「はぁ…はぁ…」
ベッドの上で荒い息を整えながら、俺は天井を眺めていた。
手の中に残る美智代さんの精液の感触がまだ生々しい。白濁した液体が指の間で乾き始め、皮膚を突っ張るような感覚。
隣では美智代さんがセーラー服を脱ぎ捨て下着姿で横になっていた。白いブラジャーとショーツ。だがその下着もすでに俺の精液でところどころ汚れている。胸元に飛び散った白い染みが、彼女の豊満な乳房の輪郭を強調していた。
「ねえイクマくん」
「なんですか」
「今の、どうだった?」
「どうだったって」
「気持ちよかった?」
「…はい」
「お母さんの手コキ、旦那より良かった?」
「だから比較やめてください」
「だって気になるんだもん」
彼女はうつ伏せになり、顎を両手に乗せて俺を見た。ポニーテールが解け、栗色の髪が肩に広がっている。その姿は高校生の娘がいる母親にはとても見えない。
「ねえ、正直に言って。私まだイケると思う?」
「何がですか」
「女として。こういうの、まだ需要ある?」
「需要って…」
「だってさ、世の中的にはもうおばさんでしょ? 娘も高校生だし。でも私まだまだ現役でいたいのよ。女として。こうやって男の人とイチャイチャしたり、気持ちよくなったり」
彼女はそこまで言って、急に照れたように顔を伏せた。その仕草が十代の少女みたいで、俺は思わず苦笑した。
「笑った?」
「いや、笑ってないです」
「笑ったでしょ。今」
「笑ってません。ただ…」
「ただ?」
「美智代さん、本当に年齢気にしてないよなって」
顔を上げた彼女は、キョトンとした表情をしていた。その顔には、さっきまでの色気は微塵もない。ただの好奇心旺盛な主婦の顔だ。
「気にしてないわよ。だって私、自分が何歳かなんて忘れちゃうもん」
「忘れるって」
「そうよ。だって楽しいことしてたら歳なんてどうでもいいじゃない。今日だって、チラシ配りながら『あ、この人カッコいい』って思ってそのままここまで来ちゃったんだもん。楽しかったし」
「それは…まあ」
「でしょ? 歳を気にしてたら、こんなに楽しいことできないわよ。あんたもそう思わない?」
彼女は俺の胸に手を置き上目遣いで見上げてきた。その目は、さっきまでとは違う。純粋に「楽しかった」と言っているだけの、無邪気な輝きだった。
「まあ…楽しいのは否定しませんけど」
「でしょ? じゃあもう一回する?」
「は?」
「だってまだ元気そうだし」
彼女の視線が俺の下腹部に向かう。見れば、さっきまでぐったりしていたはずの俺のペニスが、またしても頭をもたげ始めていた。
「美智代さん、もう遅いですよ」
「何言ってるの。夜はこれからよ」
彼女はそう言うと、俺の上にまたがった。セーラー服はもうない。ブラジャーとショーツだけの姿で、俺の腰に跨る。
「ねえイクマくん」
「何ですか」
「お母さん、まだまだ現役でしょ?」
その言葉に、俺はまたしても苦笑するしかなかった。
この人は、本当に自分の年齢を気にしていない。いや気にしていないというより、年齢という概念そのものを楽しみに変えている。娘が高校生だろうが、自分が何歳だろうが関係ない。今、この瞬間が楽しいかどうか。それだけが彼女の基準なのだ。
「美智代さん」
「ん?」
「あなた、本当にすごい人ですね」
「褒めてる?」
「褒めてます」
「ふふ。ありがと」
彼女は満足げに笑い、ゆっくりと腰を沈め始めた。
(この世界の女性は、みんなこうなのか?)
(いや、この人は特別だな)
美智代さんだけは他の誰とも違う。ヨルさんのような切実さも、日和さんのような艶やかさも美鈴さんのような強引さもない。ただひたすらに「今」を楽しんでいる。
その姿に、俺は苦笑いしながらもどこか救われている自分を感じていた。