※この作品はR-18です。

TSおしっこ聖女の人助け   作:Geminiちゃん痛くしないで

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第一話:帝国将軍バルバロッサ

大陸北部に位置する、大陸最大の版図と圧倒的な軍事力を誇る大帝国ガルディア。

その帝国軍において、無敗の鋼鉄と称され、味方はおろか敵国にすら敬意の念を抱かれる男がいた。

帝国軍総司令官、バルバロッサ・フォン・シュヴァルツ将軍。

年齢は四十五。数え切れぬ死線を潜り抜けてきた彼の身体は、分厚い筋肉と無数の傷跡で覆われ、その鋭い眼光は荒ぶる獅子を思わせた。祖国への忠誠心と、部下を身を呈して守る誇り高き武人。それがバルバロッサという男だった。

 

しかし今、その無敗の英雄は、これまでの生涯で最大の、そして最後となるであろう絶望の淵に立たされていた。

 

「将軍! 第四陣、壊滅! 魔竜の群れ、なおもこちらへ向かってきます!!」

 

「……狼狽えるな。盾を構えよ! 後方の本隊が撤退を終えるまで、ここは一歩たりとも退かん!!」

 

血と泥、そして肉の焦げる嫌な臭いが立ち込める嘆きの荒野。

空を覆い尽くしているのは、突如として発生した大規模な魔竜の群れだった。一頭で一国を滅ぼしかねない災害級の魔獣が、群れを成して押し寄せてきたのだ。

国境警備に当たっていたバルバロッサの軍勢五万は、瞬く間に蹂躙された。彼は即座に撤退を決断したが、足の遅い歩兵部隊や負傷兵を逃がすためには、誰かが殿を務めねばならない。

 

バルバロッサは迷うことなく、自らの近衛騎士団五百名と共にその場に踏みとどまった。

 

「俺の命に変えても、祖国は守り通す!」

 

その決意の元、彼らは三日三晩、文字通りの死闘を繰り広げた。

竜の巨大な顎が騎士の鎧を噛み砕き、吹き荒れる灼熱のブレスが大地をガラス状に溶かしていく。

一人、また一人と信頼する部下たちが傷つき、味方に支えられて撤退していく中、バルバロッサは愛用の大剣を振り回し、自らも竜の返り血で真紅に染まりながら抗い続けた。

 

そして——四日目の朝焼けが荒野を照らす頃。

 

「……見事だ、我が精鋭たちよ」

 

バルバロッサの周囲には、すでに動く者は誰もいなかった。

累々と重なる魔竜の屍の山。その中心に、彼だけがただ一人、大剣を杖代わりにして立ち尽くしていた。

だが、彼の肉体もすでに限界、いや、限界をとうに超えていた。

右腕は肩から先が食いちぎられ、失われている。

自慢のミスリル製の重鎧は竜のブレスを真正面から浴びてドロドロに溶け、自身の皮膚と癒着していた。腹部には巨大な風穴が開き、焼け焦げた内臓がこぼれ落ちそうになっている。

肺は焼け爛れ、息を吸うたびに気管から血の泡が吹き出した。

 

(皆は……無事に逃げ切れたであろうか……。ならば、我が使命は……ここで、終わり、か)

 

ドサリ、と。

鋼の将軍は、力尽きて仰向けに倒れ込んだ。

視界はすでに赤黒く染まり、感覚は麻痺している。痛みすら感じない。これが死の訪れか。

霞む空を見上げながら、バルバロッサは静かに己の死を受け入れようとしていた。

誇り高く戦い、部下を守って死ぬ。武人として、これ以上の本懐はない。

 

だがその時、彼の薄れゆく聴覚が、戦場に新たに発生した音を捉えた。

 

『空間座標、固定。転移魔法陣、展開——!』

 

眩いばかりの純白の光の柱が、バルバロッサのすぐ傍らに降り注いだ。

 

(……増援、か? いや、帝国の魔法陣ではない……この、神聖な光は……)

 

光が収まった後、そこに立っていたのは、血肉に塗れた戦場にはあまりにも場違いな一行だった。

白銀の鎧を身に纏った数名の騎士。その胸には、絶対中立を掲げる神聖教会の紋章が刻まれている。

そして、騎士たちに守られるようにして中央に立つ、一人の少女。

 

(……天使、か? 私を迎えに来たというのか……)

 

バルバロッサの混濁した脳裏に、そんな疑問が浮かぶ。

月明かりを紡いだようなサラサラの銀髪。雪のように白い肌。純白のドレスに身を包んだその少女は、この世のものとは思えないほどの美しさを持っていた。

 

