俺は寸胴を持って空き部屋から厨房に移動し、流し場の横にそれを置いた。
割と雑に置いたが、捕獲したアライさんたちは凝固剤が効いて熟睡中のため、起きる気配がない。
まずは、一番手間のかかる成獣のアライさんから作業するかな。
家アライさん「ずびぃー…ずびぃー…」zzz
何の緊張感もなく寝ているアライさんをまな板の上に置き、インシュロックで手足を固定した。
足のインシュロックを流し台上のフックにかけて、吊るす。
フレンズ特有の頭の大きさもあり、血が昇っているのか顔が赤くなってきた。
俺は引き出しからスティッキングナイフを取り出すと…
堂島「フンッ!」ドスッ
家アライさん「のだ!」グシャッ!
思いっきりアライさんの頸動脈に突き刺した。
家アライさん「」バタバタブルブルガタガタ
アライさんの首から勢いよく血が流し台に流れていく。
血抜きが終わったことを確認し、まな板の上に戻して首、両手足首、尻尾を切断して、毛皮(洋服)を剥いだ。
続いて腹を裂き、臓物を取り出して可食部を取り分けていく。
アラ脂やアラ骨を取り除き、成獣の精肉は完了だな。
食べることのできない爪を含む手足は猟師罠の餌に使うため冷凍保存、頭部は可食部が少ない上に、
フレンズ以外はまず食べないから、今日は処分しよう。
続いて、アライちゃん4匹を絞める、1匹すでに息絶えてるけど。
体長が5cmに満たないアライちゃんは串焼きにするのが一番旨いし、人気があるからな。
ついでに下処理と味付けもやっとこう。
家アライちゃん1「ビッ!」ダンッ
家アライちゃん2「ノリャッ!」ダンッ
家アライちゃん3「ギビッ!」ダンッ
家アライちゃん4「」ダンッ
出刃包丁で頭と尻尾を落とし、毛皮を取り除いたら、腹を裂いて臓物を引き出し、串に刺してオールスパイスを振りかけた。
ちなみに、幼獣は火を通すことで爪や骨も柔らかくなるため、切断は首と尻尾のみでいい。
腸も生きてるウチに洗浄すれば食えるが、手間が掛かりすぎる…俺はやりたくない。
最後に亜成獣のアライしゃん2匹の処理だ。
家アライしゃん1「ジビッ!」グシャッ
家アライしゃん2「…ん?…なんのおとなのだ?」チラッ
一匹目を血抜きしていると、まな板に手足を結んで置いていたアライしゃんが気がついたな。
少し時間を掛けすぎたせいで薬が切れたんだろう。
音のした流し台に吊られ大量出血する姉妹を見た瞬間、アライしゃんの顔は青ざめ、
家アライしゃん2「あああああおねぇえしゃああん!」ピギャー
絶叫した、お前が妹だったのか
その後、周囲を見渡し今度は母親の頭と幼獣の頭を見つけ…
家アライしゃん2「おかあしゃああん!いもうとおおお!?」ビグビグッ
家アライしゃん2「なんでくびじゃけなのだああ」グスグス
状況を理解できずにさらに泣き出してしまった。
さすがにこの状況での締めは気分が悪い。
もう一度凝固剤を取り出そうとしたとき…
猟師ヒグマ「堂島いるか〜?朝、山アライさん獲ってきたんだけど」ガラガラ
食堂の入口からヒグマのフレンズが山アライさんを抱えて入ってきた。
山アライさん「いたいのだあ…お腹がああ」フルフル
アライさんは腹から臓物をはみ出させ瀕死っぽい。
紹介がまだだったな、コイツは近所に住んでる猟師でヒグマのフレンズだ。
フレンズは特性を活かして一次産業に従事することが多いが、ヒグマで猟師をやってるのは、日本中探してもコイツぐらいだろう。
堂島「おう、おはよう!今、朝獲った家アライさん処理してるところだ」
猟師ヒグマ「了解、じゃあそっちで手足を縛るね…お!家アライしゃんじゃないか!」
家アライしゃん2「ひぃ!…くましゃんなのだああ」プルプル
アライしゃんはヒグマを見た瞬間、先ほどよりも強く震え始めた。
見た目がフレンズだから人間にはわからんが、フレンズ同士だと天敵がわかるらしい。
猟師ヒグマ「亜成獣が獲れたのは1か月ぶりぐらいだよね!丁度食べたかったんだぁ!」
アライしゃん2「あらいしゃんはおいちくないのだあ!」バタバタ
猟師ヒグマ「もしよかったら食べさせてよ!この山アライさんはタダでいいからさ!」ジュルリ
アライしゃん2「いやなのだあ!にんげん、はやくあらいしゃんをたしゅけるのだあ!」ジタバタ
おいおい、お前を拘束した上に、家族を全員絞めたのはもう忘れたのか?
山アライさんの成獣をタダにしてくれるなら、貴重とは言えアライしゃんの1匹ぐらい安いもんだ。
堂島「おーけー、交渉成立だ。山アライさん絞めたら飯にしよう、レシピは?」
猟師ヒグマ「やったああ!もちろん、私の大好物メニューで頼むよ!」
それなりに手間だが、今日の限定メニューにできるし、アリだな。
少し作るのに時間がかかる料理だが…腹はもつのか?
猟師ヒグマ「大丈夫だよ!待ってる間はその山アライさんのあまりでも食べてるから♪」
それなら大丈夫だな。
家アライしゃん2「だいじょうぶじゃないのだあああ!」バタバタ
山アライさん「あ…あらいさんは…おやつじゃないのだあ」ゼエゼエ
食材が何か言っているが、気にせずに、さっさと調理を始めるか。