おっぱいメイド学園の世界で便乗したい 作:ぞでぃあっくSP
メイド学園に入学する俺たちは学生寮で生活することになった。
ちなみに真亜紗さんは理事長が近隣で所有する物件があってそこに住む形だ。
——今は転移初日の夜、お風呂や食事も済ませた後で俺は自室のベッドに身体を預けている。
そこで思った以上に自分が疲れていたことに気づき、何となくボーっとしていた。
「(……ここに転移できて本当に良かったな。ファヴニーラさんがいなかったら死んでたのもそうだけど、理事長のおかげで住む場所にも困らずに済んだ。あと今思えば自分のスマホで異世界召喚を決行したのは軽率だった)」
別(俺)のスマホから出てくる魔法陣の行き先がここじゃない可能性は十分に想定できたからだ。
「(でも間違いではなかった……と思う)」
『あそこで断ったけど一緒に転移する自分』が俺にはどうにも想像できなかった。
「(ま、どんよりした話は置いておこう。それにしても明日から学園生活が始まるんだよな……てことは“アレ”のタイミングで胸を揉むチャンスが——やば、勃ってきた)」
“アレ”とは。
敢えて迂遠な言い方をするなら、転移してきた翌日の出来事の1つだ。
「(もう1回シミュレーションしておくかな)」
物語序盤のよく覚えているシーンであり、原作知識を活用すれば成功率は高いがそれでも失敗はしたくない。
……よく覚えてるとは言いつつも、実は順番が前後して記憶している可能性だけは正直に言っておくが、問題のタイミング自体は確定で掴めるのでそこは不安じゃなかったりする。
改めて明日の主な出来事を順序立ててみよう。
転移した翌日、主人公は連絡用のスマホを貰ってメインヒロインとその母親も含め繋がれるようになる。
そのあとに学園のメイド喫茶で真亜紗さんとローレシアさん(マキナという金髪縦ロールお嬢様の母親)の接客を受ける。
次に昼休みの中庭で、リグジュアル(中二病ヴァンパイア)、リリエラ(奥手サキュバス)、ディゼニア(メスガキ)に会って一緒に弁当を食べる。
で、そのあとに学園入り口辺りでクリムヒルデ(ポンコツ女戦士)とエイベル(嬉ションオオカミ)に会って絶頂合戦を見守る。
そして放課後は主人公の部屋にミュンミュン(褐色エルフギャル)、マキナ(元没落貴族のお嬢様)、萌衣(幼馴染)、ミーナ(銀髪美少女アンドロイド)、アナ(主人公だけが触れるゴースト系美少女)の5人がやってきて一日が終了する。
キャラ出すぎじゃない?と思うかもしれないが、いわゆるキャラ紹介も兼ねた顔見せだ。
原作ではこの後からヒロイン選択画面に入るので、誰のHシーンから見たいかをプレイヤーが決められるように詰め込んだ結果なのだろう。
ということで翌日の流れは大まかに把握しているわけだが……どれが俺の言う“アレ”か分かるだろうか?
いや出来事と言いつつ中身をほぼ省いてるからこれで分かったら変態だ。既プレイヤーなら中身は知ってるだろうけどそれでも厳しいと思う。
答えは————5人が炎司の部屋にやってくる放課後だ。
詳細を説明しよう。
5人の中の1人、アナはゴーストであり触る事も触れられる事もできない。
しかし異世界から来た主人公"だけ"は彼女に触れることができる。
…………ん?、と思った人もいるだろう。
異世界人が理由なら萌衣も真亜紗さんも触れるはずだと。
それは正しい。
実は俺も触れる事は確認済みなので、異世界出身ならおそらく触れるのだろう。
では何故『異世界から来た主人公だけ触れる』という紹介がされていたのか。
これも勿論理由がある。
それは語感が良いから……ちなみに冗談ではない。
俺が触れた事実をもとにして言えば、正しくは『異世界から来た人だけが触れるゴースト美少女』になる。
しかしそれでは特別感を損ねるし、主人公以外が触れる不安を煽ってしまう。
だから敢えて謳い文句を主人公に限定したのだろう。
しかし当然ながら、そもそもの理由付けが『異世界から来た』ことに掛かってる以上は明堂母娘が触れる事実は消えない。
そこで考えたのが『作中で触らせる機会がなければ問題なくね?』という事だったのだろう。
実際俺が覚えてる限りで明堂母娘がアナに触る描写は一切なかった。
さしあたって件の放課後で集まる時もそうだ。
主人公が『俺は触れちゃうんだよな』と言った時に萌衣が何か反応を示す事はなかったのである。
