おっぱいメイド学園の世界で便乗したい 作:ぞでぃあっくSP
——皆はもし自分が『もっと!孕ませ!炎のおっぱい異世界おっぱいメイド学園!』の世界に転生したら何がしたい?
成り代わり?それとも催眠寝取り?はたまた別の何かか。
しかし幸運にも原作主人公である『
幼馴染ヒロインである
そしてその気がないというのは彼女に限った話ではない。これから先に会うメイドヒロインたちに対しても同様で、ほどほどの距離感で良いから接することさえできれば十分すぎるくらいだ。いや嘘ほんとはちょっとエッチしたい。
ちなみに言うと催眠はできない。
話は現在に戻って、ここはメイド喫茶『プリンセシール』。巨乳で愛想のいいメイドがいると噂のまあまあ繁盛しているお店だ。
"俺"と炎司がいつものようにだらだら過ごしていると、そこに見目の麗しい美少女がやってきた。
「ちょっと、二人とも居座るなら何か頼みなさいよ」
彼女の名前は『明堂
そして何を隠そう"俺たちの"幼馴染である。俺と炎司が営業時間外にも関わらずいるのもここが彼女の家族が経営している場所だからで、つまるところ俺たちは遊びに来ているのである。
「いいじゃんどうせ他に誰も客いないんだし。さて、石回収して~っと」
「……はぁ。炎司は置いといて"
「いやいや、いくら炎司が好きだからってそりゃ差別だよ。というかこの前注文した分で金はスッカラカンなんだけど」
「すっ!?——べっ別にコイツのことなんて好きじゃないけど!?誤魔化そうったってそうはいかないんだから!」
そこで萌衣が横目でチラリ。
……炎司はこちらを一瞥もせずにソシャゲをやっていた。
炎司は原作における主人公のデフォルトネームだ。
昨今の創作キャラは名前に火とか風みたいな属性系を入れるのがだいぶ減ったからこの原作がある世界でも結構珍しい名前だ。
それと話の流れから察してるかもしれないけど俺が洲羽で、紛らわしいが洲羽は下の名前である。
「「(はぁ……)」」
てなわけで、作戦は今日も失敗だった。
実は炎司をその気にさせるため、俺と萌衣は裏で結託してるのに結果はご覧の通り。
ちなみに萌衣のツンデレっぽい何かは演技ではなく9割素でやっている。炎司のやつが変態だからなぁ。言葉の応酬が癖になっちゃったんだろう。
たぶんそのついででツンの波動に巻き込まれてるわけだが、残念ながらデレるのは炎司にだけなのでこれを俺がツンデレと称して良いのか俺の脳内では日夜議論が行われている。
ちなみに今のところの優勢は『転生者だし神視点に近いからツンデレと表現してもいい派』だ。しかし仮に『○○ってツンデレだよなー』と言ったとして、言ったそいつは別にデレられてないってなんかちょっと微妙じゃないか?
いや……逆に好かれてる奴がツンデレに言及する方が無神経でヤバいな……。
「(ツンデレとは形なきものゆえ創作でしか味わえぬものと見つけたり――)」
え?実際にツンデレを見てる感想?
ぶっちゃけニヤニヤしちゃうし見てるだけでドーパミンがドバドバだよ。実質ドパガキ領域展開だよ。
「(それに周囲には”愛想の良いメイド”で通っている女の子が素を出す相手に自分も含まれてるって思えば結構悪くないね)」
ここまで色々言っといてアレだが炎司は決して朴念仁ではなく、萌衣の好意には気づいている……なんてことはなく、本当に気づいてない。
記憶は曖昧だが原作序盤において萌衣の嫉妬に気づく一方で、好意には気づいてない描写があったので間違いない。
恋人でもなんでもないのに胸を揉みしだいたり、平気で顔を埋めに行くようなヤツだけど、さすがに相手は選んでいるし少なくとも俺は萌衣とその母親の真亜紗さん以外にしてるのを見たことはない。
『好きな男が自分の母親の胸に顔を埋めて喜ぶのってわりと微妙じゃないか?』とは思うものの、そこはエロゲヒロイン&主人公。多少怒るだけで幻滅とかは全くないから安心だ(?)