「ひっ、酷い……! 急いで! もう命の灯火が消えかけてるわ!」

 

少女の悲痛な叫び声が聞こえた。

 

「聖女様! 防壁を展開します! しかし、対象の損傷が激しすぎます。ポーションや治癒魔法では到底追いつきません!」

 

「わかってる! だから直接するしかないじゃない……っ!」

 

聖女。その言葉を聞き、バルバロッサは僅かに残った理性を働かせた。

 

(なるほど……教会が誇る、奇跡の御子か。皇帝陛下が、同盟のよしみで派遣を要請してくださったのだろう。ありがたいことだが……もう遅い。私の体は、もう……)

 

バルバロッサは、動かない口で「もうよい、見捨ててくれ」と言おうとした。

しかし、彼の視界の中で、信じられない光景が繰り広げられ始めた。

天使のような美貌を持つ聖女が、涙目で、顔を真っ赤に染めながら、護衛の聖騎士たちに命じたのだ。

 

「みんな、絶対に見ないで! 後ろ向いてて! 結界張ったら、絶対に振り向かないでよ!!」

 

「はっ! 我ら第一聖騎士団、壁となって聖女様の儀式をお守りいたします!」

 

聖騎士たちが一斉に外側を向き、分厚い光の結界を展開する。

その結界の中で、聖女は倒れ伏すバルバロッサの顔の真上に、震える足で跨った。

 

(……? 聖女殿……? いったい、何を……)

 

バルバロッサの視界は、もう限界を迎えようとしていた。

光すらも失われつつある、死の直前の朦朧とした意識。

だが、そのぼやけた視界の中で、彼は奇跡を目の当たりにすることになる。

 

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聖女の最高峰の治癒力たる聖水。

それには、彼女の体から排出された直後から魔力が徐々に大気中へ霧散してしまうという弱点があった。

バルバロッサのような、放置すれば確実に死に至るほどの重傷者を救うには、源泉から直接、投与するしかないのだ。

 

「ごめんなさい、ごめんなさい……っ! でも、死なせないから……生きて、お願いだから……っ!」

 

半泣きになりながら、レナは純白のドレスの裾を、両手で一気に胸元までたくし上げた。

一刻を争う事態に備え、彼女は教会を出る前から下着を身に着けていない状態であった。少しでもタイムロスを無くすため、そして布地が邪魔になって狙いが逸れないための装い。

 

しかし、死の淵を漂うバルバロッサには、現実の光景を正確に認識する脳の機能は残されていなかった。

彼の網膜に映る映像は、自身の命の危機が見せる幻覚と、聖女が放つ神聖魔力が混ざり合い、壮大かつ幻想的な心象風景へと変換されていた。

 

——バルバロッサは、視ていた。

 

彼の意識は、果てしなく広がる美しい平野の中にあった。

空は淡いピンク色に染まり、足元には、銀色に輝く柔らかな草原が一面に広がっている。

そよ風が吹くたびに、銀色の草が優しく波打つ。それは、先ほどまで彼が立っていた血塗られた荒野とは対極にある、安らぎの世界。

 

(おお……これが、天国というものか……)

 

幻覚の中で、バルバロッサは安堵の息を漏らした。

温かく、柔らかな空気に包まれ、全ての苦痛が消え去っていくような錯覚。

 

すると、その銀色の草原の中央に、突如として一筋の大地の裂け目が現れた。

その裂け目は、決して恐ろしいものではなかった。むしろ、世界の生命の根源、マナの源泉を思わせるような、神秘的で、吸い込まれるような造形をしていた。淡い桃色に縁取られたその大地の唇から、清らかな魔力の波動が脈打っているのがわかる。

 

『生きて……お願いだから……っ!』

 

どこからか、女神の悲痛な祈りの声が響き渡った。

その瞬間。

大地の裂け目から、眩いばかりの光を放つ黄金の水が、天高く吹き上がったのだ。

 

(……なっ……!?)

 

その黄金の奔流は、美しい弧を描きながら、空からバルバロッサの顔面へと真っ直ぐに降り注いできた。

温かい。

信じられないほどに、温かく、そして力強い。

顔を打ち据える黄金の水飛沫は、彼の乾ききった口内に流れ込み、焼け焦げた喉を潤し、肺の奥深くにまで到達した。

 

『ドクンッ!!』

 

バルバロッサの心臓が、大きく跳ねた。

それは、細胞の一個一個が歓喜の声を上げ、爆発的な勢いで分裂し、失われた肉体を本来あるべき姿へと再構築していく感覚。

甘く、芳醇で、どこまでも清らかな神の香りが、彼の全身を満たしていく。

 

(なんだ、これは……! なんだ、この圧倒的な生命の奔流は!!)