つまり原作においては明堂母娘が自分たちが触れる可能性に気づかず試してなかった、というのが推察だ。
話を戻そう。
主人公はアナの胸を突然揉みしだき、触れないはずの存在に触れる彼にメイドの1人が驚きを示す。
そこから次々と胸を揉んでいって揉まれてないのはマキナのみ、という状況になる。
自信家——というよりもノリがいいマキナは『最後はやはりこの私という事ですわね!』みたいな事を言って、主人公に揉まれにいくのだがなんと主人公は一度断ってしまうのだ。
そこが隙だ。
「(拒否された直後、マキナがぞんざいな扱いを受けたその瞬間だけ俺が揉んでもおかしくない状況ができあがる)」
ちなみに一度断るという言葉から分かるように、そのあとすぐにマキナも主人公に揉まれる。
だからその前だ、主人公がアクションを起こす前に差し込まなければならない。
そうすれば……俺はヒロインの胸を揉む事ができるのだ。
「(あー、ムラムラする……)」
半ば無意識でパンツに手を突っ込みペニスをイジる。
自慰ばかりが得意な淋しい手だ。
でもそんな俺の手が巨乳を揉めるかもしれず高揚感がある一方で、実感が湧かないのもまた事実だった。
「(一旦、顔洗うか)」
どこか浮ついた自分を自覚し、手を洗うついでに顔で水を浴びる。
これは大前提だが、炎司の行動は俺の存在有無でほぼ変わらない、というのが俺の結論だ。
というのも転移前に萌衣と真亜紗さんの胸を揉みまくった話を俺が知ってるように、炎司は俺がいようと気にせずに胸を揉むからだ。
だから俺がいて会話内容が変わったり時間がズレこんだりはあるかもしれないが、炎司の行動基準はズレてないということだ。
それとこれも大事なことだが呪いの影響を俺も同様に受けないので、当然ながらかなり好意的に見られている。
炎司のように好感度激高とはいかないが、それは俺がご主人様ではないだけで呪いの影響を受けず仲良くなれる異性という点は全く変わらないからだと思う。
「(…………)」
取り留めのない考えが巡り続け、俺はベッドに入ってから1時間ほどでようやく眠りにつくことができた。
——そうして迎えた翌日も気づけば放課後になっていた。
授業内容には困惑しっぱなしで退屈なんて感じる暇がなかったのは、まあ……良かったのだろうか?
「(メイド国語にメイド社会科、メイド書道……マジでパワーワードすぎる)」
補足すると、メイド国語ではメイドの言葉遣いなどを学び、メイド社会科では伝説のメイド(ヒロインの母親たち)と魔王との戦いの歴史を学ぶ。
俺と炎司は授業では実践相手として期待されているようで、授業すべてがそうだったわけではないがほんの少しだけ居心地が悪かった。——炎司は全く気にしてなかった辺りは、さすが主人公と内心で舌を巻いた。
余談だが学園に2人の実践相手役がどちらも同じクラスにいるのは呪われしメイドたちのためで、他の学生メイドにはご主人様がいるから不満は出なかったようだ。
それと授業を終えて気づいたことがある。かなり重要な事実だ。
それは“この世界におけるメイドの定義が、屋敷で主に仕える存在とは限らない”可能性だ。
おかしいと思ったのは、メイド書道とメイド美術という授業だ。
その2つを聞いてパッと俺が思い浮かべたのは、綺麗な字で主の評価を上げるとか、絵で主を楽しませるとか審美眼を磨くといったものだが、実際は全く違った。
なんとメイド書道は『オムライスに名入れする練習』でメイド美術は『ラテアート(と主のスケッチ)』だったのである。
……俺は思った。『これって主人に仕える心得じゃなくてメイド喫茶のイロハじゃね』と。
思えばおかしい部分はいくらでもあった。
真亜紗さんの経験を買った理事長だが、『お客さんをご主人様に見立てて接客する喫茶店です』と説明されてそれに頷いていたこと。
この女学園におけるメイド喫茶の需要云々以前に、本物が客をご主人様に見立てて接してたら違和感があること。
一応名入れもラテアートも仕えるご主人様を楽しませるためと思えば道理が通らなくもない……が、実際にご主人様役をしたらどう見てもメイド喫茶の対応だったのでおそらく違う。
「(とはいえこの学園の卒業生がエリートメイドとして輩出されているのもまた事実。たぶん俺が考えすぎなんだろうな)」