勿論俺にそういったエッチな感じの展開はないが、許されるなら俺だってあの巨乳を揉みまくりたい。
でも無理。主人公である炎司は"揉んでも許される"のであって別に揉む許可を出されているわけではないからだ。
要するに——。
「(現代社会で女性の胸を無許可で揉むとか不可能スギィ!!)」
――俺は『おっぱいメイド学園』をプレイしていたけど、だからと言って主人公の真似ができるわけではないという事だ。
あ、一応原作の地の文をリスペクトして巨乳とは言ったものの、実際の萌衣は爆乳なんだ。
あの乳袋メイド衣装は歩くたびに揺れるから、萌衣がいると部屋中の視線が集まる。ヤバい奴だと萌衣の接客中にテーブルで見えないとでも思っているのか、ズボン越しにチンコをイジってたり、なんか突然イカ臭くなる奴もいたなぁ。
チンポジをちょっと直すくらいなら百歩譲って時と場合を選べよとは思うが一旦スルーだ。メイドが目の前にいるときにチンポジを直すのはだいぶおかしいのだがそれでも最初は黙殺される。
でも何度も弄り続けるのはアウト判定で、言うまでもないがイカ臭くなった奴は即出禁になった。
まあでもそんなのは極稀で、大体の客は紳士的に胸を眺めているからこの店の治安はかなり良い方だと思う。
で、何故俺たちがそのメイド喫茶にいるのかと言えば炎司が大のメイド好きだからだ。
そして美少女やメイドは普通に好きだけど普通程度な俺がそれに付き合っているのは、先に答えだけ言ってしまうと『俺が転生者で、原作の流れを知っているから』だ。
ここは『もっと!孕ませ!炎のおっぱい異世界おっぱいメイド学園!』の世界。
……厳密に言うと今いるのは転移前の世界で、舞台は異世界なのだがそこは割愛。
一応情報整理のためにも軽く原作についておさらいしておこう。
——主人公がある日ソシャゲで神引きをした結果、その場にいた明堂(※萌衣)母娘も巻き込んで異世界に転移してしまい、そこで彼らは9人の呪われしメイドと会うことになる。
そのメイドたちは呪いのせいで主人に仕える事が出来ず、メイドの憧れである大会に出ることができなかった。
しかし"異世界出身"である主人公にその呪いは適用されず、彼がご主人様になれば大会に出られると聞いて皆は大喜び。
主人公も大好きなメイドだらけの世界でエロかわいいメイドの主人になれると歓喜し、彼女らとのドスケベご奉仕ライフが始まる――といった感じの作品だ。
分かるだろうか、俺が何に期待しているのかを。
俺がやりたいのは『同じ異世界出身者として便乗し、あわよくば原作ヒロインたちとエッチすること』だ。
正直に言えば不安はある。
俺が転生者であることが悪いように作用して呪いが適用されてしまうとか、そもそも転移で弾かれるとか色々考えてしまう日もあった。
だが、そんな日々ももうすぐ終わる……最近の俺はそんな予感がしている。
一心不乱にソシャゲをやる炎司に萌衣が突っかかるのを眺めていると、ふと奥の方でドアを開く音がした。
「あらあら二人とも、今日も来てくれたのね~」
「……むっ、この声は
「いやこの時間は私とママしかいないの知ってるでしょ……てか普段から声聞いてるから当たり前——ってママ!?何その恰好!?」
現れたのは萌衣の母親の真亜紗さん……なのだが、メイド衣装の露出度が常軌を逸していた。
「(あの服装は……っ!まさか……今日なのか!?)」
「ふふ、ちょっと衣装を新しくしてみたの〜。似合う?」
そう言いながらくるくる回る真亜紗さん。
上は明らかに布のサイズが合っておらず胸がはみ出している。かろうじて覆えているが下乳も上乳もガッツリ見えるし肌色面積が多くて心臓に悪い。
さらに下は水着?を着ているようだがいわゆる紐であり布面積が明らかに小さい。現に彼女の鼠径部がベール横から見えていて――あ、やば勃った。
立ち上がれなくなった俺をよそに、先ほどまでソシャゲに夢中だった炎司が無言で立ち上がった。
「真亜紗さん……!俺……俺……っ!」
「いいわよ
「わぁい、ばぶばぶ」
一応俺と萌衣の目があるのに全く気にしない素振りで、炎司は真亜紗さんのおっぱいへ布越しにむしゃぶりついた。
炎司がああやって甘えるのはもはや見慣れたものだ。
