プリキュアが生まれる街~彼女達と過ごす愛しき日々~ 作:天野蒼夜
【名探偵プリキュア!】
・帆羽くれあ
「ありがとうございます。またお越しをお待ちしております」
パティスリーチュチュ。そこでは制服を身にまとった宙夢がバイトをしていた。
「店員さん、注文お願いしま~す」
「はい!ただいま!」
客に呼ばれ、小走りで向かう。
「アイスケーキとコーヒーを1点ずつですね。かしこまりました。少々お待ちください」
客から注文を取るとくれあのいる厨房へ。今日は店長である浅井たいらが出張でいないので、くれあと宙夢で店を回しているのだ。
「アイスケーキとコーヒー1つずつ入りました」
「ではアイスケーキは私のほうで作るので、コーヒーのほうをお願いできますか?」
「わかりました」
アイスケーキをくれあに任せ、宙夢はコーヒー作りに取りかかる。コーヒーミルでコーヒー豆を粉状にした後、マグカップの上にコーヒーフィルターを入れたコーヒードリッパーを敷く。
(我ながらいい香りだ)
コーヒーの香りにはリラックス効果があるとたいらは言っていた。コーヒーを作る前はそのことに半信半疑だったが、実際作ってみると心が落ち着くからコーヒーとは偉大な発明だ。
「お待たせしました。こちらコーヒーとなります」
出来上がったコーヒーを客のところに持っていく。それからアイスケーキも出来上がり、その客を最後に閉店時間となる。
「ごめんね宙夢君、今日休みだったのにバイト頼んじゃって」
星総学園は高校生であればバイトが可能なので、宙夢もくれあ同様バイトしている。頼まれれば短期で他の店でバイトすることもあるが、これは社会勉強の一環としてやっていることだ。
「気にするな。どうせヒマだったからな」
くれはたいらに信頼を置かれているからか、宙夢が来る前のくれあはよくワンオペで店を回していた。それができるのも彼女のパティシエとしての能力が高い故だろうが、大変なことに変わりはない。
(……そういえば)
スマホで今日の日付を見て宙夢は思い出す。2日後―――8月10日はくれあの誕生日であることを。
「くれあ」
床の掃除をしていたくれあに声をかける。
「どうしたの?」
「くれあは今、何か欲しいものってあるか?」
「え……?急にどうしたの?」
困惑した顔になるくれあ。これは忘れていると見ていいだろう。
「明後日、誕生日だろ?だから誕生日プレゼントをあげたいなと思ったんだ」
「私に……?」
「当たり前だろ。他に誰がいるんだ?」
「そ、そうよね……」
くれあの顔がみるみる赤くなっていく。
「どうした?」
「いえ……今年は宙夢君と付き合うようになって、初めての誕生日だな……と思って……」
言われて初めてそのことに気づく。ならその日は彼女にとって大事な日ということになる。
「なら一層いいものを贈りたいな」
そう言った後、“俺ができる範囲に限るが”とぼそっと呟く。カッコつけて言ったものの、学生には限界がある。悲しいことではあるが、これは紛れもない事実だ。
「明後日は休日だし……その……デート、したいな……」
もじもじしながら求めたプレゼントがそれだった。物でなかったことに驚きだが、くれあがそれを望むなら断る理由はない。
「なら、その日はデートしよう。ちょうど行きたいところがあったんだ」
「行きたいところ?」
「オルスタ水族館。今の時期にちょうどいいだろ?ペンギンショーもやってるしな」
オルスタ水族館はこの市内にある水族館で、キュアサマーこと夏海まなつの母親が働いている。そこには様々な海の生物がいるのはもちろんだが、目玉となっているのはペンギンショーだ。飼育されているペンギン達が芸をしたり触れ合うことができるので、市民にも大人気のイベントとなっている。
「楽しそうね!じゃあ、10日は水族館デートに決定ね?」
「ああ。その日は最高の1日にしよう」
それから2日後、2人はオルスタ水族館へ。休日なだけあってそこには多くの客が訪れており、特にカップルが多かった。
「あら宙夢君、こんにちは」
館内を歩いていると、まなつの母親―――碧が笑顔であいさつしてきた。
「こんにちは、碧さん。くれあ、この人は夏海碧さん。ここのスタッフで、俺の知り合いのお母さんだよ」
「夏海ってもしかして、まなつちゃんの?」
「そう。その人のお母さん」
「そうだったの。碧さんはじめまして、帆羽くれあです。いつもまなつちゃんにはお世話になってます」
礼儀正しい口調でお辞儀して、くれあがあいさつを返す。
「くれあちゃん、はじめまして。まなつからあなたのことは聞いてるわ。洋菓子店でパティシエをしてるって」
「はい!パティスリーチュチュっていうお店です!碧さんもよかったら今度食べに来てください!」
流れるように店の宣伝をくれあ。高校生ながらこの辺は流石と言うべきだろう。
「今日はデート?」
「はい、誕生日は……好きな人と過ごしたいので……」
頬に手を添えながら、くれあが顔を赤くして乙女の顔つきになる。それを見た碧は“青春ねぇ”と言ってほほ笑んだ。
「じゃあ、邪魔したら悪いからもう行くわね。デート、楽しんで」
「ありがとうございます!碧さんもお仕事頑張ってください!」
くれあの励ましの言葉に“ありがとう”と笑顔で返すと、碧は歩いていった。
「いい人ね。碧さん」
「俺もそう思うよ。そういえばこの水族館にはジュゴンがいるんだけど、見に行ってみないか?」
日本には多くの水族館が存在するが、館長である平林まふねから聞いた話だと日本国内でジュゴンを見られる水族館はここだけらしい。なんでもジュゴンは飼育が難しく、専門的な飼育技術な必要なことから、飼育できる水族館が限られるんだとか。
「これが、ジュゴン……可愛い……」
大きく白い体を持つジュゴンはゆったりと水槽の中を泳いでいる。特徴的な顔もよく見れば可愛いと言えなくも……ない……?