俺が考え事をしていると幾分か時間が経ってしまったようで、何人かは席を立って既に炎司の姿も無くなっていた。
まあ今回は炎司に付いてく必要はない。本命は——。
「萌衣はこの後どうする?」
俺は5人のうちの1人である幼馴染に声をかけた。
「私?私は皆が学園内を案内してくれるっていうから一緒に行くんだけど……」
——そう。原作の場面に立ち会いたいけど時間が分からないなら当事者についていけばいい。
放課後と言いつつも授業終了直近とは限らないので、部屋を訪れる5人に紛れるのが安牌だ。
ちなみに言うと、炎司にずっと付きまとう案は早々に除外した。
大好きなメイドの国に来てご主人様となった彼なら、『一旦別行動しないか?』と言ってハーレムを味わうために俺を遠ざけるのは目に見えているからだ。
あと何かを察した炎司に『今日は俺の部屋に来ないでくれ』と言われてもアウトだ。
明らかにご奉仕に来たメイド5人とその部屋主の炎司という状況に混ざるためには、炎司の意思を汲み取れない方が都合がいいのである。
ついでにいくら炎司が俺の前だろうと構わずに胸を揉むからと言って、それは俺を認識していないわけではなく、間違いなく許容ラインが存在している。
それは例えば転移直前の時。炎司が幼児退行して真亜紗さんの母乳を飲むためにおっぱいの露出を促した時がそうだ。
結果的に露出は防がれたが、仮におっぱいを出しても“俺には見えないように”隠したんじゃないか、と今も思っている。
まあ要するに、炎司に付いていったら最悪俺が部屋に向かう大義名分を失うかもしれないってことだ。
だから俺の言う言葉も決まっている——の、だが。
「それって俺も一緒に行っていいやつ?」
口から出た言葉はかなり弱気になってしまった。俺は弱き者……。
いや、原作では炎司の部屋に来るまで何してたか知らなかったけど、それが学校案内で主人公を連れて行かなかったのなら女だけで行きたかったのかもしれないって思っちゃったんだよね。
「?良いに決まってるじゃない。一応聞いてくるけど、1人増えたからって文句言うほど皆はそんな狭量じゃないわよ」
「……だよね、頼みます」
「(もしかして俺って結構卑屈?)」
原作通りのメンツに話しかける萌衣を眺めながらちょっとだけ落ち込んだのだった。
………………
「ここが学園の誇るメイド喫茶ですわ!昨日に理事長が案内してるのでご存じでしょうが、学校案内となったら外せませんの。ちなみに私のママもたまにいますわよ!」
現在の俺たちはメイド喫茶におり、そこでマキナさんによる熱烈なPRを受けていた。
「へぇ~、放課後なのに結構人がいるんだね」
「確かにそうね。食堂みたいにてっきり昼休みの時間がメインかと思ってたけど違うの?」
俺は以前に女学園のメイド喫茶需要が云々と上から言っていたが、恥ずかしながらそれは見当外れも良いトコだった。
何故ならここは普通に学食として需要があり、書道や美術の授業内容も加味すれば実践が積める場所として機能しているからだ。
「ええ。時間の関係上で昼休みには提供できない料理もあるので、むしろ放課後こそが本命という方も珍しくありませんわ」
「なるほどなぁ」
どや顔のマキナさんが言うように、辺りを見渡すと何人かの生徒は確かに時間のかかりそうな料理を食べていた。
そんな中で動き回っている人の中には真亜紗さんもいる。
「あ、ママだ。……もう馴染んでる」
「萌衣は明日からだったっけ?頑張れ~」
「当然よ!私も負けてられないし」
真亜紗さんはおっとりとした雰囲気ながらも淀みない動作でホールスタッフをこなしていた。
ある意味ではこの世界に一番順応している人かもしれないな。
…………………………
メイド喫茶を後にした俺たちが次の目的地へ向かう、そんな最中だった。
「そういえば洲羽様は“あしながご主人様たち”なのでしょうか?」
「え、何それ」
会話が途切れた時にふと、マキナさんが訊いてきたその言葉は。
原作の微改変が成功していたことを俺に確信させた。
——あしなが主人様。それは一部ヒロインが主人公に恩義を感じるきっかけとなった原作の出来事だ。
物語の最序盤で出るので重要と見せかけて別にそんなことはなく、かと言って無かったら困るという何とも言えない設定でもある。
経緯を説明すると、そもそも主人公が転移するきっかけとなったソシャゲは実はこの世界と一部連動していた。