「あらあら……んっ……まるで赤ちゃんね。いっぱいミルクあげないとかしら?」
「!?ばぶばぶ、真亜紗ママ!直で飲ませて!」
いや……うん……やっぱりちょっとキモいわ。
「仕方ないわね……ちょっと待――」
「ストーップ!ストップ!何やってんの2人とも!」
真亜紗さんがおっぱいを露出しかける寸での所で萌衣が止めに入ってしまった。……惜しいな、あともう少しで見れたのに。
「どうしたの、萌衣。いつものことでしょ?」
「いやいや存在しない記憶を植え付けてこないでよ。それにほら、洲羽もいやらしい目つきだし」
やば、勃ってるのにこっち見んな。
「酷い言いがかりだよ。確かにいつもの服装とは違って大胆だと思うけど幼馴染の母親に興奮なんてしないって」
「おぉん?喧嘩なら買うが?」
「じゃあ俺も真亜紗さんに抱き着いていい?」
「駄目だ。真亜紗さんは俺だけのメイドだぞ」
「……私のママなんだけど?——って洲羽、アンタ"そうなってる"癖によく言えたわね……」
萌衣の視線の先、それは俺の股間に向いていた。
幸か不幸か、炎司の度重なるセクハラである程度の耐性がついているのだろう。彼女は呆れ顔になりつつも、責め立てるような事はしてこない。
かと言って直接的な言葉は避ける辺りが恥じらいを感じて……とてもよろしいですな!
「(というか服越しとはいえ、原作ヒロインに勃起見られるのは恥ずかしいけど興奮がヤバいな)」
勿論既に萌衣は視線を外しているが、俺は変わらず勃ったままだ。
"ヒロインに追い出されるわけでもなく、勃起していることを許容されている"。
俺にとってこの世界が主人公とヒロインたちの為だけのものという認識があるからこそ、その事実はたまらなく背徳的だった。
「勃起も駄目だぞ」
「まさか炎司が処理する……ってコト!?」
「「やめてくれ」」
萌衣がなんかホモ界のハチ〇レみたいな事言い出したので即座に否定する。
再び真亜紗さんを交えて言い合いを始めた二人をしり目に俺は少し考えることにした。
意外と萌衣って冗談が好きなんだよな。見た目が某アプリゲームのキャラに似てるから印象を固定されがちだけど実は彼女ってそんなにツンデレというわけでもないというね。
なんなら炎司が『真亜紗さんのために来た』というのを『私が好きで来てるのよねー?』と訂正させるぐらいにはデレている。
ついでに自分の母親に対抗して炎司におっぱい押し当てることもよくある。
うーん、よく考えたらめっちゃ好き好き伝えまくってるな……。
おっぱいはめっちゃ揉むのに合体はしてないのがマジで謎すぎる——あれ、してないよな?2人は互いで経験済みなのに俺だけ童貞とかじゃないよな?
そもそも傍から見たら行為の有無に関わらず、カップルに混じる男という悲しい構図にしか見えな——。
…………あまり深く考えないようにしよう。
俺が思考の海から浮上すると、ちょうど炎司が例のメイドガチャを引くところだった。
「うおおお来いー、出ろー☆5ー!タァァァーップ!」
と言いながら炎司はむにゅん、と萌衣のおっぱいを突いていた。
大きくて弾力のありそうな胸に人差し指が差し込まれ、彼女のメイド服がわずかに押し込まれている。
「……んっ♡——ってそこは私のおっぱいでしょーが!しかもピンポイントで乳首!」
「おぉっと、間違えた間違えた」
「ゴクリ……」
乳首という言葉に反応して思わず生唾を飲み込む。
僕はね、士郎。ヒロインが主人公のセクハラをギャグのノリで流すのが大好きなんだ。
なーんて内心でふざけてみたものの、俺は不安と緊張が最高潮に達して心臓が早鐘を打っていた。
何せ先ほどの『真亜紗さんが大胆な服を新調する』ことから始まり、『ガチャを引こうとした主人公が萌衣のおっぱいを突く』シーンはまんま原作の冒頭と同じだからだ。
そして最後に『主人公が存在しない超級レアを当てる』ことが発生すればその瞬間、異世界に飛ばされる。
異世界転移するのはガチャを引いた主人公だけではなく、周りの人間も対象だからそれに俺も巻き込まれれば成功だ。
本当に行けるのか、それとも取り残されるのか。
あるいは異世界出身者にメイドがかけられた呪いは適用されないと言いつつも、主人公じゃないから不思議な力が働いて呪いの対象になってしまうのだろうか?