「わっ」
ジッと見ていると、ジュゴンがくれあのほうに近づいてきた。ここで飼育されているジュゴンはオス。この男はくれあに一目惚れしたのかもしれないが、生憎彼女には先約がいる。
「お前にくれあは渡さない」
ジュゴンの前に出て宣言する宙夢だったが、ジュゴンはそんな彼に対し“何の話?”と言わんばかりに首をかしげた。
「ふふっ、もしかして宙夢君、この子にヤキモチ妬いたの?」
「念のため言っておいただけだ。妬いてるわけじゃない」
口では認めない宙夢だが、嫉妬していることは誰が見ても明らかだった。そんな彼を可愛いと思いつつ、くれあは宙夢の腕に抱きつく。
「私が好きなのは宙夢君だけよ?」
不意打ちの如く言われ、ドキリと心臓が跳ね上がる。傍から見れば宙夢達はバカップルにしか見えないだろうが、正直に気持ちを伝えることは悪いことじゃない。
【本日はオルスタ水族館にお越しいただき、ありがとうございます。本館をお楽しみいただいているお客様にお知らせです。本日15;00より本館の目玉―――ペンギンショーが開催されます。本館のペンギンちゃん達による芸だけでなく、触れ合いの時間もありますので、この機会に是非ペンギンちゃん達に会いに来てください!】
ピンポンパンポ~ン♪という音声とともに館内アナウンスが終わる。現在の時刻は14:30。ペンギンショーはとても人気なので、見に行くならそろそろステージに移動する必要があるだろう。
「せっかく来たんだ。ペンギンショーも見ていくか?」
「うん!ペンギンと触れ合える機会なんて滅多にないし」
ということで、2人はステージ会場へ。そこには既に埋め尽くすほどの客が集まっており、ペンギン達の登場を今か今かと待ち構えていた。
「すごい人の数ね」
「目玉イベントだからな。このショー目当てに遠くから来る人もいるくらいだし」
加えてここでしか見れないジュゴンもいるので、ここは日本で一番客が訪れている水族館として有名だ。あらゆるデートスポットをまとめた有名サイトでも取り上げられているので、客及びリピーターは常にうなぎ上りなんだとか。ちなみにこれはここの館長である平林まふねから聞いて話である。
「ストラップ~!ストラップはいりませんか~!今日の思い出にペンちゃんストラップ!色違いもあるので、恋人とのペアルックにもうってつけですよ~!」
商品が入った箱をぶら下げた売り子のお兄さんがメガホンを持って商品を売り込んでいる。お兄さんはかなり大きな声でしゃべっているのだが、くれあはモノホンのペンギンで頭がいっぱいだからだろう。見向きもしていなかった。
「ちょっとトイレに行ってくる」
「早く戻ってきてね。もうすぐ始まるんだから」
「わかってるって」
一旦ステージを出て、その後こっそりストラップを2つ購入。くれあは思い出だけで十分と言うかもしれないが、思い出が形になれば尚いいだろう。
「みなさ~ん!こんにちは~!オルスタ水族館へようこそ!」
宙夢が戻ってきた直後、女性スタッフの登場とともに拍手が巻き起こる。今回ペンギン達を扱うのは彼女と別の女性スタッフだ。
「早速ですが、ペンギン達のご登場です!出番よ~!ペンギンちゃん達~!」
「クエェー!」
「クゥエ~!」
「クエッ、クエェー!」
かわいらしい鳴き声とともに、5羽のペンギンがステージ裏から現れる。その可愛らしい姿に思わず客達から歓声が上がった。
「では!ペンギンショーの始まりです!」
それから客達にペンギン達のかわいいところを解説しつつ、演技を披露していく。最初はプールで元気いっぱいに泳ぐ姿を見せ、続いて陸の上でヨチヨチ歩くかわいい姿も。お腹を出して寝転がるペンギンの姿に女性客は特に黄色い歓声をあげていた。
「それでは次の演目に参ります!まずはコウくん、準備よろしくね!」
コウくんと呼ばれたコウテイペンギンはスタッフの指示通り、ステージの奥で体育座りをする。他のペンギン達はスタッフの合図とともにコウくんの方へ駆け出すと、1羽ずつ次々コウくんの上に乗っていった。ペンギン積木だ。
「あの子達、賢い……」
「ああ……スタッフの指示もちゃんと理解してるみたいだし」
今まで見たことなかったが、改めて彼らのすごさに感心する。
「では、お次はフリスビーです。お手元にあるフリスビーをペンギンに向けて投げてくださいね。ただし、ペンギンの顔に当たらないようご注意ください」
