無能と蔑まれたTS転生者、実は男女比1対100の世界を終わらせる力の持ち主でした 作:さっきゅんx
何もない空間にボクの体が浮かんでいる。
これは、夢?
「この姿で会うのは初めましてじゃな、カナタ」
銀の髪の白いワンピースの少女が現れ、話しかけてくる。ええと、どちらか様で。
『いや声と口調でわからんか?……まあ今まで名乗ってなかったからのう』
今度は同じ声がボクの首飾り、トークから響く。
って事は?
「そう。お主がトークと呼んでる存在の、本体というか精神体だと思ってもらえばよい」
精神体……。
「そろそろ頃合いだし、本名も名乗っておこうかの。
かつて妾は賢者トワ様と呼ばれていた」
トワ……それが君が本当の名前なのか。
「だから敬称を略すな!まあ、カナタには特別に許そう」
その賢者様が何故このタイミングでボクの前に?
「旅の終わりが近い、という事じゃ。セツナの導きで、お主達はある遺跡にたどり着くじゃろう」
遺跡?
「その場所で妾は待っておる。と言うか妾から会いに行けない状態でな」
封印されてるとか、そんな感じ?
「概ねその認識で間違ってない。そしてここに辿り着けたのなら、その時は妾の知る全てを教えると約束しよう」
本当?今までもずっと秘密主義だったのに。
「言っておくが内緒にしてたのは決して意地悪ではないぞ?そうすべき理由があったからなのじゃ」
眉をひそめて不満げにトワが言う。
それが外見と相まって拗ねた子供みたいで、ちょっとかわいい。
「ただ、無事に辿り着けるとは思わぬ方がいい。
おそらく向こうは本腰を入れて妨害してくるからな」
向こう?などと野暮な事はあえて聞かない。
秘密を知られて、というか世界の真相を広められる事で困る相手の心当たりは大体ついている。
「では健闘を祈っておるぞ、この古い世界を終わらせる破戒の救世主よ」
そう言ってトワが姿を消す。
世界を終わらせる破戒の救世主ねえ……また大層な称号を与えられたもんだ。
——
「そんな事があったのね」
ボクの言葉に、メンバーで最も博学であろうツムグが口を開く。
「わたくしの調べた結果とも概ね一致してるわ。つまり遺跡を目指して、賢者トワ様の封印を解いたらいいのね?」
「でカナタ。それについて首飾りのトークは何と言ってるのだ?」
ムジカ団長がそう尋ねてくるが……いや、それがね。
「その夢から覚めてから、トークが一切反応しない首飾りに戻っちゃったんだって」
とハルカがボクの言葉を代弁する。
「あとは自分で何とかしろってか。ケッ、相変わらず気まぐれと言うかケチ臭い白状な奴だな!」
タケリが吐き捨てるように言う。
本心から言ってる訳でなくて、それくらい煽ったら反論するかもと言う期待も込めて何だろうけど、返事が返ってくる事はなかった。
魂が抜けてしまった、そんな感じだろうか。
「まあ賢者様の言葉を信じようではないか。遺跡に行けば分かる、そう言ったのだろう?」
とは発明王バンリの弁。
「そして、それは単純じゃないとも。うん、それは間違いないみたい」
と口を開くのはカヤ。
「サイハテ村とその味方する村の……ものすごい人数がその遺跡の周囲に集まってるみたい。簡単には中に入れてくれなそう」
「なら我が騎馬団が突破口を作ろう。ワタリ、例のあれで行けるな?」
「イチジク作戦ですね、承知しました。
本当は面倒なんで、その男を転送で遺跡に直に叩きつけたい所ですがね」
なんか凄い物騒な事を提案してきた。そこまでボクが嫌いか。
「手荒な手段はナシだぞ。カナタの身の安全が最優先だ」
「はいはい……はぁ、なんでコイツばっかり優遇するのよ」
■賢者トワ様・・・トークの本体、らしい。のじゃロリ