※この作品はR-18です。

TSおしっこ聖女の人助け   作:Geminiちゃん痛くしないで

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第五話:看板娘クロエ

王都サンク・ルミエール。その華やかな表通りから少し外れた下町は、スパイスの匂いと商人の活気ある声、そして日々の労働に汗を流す平民たちの熱気に満ちていた。

そんな下町の中心にある大衆酒場、踊る雄牛亭には、下町の太陽と称される一人の少女がいた。

看板娘のクロエである。燃えるような赤髪をポニーテールに結び、そばかすの残る健康的な笑顔を振りまく彼女は今年で十七歳。気立てが良く、荒くれ者の冒険者や酔っ払いのあしらいも上手い彼女は、下町の人々に家族のように愛されていた。

彼女自身は知る由もなかったが、実は彼女は王都でも一、二を争う権力者であるヴァレンティン公爵が、若き日にメイドとの間に作った隠し子であった。公爵は正妻の目を恐れて彼女を引き取れずにいたが、常に凄腕の隠密を見守り役として配置し、遠くからその成長を愛おしく見守り続けていたのである。

 

そしてこの日。

活気あふれる下町の市場を、目深にフードを被った数名の一行が歩いていた。

 

「ん〜っ! この串焼き、スパイシーで美味しい!」

 

灰色の粗末な外套を羽織った銀髪の美少女——レナである。

彼女は教会の窮屈な生活から息抜きをするため、お忍びで下町に遊びに来ていたのだ。もちろん、周囲には同じく粗末な傭兵風の服で変装した第一聖騎士長レオンをはじめとする護衛たちが、周囲に鋭い眼光を光らせながら鉄壁の陣形を組んでいる。

 

「聖女様、あまりお口の周りを汚されませんよう。また、下町の食べ物はお腹を壊すやもしれません」

 

「大丈夫だよレオン。教会のご飯も美味しいけど、こういうジャンクな味が無性に食べたくなる時があるんだから」

 

レナは屋台の串焼きを満面の笑みで頬張っていた。

 

しかし、そのささやかな平和は、突然の喧騒によって打ち破られた。

 

「キャアアアアアッ!!」

「避けろ! 馬車が暴走してるぞ!!」

 

市場の大通り。突如として、貴族の馬車が猛スピードで突っ込んできた。手綱を引く御者は振り落とされ、パニックに陥った馬は正気を失い、人混みの中を無差別に駆け抜けようとしている。

そして、その暴走する馬車の進路の先には、逃げ遅れてへたり込んでいる五歳くらいの小さな男の子がいた。

 

「危ないっ!!」

 

考えるより先に、体が動いていた者がいた。

買い出しに来ていた看板娘のクロエである。彼女は地を蹴り、馬車の前に飛び出すと、男の子の体を思い切り路地裏へと突き飛ばした。

直後——鈍い衝撃音と共に、クロエの華奢な体は宙を舞い、石畳に激しく叩きつけられた。

 

「クロエェェェェッ!!」

 

下町の人々の悲鳴が響き渡る。

 

「……っ!」

 

主人公は串焼きを投げ捨て、一直線に事故現場へと駆け出した。

 

「聖女様! お待ちください、周囲の安全が確認できておりません!」

 

レオンが制止しようとするが、レナの耳には届かない。

 

倒れたクロエの周囲には血の海が広がっていた。

背骨は不自然に折れ曲がり、口からは大量の血が溢れ出している。ピクピクと痙攣する四肢。誰の目にも、彼女の命の灯火が今にも消えようとしているのは明らかだった。

 

「ひどい……! 内臓も破裂してる。このままじゃ死んじゃう!」

 

レナはクロエの傍らに膝をついた。

 

「聖女様、対象の損傷は極めて深刻です! 一秒の猶予もありません、直ちに奇跡の雫の直接大量投与を!!」

 

同行していた変装姿の治癒魔術師が、青ざめた顔で叫ぶ。

 

「わ、わかってる! レオン、結界を張って!」

 

レナが指示を出すが、レオンは苦渋の表情を浮かべた。

 

「聖女様、申し訳ありません! 結界の展開には、印を結び魔力を練るため数分の時間を要します。ですが、この娘の命は……!」

 

「数分も持たないってこと……!?」

 

レナは息を呑んだ。

周囲には、事故の惨状を取り囲む数百人の民衆たちがいる。全員が、固唾を飲んで事態を見守っている。結界を張る時間はない。

ここでこの娘を救うためには。

この数百人の民衆の視線が集中するド真ん中で、自らの聖水を直接投与するしかないのだ。

 

精神が、激しく警鐘を鳴らす。

 

(無理無理無理無理! さすがに無理! いくらなんでも、こんな真っ昼間の大通りのど真ん中で、大勢の人に見られながらおしっこするなんて、社会的に死ぬ!!)