「引くならさっさと引きなさいよね!」
「じゃあ今度は本当に引くぞ!……あ、どうせなら洲羽も引かないか?」
「…………え?」
一瞬呼吸が止まった。
原作にない展開で、その原因は紛れもなく俺だった。
「いやそんなに驚くような事か?一緒に引こうぜ」
「す、洲羽もやってたのね……」
それぞれの反応を聞き流し灰色の頭脳を巡らせる。
……前提として、原作にいないヤツがいる時点である程度は原作を乱していると思う。
ただそれはある程度ぐらいにとどまっていて『どうせ原作崩壊してるんだから好き勝手やろう』と言うほどまで変わっているとは思わない。
明堂母娘との関係も、転移前にいる場所も一連の流れもほぼ変わってなくて本当に幼馴染が1人生えたぐらいだからだ。
原作の流れを踏襲するために俺は敢えてガチャを拒否すべきだろうか?
俺がここにいる時点でタイミングとか何かこう……乱数みたいなものは変わってるのだろうし、逆に言えば引く必要もないと言————。
「(いや、待てよ……むしろ俺は"主人公に勧められて"引かなきゃいけないんじゃないか!?)」
その時、俺に電流走る。
確かに原作の流れは俺の脳内にあった。
しかしエロゲーとは主人公を取り巻く物語であって、とくに今作のような主人公が能動的に動く作品なら流れとは主人公の行動そのものを指す。
いわゆる『物語の中に主人公が生まれるのか、主人公のような人物だから物語が生まれるのか』というやつだ。
それに従うなら、一連の原作通りの展開が進む中で俺がやってはいけないのは主人公の勧めを断ることだろう。
そうして断ったが最後、ガチャを引かなかった俺は取り残されて主人公と明堂母娘はなんかメイド因子(※そんなものはない)を持ってるからついでに異世界へ引き寄せられたのだった……!みたいな理由付けがされて俺以外が転移してしまうんだ、たぶん。
心を決めた俺は立ち上がり、スマホを構えた。
「フフッ、俺は手強いぞ?」
「いや何の話よ、普通にガチャ引くだけでしょ」
「あまいぞ萌衣!既に勝負は始まっているっ!」
「……はいはい二人でさっさと引きなさい、それで良いキャラでたら注文しなさいよね」
あ、まだその話続いてたんだ……。
緊迫感を出し始めた俺たちから萌衣はそそくさと離れるように——ってアレ?萌衣が離れたらまずい?いやでも原作で店の奥にいた真亜紗さんが転移したんだから大丈夫か。
目線で頷き合い、俺たちはガチャを引いた。
「「タァ―――――ップ!!」」
ポチッと、自分のスマホのガチャ画面を押した。
しかし俺の目は当然ながら炎司に向いている。これでいつもと違う演出が起きれば——ああ、間違いない。
やけに長いガチャ演出に炎司が違和感を、そして俺が期待を抱き始めたころ、俺は自分のスマホも"同じ演出"が起きていることにようやく気付いた。
自分に転生者らしい展開が存在したんだなぁ、なんてちょっと場違いなことを考えながらボーッと画面を眺めていると、それは唐突に訪れる。
「!?何だコレ!こんなレアリティ知らな——」
「え?なんか光が——」
あっという間だった。
部屋中を二つのまばゆい光が満たし、俺と炎司、萌衣も真亜紗さんもその光に飲まれていく。
薄れゆく意識の中で何か安心でもしたのだろうか。自分が勃起していることに気づいた俺は思わず苦笑したのだった。