※この作品はR-18です。

無能と蔑まれたTS転生者、実は男女比1対100の世界を終わらせる力の持ち主でした   作:さっきゅんx

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完結までに適正な長さってどれぐらいですかねえ
一応この作品は5万字辺りで見てます。つまりもう後半戦


第十話 王を尋ねて十三里

「タケリ、無事か!」

 そう言って村に飛び込んで来たのは、ツムジカゼその人だった。

 馬を飛ばしてきたのか、息を切らしながらもタケリの部屋まで一直線に駆けて来る。

 

「ムジカじゃねーか。なんでここに?」

「ああ。カヤからお前の容体を聞いて、居ても立ってもいられなくてな。

 状況によっては回復役を連れて来ようと思ったんだが……」

 と、ツムジカゼの視線が彼女の体に向く。

 

「もう元気そうだな?」

「ま、おかげさんでな。心配かけて済まないなムジカ」

「だからムジカって言うな!」

「ああ、そうそう」

 思い出したようにタケリが言う。

 

「回復役の件だがカナタが、寝室の上で回復出来る能力を手に入れたから、しばらく必要ないぞ」

「寝室っ!?」

 ツムジカゼが言葉に詰まって赤面する。

 

「いいかタケリ、そしてカナタもだ。

 その能力、絶対他の女には気安く話すなよ?」

 ボクらは彼女に釘を刺される。と言うか大っぴらに公言しないわこんな能力!

 

「特にツムグに知られると非常に面倒な……」

「ちょっと団長、それどういう意味よ?」

 

 間髪入れずに部屋の入口から顔を出すツムグに、ボクは思わず笑ってしまった。

——

 

 団長が再び騎馬団へ戻るのと同じ頃、ボクらもジューサンリ村へと出発した。

 ツムグとカヤは当然の様にボクの方についてきたが……もう考えない事にした。

 

 そしてジューサンリ村に到着したボクら一行。

 入り口こそ他の村と変わりなかったが、奥に進んでいくと鉄の鍛冶場やら、火薬の製造現場やら、明らかに他の村では見かけない進んだ文化が根付いていた。

 おまけに。

 

「数ヶ月前にもこの村に来たけど、こんなのあったかしら?」

 とツムグが言うので、おそらく発明王バンリがここ最近発展させたのだろう。

 

「あれ、あなた方は見覚えがあるです」

 声をかけてきたのは、確か隣のリョウエン村でバンリと呼ばれた者のそばにいて火縄銃を抱えていた女性だ。

 

「センリと申しますです。この村に何か御用です?」

 

 ボクが事情を話すとセンリの案内で、バンリの家まで案内してくれる事に。

 

「そういえば貴女がリョウエン村に来てた時、バンリとセンリの他に鉄砲持ちがもう一人いたような……」

 ツムグが疑問を投げると。

 

「ああ、それは多分ジュウリです」

 とセンリが答える。

 

「たまたま前回は我々二人が一緒でしたが、彼女とは担当部署が違うので一緒に行動することは稀です」

 

 そうなのか、とボク思っているうちにセンリの案内でバンリの研究所兼屋敷に到達する。

 

「おや、あんたか。また会えたね」

 と部屋の奥から立ち上がる金髪片眼鏡の女性。

 その空間を所狭しと無造作に埋め尽くすのは、今にも崩れそうな道具の数々。足の踏み場もないとはまさにこの事だろう。

 

「ああ済まないね散らかってて。何しろ客なんて滅多に来ないもんだから」

「バンリ様、こういう事もあるからせめて入り口ぐらいは片付けろ、と前から言ってたはずです」

「そう思うならセンリがやってくれたら良かったのに」

「私は貴女の助手であって母親ではないです」

「仕方ないジュウリ……は、別の用事を頼んでたんだっけ」

 

 発明王と聞いていたがどうやら発明以外はポンコツな人間であるらしい。

 このままだと話が進まないので、思い切って直球でセツナのコアの事を聞いてみると。

 

「ああ、あの自動人形の動力装置?確かに持ち帰ってるぞ」

 全く隠す様子も無しに、バンリは白状した。

 

『本当か、なら早く返すのじゃ!』

 バンリの返答にトークが、この間と同様に「素」の口調でそう声をあげる。

 

「へえ、喋る首飾りとは珍しいね。あんたにとって、よほど大事なものなんだな。

 ただ、申し訳ないがちょっと今は出せないなあ」

『何故じゃ』

「大きな集会が近くあると言っただろう?

