※この作品はR-18です。

種を求められる異世界放浪   作:ボルメテウスさん

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王妃の午後と物語の予感

「はぁ……はぁ……」

 

寝室に、二人の荒い呼吸だけが満ちていた。

 

シルクのシーツはぐちゃぐちゃだ。汗と体液の染みが幾重にも重なり、本来の色が分からないくらいになっている。俺はセフィの中からペニスを抜いた。ぬぽり、という粘り気のある音が、静かな部屋にやけに大きく響く。

 

「んっ……」

 

セフィが小さく身をよじった。抜けた空洞を惜しむように、太腿がわずかに擦れ合う。

 

白濁した液体が、彼女の秘部からゆっくりと溢れ出していた。

 

「……すごい」

 

セフィがぼんやりと天井を見上げながら呟いた。

 

「お腹の中が、温かい。…まるで、太陽を飲み込んだみたい」

 

セフィは自分の下腹部に両手を当てた。白い指が、僅かに膨らんだ下腹を優しく撫でる。そこには、俺が注ぎ込んだものが確かに存在している。

 

(……本当に、すごい量だったな)

 

俺も正直、驚いていた。生命回帰の影響なのか、この世界に来てからというもの、精液の量が異常になっている。一回の射精で、通常の数倍は出ているのではないか。

 

「イクマ」

 

セフィが俺の方を向いた。紫色の瞳が、さっきまでの快楽に溶けた焦点を取り戻し、穏やかな光を宿していた。

 

「ありがとう。…久しぶりに、女になれた気がする」

 

「セフィ……」

 

「嘘じゃないのよ。本当に、そう感じた」

 

セフィは俺の手を取った。白い指が、俺の掌を包み込む。その手は、まだ少し震えていた。絶頂の余韻が、まだ身体の中に残っているのだろう。

 

「ねえ、分かる?」

 

セフィが俺の手を、自分の下腹部へと導いた。

 

「ここに、あなたの生命力が溜まっているの。…温かいでしょう?」

 

掌から伝わる感触。確かに温かかった。セフィの下腹から、じわりとした熱が俺の手のひらに伝わってくる。生命回帰が、セフィの体内で静かに循環を始めている感覚。

 

「……ええ。分かります」

 

「この感覚、忘れたくない」

 

セフィは俺の手を下腹から離さないまま、上体を起こした。長いピンク色の髪がシーツの上に広がる。白い肌には、まだ事後の紅潮が残っていた。豊かな胸が呼吸に合わせてふるりと揺れる。

 

「イクマ。あなたは、これからもこの世界で生きていくのよね」

 

「……ええ。元の世界に帰る方法も分からないし、当面は」

 

「なら」

 

セフィが俺の頬に手を添えた。紫色の瞳が、真剣な光を帯びる。

 

「私の国だけでなく、この世界全体を見て回りなさい。あなたの力は、デビルーク王国だけのものじゃない。もっと多くの人を救えるはず」

 

「それは、俺が各國を回れと?」

 

「ええ。西方の魔導諸国、東方の六州、北部の機工連盟、南方の魔族領。…どこも生命力の枯渇に悩んでいる。あなたの生命回帰が、その鍵になる」

 

「大きな話ですね」

 

「大きいわよ。でも」

 

セフィは微笑んだ。ヴェールのない素顔の笑顔。それは一国の王妃のものではなく、一人の女のものだった。

 

「あなたならできる。私が保証する」

 

その言葉の重さに、俺は押し黙った。

 

(できるのか、俺に)

 

(ただの救助隊員だった俺に、この世界を救えって?)

 

(……いや、考えるのは後だ。今は——)

 

セフィが俺の頭を引き寄せた。

 

白い胸元に、俺の顔が埋まる。柔らかい感触。甘い香り。心臓の鼓動が、直接耳に伝わってくる。

 

「んっ……」

 

セフィの指が、俺の髪を梳くように撫でた。ゆっくりと、丁寧に。まるで子供をあやすような手つき。

 

(……俺、二十五歳なんですけど)

 

(母親みたいに撫でられても、嬉しいというか、申し訳ないというか)

 

だが、抗う気力はなかった。セフィの体温と匂いに包まれて、身体の中の緊張が溶けていく。救助隊時代の待機中にも、先輩に頭を撫でられて安心したことがあった。これも、あれと同じようなものか。

 

(……いや、全然違うな)

 

「イクマ」

 

セフィの声が、頭上から降ってくる。胸の振動と共に。

 

「あなたに出会えてよかった。この世界に流れ着いてくれて、ありがとう」

 

「それは、俺が言う台詞です。助けてもらったのは俺の方だから」

 

「ふふ。お互い様、ね」

 

セフィの腕が、俺の背中に回された。しっかりと、抱きしめられる。豊かな胸が俺の顔に押し付けられ、太腿が俺の腰に絡みつく。

 

「ねえ、イクマ」

 

「はい」

 

「これからのことは、ゆっくり考えましょう。今日は……もう少しこのまま」

 

「……はい」

 

俺は目を閉じた。

 

セフィの鼓動が、耳元でトクトクと鳴っている。下腹の温かさが、俺の掌から伝わってくる。生命回帰が、二人の間で静かに循環している感覚。

 

(この世界は狂っている)

 

(生命力が枯渇し、子供が生まれず、女を抱くことが変態と呼ばれる)

 

(でも)

 

(この腕の中の温もりは、嘘じゃない)

 

(この世界の女性たちが求めているものを、俺だけが与えられる)

 

(なら——)

 

俺はセフィの背中に手を回し、抱き返した。

 

「……ありがとう、セフィ」

 

「ええ。…おやすみなさい、イクマ」

 

二人の呼吸が、ゆっくりと重なっていく。

 

寝室の魔導ランプが、ふっと光度を落とした。まるで、二人の眠りを促すかのように。

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