に座るユウに、ふにゃっと、甘い顔で笑いかけてくる。大学の連中が見たら、たぶん目を丸くするだろう。
汗が一粒、六花の白い首筋をつっと伝って、しっとりと鎖骨のくぼみに溜まった。涼しい顔してるくせに、体はもう汗でぬれぬれだ。
扇風機の風が六花の匂いを広げた。石鹸と、汗と、たぶん椿油をつけた髪の匂い。全部が混ざって、ユウが育った狭い部屋を染めていく。
「あ~……扇風機あるのが、せめてもだよね~」
気の抜けた声で言って、扇風機に「あ~」と顔を突き出す。なんというか、だらけきっていた。窓を開けても、入ってくるのは生ぬるい風だけ。真夏の光が、汗ばんだ畳と、ユウと六花を、狭い部屋ごとじりじり炙っていた。
「ねぇ〜、昨日もおとといもしたのにさ。ユウってば、ほんと飽きないよね〜」
二人は幼馴染で、大学に入ってからも付き合っている恋人だ。初めてのエッチをしてからもう半年。昨夜も一昨日も、ユウはこの娘といやらしい行為をしている。それなのに、汗だくの姿を見ているだけで、渇いているのが喉だけではなくなっていく。
「あ~……なんか最近、すぐぼーっとしちゃってさ。体、ちょっとおかしいのかな。夏バテかな……てか、ユウと……してから、ちょっとずつ、そうなってるっていうか……近くにいると、なんか体が勝手にそわそわする……やだ、気のせいだよね、たぶん」
部屋は六畳しかなくて、子供の頃に使っていた机が今もそのまま残っている。窓を全開にしても、入ってくるのは湿った熱気だけだ。ユウの母が一階にいて、部屋のドアは風を通すために開けっ放し。物音はたぶん下まで届くだろう。
アイスブルーのキャミは、汗で濃く変わって肌に貼りついている。薄い生地が上半身にぴったり沿って、清純な顔立ちに似合う細い線を、そのまま写し取っていた。
なのに視線を下げると、印象が裏返る。デニムのホットパンツの硬い生地が、柔らかく張った太ももの付け根に食い込んでいる。行き場をなくした柔らかい肉がふちからはみ出して、畳の上で潰れていた。
「……ちょっと、じろじろ見すぎ。こんな体にしたの、ユウなんだからね?」
細い上半身と、はち切れそうな下半身。同じ一人の体なのに、上と下でまるで別人みたいだ。この落差こそが、六花のいちばんヤバいところだった。
母が一階にいるのに、ユウの目はそわそわと何度も六花の下半身へ戻ってしまう。汗の粒が、白い太ももの上でちいさく光る。彼女が身じろぎするたびに、光る場所がずれていった。
ユウは知っている。この体は、見た目と触り心地が食い違う。腰に手を回せば驚くほど細いのに、太ももに指を沈めれば、跡がゆっくり戻るくらい柔らかく重い。服の上からでは誰にも分からない……脱がせて、キスして、抱いて初めて分かる落差だ。
たまらない、と喉の奥で呻く……畳の隅、机の下に押し込んだ箱が視界に入る。コンドームの買い置きは、確かあと一枚。
六花がまじまじとユウの顔を覗き込んだ。頬がほんのり桜色に上気して、長い睫毛のふちがしっとり濡れている。
「……ん? なに? 変な顔して。……もしかして、暑いから? それとも……ほかの理由?」
少し鼻にかかって優しい、男を無防備にさせるずるい声だ。不思議と青く見える大きな瞳が、まっすぐにユウを射抜く。
六花が髪を耳にかけようとして、指先が汗ですべる。そのまま上目遣いになって、「……ねえ。暑いね」と、囁くように言う。
名前を呼ぶと、彼女は小首を傾げた。ユウは何も言わずに、彼女のむちむちした太ももに手を置く。熱い。汗でぬるぬるした肌が、しっとりと掌に吸い付いてくる。
指を軽く沈めると、むちっとした肉がやわらかく凹んで、汗でぬるりと逃げた。付け根のほうへ手をずらして柔らかい肉を揉むと、弾力が押し返して掌にしっとり吸いつく。
