※この作品はR-18です。

無能と蔑まれたTS転生者、実は男女比1対100の世界を終わらせる力の持ち主でした   作:さっきゅんx

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久々に新キャラ投入。以前話だけは出てきた子です。


第十四話 転送する渡り鳥と旅する発明王

 騎馬団の本隊が、団長の愛馬を引き連れジューサンリ村にやって来た。

 

「よしよし、元気だったかミツ」

 そう言ってムジカ団長が白い愛馬を撫でる。

 あれ?こう言っちゃ何だが普通の名前だな。ムジカ的にもっとこう、凄い命名だと思ったのに。

 

「あ、カナタ。ミツは略称で正式にはアマクトロケルハナノミツだよ」

 とカヤが補足してくる。

 

 流石団長、期待を裏切らないな!

 ってかどんだけ花の蜜に思い入れあったんだよ!これは定期的にスイーツをご馳走してあげないと駄目だな。

 

「ご無沙汰しておりますツムグ様ッ!」

 

 背後でそんな大声が聞こえ、振り返る。

 声をあげた騎馬団の少女は、燕尾服のような前のスソが短く後ろが伸びた黒い毛皮の服をまとっている。そのままだと必然的に下半身が丸見えなので、ホットパンツのような服をその下に履いている。

 首には赤いネックレスをつけ、なんと言うか全体の見た目が渡り鳥のツバメ、だ。

 

「あら元気だった、ワタリ?

 ああカナタ紹介するわ、彼女が以前話してた我がツムジカゼ騎馬団の転送能力者」

 ツムグがそう説明する。

 

 ああ彼女が。よろしく、ワタリ。

 

「ふん」

 

 ……あれ?

 なんかボクに対する態度が冷たくない?

 

 てっきり人見知りするタイプかと思ったが、その後ハルカやタケリとは仲良く会話しているのが謎だ。

 え、ボク何か悪い事した?

 

「ああ気にしないでねカナタ、ああ言う子なの」

 とツムグが言う。

 いや、気にしないでと言われても。

 

「ところでワタリ、頼んでたセツナ……あの自動人形は持って来れた?」

「それなんですが、あれはちょっと重すぎて馬では運べなかったですね」

 

 いやワタリの転送能力で今取り寄せたらいいだけでは。

 

「私の転送は送るだけの一方通行で取り寄せは無理!

 重さの制限もあるの!

 何も知らない癖に口出すな!」

 ワタリはすごい剣幕で、ボクに噛みついて来る。

 

「おいおい、そう言う言い方はないんじゃないかなワタリよう」

「あなたがカナタと敵対するって言うなら、こちらも付き合い方を改めるけど」

 ワタリのあまりな態度に、タケリとハルカが口を挟む。

 

「うっ」

 二人にそう言われて、ワタリは泣きそうな顔をする。

 ちょっと可哀想なような、自業自得なような。

 

『マスター、では今こそあの能力を試す時では?』

 あー、そうだなトーク。カヤとの絆で得た新しい能力があったっけ。

 

 ボクはその能力、「お取り寄せ」を使用する。

 程なく、目の前に現れる錆びた自動人形。

 

「うそ……」

 ワタリが目を丸くする。

 

 お取り寄せ、は文字通り遠くにある物体を自分の近くに引っ張って来る能力だ。重さの制限を受けない代わりに動いてる物体や生き物はダメという、ワタリの転送とは真逆の欠点というか制限があるが。

 

「でも凄いわよこれ。ワタリの能力と合わせたら、物の収納と取り出しが容易になる」

 ああ、アイテムボックス的な使い方が出来るのか。

 

「なんでこいつと協力なんか!絶対嫌だからね」

 とワタリに速攻で拒否られた。

 うん、アイテムボックスの道は遠そうだ。

 

 それよりセツナの復帰だな。本体にコアをセットして……

 

「……」

 

 あれ、起動したけど無言だけど。故障?

 

『いえ正常ですね。彼女には発声機能をつけてないので』

 

 なんだって!じゃあどうやって意思疎通するんだよ

 

《セツナ、筆談行けます。あと身振り手振りで》

 とセツナ本人が地面に「日本語」を書いて伝える。

 

「え、これ何て書いてあるの。ツムグさん読める?」

 とハルカが尋ねれば。

「さあ、わたくしも初めて見る言語ね」

 とツムグ。

 

 これはまた、癖の強い仲間が増えたもんだ。

 ——

 さて騎馬団の本体が合流したというのに、肝心の団長は何処だ?と思って探すと、何やらイチリ王と真面目な話の最中であった。

 ……何かあった?

 

「ああ、ちょっとだけ厄介ごとかな」

 とムジカが苦い顔をする。

 

「うむ、実はデスギルとツゲルが動いたようでな」

 とイチリ王が、こちらは感情を露わにするでなく淡々と告げる。

 

 えっとデスギルは前回同様に騎馬団任務の保険だろうけど……ツゲル?

 

「カナタ達を見逃した事で、少し立場が悪くなっているらしい。基本嘘をつく腹芸の出来る子ではないからな、誰かと違って」

「ちょっと、何故そこでわたくしの方を見るのかしら?失礼ね」

 ムジカの言葉に抗議するツムグ。

 

「ああ、でも心配だわ」

 

 いやいやツムグ、そんな母親じゃあるまいし。

 ……ん?

 

 何でムジカにツムグ、それにイチリ王まで狐につままれたような表情をしてるんだ?

 

「ま、まあ良い」

 何がどう良いのかわからないが、イチリ王が話題を変える。

 

「ところでバンリは来ておるか?」

「あーはいはい、徹夜明けを押して馳せ参じましたよ我が王」

「美容と健康に悪いから控えろと言っておるだろう、この発明バカが」

 イチリ王とバンリが軽口を交わす。

 

「まあ良い、ワシからは一言だけだ。

 バンリ、カナタの旅に同行してこい」

「……はえ?」

 これはバンリにとっても想定外だったらしく、ポカンとした顔になる。

 

「理由は言わなくてもわかるな……アレの件だ」

「あーアレですか。なら仕方がありませんねえ」

 村の王の言葉に発明王が納得する。

 

 ちなみに後で聞いた話だが、「アレ」には何の意味もなかったらしい。既に監視の耳が設置されている事を想定して、その場で思いついた即興だとか。すごいなこの二人。

 

「他にも理由はあるが、まずお前には優秀な助手が二人もいる。実務は二人に任せて大丈夫だろう」

「確かにジュウリセンリなら問題ないでしょうね」

「それにお前の能力は、きっとカナタ達の役に立つ。

 カナタも新たな嫁候補が出来て嬉しかろう」

 

 あー、その件ですがね。

 バンリは色恋沙汰に興味がないと助手の口から聞いてますけど?

 

「おっと勘違いされては困るな。確かに恋愛には無関心だが、性的な営みは研究材料として唆るね。何なら我が身を差し出すのも厭わない」

 

 えーっと、それにボクはどう返答せよと?

 ああでも、折角だから作って貰おうかな大人の玩具とか。




⬜️新キャラ
ワタリ……ツムジカゼ騎馬団所属の転送担当。
重たいものは無理など制限多し。
見た目がツバメ、燕尾服っぽい服装で嫉妬(エンビィ)属性持ち。
例によって鈍感ヒーローは何で絡まれてるか気づいてない様子
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