 

レナの顔から血の気が引く。

だが、視線を下に落とした時。血まみれになりながらも、助けた男の子の方を微かに見やり、安堵したように目を閉じようとしているクロエの顔が見えた。

 

(……社会的に死ぬのと、目の前でこの子が死ぬの、どっちを選ぶの?)

 

答えなど、最初から決まっていた。

レナは、使命と己の善良なる魂に突き動かされ、覚悟を決めた。

 

「——絶対に、死なせない!!」

 

レナは、クロエの顔の真上に跨るように立ち上がった。

そして、周囲の群衆が「あのローブの少女は何をするつもりだ?」と怪訝な視線を向ける中。

着ていた灰色の外套をかなぐり捨て、その下に着ていた純白のドレスの裾を、両手で一気に胸元までたくし上げた。

 

「「「えっ……!?」」」

 

周囲の群衆が、息を呑む。

純白のドレスの下には下着はなく、白昼の太陽の下、滑らかな白い太ももと、純潔なる神秘の泉が完全に露わになった。

 

レナは、羞恥のあまり首の先まで真っ赤に染まり、目からはボロボロと大粒の涙をこぼしながら。

 

「見ないでぇぇぇっ! でも、生きてぇぇぇっ!!」

 

と叫びながら、瀕死のクロエの顔面に向かって、黄金の輝きを放つ奇跡の雫を勢いよく解き放ったのである。

 

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チョロ……チョロチョロチョロ……ッ!!

 

静まり返った大通りに響き渡る、あまりにも場違いな水音。

しかし、その液体は決して不浄なものではなかった。

放たれた小水は、眩いばかりの神聖な黄金の光を放ち、周囲の血の匂いを一瞬にして消し去るほどの、清らかで甘い魔力の香りを漂わせた。

 

クロエの意識は、深い闇の底へと沈みかけていた。

 

(ああ……私、死ぬんだな。でも、あの男の子が無事なら……)

 

痛みも消え、ただ冷たさだけが体を支配していく。

 

だがその時。

顔面に、温かく、信じられないほど甘美で力強い、生命の飛沫が降り注いできた。

黄金の液体が唇の隙間から口内に入り込んだ瞬間、砕けていた背骨が熱を持ち、破裂していた内臓が再生していく。

 

(なに……これ? あたたかい……)

 

意識が急速に覚醒し、クロエの視界がクリアになった。

彼女は、自分の上に跨っている存在を認識した。

それは、純白のドレスをたくし上げた、銀髪の神々しい美少女だった。

 

その美少女は、恥ずかしさで顔を真っ赤にし、大粒の涙を流しながら、自らの小水をクロエの顔に浴びせかけている。

周囲には、呆然と立ち尽くす何百人もの民衆がいる。

 

クロエは、状況を理解した。

 

(この天使みたいな女の子は……私の命を救うために。こんな大勢の人の前で、恥ずかしさを押し殺して、自分の小水を飲ませてくれているんだ……)

 

クロエは下町で育ち、客からのセクハラや粗野な言葉には慣れていた。常に強い女として自立して生きてきた。

だが今、彼女は身動き一つ取れない弱者として地面に横たわり、そして、自分よりも遥かに神聖で、遥かに高潔な美少女から、恥ずかしいはずの行為を受けている。

しかも、その聖女は、自分のために泣いて、自分のために身を辱めているのだ。

 

その瞬間。

クロエの中に大きな感動が押し寄せてきた。

 

(ああ……なんという高潔さ。なんという慈愛。私みたいな路地裏の女の命を繋いでいるのが、こんなにも美しい少女のおしっこだなんて……)

 

クロエの瞳孔が開いた。

顔に降り注ぐ温かい飛沫。口内に広がる甘い魔力の味。

そして何より、自分に跨る聖女の、羞恥と使命感に満ちたその真っ赤な顔と、視界を埋め尽くす柔らかな太もも。

 

(素晴らしい……! もっと、もっと私を、その聖なる水で汚して……! あなたのおしっこで、私という存在を塗り潰してぇっ!!)

