無能と蔑まれたTS転生者、実は男女比1対100の世界を終わらせる力の持ち主でした 作:さっきゅんx
さて村を出たボクら一行だが、ツムジカゼ騎馬団は別行動だ。それは団長は元よりカヤやツムグも例外でなく、ボクらから離れて本隊に戻った。
「寂しくなるわね、オヨヨ」
というツムグの嘘泣きが印象的だった。オヨヨなんて口に出して泣く人初めて見たよ。
——
「ヒャッハー!見つけたぜえー」
という聞き覚えのある声に振り向くと、現れたのはデスギル。そして、本当に嫌そうな顔でそれに付き従うツゲル。
「デスギル、こういう任務は普通こっそりやるものです。
こんな対象に目立つ形で姿を見せるものでは……」
「やかましい、今回の仕事はこのデスギル様が頭だ。
お前さんは助言だけしてればいいんだよ」
「その助言を聞く気がないから呆れてるのですが」
ああうん、苦労してるなツゲル。
「やいやい、バンリさんよう。
発明王と名高いがあんたが村を出たとなれば、これは特別任務を受けたに違いねえ。
洗いざらい白状してもらうぜえ」
「馬鹿ですか貴方は。そんな聞き方で彼女が教えるとでも」
「誰が馬鹿だ誰が。そんなもん尋問でも何でもすりゃいいだろうがよ」
ツゲルのツッコミに反論するデスギル。
コントかな、これ。
「あーそっかそっか、デスギルさんとやらはアレの事を知りたいのか」
「お、話す気になったか。素直な子は嫌いじゃないぜえ」
バンリの言葉に嬉しそうに返事するデスギル。
「フッ。やっぱあの時、イチリ王に口裏合わせて正解だったな。
ないよ、そんな物」
「へ?ない……とは」
「だーからー、私は君らの監視を逸らすための囮って事さ。
その様子だと、こっちに仲間を全員引き連れてジューサンリ村に見張り置いてないだろ?」
「な、何故分かった」
ズバリ言い当てられて動揺するデスギル。
「その可能性も示唆した筈ですよねデスギル」
「う、うるちゃいうるちゃい!そんな大事な件ならもっと重大だって言っておけって」
「それ、やった所で耳を貸しました?」
ツゲルは大きくため息をつくと。
「もういいです、わかりました」
と吐き捨てた。
「おっ、ツゲル。
いよいよその能力をこのデスギル様のために発揮する時が来たか。やいお前ら、このツゲルはその名も千里眼という能力の持ち主なんだぞ。
お前らが何か企んでようがマルッとお見通し……っておいおい、どこ行くんだ?」
「カナタ。クダク王とその取り巻きにはほとほと愛想が尽きました。わたしも貴女の陣営に加わらせてください」
そう言ってツゲルが、深々とお辞儀する。
ボクは構わないけど……と周囲を見合わす。
ハルカもタケリも、そしてバンリすら反対する気はないようだった。
「ななな、なんだこれ!なんだこれ!
クダク王を裏切るってか、ありえないからな!」
デスギルが激しく動揺する。
「うるさい、『転送』」
ふいにそんな不機嫌な女性の声がして、頭の大きさほどの岩がデスギルの頭上に出現する。
「グヘェッ!」
と落下した岩に汚い悲鳴をあげるデスギル。
えっ助けに来たの?ワタリ。
「アンタは嫌いだけど、デスギルはその数倍嫌いだから」
と、喜ぶべきか微妙な返事を彼女が返す。
「ほんと素直じゃないんだから」
笑いならツムグも姿を見せる。
続けてムジカ団長と彼女の率いる騎馬団も到着する。
「おまおま、お前ら任務はどうしたぁー!」
デスギルが本当に的外れな指摘をする。
「ジューサンリ村の脅威は知ってるはずだろ!
お前らがやってるのはサイハテのクダク王、いやこの世界全てに対する反逆ダァ!!」
デスギルが、彼にしては珍しく正論のような言葉を吐く。確かに、今の体制を維持したい者達から見ればボクらのやってる事は真逆に見える事だろう、でも。
「正直どうでも良いのだ、そんなのは」
「……は、はあああっ??」
堂々と言い放つムジカに、デスギルは心底信じられないという顔をする。
「守りたいものがある。それに立ちはだかる物は叩き切る。それだけだ」
そんな風に言い切るブレない彼女を、ボクはカッコいいと思った。
「まあ切るまでもないがな、お前のような小物。刀が錆びる」
「へ……見逃してくれるので?」
「んな訳ねえだろ、このバカちんが!」
そう言ってタケリが指をポキポキと鳴らす。
「どうやら前回の反省が足りてねえみたいだなあ?
半年くらいは動けなくしてやるから覚悟しとけや!」
「……グヘッ、ゲヒャー!」
「あーん、久々のカナタぁ」
そう言ってボクに抱きついてくるツムグ、そして。
「ところで、親子丼には興味あるかしら?」
そう耳元で囁いてくる。確かにトークが、以前彼女の娘の話をしてた気がするけど。
「あの……そこのツムグですが、わたしの母です」
えええええっ!
■今回発覚
ツムグ(母)ツゲル(娘)…まあわかりやすい伏線張ってたのでバレバレかもですが