例えば『没落貴族を救え!』というイベントをやったおかげでマキナさんのお金問題が解決していたりだとか、『お腹を空かせた獣人メイドに食べものを与えろ!』をこなした結果でエイベルさんの発育がとても良くなったり……だ。
で、連動はしていたがソシャゲを介しているので諸々を救ってくれた存在が誰か分からない。
だから姿無き後援者として“あしながご主人様”と呼称していた、という経緯だ。
無かったら困るのは、このソシャゲで救われたヒロインがいるから。
そのわりに物語の中で重要じゃないのは、救われたヒロイン以外もぶっちゃけ普通に好感度高い状態で始まるから。
……その好感度が高い理由が『呪われしメイドたちのご主人様になれる』ということなので、ある意味ではヒロイン全員が救われた存在とも言えてしまっていて結果的に比重が軽くなった、ということだ。
「あー、アレよ。ほら、炎司と洲羽がやってたソシャゲあるでしょ?そのゲームがこっちの世界で影響与えてたらしいのよ。で、炎司が『それは俺だ!』って言ったもんだから『じゃあ“もう1人”のあしながご主人様はもしかして……』ってことらしいわ」
俺が答えに窮しているような素振りを見せると、萌衣がちょっとだけ呆れた態度で疑問を解消してくれた。
というか理解力EXかな?メイド喫茶の人気メイドは伊達じゃないな。
「…………そういうことね、把握。ちょっと待って——えーっと確かスクショを撮った記憶が」
「いやなんで圏外で使えないのにスマホ持ってきてんのよ……」
「ついクセでね。ポケットにないと違和感あるじゃん」
アゼルバイジャン。勿論クセは嘘だ。まさに今みたいな状況のためにわざと持ってきた。
俺は思わせぶりに元々のスマホを起動し“フォトアプリ”を開き、偶然にも幸運で都合よくスクショしていた“没落貴族を救った時の画面”やその他の呪われしメイドたちに関係する画像を何枚も見せた。
しばらくスマホをじっと見ていたマキナさんだったが、それから俺に向き直って深く腰を折った。
「こ、これは……間違いなく私たちのことですわね……!元々疑ってはいませんでしたが、改めて御主人様と洲羽様が恩人なのだと再認識いたしましたわ。本当にその節はありがとうございました」
たゆん、と大きな乳袋が俺の前で揺れる。
「(落ち着け!鎮まるんだ俺!NO下心!SHI・TA・GO・KO・RO!……ふぅ)」
「どういたしまして、かな?少しでも助けになれたなら良かったよ」
股間に支配されかけた脳を必死に動かして何とか言葉をひねり出した。
え、勃起?……ふふ、今日の俺はパンツ三枚履きの上にチンポジもしっかり固定してるのでね、無敵だよ。
前世よりもTNTNがサイズアップしていて窮屈ではあるものの、ご主人様ではなく立ち位置が不安定な時期はこのスタイルでいくつもりだ。
「そんな少しだなんて……とにかく、私の母親の分も含めて感謝していることはお伝えしたかったのですわ」
「うん、了解したよ。——そういえば次はどこへ行くんだっけ?」
「次はプールだよー。メイメイもまだ行ってないよね?授業で結構行くしどうせ私たちと一緒に行くからすぐに覚えるかもだけど」
応えてくれたのはミュンミュンさんだ。
褐色でエルフでギャルという属性を多く持つうえに独特なあだ名をつける変わった人である。
ちなみに俺は洲羽だからスワっちと呼ばれてる。なんか変身とかしそう。
「そうね。この学園の規模ならプールも結構広そうだけどどうなんだろ」
「そうでもないぞ?私の脳内にあるデータによると一般的な学園のプールとほぼ同じと出ている。まあ大きいとそれだけ水が溜まるのに時間がかかるし設備の維持も大変になるからな」
うーむ、確かに……。
なんかお金持ちが自宅にプール作ったはいいものの、水入れると水道代が馬鹿にならないわ掃除はめんどくさいわで結局嫌になって埋め立ててジムにしたりする、みたいな話と同じかもしれない。
「(それにしても胸部の布薄すぎない?乳首っぽい形が薄っすらと浮き出てるし……)」
会話の中心から外れた俺が見ているのは皆の胸だ。
薄手の布地が胸の形をなぞるように覆う中で明らかに突起のようなものがあり、よく見るとそれがピンク色に透けているとなれば興奮せずにはいられなかった。