 

細胞が再生する快感と、美しい少女に排泄物を浴びせられているという被虐的悦び、そして聖女の自己犠牲に対する強烈な憧憬。

それらが融合した結果、クロエは高潔な美少女に辱められながら支配されることに至上の快感を覚えるという、業の深い百合的マゾヒストへと覚醒してしまったのである。

 

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「……ふぅっ、ひっく……お、終わったぁ……」

 

クロエの傷が完全に塞がったのを確認し、レナは放水を止め、慌ててドレスの裾をバサリと下ろした。

膝から崩れ落ちそうになるのを必死に堪え、レナは両手で顔を覆い隠した。

 

(終わった。私の人生、終わった。数百人の前で公開おしっこ……もう無理、消滅したい)

 

その時である。

周囲を取り囲んでいた民衆たちの中から、一人の老婆が震える声で叫んだ。

 

「お、おお……! 奇跡だ! 聖女様の奇跡だぁぁぁッ!!」

 

それを皮切りに。

 

「見たか!? あの黄金の光! うちの婆ちゃんが病気になった時に教会からもらった聖水と全く同じだった!」

「聖女様が、ご自身の体を張ってクロエを救ってくださったんだ!」

「うおおおおおっ!! 聖女様バンザーイ!!」

「なんて神々しいおしっこなんだ! ありがてぇ、ありがてぇ!!」

 

大通りは、爆発的な大歓声と拍手、そして祈りの声に包まれた。

民衆たちもまた、日頃から教会の聖水の恩恵を受けており、聖女に対する感謝の念は強かった。その聖水がどのように作られているかを直接目撃し、驚きはしたものの、彼らはそれを汚いとは一切思わず、むしろ聖女様が自らの羞恥を犠牲にして生み出してくださっている尊いものとして、感動の涙を流して褒め称えたのである。

 

「やめて……! お願いだから、私のおしっこを大声で褒め称えないでぇぇぇっ!!」

 

レナは真っ赤な顔を両手で隠し、うずくまって弱々しく抗議するが、熱狂の渦に包まれた民衆の耳には全く届いていなかった。

 

するとそこへ、下町には似つかわしくない高級馬車が猛スピードで乗り込んできた。

馬車の扉が蹴破るように開き、中から飛び出してきたのは、王都の権力を握るヴァレンティン公爵その人であった。

彼は、クロエを密かに護衛していた監視役からクロエが事故に遭い瀕死状態という緊急の魔法通信を受け、文字通り飛んできたのだ。

 

「クロエ!! クロエェェェッ!!」

 

泥だらけの地面を這うようにして、公爵はクロエの元へ駆け寄った。

そこには、先ほどまで死にかけていたのが嘘のように、艶やかな肌と赤い髪を輝かせ、自力で上体を起こしているクロエの姿があった。

 

「おお……! 無事だったか、私の愛しい娘よ!!」

 

公爵は、周囲の目も憚らず、クロエを強く抱きしめて号泣した。

 

「……公爵様? なぜ、私を娘と?」

 

ざわめく群衆をよそに、公爵は涙ながらにクロエに真実を告白した。

 

「許しておくれ、今まで名乗り出ることもできず……! お前は、私の血を分けた実の娘なのだ! 聖女様、娘の命を救っていただき、我が財産を差し出しても足りぬほどの感謝を……!」

 

公爵がレナに向かって土下座せんばかりの勢いで感謝を述べる。

しかし、クロエの視線は、自分を抱きしめる実の父親ではなく、恥ずかしさでうずくまっている銀髪の天使——レナに完全に釘付けになっていた。

 

(私の、天使様……。あんなに恥ずかしがりながら、私のために……!)

 

クロエの瞳には、狂信的なまでの愛情と、歪んだ悦びの光が宿っていた。

 

「公爵様……いえ、お父様」

 

クロエは、うっとりとした表情で公爵に言った。

 

「私、公爵家に行きます。そして、この聖女様の奇跡と、私の命を救ってくださった高潔なお姿を……後世まで語り継ぐための力をお借りしたいのです」

 

「おお! もちろんだとも! お前の望むことなら何でも叶えよう!」

 

こうして、レナの公開聖水治療という地獄の羞恥プレイは、一人の大貴族の娘を狂信者へと覚醒させる結果となってしまったのである。

 

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それから数ヶ月後。

公爵家の令嬢として迎えられたクロエは、持ち前の行動力と公爵家の資金力をフル活用し、王都のど真ん中に巨大な大劇場を建設し、自らが後援する劇団を立ち上げた。

目的はただ一つ。

愛する聖女様が、自らを辱めながら私を救ってくださった一連の流れを、芸術として後世に残すことである。

 

そして発表された演目のタイトルは、『奇跡の雫〜下町の太陽と白銀の天使〜』。

 

