※この作品はR-18です。

無能と蔑まれたTS転生者、実は男女比1対100の世界を終わらせる力の持ち主でした   作:さっきゅんx

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タイトルの十三里は、栗(九里)より美味いと評判の薩摩芋の事から


第七話 止まった刹那と十三里

「ここも通り過ぎた後、だね」

  そうカヤが呟く。

 

 あれから三つほど部族の村を、太陽の沈む方向へ渡って行った。いずれもセツナのいた痕跡はあったのだが。

 

「おい、いい加減にしようぜトークさんよ」

 少し不機嫌な口調でタケリが言う。

 

「セツナを探せ、ってさあ。ちっとも会えないんだがどうなってんだ?」

『はあ、これだから胸がでかいだけの筋肉女は』

 タケリの疑問に毒舌で返すトーク。

 

「あ、やんのかコラ?ぶち壊すぞ」

「ちょっとタケリ、落ちついて」

 ヒートアップしたタケリをなだめるのは、ハルカ。

 

「思ったんだけど、トークのセツナを探せと言ったのは別の意図もあるんだと思う」

『ほほう、いい分析です流石正妻。どう分析します?』

 

「んーと色々な部族の姿を見せることで、救世主としての修行をさせようとしてる?」

『良い線いってますが、100点満点の50点。あ、ツムグは答えちゃダメですよ?正解はマスターに出させたいので』

「——ちぇっ」

 

 どうやら自信があったらしい。

 実際ボクらが村を巡るのと並行して、騎馬団やその他のコネクションを駆使して色々調べてくれてるみたいなんだ。

 

「せっかく遺跡とか鍵とか封印とかの話をしようと思ったのにぃ」

『うわっ、やはり口止めして正解だったのじゃ』

 

 ……のじゃ?

 

『あっいや、ちょっと先日訪れたハザマ村のナミばあさんの口調を真似しました』

 いや確かにあのばあさん、そんな口調だった気がするけど。流石にボクでも気づく無理な言い訳だ。

 

「へー、それが貴女の素なのねえ」

 そしてこんな面白いネタを、ツムグが見逃す筈がない。

 

「じゃあ、貴女の“本当の”名前はズバリ二文字ね」

『そのお喋りな口を今すぐ閉じる気がないなら、トークはツムグの娘の事をマスターに暴露しますが』

「あら怖い怖い。じゃあお互いこれ以上は踏み込まないって事で」

『ええ、それが良いでしょう』

 何かよく分からない秘密のやり取りで二人が同意したのだった。

 

『仕方ないですね……大ヒントをあげます、カヤ?』

「——はえっ?」

 急にトークから指名され、ビクッとするのは植物と会話出来る能力の持ち主。

 

『錆びた鉄、の匂いを探させてください。

 この石器時代にはほぼ存在しない物質です、すぐ見つかる筈ですよ?』

 

 え、トーク。まさかそれって……

 

『はい、多分この世界でそれを知るのはマスターだけでしょうね』

 

——

 そしてついにボクらは、セツナと対面した。

 正確には、セツナだった物に。

 

『嘘……』

 トークは珍しく動揺を隠せずにいた。

 目の前の、錆びてもう動かなくなった機械人形を前にして。

 

『トークの見立てでは、あと百年は動く筈だったのですが何故こんなところで朽ち果てて……マスター、もう少しだけ近づいてくれますか?』

 

 動揺するトークの要望通りに、ボクは機械人形に近づく。

 

『……(コア)が抜かれていますね、道理で動かない筈です。電池の抜かれた玩具のようなものですから』

 

 電池、という言葉が理解できたのはボクだけで、ツムグでさえ首をひねっている。

 

「よく分からないけどセツナの体の構造を理解して、動けなくした誰かがいる、ということかしら」

『流石は参謀、持ち合わせの知識でほぼ正解を叩き出しますか』

「あら、褒め言葉として受け取っておくわ。

 でも困ったわね、肝心のセツナがこれだと我々の指針が無くなってしまった訳だけど、まだ貴方は正体を隠すつもり?」

 

『ちっ、食えない女ですね』

 トークは舌打ちをする。ただツムグの言う通り、トークは色々隠し過ぎる。正体とか目的とか、もっと心を開いて話してくれたらいいのに。

 

「ジューサンリ村」

 ふとカヤがそんな言葉を口にする。

 

「えっ」

『ほう』

 ツムグが驚き、トークが感嘆の声をあげる。

 

「そこの大木が教えてくれた。セツナのコアを持って行った人がそこにいるって」

『流石は植物使い。ふふ、まだトークの正体を明かすのは先になりそうです』

「ちっ、食えない首飾りだこと」

 今度はツムグの方が不機嫌そうに舌打ちした。

 

 過去にこの辺りを訪れたツムグの話によれば、ジューサンリ村までは山道を越える一本道で途中でリョウエン村を経由しなければならないらしい。

 

「つまりツムグ、途中に邪魔者でもいたら通れなくなるって事だな?」

「そういう事言うのやめなさいタケリ、本当になるから……あっ」

 

 かくしてフラグは早急に回収され、その一本道を山のようにデカい猪の魔獣が立ち塞がっていた。

 

「へっ、ここはアタイに任せな!」

 と魔獣の前に立ちはだかるタケリ。

 

 誰もが怪力持ちの彼女なら、今回も大丈夫だろうと安心しきっていたのだが。

 

「……んぎゃん!!」

 

 その突進力に彼女の身体があっさりと宙に舞い、岩壁に叩きつけられた。

 

「タケリ!!」

 悲痛な叫び声を上げるハルカ。

 

 重症を負って意識を失った彼女を見て、ボクらはタケリですら勝てない相手が存在する事を思い知ったのだった。




⬜️今回新キャラはいませんでしたが村の紹介

リョウエン村……次回登場のキャラは、縁にちなんだ名前です。
ジューサンリ村……こちらも登場予定のキャラが、里にちなんだ(以下略

セツナのコア……機械人形を足止めしてコアを抜き取るとか、只者ではなさそうですがはて、その目的とは
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