六花は「……んっ」と小さく息を詰めた。拒否はしない。むしろ、太ももを少し開いて、ユウの手がすべりやすいようにしてくれる。
指の腹で、内ももを何度も撫で上げる。空いた手は、キャミ越しに胸のふくらみをやわやわとなぞった。二か所いっぺんに触られて、六花は息を止めるようにぞくんと肩をすくめる。
「あのさぁ……暑いのに、変なことしないのっ……ん、めっ、なんだから、あぁん、もぅ……」
口ではそう言いながら、六花は自分から腰を浮かせて、内ももにイタズラしている手のほうへすり寄せてきた。鼻にかかった甘え声をこぼして物欲しげに、もじもじとこすり付けてくる。その動きに、股間が痛いくらい張りつめる。
「あ……ん、だっ、てっ、汗まみれで恥ずかしい、し……だめ、ばか……」
ユウは前に回り、もう片方の手を彼女の腰に回す。畳にぺたんと座った六花と、その前に膝をついたユウ。汗だくの二人が、狭い部屋でぴったり向かい合う格好だ。
母性的な丸いお尻を、ぎゅっぎゅっと下からゆっくり揉み上げる。
「そっこ、やだっ、んっ、んっ、ユウの触り方、いっつもずるいんだから……あたしの、好きなとこばっかりしてぇ……」
六花はユウの肩に両手を置いた。そのまま首の後ろに回して、ぐっとユウを引き寄せる。汗ばんだ体がさらに近づいて、汗ばんだ胸元がすぐ目の前に。キャミのえりからのぞく白いお肉が上下した。
六花は少し顔を赤くして、ユウを見上げる。
「……キス、する?」
答えるまもなく、彼女の方が先にとろりと唇を寄せてきた。薄く開いた六花の唇が、ぬらりと濡れて光る。
汗の味がした。柔らかい唇が重なり、ちゅ、ちゅっ、と小さな水音が狭い部屋に響く。
「ん……ユウとのキス、好き……もっと、してたい。」
ユウは膝を崩してあぐらをかき、六花の腰を引き寄せた。六花は正面から、その腿をまたぐようにいそいそと乗り上がってくる。汗ばんだ二人の体が狭い部屋でひとかたまりになった。長い黒髪がユウの腕にまとわりつく。重くなった髪の感触が妙に生々しい。
「ユウ……っ♡ んー……っ♡」
六花はじっとしていない。ユウの腿に股間を押し当てて、位置をずらしながら押し当ててくる。布越しの熱がじわじわ伝わって、「は……ぁ」と、吐息がだんだん喘ぎに変わっていく。
「んっはぁ、キス、いい、ん、むぅ……ハー……」
息が熱い。六花は舌を吸っては離し、また吸いついてくる。その間も、手はユウの汗ばんだ胸を、ぺたぺた這い回っていた。唇が少し離れるだけでむずがり、ユウの唇を舐めて吸い付く。
やがてホットパンツの中にユウの手が滑り込むと、彼女はびくりと背を反らした。
「ん、む……ね、待って。だめじゃないけど、まだ、だってお母さんが」
滑り込ませた手を、お尻から前のほうへ移す。指先を濡れたところで何度も往復させると、六花は唇から「うッ、うッ」とかすかなうめき声を漏らす。
そのとき、階下から母の声が響いた。ちょっと出かけてくるから、戸締まりよろしく……少しして、玄関のドアが閉まる音。車のエンジン音が、家の前から遠ざかっていく。
六花はキスをほどくと、ふっと悪い顔で笑った。
「……ねえ。もう、誰もいないね。二人きりだよ?」
六花は裾を少しずつまくり上げ、汗で肌に貼りついていた布がぬるりとはがれていく。おへそ、脇腹、そして胸へ。最後に頭から引き抜くと、清純な上半身が露わになる。
ぷるんと揺れて現れたのは、白くてまろい、お椀を伏せたような形のいい乳房だ。頂の薄いピンクが、汗で艶々と光っていた。六花は、汗で貼りついた黒髪をゆっくりかき上げる。
「はいガン見禁止~。……って言っても、見るよね? 別にイイケド……♡」