劇は、公爵とクロエの母の悲恋から始まる。

身分違いの恋に破れ、下町で力強く生きていく母と娘。やがて母は亡くなり、看板娘として明るく生きるクロエが、暴走する馬車から子どもを庇って撥ねられる。

そしてクライマックス。

死の淵にあるクロエの前に、純白のドレスを着た聖女役の美しき女優が降臨する。

 

『ああ、可哀想に! 私の全てを懸けて、あなたを救ってみせましょう!』

 

舞台上で、聖女役の女優が、悲壮な決意と共に純白のドレスの裾をガバァッ! とまくり上げる。そして、倒れ伏すクロエ役の女優の顔の真上に跨り。

仕込まれた魔導具のギミックにより、聖女の股間の位置から、黄金の光を放つ聖水が、勢いよくクロエ役の顔面にぶっかけられるのである。

 

『ああ……なんという神々しい光……。私のような者のために、聖女様が……!』

 

クロエ役の女優が、顔面を聖水で水浸しにしながら恍惚の表情で歌い上げる。

そして奇跡の力で息を吹き返し、駆けつけた公爵と涙の再会を果たし、ハッピーエンド。

 

この、劇の最も盛り上がる、聖女の聖水ぶっかけシーンは、演劇界に凄まじい衝撃を与えた。

自らの羞恥をかなぐり捨てて他者を救う聖女の高潔さ。

排泄行為というタブーを、命の救済という神聖な行為へと昇華させた芸術性。

そして何より、美少女が美少女に小水をぶっかけるという、倒錯したエロス。

 

王都の民衆たちも、病気や怪我で聖女の聖水によって実際に救われた経験を持つ者が多く、聖女への親しみと感謝の念を強く持っていた。

そのため、この劇は単なる見世物ではなく、我らが聖女様の尊き偉業として熱狂的に受け入れられ、連日超満員、チケットは数ヶ月先まで完売するという、歴史的なロングセラー大ヒット演目となってしまったのである。

 

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「聖女様! 私のプロデュースした劇が、ついに大成功を収めました! 本日はぜひ、聖女様のための特別席を用意いたしましたので、ご観劇くださいませ!」

 

公爵令嬢にふさわしいドレスに身を包んだクロエが、教会に押し掛け、熱烈なラブコールと共に主人公を劇場へと連れ出した。

 

そして現在。

王都最大の劇場の、最も見晴らしの良いバルコニーの特別席。

レナは、隣に座るクロエと、背後に控えるレオンたち第一聖騎士団と共に、その劇のクライマックスを観ていた。

 

舞台上では、悲壮な音楽と共に、聖女役の女優がドレスをまくり上げている。

 

『見ないで……! でも、生きて……っ!!』

 

バシャアアアアッ!!

黄金の照明と共に、クロエ役の顔面に勢いよくぶちまけられる聖水。

 

『うおおおおおおおおっ!!』

 

客席からは、割れんばかりの大歓声と、感動のすすり泣きが響き渡っている。

 

「………………………………」

 

レナは、顔を首の根元まで真っ赤に染め、両手で顔を覆い隠しながら、特別席の豪華な椅子の隅っこで、ダンゴムシのように小さくうずくまっていた。

 

(見てられない……! 嫌だ、私の人生の汚点が、なんでこんな大作の劇になって、満員の観客から感動の涙流されてるの!? 死ぬ!!)

 

レナが羞恥のあまり息絶えそうになっている隣で。

 

「ブラボーーーーッ!! 素晴らしい!!」

「まさに我らが聖女様の奇跡!! あの高潔なるお姿、完璧な再現度だ!!」

「おおおっ、感動で涙が止まらん!! 聖水バンザーイ!!」

 

なんと、背後に控えていたレオンたち第一聖騎士団の騎士たちが、滝のような涙を流しながら、スタンディングオベーションを行っていたのである。

 

(こいつら……マジで何なの……)

 

レナは、指の隙間から、涙を流して拍手喝采を送るレオンたちをジト目で睨みつけた。

 

「うふふっ、聖女様。お気に召していただけましたか?」

 

隣でクロエが、恍惚の表情でレナの手を握りしめてくる。

 

「私、この劇を全国で巡業させます! 聖女様のあの素晴らしいお姿を、世界中の人々に知らしめるために!」

 

「……やめて。お願いだから、それだけは勘弁して……」

 

レナの弱々しい恨み節は、割れんばかりの拍手と熱狂の歓声にかき消され、誰の耳にも届くことはなかった。

こうして、レナの放つ聖水の奇跡は、劇という形で後世にまで語り継がれることになってしまったのである。

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