闘う巨乳なレジスタンス娘は失うものが何もない 作:かめのこたろう
「ゲームをしないかね?」
身体を弄られながらの言葉に、私は素直な反応をしつつも、呆れたような軽蔑を覚えるしかなかった。
組織のために肉体を使った資金獲得を始めて数回目。
割り切りと諦めがようやくこの行為を日常へと変えつつある、そんな頃合いの事。
この周辺地域では並ぶものない、蕩尽な資本家たる男が背後から抱くように、耳元でささやく。
「始まって30分以内に10回イかなければ、いつもの三倍の報酬を支払おうじゃないか」
ギリギリ、触れるか触れないかの手つきでブラトップに包まれた胸全体を撫でられながら。
ピクリピクリと反応しつつ、私は圧倒的負の感情とは別に計算高く思考をめぐらす。
「っ……、ん……っ。ずいぶん気前がいいのね。は……っ、う……。もし駄目だったらどうなの?」
「特に何も。君は失うものはないし、ただ勝ち得たかもしれないものを手にすることができないというだけだ」
「……」
デメリットは何もない。
すでに約束された報酬自体は変わらない。
ただ悪趣味極まりない金持ちの道楽に付き合ってやるだけで、喉から手が出るほど欲しい、活動資金が一気に増える。
男の唇がうなじに口づけてくる感覚に、ゾワッと背筋を逸らしながらそこまで考えた。
「んんっ! ……私が嘘をついたら?」
身体が限界を迎えても、イってないって惚けて誤魔化すことだって。
「ふふ、かまわんよ。ただ君はいささかわかりやすい正直な身体をしていると思うがね」
馬鹿にしたような響きに、カッと敵愾心で熱くなる。
でも私の反発を見越したように、ジワジワと嬲るように微妙なタッチで撫でさすっていた指先がキュッと、薄布の上から胸の先端をつまんできた。
「っ、あはぁっ!」
途端、そこから背筋を伝って下腹の奥へと迸る電光につま先を立てて仰け反ってしまう。
我ながら無様であからさまに過ぎる反応に、ぶぜんとする余裕もないまま、ジワリと下着に滲み出る液体の感触を自覚させられる。
「どうかね?」
勝ち誇ったような男の声はやはりとても不快で気に入らなかった。
でも受け入れない理由も、私には特にないことだけは間違いなかった。
………
「ふぅー……♥ ふぅー……♥ はぁー……♥ はぁー……♥」
ブラトップをずらされてむき出しになった胸を晒した格好で、私は尻を向けるように男に背中を見せていた。
限界を迎えないよう、調整されつくしたやり方ですっかり準備を整えられた状態。
決してイくことはないように。
それでいてしっかりと感じて潤滑油が満ち溢れるように。
女の宿命を思い知らされながら、目的と信念の天秤を抱き続けて。
男の資本力を証明するみたいな豪華なデスクに手をついて、淡々と差し出していた。
短いスカートから無防備に、自分がすでにどうなっているか赤裸々に示しているだろう濡れた下着越しの場所。
「さて。もうそろそろいい頃合いかな?」
「さ、さっさと始めなさいよっ」
「ああ、待たせたようなら申し訳ない」
「くっ! んぁっ♥」
くちゅぅっと、液体が満ちた場所を指先が突いてくる感覚で勝手に声が出た。
瞬時の認めたくない肉体の反応と、内心のあきらめが同時に沸き起こる。
もう自分の身体がどういうものなのか、理解して把握せざるを得ない程度には経験を積んでいる。
機械的に手順を経れば、どれだけ耐え抑え無視しようとしても、問答無用で励起させられる機能を持っているのだと。
そのこと自体にはもはや葛藤もなくなりつつある。
快感とか気持ちよさとか言ったものは単なる付属物なんだと。
だからどれだけくちゅくちゅと、もったいぶるように下着越しに弄られて、腰をくねらせるみたいにゾクゾク反応させられても、大したことじゃない。
ただ、やるせないだけ。
さっさと済ませて終わらせたいというだけ。
それでも必要以上に情けない声を出して向こうを愉しませるのも癪だったから、唇をかむようにしてその時を待つ。
「んっ、んんっ! い、いいからっ。 はやくしてってば……!」
「準備は問題ないようだな。……では」
腰の両脇からスカートの内部へ差し入れられた指先が、ショーツの両端をつまんで僅かな抵抗と共に差し降ろしていく。
お尻の膨らんだ場所で突っかかるように力が拮抗したと思った直後、するんっと一気に事態が進んだことを理解する。
粘度の高い液体がねっとりと自分と下着を繋いでいるような気がした。
そしてそれが気のせいじゃなかったことを、ご丁寧に男が報告してくれる。
「すごいよ。糸を引いて、湯気がたってる」
「……っ、うるさい。余計な事言わなくていいから……っ」
ひんやりと外気に晒された心もとない感覚に、思わずいろいろ言い立てたくなった。
でも間も無く訪れた鮮烈な感覚で一挙に私は次の展開へと自分を備え立て直すことに専念せざるを得なかった。
くちゅり……。
「んんっ!」
濡れた場所に宛がわれる、熱く逞しい先端。