「(一応ブラジャーはしてるってことで良いんだよな?異世界で常識が違うとしても萌衣も突然ノーブラになるのはおかしいし)」
ここにいる中なら萌衣は設定上でブラを付けてるはずだし、アナさんもゴースト能力でたまに透過してしまうもののブラは付けてる設定がある。
それにも関わらず二人含めてここの全員から乳首っぽいのが浮き出てるということは、ブラも制服の胸部分も相当薄いのだろう。あるいは本当にノーブラの可能性もあるが。
そしてそれは勿論マキナさんも例外ではなく、服越しでも期待せざるを得なかった。
………………
学園内での移動だからそれほど時間はかからずに目的地へとたどり着いたのだが、俺は改めてここが『男子禁制の女学園』であることが身に染みていた。
「いや……そうだよね。男入れないなら更衣室なんて要らないか……」
そう。当然ながら昨日の今日で男子更衣室が作れるはずもなく、プール前にある更衣室は1つだけだったのだ。
今は誰も使ってないおかげで入れているが、ここは女子更衣室なので男の俺には意味のない場所である。
「スワっちはマジぴえんかもだけど、たぶん教室で着替えてもらうことになるんじゃないかなー?」
「ま、仕方ないわよ。そのうち対策してくれることを祈るしかないわね」
「……ちなみに授業が終わった後はどうすればいいと思う?」
上半身裸で教室まで歩くのとか嫌だよ俺。
「海パン一丁で校内を練り歩くしかないわね」
「海パン限定なんだ……」
「普通に仕切りとかを作れば良いのではないか?」
さすが高性能メイドアンドロイド、賢いなぁ。
まあちょっとだけその状況が気恥ずかしい感じもするが、隠さずに着替えるわけにはいかないし仕方ないだろう。
「——そうですわ!せっかくですし少し泳いでいきませんこと?実はメイド水泳部じゃなくても自由に使えるんですの——」
唐突なマキナさんの提案に対して俺も含めて皆の視線が向く。
だからこそ、次の瞬間を俺が見逃すことはなかった。
ブルンッッ!!!
「(え?…………ん!?!?マジで!?俺居て良いの!?)」
擬音を幻聴するとともにマキナさんは服を端からめくり上げ、品の良い片乳を晒していた。
大きいのにまるで垂れておらず、形もよく貴族令嬢にふさわしいおっぱいだ。
そして中央が謎の光で遮られる——なんてこともなく、晒されたおっぱいを見ればその結果として乳首もしっかり視認できる。
彼女の乳首は原作同様に陥没していた。
赤ちゃんの吸うべき部位が埋まっていて、しかし大きく、見るからに柔らかそうな様は男の情欲を煽るものとしてはこれ以上なく機能していた。
——実際にはその光景は僅か数秒の出来事で、両胸を晒しかけている彼女が服を脱ごうとしていると周りが気づいて止めるまでのラッキースケベではあったのだが、俺は確かに生のおっぱいを見れてしまっていた。
「ストップストップ!!洲羽いるから!男いるから脱ぐのストップ!」
そしてすぐさま慌てた様子の萌衣がマキナさんの名誉を守るために駆け寄り、そこで一瞬だけマキナさんと目があった。
「~~~~っ!!」
俺を視認して火が出そうなほど顔を赤らめた彼女は、まろび出た乳房を咄嗟に腕で覆い隠した。
乳首を隠してその肌を大きく晒すことになった双丘の片割れは、その腕に押し返されるように形を変えている。
一瞬だけ沈黙が下りた。
「見ましたの……?」
何を、とは言わない。俺が彼女にかけるべき声は決まっていた。
「…………引っ込んでいて“マキナさんの”はかわいいね」
「な……、ちく……~~~っ!?!?!?」
瞬間、マキナさんの声にならない声が響いた。
本心から言ってるのが伝わったのか、あるいは俺が間違いなくしているであろう満面の笑みで羞恥の極みに達したのか、とりあえず言えるのは正解を引いたということだ。
「よし、楽しく話せたn——」
「んなわけないでしょ、アホ!さっさと出なさい!」
どうやら違ったようだ(残当)。
萌衣のツッコミで気落ちした(全くしてない)俺はすごすごと更衣室を出て、マキナさんが着なおすのを待った。
「…………いいですわよ」
勿論着なおすといっても胸部の布をまくり上げただけだから戻せば終わりだ。
すぐに中から声がかかって俺が戻ると、まだ少しだけマキナさんの顔は赤かった。かわいいねぇ。
「えーと、見ちゃってごめんね?」
