衰弱し、かつて姉妹や母親と元気に暮らしていた頃の思い出を反芻し、死を待つのみだったアライしゃん4の前に1人の若年アライさんが立っていた。
アライさん1「妹よ、久しぶりなのだ」
アライしゃん4「…!」
それは今も夢に出てきた1番上の姉、元アライしゃん1であった。
アライしゃん4は衰弱して動けないが、本心は泣いて抱きつきたい衝動に駆られていた。
ようやく家族が助けに来てくれたのだと、信じて疑わずに。
アライさん1もそれを感じ取ってか、ゆっくりとアライしゃん4に近づき、抱きしめて、家族愛を確かめる…
理由もなく、後ろ手に隠していた先の尖った木の枝で、アライしゃん4の首を突いた。
アライしゃん4「じびっ!」ドバドバ
動脈を傷付けたのだろうか、血が噴水のように吹き出す。
息絶え絶えになり、視界が狭くなる。
アライしゃん4「な…なん…で」ピクピク
アライさん1「アライさんも殺したくはなかったのだ」
アライさん1「でもどうせお前は弱って死ぬから、アライさんの食料になるのだ」
アライしゃん4「そ…そんな…ひどい…のだ…」ピクピク
程なくして動かなくなったアライしゃんをアライさんは食べ始めた。
淡々と食事をするだけで、特に悲哀はない。
最も早く成長したこのアライさんは、この期間に1人で生活する大変さに加えて、現実の残酷さを知り、そして、肉の味を覚えていた。
山奥で見かけた鉄の筒にアライしゃん2の手を見つけた。
空腹に耐えきれずに、食べてしまった。
川岸の岩にアライしゃん3の頭部の一部を見つけた。
味を思い出して、食べてしまった。
そして今日、衰弱したアライしゃん4を見つけた。
美味しそうだったから、殺して食べた。
家族の情がないわけではないが、空腹とあの味が忘れられなかった。
ただそれだけの感情しかなかったのである。
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妹の血肉を余すとこなく数日かけて食べたアライさんは、早朝から動き始めていた。
妹らが死んだ場所では、日中に人間がいる可能性が高い。
だから、夜から早朝にかけてが1番安全と考えたのである。
アライさん1「妹の分までアライさんが生きるのだ」
アライさん1「アライさんが天下を取るのぎゃああ」ドカアッ
いつもの口上を言おうとした瞬間、アライさんは何かと急に衝突して吹き飛んだ。
アライさん1「あああああいだいいいのだああ!!」バタバタバタバタ
腹は何かに抉られたようで、夥しい出血があり、アライさんは叫び声を上げながら、必死に腹を抑えている。
猟師ヒグマ「お? 確実に仕留めたと思ったんだけど、浅かったかな?」クビカシゲ
アライさんと衝突したのは、明確に狩る意識を持った猟師だった。
しかも、ヒグマのフレンズ。アライグマの天敵である。
アライさん1「ひぃい…くまさんなのだああ」バタバタバタバタ
アライさんはヒグマを認識し、慌てて腹を庇いながら、逃げ出す。
だが、ヒグマはアライさんの行動を見越してか、アライさんを追い越して正面に対峙し、
鋭い爪とパワーのある拳をアライさんの腹部目掛けて繰り出した。
アライさん1「みぎゃああああああああ!!!」ブチブチブチブチ
さらに深く傷が入り、腸が傷口からはみ出て、勢いよく血液も垂れ流されている。
普通の人間やフレンズであれば余裕で致命傷だが、治癒力の高いアライさんはこれでも死なない。
ただ、あまりに大きなダメージを受けたアライさんは回復のため動きが鈍くなる。
アライさん1「アライさんは…なにも…悪いことしてないのだ…」ビクビク
猟師ヒグマ「はいはい、テンプレ台詞ありがとう~」テキパキ
アライさんが弱り、動けなくなったことを確認して、
ヒグマはアライさんの言動を受け流しつつ、手足を拘束した。
完璧に仕留めず、生け捕りにしたのは、知り合いの料理人が鮮度を求めるからである。
それとヒグマにはもう一つ考えがあった。
猟師ヒグマ「コイツと交換で朝飯食べたいなぁ」ジュルリ