種無しの男が、超ハイスペックな後輩に妻の種付けをお願いする話 作:minnie_remon
ついに、その日がやってきた。
精子提供の手法には医療機関を介したシリンジ法などいくつかの選択肢が存在する。しかし達也と悠斗が話し合い、最も妊娠の確率が高く確実とされる手法…すなわち、直接の性行為による提供という選択がなされた。
場所は、都内の高級ホテルの一室。
重厚な防音扉の向こう側には、外界の喧騒から切り離された静寂に包まれていた。
客室のドアをノックする音が響き、達也が固い表情で扉を開ける。そこには上質なオーダーメイドのスーツをスマートに着こなした悠斗が立っていた。悠斗はこの日も午後からは弁護業務が入っている。なので午前中に提供を行うことになっていた。
「忙しい中、本当にすまない」
「いえ、奥様の排卵周期が最優先ですから」
「まあ…とりあえず入ってくれ、悠斗」
部屋の奥、落ち着いたトーンのソファーには、緊張で肩を固くした亜美が座っていた。これが悠斗と亜美の初めての対面だった。
テレビの画面越しにしか見たことがなかった「完璧超人」が、いま自分の目の前に立っている。端正な顔立ち、187cmの長身と、ガッチリとした肉体の威圧感。亜美は息を呑み、思わず膝の上で固く手を握りしめた。
悠斗は亜美の正面に歩み寄ると、一礼し、まっすぐな瞳で彼女を見下ろした。その表情に迷いや躊躇は一切なく、あたかもこれから重要な業務に臨むかのような、冷徹なまでのプロフェッショナルな光が宿っていた。
「初めまして、亜美さん。夏海悠斗です」
低く静かな声が部屋に響く。亜美が声を出せずにただ頷くと、悠斗は自信に満ちた口調で静かに言った。
「僕の精液検査の結果は、亜美さんも確認されたんですよね?」
「…はい」
「安心してください。僕の生殖能力は、あの数値が示す通りです。今日、僕が必ず亜美さんを妊娠させます」
「…っ!?」
それは、甘い気遣いや情愛の籠もった言葉ではなかった。
自らの圧倒的なスペックに対する絶対的な自信と、依頼された任務を完璧に遂行するという力強い宣言だった。その揺るぎない決意表明に、亜美は恐怖にも似た強烈な威圧感を覚え、ただ圧倒されるしかなかった。
そんな中、達也は二人に背を向け、絞り出すような声で言った。
「…俺は、ロビーで待っている。悠斗…亜美を、頼む」
達也は一度も振り向くことなく、逃げるように客室を後にした。パタンと重い扉が閉まり、部屋には悠斗と亜美の二人だけ残された。
………………………………………
室内の空気が、急激に熱を帯び、そして歪んでいく。
ベッドの上に横たわった亜美の視界に映っていたのは、優しき夫の姿ではなく、圧倒的な「強者」としての悠斗の姿だった。
作業は、一切の無駄なく機械的に進められた。
しかしいざ行為が始まると、想定外の事態が二人を襲った。
悠斗の逞しい体躯からなる男性器は、平均的なサイズを遥かに超越していたのだ。あまりの体格差と規格外の存在感に、亜美の身体は拒絶反応を示すかのように極度に硬直し、受け入れることを頑なに拒んだ。
「あ……く……っ!」
亜美の口から、抑えきれない苦悶の悲鳴が漏れた。生々しい痛みが全身を駆け巡り、額にはじっとりと冷や汗が浮かぶ。身体が裂けるかのような圧迫感にシーツを強く掴み、必死に耐えようとする。
「痛っ……痛いです……悠斗さん、少し……待っ……」
溢れ出る涙で視界が歪む中、亜美は苦痛に耐えかねて懇願の声をあげた。普通であれば、手を止め、気遣いの言葉をかける場面だ。
しかし、悠斗の動きが止まることはなかった。
彼の表情には、感情の動揺など一切見られなかった。苦しむ亜美を見下ろすその瞳は氷のように冷たく、どこまでも客観的だった。
悠斗にとって、この精子提供は「何があっても完璧にやり遂げなければならないミッション」だった。ここで生ぬるい妥協を許すことは、完璧主義者である彼のプライドが許さない。相手の感情や痛みに流されて作業を中途半端に終わらせることこそが、最大の不誠実であるとすら考えていたのだ。
悠斗は冷酷なまでに自らの呼吸と肉体をコントロールし続けた。
「…動かないでください」
静かで、冷たい声が亜美の耳元に落ちる。
苦悶の訴えを意に介することなく、悠斗は自らの強靭な肉体と圧倒的な生命力を、機械的な正確さで亜美の体に刷り込んでいった。
「あ……あぁ……っ!」
痛みに耐えかね、亜美の目からボロボロと涙がこぼれ落ちる。
夫以外の男の、それも恐ろしいほどの強大さを持った男の存在が、自分の体内を侵食していく。抗うことのできない苦痛と恐怖に呑み込まれていく感覚。亜美はただ意識を遠のかせ、激しい痛みに耐えるしかなかった。
悠斗の動きは寸分の狂いもなく正確に、そして冷徹に繰り返された。時には苦痛に悶える亜美を圧倒的な力で押さえつけ、冷酷に事を進め続けた。厳しいトレーニングで鍛え上げられた彼の心肺機能と持久力は激しい動きの中にあっても一切乱れることなく、ただ目の前の女に精を注ぐという目的を果たすためだけに機能していた。
やがて――すべての工程が終わりを迎えた。
規格外の生命力が…50億を超える新たな命の息吹が、亜美の体内の最も深い場所へと容赦なく放出された。ただの一滴も残らずに……
………………………………………
静寂が、再び部屋を支配する。
ベッドの上には、涙で顔を濡らし、浅い息を吐きながら力尽きるように意識を失った亜美の姿があった。苦痛のあまり気を失った彼女の表情には、悲壮な疲弊だけが残されていた。
一方の悠斗はベッドから降りると、乱れた衣類を静かに整えた。汗ひとつかいていないその表情には、一切の罪悪感も窺えない。
仰向けに倒れ、ピクリとも動かない亜美を一瞥する。
そして、自分の体内に残る確かな手応えと、予定していた順序を完璧にやり遂げたプロセスを脳内で反芻した。
(よし…これで大丈夫だろう)
規格外の精子力、計算し尽くした完璧な注精。
医学的にも、確率的にも、ミッションが失敗する余地などどこにもなかった。依頼主である達也の期待に応え、一人の女性に自らの種を植え付けたという自負が悠斗の胸を満たしていく。
「ふう…」
悠斗は満足げにひとつ深く息をついた。そして洗面所へと向かい、乱れた髪をブラシで整え、弁護士としての身なりに戻していく。
部屋の片隅で眠る亜美と、ロビーで待っているであろう哀れな先輩。
自らに与えられた役割を完璧に遂行した男は、確かな達成感をその胸に秘めながら、静かに部屋を後にした。