「いえ、その……私も少々大げさすぎましたわ。私の御主人様は彼だけですが、洲羽様も恩人であることに変わりありませんので多少はその…………問題ありませんわ」
途中からどんどん尻すぼみになっていたが確かに俺は聞き逃さなかった。
“多少は”許されるらしい。
それを理解した瞬間、ただでさえ勃起していた俺のペニスは完全にガチガチに固くなって臨戦態勢に入っていた。
ただマイペニスには残念なことに『そこまでは許されていない』ので無意味な勃起ではあったのだが、否応なしに自分の興奮状態がよく分かる。
少しだけ気まずい雰囲気の中、俺たちはプールを後にしたのだった。
……………………
それからいくつかの場所を巡って夕方に差し掛かった頃、誰からともなく炎司の話題が上がった。
『待望のご主人様~』とか『今何してるんだろ~』みたいな話から始まり、それが彼の部屋に突撃する、という流れに変わるのは彼女たちの好意を思えば当然だろう。
そこで……俺が胸を揉むチャンスはやってくる。
当初はもう少し冷静に事を運ぶ予定だったが、偶然にもマキナさんの生おっぱいを見れた俺が平静なわけなかった。
チラリ、と乳袋を揺らしながら歩くマキナさんを見遣る。
今は制服を着てるというのにその中にあるおっぱいをイメージしてしまう。
「(いやイメージというかあの巨乳を見たんだよな俺。しかも美少女で主人公のヒロインのおっぱいなのに“見れちゃった”んだよな)」
……実際のところ、だ。
おっぱいを見てしまい気まずかったのはその時だけで、現在は俺以外のマキナさんも含めて誰も気にしていない様子だった。
「(割り切りが良いとか?いやそれもあるけど……たぶん炎司ほどじゃないってだけで、マキナさんが言っていた通りに俺も他の男とは別カテゴライズなんだろうな。)」
未だに生おっぱいの衝撃が抜けない。
むしろ見た直後に普段通りを意識したせいで、感情の行き場を失って余計に後を引いている気がする。
それに……人は特別なことが起きるとそれに理由を付けたがるもの。
今の俺もきっと同じで、理由を当てはめて『生おっぱいを見れた事実』を再確認して幸運に酔いしれているだけなのだ。
「(落ち着け俺……再確認だ。炎司がアナさんの胸を揉み始めたら準備して、マキナさん以外が全員揉まれた後に炎司の声を遮るか、あるいは近づく前に俺が————揉む!)」
思わず握る手に力が入る。
いくら原作の展開を知っているとはいえ、部屋の位置取りまで把握しているわけではないので炎司とマキナさんの距離も重要だ。
ただ彼女が揉まれる直前は連続で3人が揉まれるので、マキナさんは相対的に離れた場所にいる可能性が高い。
「(大丈夫だ。マキナさんが自分だけ揉まれずに嘆いて、主人公がそれに“笑い始めたタイミング”でGO!すればいいだけなんだ)」
こっそりと深呼吸をし、俺は決戦の地へと赴くのだった——!
…………………………
やはり俺がいようと性格や行動は変わらないもので、原作同様にヒロインたちはドッキリを仕掛けるようだ。
ただドッキリと言ってもアナさんが透明になり、ミーナさんが機械の身体スペックを生かして死角に逃れるちょっとしたもので可愛いものである。
それが今回は俺が最初に訪れてガッカリさせたところで、後からメイド5人が現れて(メイド好きの)炎司は大喜び……という内容に変わった。
……俺の扱い、酷くない?
ちなみに考案者は我が幼馴染、萌衣だ。さもありなん。
「(まあよく考えたら俺がメイド集団に交ってる方が炎司は萎えそうだし、見方によっては俺が皆を連れてきたって解釈もできるか……?)」
ということで炎司の部屋の前にいるのは俺1人だ。ドアを開けて見えないところに他は待機中だ。
「炎司いる~?」
ノックをして呼びかけると、中から返事がする前にガチャリとドアが開いた。
「なんだ、洲羽か……メイドかと思ったのに」
「メイドじゃなくて悪かったね、とりあえず入るよ」
ガッカリした様子の炎司が部屋の中を向くと同時に俺が手招きし、死角に隠れてた皆のうちのミーナさんが天井に張り付いて(!?)、アナさんは透明化、ミュンミュンさん、マキナさん、萌衣は普通に入ってきた。
下げて上げるヤツだ。炎司にとってはメイド>>>>>>越えられない壁>>>>>俺くらいだと思うので、下げる要員として特攻したのだが本当にテンション下がってて悲しいね!