 そこでどうしても必要だから、少し貸しておいてくれ。あ、絶対に破損させたり傷を付けないで返すって誓うよ」

『約束だぞ?』

 とりあえず、話の分かる相手で助かったと言うべきか。

 

『それにしても分からないのは、どうやってコアを抜き取ったか、なのじゃ。何か特別な能力持ちか?』

「いいや?私の能力は『鑑定』でね。

 それで自動人形の核の交換に使用する『解除コード』を唱えただけだけど」

『ぬおっ!その手があったか』

 

 いや、ぬおっじゃなくてさ。

 それって絶対設計ミスだよね。

 

「ジュウリ、ただいま戻ったであります!」

 そう声を上げて部屋に入って来たのは、センリとは対照的な元気いっぱいといった感じの女性。

 

「ややっ、見慣れない方々がいるであります!

 あっいや……どこかで見た覚えがありますな」

 

「そりゃリョウエン村で一度会ってるからな、ジュウリ。

 ちょうど良かった、客人に村の案内をよろしく」

「ちょ、ちょっと待つでありますバンリ様!

 自分、先程まで村をぐるっと見回りして来たばかりでありますよ?」

 バンリの提案に抗議するジュウリ。

 

「もう一周くらい良いだろ?ついでにイチリ王にも引き合わせておいてくれ、多分いつもの場所だろうし」

「あー、はいはい了解であります」

 仕方ないと言う口調でジュウリが答える。

 

「んじゃ皆さん、早速出発でありますよ!」

——

 

 ここは他の村と違い農耕も盛んらしく、畑仕事に精を出す人達も少なくない。

 

「これもバンリ様が最近もたらした物であります」

 ああ、ボクがリョウエン村に行ったのとほぼ同じか。

 と、そこで畑仕事の面々に軽く違和感が。

 

「あれ、畑仕事する中に中年男性が混ざってない?」

 とハルカ。

 

 そうなのだ。他の村では男は女を顎で使い仕事などしないのが常だ。まして畑仕事のような雑務など……

 しかも違和感はそれだけじゃなくて、その姿は人間というよりは、うん……

 

「アタイには、畑仕事というよりカバの水浴びに見えるんだけど?」

 とタケリ。ちょ、ボクが言葉を濁したのになんで直球で言っちゃうかなあ。

 

「良い良い。言われ慣れておるから気にしないぞ、ガハハ」

 畑のカバさんが豪快に笑った。

 

「ああ自己紹介がまだだったな。ワシがこのジューサンリ村の王、イチリである」

 驚くべき事に、彼はこの村の王様であった。

 いや村の男性の時点で王なんだろうけど、今までボクの訪れた全村の中で一番王っぽくないと言うか。

 

「まあワシが王っぽくない自覚はあるぞ、本来この世で生き続ける筈のない、間引きされてた筈の存在だからな」

 

「間引き?何やら穏やかでない響きね」

 ツムグがそう疑問を投げる。

 

「ふむ、せっかくだから聞いておくか?この世界の、歪んだ風習の一角を。

 多分お前さんがたは、この世界が男性が生まれにくいものだと教わっておると思うが……」

 

 そう前置きすると言う事は、真相は違うという事か。




⬜️ジューサンリ村キャラ(既出含む)
バンリ……発明王。私生活がテキトーなのが今回判明
センリ……事務系担当。語尾が必ず「〜です」(〜ます、を使わない)
ジュウリ……実務担当。語尾が「〜であります」

イチリ王……カバ園長、もとい村長。村民と一緒に農業に勤しむほど気さくな人柄だが?
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