哀しいほどに慣れ親しんで、馴染みつつあるもの。
男の、雄そのものの感触。
怖気と嫌悪と、そしてもしかしたら期待が混じったものが内部で荒れ狂う。
貴重木材を磨き上げた机面に肘を立てるように手を突いたまま、やはり慄く唇を抑えるように歯でかみしめる。
圧倒的で破局的なその瞬間の衝撃に備えようと、全身が緊張に包まれた。
でも私のその覚悟をいなすように、思わせぶりな動きと感触が敏感な場所を嬲るように襲う。
くちゅくちゅ……、くちゅくちゅ……。
入り口を何度も何度も。
ふちに沿うように、女の快感を象徴する突起物を虐めるみたいに。
「ん……っ! ん……っ! や……っ、あ……っ!」
膝がガクガクする。
無意識につま先立ちになったまま、強張り続けてる。
くそっ。
こんなので。
いちいち翻弄されたくなんてないのに。
でも今この瞬間にも肉を割って挿入ってくる予感に、身体が勝手に反応を繰り返す。
許せないし、認めたくない、一切欲しいと思っていない余計な感覚が一方的に生まれては溜め込まれていく。
切ない気持ちよさ。
淫らな快感。
こんなの。
一切私は必要としてないのに。
そんな私の隠し切れない素直な反応に満足したのか。
「はっ! はっ! あっ! んんっ!?」
落ち着きない動きがにわかに収まり、中心で定まったかと思った途端。
ぬぬぅっと。
とうとう侵入が始まった。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!」
固いゴム質みたいな熱い異物に犯される確かな挿入感。
それは期待通りのものを齎すと同時に、期待外れでもあった。
すっかりそれ以上の侵入と蹂躙を覚悟していたこちらの心構えと裏腹に、ごくごく浅く入口付近で停滞し、あまつさえゆるゆると差し戻される。
ぬぬぅっ。
ぬちゅぅぅっ。
動きも加減された緩慢なものだった。
「ふっ♥ ふっ♥ んっ♥ くぅっ♥」
嬲られている。
相手の意図を、そう正確に把握し、恨みと怒りめいた感情をさらに燃え上らせる。
まるで時間制限など露ほども気にしていないかのような、冗長で緩やかな凌辱行為に私は狂おしいほど苛立った。
ぬぷぬぷと確かに変形させては、また収縮し元の形に戻ろうとする己の性器官の挙動を脳裏に描き、募っていく一方の本能の渇望に絶望しながら抗おうとした。
「相変わらず名器だな。熱く締め付けてくる」
陶酔して自己満足に浸る響きのいやらしさに、没頭しかけていた意識が我に返る。
自分を嬲り犯す相手を、誰あろう己自身が満足させている事実に悔しさと被虐的な何かが生まれそうになる。
「んんっ! んんぅぅぅっ!?」
んちゅぅぅぅ。
くちゅぅぅぅっ。
少しづつ、だけど確実に領域侵犯は進んでいった。
永遠と続くかのような停滞したはずの動きは、いつの間にか半ばまで私を刺し貫きつつあった。
ぬっちゅぬっちゅ。
くっちゅくっちゅ。
気が付けば、もうすっかり普通の性行為そのものになりつつあった。
抉りほじられ、抜き差しされて生まれるのは、確かなセックスの感覚以外の何モノでもなかった。
「はぁぁ……っ! はぁぁ……っ! あっ♥ あっ! あっ! あっ!」
でも決してそれ以上には来ない。
じわじわと進んだ深度はやはりまた中ほどの場所でピタリと留まり、ピストンの工程をそこを限界に繰り返す。
私はもう遠くない最初の終焉を予感させられながらも、残酷なまでの男の計画を理解して歯がみした。
ああ、そういうこと。
ギリギリまで追い詰めて、一気に奥まで。
最高の中イキを私に味合わせて崩壊させると。
すごく感じて気持ちいい感覚を与えて、追い詰めるつもりなんだと。
「んっ♥ んっ♥ くぅぅぅぅっ! あっ♥ あっ♥ あっ♥ ああっ♥」
火照った頬の熱さを感じつつ、ぼんやりと涙で霞む部屋の景色を見ながら、もうボーっとその時を迎えることしかできなかった。
どれだけ卑劣な男の意図をわかっていてもできることなんてたかが知れていた。
まずイクのはしょうがない。
そういうもんだから。
これだけ無防備に足を開いて受け入れてしまえば、それ自体は避けようがない。
だからせめて、少しでも長引かせて提示された条件をクリアできるよう努力するだけ。
茹った頭で、切羽詰まった肉体の臨場感に全身の緊張と強張りを意識した瞬間。
「ん゛っ! っっっっっっ!?」
ずぬぅぅぅぅぅぅっ!!
なんの前触れもなく、一気に最後の奥まで犯される時が来た。
見定めたような最高のタイミングと勢いだったのは間違いなかった。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ♥♥」
ぐにぃっと。
弾力を持った場所を変形するほど押し上げられるのをはっきりと感じた。
「あ゛ーーーーーーーーーーっ!!」
恥も外聞もなく、肉体の最奥から迸った巨大な衝撃に、私は叫んで全身で反応していた。
凄まじい快感という暴力に他ならなかった。