「「「おじゃまします(わ)」」」
「え!?いるじゃないか!俺を驚かそうとでもしたのか?」
「サプライズ、というやつですわね」
ぞろぞろと中に入っていくメイドたちに気づき、炎司は途端に喜色を浮かべた。
原作通りの光景に安心して一瞬だけ気を抜きかけるが、この後のことを思い直して気を引き締める。
最初に部屋へ入った俺は先頭を譲って部屋を見回すように動き、それからマキナさんのすぐ近くに腰を下ろした。
——さて、それから『サプライズ』という言葉で連想した炎司はすぐにアナさんの存在に気づき、背後に回っていたアナさんが姿を現すとともに天井にいたミーナさんも降りてきた。
「うわっ!?天井はさすがにビビるな……てかどうやって張り付いてたんだ?」
それは本当にそう。でもたぶん答えは謎技術か機械パワーなので訊いても意味はないと思う。
「そういえばごしゅぴっぴはアナに触れるんだっけ?今でも信じられないよ~」
「まあな、例えばこんな感じで——」
「んっ♡あっ♡そん、なに、胸を揉み揉み、しないで……♡乳首も、捏ねくりまわすの、だめぇ♡」
ミュンミュンさんの言葉に応えるように、炎司はごく自然な様子でアナさんの胸を揉みしだいていた。
え、えっろ……。
言葉では否定していても、その明らかに艶が乗った声とだらんとした口からは彼女が心から受け入れているのがよく分かった。
「(ついに始まったか……!!すぐだから……冷静に……)」
昨夜のうちに何度もシミュレートして妄想した場面が目の前にある。
その想像の中で繰り返していた光景は、淀みなく進行していく。
「こらぁ~!困ってるでしょうが!胸揉むのやめてあげ——ひぅん♡わ、私のを揉めとは言ってないんだけど♡」
次に萌衣が怒ろうとして近づいて揉まれて。
「んっ♡わ、私も?♡ごしゅぴっぴの手つきイヤらし~♡」
「何?同時に私まで……♡んぉっ♡無遠慮な手つき……♡さすがはマスターだな♡」
そしてミュンミュンさんとミーナさんが同時に揉まれて。
間髪入れずにマキナさんが立ち上がった——のを見て俺も立ち上がる。
座っていたのは既に俺だけだったから一緒に立っても違和感はむしろない。
「(次だ……頼むぞ炎司)」
俺はすぐに“おっぱい”を触りにいけるように、こっそりと斜め後ろへ陣取った。
「オーホッホッホ!そして最後はワタクシ、ということですわね!」
「あ、マキナはいいや」
「なんでよ――――!?」
「(マジで来た!!)」
自分だけハブられて怒る彼女を見て炎司はニヤリと笑って——
「(今!!!!!!!!!)」
「わ「じゃ、じゃあ俺が揉もうかな」」
俺は背後から両手で覆い一瞬だけマキナさんの顔を窺ってから、その豊満でチンコをイライラさせるおっぱいを“揉んだ”。
「ん……」
むにゅり、と。服越しなのに感じるその柔らかさが、体のどの部位とも違う場所に触れていることを伝えてくる。
「マキナさんの胸、すっごく柔らかいね……服越しだけど興奮する」
「き、貴族ですから当然、んっ……ですわ……っ、は、あっ……」
俺だけ一転して痴漢扱いされるなんてこともなく、ごく自然な態度で会話が成立していた。
ともすればそれは、この場が全員胸を揉まれる流れにあってむしろ俺はそれをサポートして空気を整えたのまで言え————さすがにちょっと傲慢か。
ともかく服を着てると言っても、バスト部分は乳首の形が浮き出て薄っすらと肌の色が透けて見えるぐらいに薄手の生地だ。
更衣室の件から分かる通りに今の彼女はノーブラであり、だからこそ乳首の位置もよく分かった。
「ごめん、マキナさん。ちょっと擦るね」
「へ、何を……んっ♡少し待ってくださ、んくぅ♡——待っ……」
わずかに止めようとする彼女をよそに、その乳首を服1枚を隔ててカリカリと擦り上げた。
ヒロインたちは大体乳首が弱点だ、陥没乳首という属性でとくにフォーカスされている彼女に効かないはずがなかった。