許可を与えてぷるっと震え、恥ずかしそうに目を逸らす。
次はホットパンツに手をかけた。汗で光る裸が、目の前にぜんぶさらけ出される。細い肩と、控えめにふくらんだ胸。そこから急に実った、丸いお尻とむちむちの太もも。上と下の落差が、裸だとますますエグい。
ユウも素早く服を脱いで、畳んであった布団を広げる。コンドームはやはりあと一枚しかない。
手を取ると六花は素直に従って腰を進め、ゴムをつけてくれた。
ユウが布団に仰向けになると、六花はその腰の上に、膝立ちで跨がり直した。ペニスを支え、熱い秘所を上から押し当てて、つぷり、ぬぷりと腰を沈めていく。
「んんっ……ユウの、硬い……♡ こんなにドキドキするの、ユウのだけ……」
ぬぷぷ、と熱いところが先っぽを飲み込んでいく。一気にではなく少し下りては止め、また下りる。濡れた肉ヒダがペニスをぴったりくわえ込んでいく熱に、ユウは「うっ」と短く呻いた。
「あッ、す、ごッ、い……はぁー、なか、ひろげ、られ、てぇ……おっきいの、はい、る、ぅ……ッ!」
ぬるりと熱い感触が包み込んでくる。汗まみれの肌同士が密着し、粘着質な水音が立った。六花は両手をユウの胸に置いて見下ろすと、片手をそっと伸ばして、頬に指を添えた。潤んだ目が、ユウだけを映している。「ん〜……♡」と、甘えた鼻声が喉から漏れた。
「今日もつながっちゃったね、はぁーー……、ユウ、好き。だいすき」
正面から抱き合うような深い騎乗位で、六花はゆっくりと腰をくねらせ始めた。気持ちよさそうな顔を見られるのが恥ずかしいのか動きは控えめで、何度も止まりそうになる。んっ、んっ、と鼻から抜ける、子猫みたいな声が可愛い。
「キ、キた……なか、いっぱいに、なって、るぅ……けっこー、ヤバ、んッ」
だけど徐々に粘着質に、ねっとりと、前後にもぐりぐり動かしてくる。こらえていた顔がとろとろにゆるんできた。母性的なお尻が上下するたびにぱちゅ、ぱちゅ、とねばついた肉の音が響く。
「な、なか……ぐちゅぐちゅ、してるぅ……ぼーっ、てなる……きもち、いっ……」
鼻からふすふすと発情した息が抜け、長い黒髪が揺れる。汗が滴り、結合部をさらに滑らせる。テンポが速くなって、六花の声が徐々に高くなってきた。はぁ、はぁ、と湯気が立ちそうな息を繰り返す。
「はぁっ、はぁっ、ユウとするの、いっつもこうなっちゃう、体、ぜんぶ覚えちゃってるんだからねっ」
清純な顔が、快楽でほうっと蕩けていくのが目に入った。いつも澄ましている顔が、今はとろとろに崩れている。半分閉じた瞼、潤んで青く光る瞳、だらしなく開いた唇。これを見られるのは世界にユウだけだ。
「ひゃっ!」
六花の腰を掴んで、下からぱんっと突き上げて奥に突き刺した。六花は甲高く鳴いて汗ばんだ背をびくつかせる。掴む手をお尻へずらして支え、深いところをぐりぐりしてやる。
六花は声をどんどん高く跳ね上げ、たぱたぱと胸を弾ませた。
「そっこ、だめッ! いま当たってる、当たってる!ユウので、奥っ……グリグリ、奥のトコにグリグリ当たってるからッ!」
汗だくの美乳がユウの顔の前、ほんとうに目の前で揺れ、汗と、朝の石鹸の残り香が混じった匂いが鼻をつく。
「あっ、あっ、ひあっ、あっ、声、勝手に出るぅ、あッ、あッ、ああッ」
そして、六花の動きがふと止まった。「だめ、だめぇ……」と、半分泣いたような声が漏れる。
「あ、あーー……やだぁ、ユウ、動いちゃ……い、イっちゃ、うからぁ……」
彼女は息を整えながら、ゆっくりと体を起こし、ユウから外れる。ぬぽっ、と淫らな音がした。六花は頬を赤く染め、視線を逸らしながら言った。
「イくときの顔、見られたくないもん……」