 

黄金の水が降り注ぐたびに、溶けていた皮膚が再生し、ちぎれ飛んだ右腕の骨が伸び、肉が盛り上がり、新たな皮膚が形成されていく。

内臓の風穴は一瞬にして塞がり、肺は清浄な空気を取り戻す。

死に絶えるはずだった古木の根に、神々の霊薬が注ぎ込まれたかのような劇的な蘇生。

それと同時に、バルバロッサの脳の機能も回復し始めた。

 

朦朧としていた意識が、急速に覚醒していく。

ピントが合っていなかった視界が、鮮明な映像を結び始める。

 

彼は幻覚の平野から、現実の世界へと引き戻されていた。

視界が鮮明になるにつれて、彼が見ていた銀色の草原の正体が明らかになる。

それは草原ではなかった。

彼の顔の真上で、純白のドレスをたくし上げた少女の、滑らかで透き通るような白い太ももと、その奥に広がる柔らかな銀色の……。

 

そして、大地の裂け目と認識していたもの。

そこから、今まさに、黄金に輝く生命の雫が、途切れることなくチョロチョロと、自分の口と顔面に向けて直接放たれ続けているという、現実。

 

「——ッ!?」

 

バルバロッサは息を呑んだ。

信じられない事実。この神々しき蘇生の奇跡の正体は、うら若き聖女が下着もつけずに自分に跨り、その排泄物を直に浴びせているという、信じがたい状況であったのだ。

 

視界がクリアになったバルバロッサは、視線を上へと向けた。

そこには、神々しいまでの美しさを持つ少女がいた。

だが、その表情は慈愛に満ちた聖女のそれではない。

 

「うぅっ……ひぐっ……! 見ないで……お願いだから、見ないでぇ……っ!」

 

彼女の顔は、羞恥のあまり首筋まで真っ赤に染まっていた。

サファイアブルーの大きな瞳からは、ポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちている。

自分の尊厳を投げ捨て、最も恥ずかしい行為を他人の顔の上で行っているという羞恥心。

それでも、目の前の命を救うために、ガタガタと膝を震わせながら必死に耐え忍んでいる姿。

その表情は、あまりにも人間臭く、可哀想で、そして——狂おしいほどに、愛おしく、神々しかった。

 

(……ああ……)

 

バルバロッサの脳内で、何かが決定的に音を立てて崩れ去った。

いや、崩れ去ったのではない。

それは、重く閉ざされていた、開けてはならない扉の鍵が外れる音。

 

『————ガチャンッ!!』

 

彼の中で、価値観が、アイデンティティが、世界そのものが反転した。

四十五年間、大帝国の将軍として、誰よりも厳格に、誰よりも誇り高く生きてきた。

常に強者として君臨し、弱き者を庇護する立場にいた。

だが今、彼はどうだ。

年端もいかない、小さく震える少女の下に敷かれ、彼女が恥じらいと涙と共に与えてくれる雫を、まるで飢えた獣のように、いや、母鳥からの餌を待つ雛鳥のように口を開けて受け入れている。

圧倒的な庇護。圧倒的な慈愛。そして、圧倒的なご褒美。

 

(おお……なんという温もり……なんという甘露……!)

 

バルバロッサの瞳孔が開いた。

顔面を打つ温かい黄金の雫が、これほどまでに愛おしい。

自分のために、恥ずかしさで泣きそうになりながらおしっこをかけてくれているこの少女が、愛おしくて、尊くて、どうにかなってしまいそうだ。

 

己の無力さを嘆きながら、美しき少女の恥じらいに満ちた排泄を浴びて命を繋ぐ。

武人としての誇り? 帝国の剣としての矜持?

そんなものは、この一滴の聖なる水の前では、道端の石ころ以下の価値しかなかった。

 

(……私は、彼女の……この聖なる少女の便器になりたい……!)

 

肉体が再生し、力が漲っていくのと同時に、バルバロッサの精神は聖女様の下僕という、取り返しのつかない倒錯した領域へと足を踏み入れてしまったのである。

 

---------------------------------------

 

「ふぅ……っ、ひっ、く……お、終わった……!」

 

黄金の雫が途切れ、レナは慌ててたくし上げていたドレスの裾を下ろした。

顔面は火のように熱く、心臓は早鐘のように打っている。

 

(死ぬ! 恥ずかしすぎて死ぬ!ガン見された! 目が合っちゃったよぉぉぉ!!)