「はあ……はあ……も、揉むんじゃありませんでしたの……?」
頬が上気して明らかに息の上がっている彼女に俺は手で応える。
中央部をカリカリしていた手を止めて、乳輪——透けてるのでよく分かる——の縁をつまむようにして押し込んだ。
その瞬間、プクリ、と引っ込んでた何かが顔を出し、弱い力で服を押して肌色ではなくぼやけたピンク色がそこに現れた。
「ん……♡そ、そういうことでしたの……洲羽様も結構スケベのようですわね」
艶のある彼女の表情に思わず生唾を飲み込む。
ご主人様ではないから俺ではダメだと理解しつつも続きをしたくなる——が、残念ながらそれは。
「よ、よーし!やっぱり俺もマキナ揉もうかな!1人だけ仲間外れは可哀そうだしな!そーれ、揉み揉み」
「きゃ♡んんっ♡御主人様もスケベですわ~♡やぁんっ♡」
再起動した炎司によってついに終わりが訪れて、そしてそのまま彼は“スキル”を発動した。
「スキル発動!」
『ご奉仕契約書:ご主人様は俺1人!!朝まで中出しハーレム!?』
「あれ?洲羽は帰るのか?」
「……そうだね、ちょっと長居し過ぎたし帰ろうかな」
口が勝手に開いた。
炎司が何を発動したのかは分からない。
ただ急速に意識が薄れていき、身体の自由が利かなくなって何故か部屋の外へ向かおうとする自分を思えば察するものもある。
……正直、躊躇いなく使ったことには文句を言いたくもある。
原作通りならこの後に始まるであろう中出しセックスパーティーに俺も参加してどぴゅどぴゅしたい、というのが素直な気持ちだ。
身体は勝手に動いて口も開けない中、時間差なのか意識だけはまだわずかに残っていた。
「(このあとマキナさんも中出し射精されるんだよな……つれぇわ……)」
頭では主人公のものだと理解していたのに、いざ自分にも好意的な態度をとってくれたのを見ると情は湧いてしまうらしい。
「(いや…………違うだろ!!原点を思い出せ!!おっぱい!おっぱい!おっぱい!)」
俺は奪いたいわけじゃない。
ただ主人公がヒロインたちをエロエロにしていく過程で便乗したかっただけのはずだ。
だから——
「(次も雰囲気に便乗してヒロインたちの胸を揉ませてもらえばいい、だよな?)」
確かに俺はセックスの機会を貰えるかも分からず、炎司とは扱いに差がある。
片やセックス、片や胸揉みまで、その格差を誰かが見たら笑うかもしれない。
ただ——ただ、あの時揉んだ胸の感触だけは間違いなかった。
そこで改めて興奮がぶり返して、身体も声も自由にできない俺が未だスキルの影響下にあるのは明確にも関わらず、“海綿体に血液が流れ込んで勃起した”。
続いてこみ上げた射精欲に意識が消えかけてる人間が逆らえるはずもなく……。
ビュルッ!ビュルッ!ビュル、ビュルルルルッ!!
部屋はとっくに出ていて、気づけば自室に帰ってきていたことだけを朧気に理解していた俺は、そのまま何も考えずにパンツの中に大量の精液を放った。
汚れたパンツをどうにかしないといけない。
しかし無常にも身体は勝手に動き、精液を綺麗にすることなくベッドへ寝ころんで俺の意識はそこで完全に途絶えるのだった。
☆蛇足☆
メイドたちの助けになったゲームはソシャゲなので、主人公(とオリ主)以外もプレイしているはず。
それを踏まえるとヒロインの境遇がソシャゲ内のイベントと重なるからと言って、主人公が「俺のことかも」と語るのはおかしいのでいくつか考えました。
1.『あしながご主人様(のくれたお金)』に自分以外も含まれてそうな事は察しているが、どうせバレないので黙ってる説
2.自分がプレイしてたソシャゲに似通う部分があるので、自分が転移の当事者なら目の前のヒロインらを救ったのも自分なんだろうと思ってる説(ちょい苦しいか……?)
3.実は転移も異世界送金も主人公のソシャゲだけに実装されていて、発言の根拠はともかく結果的に正しい説
真相は闇の中……。