六花がくるりと背を向けて、もう一度ユウの腰に跨がり直す。さっきまで見えていた顔の代わりに、丸いお尻がユウの目の前いっぱいに広がった。むっちりした太ももが、両側からユウの腰を挟み込む。
汗まみれの背中が、窓から差す光でぬらぬら光っている。長い黒髪がその上を流れ落ちて、肌に貼りついていた。乱れた布団の上で、六花の白い背中だけが際立って見える。
六花は自分の手でペニスを導き、のっぷと再び沈み込んだ。
「ふうっ、ふうっ……はぁ、こっち、の方が……こわく、ない……♡」
後ろ向きのまま、彼女は腰をくねらせ始める。目の前で、繋がった部分が六花のお尻に呑み込まれては現れる。汗の伝う背骨のライン、うなじの後れ毛、上下する尻の肉――顔が見えないぶん、そのすべてがユウの視界を埋めた。
後ろを向いたからか、六花は顔さえ見られなければ恥ずかしくないとばかりに大胆だ。両手で体を支え、立派なお尻をぶるん、ぶるんと振り立てていく。「お……ぅ」と、らしからぬ声を絞り出しているのがたまらない。
「あっ、あっ……おく、きた、ァッ!?」
ユウは彼女の腰を掴み、ぱちゅぱちゅと下から突き上げた。突き上げながら六花の背中から脇腹をすっ、すっ、と撫で上げる。
「こ、らぁ、っ! あ゛んっ! ユウので、おく、まで……あ゛んっ! だめっ、届いちゃ、うッ」
ユウは腰を引き寄せて、いちばん深いところを狙う。ペースを変えず、だけど休まずどっどっどっと連打した。
六花の喘ぎが「あ゛ー!」と一気に高いところへ駆け上がり、途中から泣きじゃくるみたいな声に変わっていく。
「だっダメな声、かわいくない声、出るっ。ユっ、うっ、そこっ、だめえ」
六花は自分の声の大きさに、必死で口をつぐもうとした。「んーっ、んーっ」と、閉じた口の奥で声がこもる。
でも、親はもういないのだ。もっとエロい声を聞かせてほしくて、ユウはリズミカルに腰を揺すった。両手で豊かなお尻をがっちり掴んで、ぐいぐい引き寄せる。
「あ゛んっ! あ゛んっ! あ゛んっ! ユウ、だめっ、きもちい゛っ、とまんない゛っ」
もう、六花は欲を抑えようとしない。「あ゛っあ゛っあ゛っ」と濁った声が喉から絞り出された。両手で布団を握りしめ、自分から腰をがくがくと振り立てて、奥へ奥へとユウを欲しがる。繋がったところから熱い蜜がぴしゃぴしゃあふれて止まらない。
「あ゛っ、だめ、奥、そこそこそこっ!!そこイイッ、すんごくイイッ! ん゛っ、ん゛~~っ!」
お尻が、ユウの下腹部にぴたりと密着した。
六花が背を反らす。黒髪が、ばっと散った。
「……ッ! アッ、イ゛ッ……ッ!」
その締めつけが、ユウを限界まで押し上げる。締めつけられた瞬間、頭のなかが「出る」の一色になった。歯を食いしばっても、せり上がってくるものはもう止められない。こらえきれず、喉から「う……っ」と呻きが漏れた。
「い゛……っ、イ゛ッ……!」
六花がヒッと息を吸い込んで、止まる。
どくん。
押し出される。
どくん。
重くて熱い快感が、腰の奥から突き上げてくる。
どくん。
尿道が、熱く脈打って、弾けた。
どくん。
六花は腰を沈めて、ぜんぶ受け止めてくれる。
「ひっ……ひっ……」
泣くような声で、全身を震わせた。
結合部がぬるぬると鳴る。
しばらく、二人とも動かなかった。
◆◆◆
汗と、そのほかの匂いがこもった六畳間。六花が、ぬぽっと音を立ててユウから体を離した。白いものが、白い太ももを伝って落ちていく。
「はっ、はあっ……はぁ……っ」
息が整わないまま、六花は無意識にユウの手を探して、のろのろと指を絡めてくる。
「あー……。いつも、あたま、まっしろに、なっちゃう。ユウが、じょうず、なのかな。ユウしか、しらないから、わかんない、けど」