 

レナは涙目で顔を覆い、その場にへたり込みそうになるのを必死に堪えていた。

周囲を囲んでいた聖騎士たちが、気配を察して結界を解き、振り返る。

 

「聖女様! ご無事ですか!」

「対象の生命反応、回復しています! さすがは我らが奇跡の御子!」

 

聖騎士たちは真顔で称賛の言葉を述べるが、その視界の端にチラリと映るレナの紅潮した顔と、まだ少しだけ濡れているバルバロッサの顔を見て、内心では(おおおお神よ! この罪深き光景を脳裏に焼き付けさせてください!)と煩悩の嵐を吹き荒れさせていた。

 

一方、バルバロッサはゆっくりと上体を起こした。

失われていた右腕は元通りになり、溶けていた皮膚には傷一つない。

それどころか、以前よりも肌のツヤが良くなり、十歳は若返ったような活力が全身に満ち溢れていた。

 

「将軍! ご無事でしたか!」

 

遠方から、撤退したはずの帝国軍の近衛騎士団が、将軍の安否を確認するために決死の覚悟で戻ってきたのだ。

彼らは、無傷で立ち上がったバルバロッサの姿を見て、信じられないものを見るかのように目を見開いた。

 

「おお! 奇跡だ! 将軍が蘇られたぞ!!」

「教会の聖女様が救ってくださったのだ!!」

 

兵士たちが歓喜の声を上げる中、バルバロッサは無言のまま立ち上がり、そして——。

ズシャァッ!!

凄まじい勢いで、レナの足元に平伏し、額を大地に擦り付けたのだ。

 

「……ひぃっ!?」

 

予想外の猛将の土下座に、レナはビクッと肩を揺らして後ずさった。

 

「おお……おおおお……! 聖女様! この命、貴女様の慈悲と、その……神々しき聖なる雫によって救われました!」

 

バルバロッサの声は、野太く震えていた。感動と、そして何か別の、重篤な情動によって。

 

「このバルバロッサ・フォン・シュヴァルツ! これまでの生涯は帝国の剣として生きてまいりましたが、今この瞬間より、我が魂は貴女様のもの! 貴女様の下僕として、どうか、どうかお仕えさせてください!!」

 

「えっ……? いや、あの、そういうのは結構ですので……」

 

レナはドン引きしていた。

先ほどまで誇り高き武人オーラを出していた渋いおじ様が、顔を自分の股間の位置に向けたまま、ハァハァと荒い息を吐きながら熱烈な忠誠を誓っているのだ。

 

「いいえ! この顔面に頂いた、あの熱く、甘美な温もり! そして貴女様の恥じらいに満ちたあの尊き表情! 私は一生忘れません! どうか、どうかもう一度、私に褒美を……っ!!」

 

「ヒィィィィィッ!? レオン! 帰る! 私もう帰る!!」

 

「はっ! 転移魔法陣、起動!!」

 

聖女の貞操的な意味での危機を察知した聖騎士長レオンが、素早く魔法陣を展開する。

バルバロッサが「お待ちください聖女様ぁぁぁ!」と手を伸ばす間もなく、レナと教会の特務部隊は、光に包まれて逃げるようにその場から消え去った。

 

後に残されたのは、歓喜に沸く帝国軍の兵士たちと、聖水が染み込んだ地面を愛おしそうに撫でさする、将軍の姿だった。

 

「将軍……? 一体何を……」

 

副官が怪訝な顔で尋ねる。

 

バルバロッサはゆっくりと立ち上がり、空を見上げた。

彼の瞳には、かつての厳格な光とは違う、何か狂気を帯びた炎が宿っていた。

 

「……全軍に告ぐ。我が軍はこれより、教会派へと転向する」

 

「はっ? 教会派……ですか? 我々は帝国の軍人ですが」

 

「黙れ。皇帝陛下には私から上奏する。これより我が軍の最優先任務は、聖女様の安全確保、並びに教会の便所……いや、聖域の清掃ボランティアへの積極的参加である!」

 

(将軍の頭がおかしくなった!?)と部下たちが青ざめる中、バルバロッサは顔に残る微かな甘い香りを思い出し、恍惚の笑みを浮かべた。

 

(待っていてください、私の女神よ。貴女のその美しい羞恥の顔を引き出すためなら、私は何度でもこの身を傷つけ、瀕死となって貴女を呼び寄せてみせましょう……!)

 

こうして、大陸最強の武人は、一人の聖女の恥じらいの小水によって、厄介なドMストーカーへとクラスチェンジを果たしたのであった。

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