出しきった余韻で、ユウの腰から力が抜けていた。頭の芯が、ぼうっと白い。……なのに、すぐ隣で汗だくになっている六花を見ていると、鎮まったはずのそこが、またむずむずしてくる。出したばっかりだろ、と自分にツッコミたくなった。
汗でぐしょぐしょの前髪が六花の額にはりついている。とろんと潤んだ瞳と、まだ整わない息に、六花は眉を下げ、恥ずかしそうに目を細めて、切なげな息を吐く。
「……はぁ。暑いのに、ヤラシイこと、すごくしちゃった……もぉ、ユウのばかぁ……」
力の抜けた体が布団にぺたんと沈む。細い上半身も、実った下半身も、汗でてらてら光ったまま、布団の上に投げ出された。汗を吸った布団の上に、二人の体がだらしなく転がる。
窓の外は、まだ真昼の光でまぶしい。こんな明るい時間から、汗だくで抱き合っているなんて。
脱ぎ散らかしたキャミやホットパンツ、放り出したコンドームの袋……最後の一枚を使ってしまった。もう避妊はできない。
……続きは、無理か。少し物足りないけれど、まだ二人とも学生だ。まだまだこの子と気持ちいいことを楽しみたいから、がまんしないといけないだろう。
枕元にあったタオルを差し出すと、六花は小さく笑う。
「ありがと。でも、すぐまた汗かくかもだけど」
六花は自分の体をざっと拭くと、今度はユウのほうへ回ってきた。ユウの胸から腹、まだ濡れたままのペニスまで、甲斐甲斐しくきれいにしてくれる。拭かれるたび、出したばかりのそこが、びくびくと反応してしまう。
「ちょっとぉ、まだ元気じゃん……♡」
しまいには、ちゅ、と軽く口づけまでして、六花はいたずらっぽく笑った。
ひととおり満足すると、六花はタオルをぽいと放って、ユウの右隣に寝転んだ。抱き寄せるとネコみたいに体を伸ばして、ユウの胸へすりりっと頭を寄せてくる。
「もう少し、こうしてていい? まだ、動きたくない」
六花はユウの首に腕を回して、すがるように身を預ける。乱れた黒髪を指でとかしてやると、とろんと半分閉じた目で、満たされたようにゆるく微笑んだ。首を伸ばして、ユウの耳元で、吐息混じりのかすれた声で囁く。
「いつも、いっぱい気持ちよくしてくれてありがと。ユウの彼女でよかったな〜って、たまに思う。……あ、そうだ。今度、付き合った記念日でしょ? 二人でお祝いしよ?」
鼓膜をくすぐるように「ね……♡」と囁きかけてくるこの娘が、大学だと「手が出せない無理めの女子」なんだから笑える。その顔をあんな風に崩せるのは、自分だけだ。
しばらくして、六花がぽつりと言った。
「……ねえ。シャワー浴びたら、うち来ない? 今日、ママいないしさ……クーラー、効いてるよ?」
この部屋のエアコンは、まだ直っていない。汗だくの誘い文句には、十分な説得力があった。
肉づきのいい太ももが、ユウのふくらはぎから太ももへと、ゆっくり絡んでくる。六花が自分の脚を何度もこすり寄せてくるたび、しっとりした肌がユウの脚に吸い付いて、離れない。
「あ、でも……ゴム、切らしちゃったね。……帰りに、コンビニ寄ってこ?」
六花はユウの耳元に唇を寄せた。ユウの胸を指先でつう、となぞりながら、耳のふちに熱い息を、ふう、ふうと何度も吹きかけてくる。くすぐったさに、ユウの首すじが、ぞくっと震えた。
「いっぱい、エッチなこと、しよ? ……こんなこと言うの、ユウにだけなんだからね?」
囁きながら、腕をユウの腕に絡め、離すまいと力をこめる。
さっき鎮まったはずの熱が、ユウの奥でまた起き上がる。もう、続きは決まったようなものだった。
(おしまい)
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