男性客がスタッフからフリスビーを受け取り、ペンギンに向かって投げ飛ばす。するとそのペンギンがジャンプし、キャッチした後スタッフに戻していく。
「ナイスキャッチです!それでは続けて、次のお客様!」
ペンギンがキャッチして、戻っていくたび拍手が送られる。
「次は誰にするか決めました」
男性スタッフが誰かの肩を叩く。叩かれた人物―――くれあはその行動に困惑していた。
「では次のお客様!どうぞ!」
「は、はい!」
マイクを持った女性スタッフに呼びかけられ、くれあは慌ててステージに立つ。
「え……えっと……」
「安心してください。私も一緒にやりますから」
「あ、はい……!」
女性スタッフとともにフリスビーを受け取ると、くれあがペンギンに向かって投げる。ペンギンはキャッチした後、そのまま女性スタッフのもとへ戻る。くれあは再び男性スタッフに背中を押される形で客席に戻った。
「どうだった?」
座席に座るくれあに尋ねる。彼女はまだ緊張が冷めていないようで、はぁはぁと息を切らしていた。
「いきなりでビックリしたけど……ペンギンちゃんがかわいいおかげで和んだ……」
「なら良かった。ペンギン達に感謝だな」
「クエェ~!」
宙夢の言葉に“そうだよ!”と言わんばかりに鳴くペンギン。その鳴き声を聞いて宙夢は笑い声をこぼした。
「これにて本日のペンギンショーは終了です!またのお越しをお待ちしております!」
その後客達と触れ合いタイムを挟み、ショーが終わった後。2人はステージを後にする。
「楽しかった?くれあ」
帰り道にて宙夢が問いかける。くれあは満足そうな顔で“うん”と返す。
「ありがとう宙夢君。今日は最高の1日になったわ」
「それは良かった。あと、実はペンギンショーが始まる前に、これを買ったんだ」
そう言うと、あの時買ったペンちゃんストラップを1つ手渡す。ストラップには様々な色のものがあったが、宙夢がくれあ用に選んだのは水色のストラップだった。
「これを、私に?」
「今日のデートはいい思い出になった。だからそれを何かしらの形で残したかったんだ」
「……そう」
受け取ったストラップを抱きしめる。とても、大事そうに。
「ありがとう、宙夢君。これ……私、一生大事に大事にするね」
「そうしてくれると嬉しいよ。俺も色違いのヤツ買ったから、お揃いだな」
そう言って、自分用に買ったストラップを見せる。くれあのは水色だったが、宙夢のは青色のストラップだった。
「お揃い……実は私、好きな人できたらペアルックするのが夢だったの」
これはいわゆる乙女の夢というヤツだろう。
「ねぇ、宙夢君……」
「何だ?」
「最後に行きたいところがあるんだけど……いいかな……?」
くれあはまだこのきらめきのような時間を終わりにしたくないのだろう。そう察した宙夢が“もちろん”と答えると、くれあの表情が華やぐ。
「ありがとう!じゃあ、今から私がいうところに向かってくれるかな?」
「わかった」
ということで、くれあのナビの元、宙夢が運転するバイクは走り出した。休憩するのにうってつけな施設―――ラブホテルに。
「くれあ……」
ラブホテルに誘われた意味がわからないほど宙夢は鈍くない。ここで男女がやることといえば1つしかないからだ。
「ストラップもらった時私、嬉しくなって……宙夢君がもっと愛しくなって……そうなったら、我慢できなくなって……だから―――」
くれあの声をさえぎるように人差し指で唇を塞ぐ。
「わかった。これもまた思い出にしよう」
「……うん♡」
くれあが頷いたのを合図に、宙夢は唇を重ねる。くれあはそれを受け入れるように目を閉じ、舌を絡ませるような濃厚なディープキスに移行。互いの唾液が交じり合わせていく。
「ん……っ……」
微かに漏れる喘ぎ声。そして舌と舌が絡み合う湿った音だけが部屋に響く。数十秒間続いた熱烈な接吻を終えると2人は離れる。名残惜しそうに唾液の糸が伸びていたが、すぐに切れてしまう。くれあの瞳にはすでに情欲の火が灯っていて潤んでいた。
「ベッドに行こう」
「ええ……♡」
くれあの手を取り立ち上がるとそのまま寝室へ連れていき、優しく押し倒すようにベッドに横たわらせた。スプリングが小さく軋む音を立てると同時に柔らかいマットレスに身体を受け止めた感触を感じる。天井を見上げた瞬間に視界に入ったのは覆いかぶさってくる宙夢だった。
「やっぱり、恥ずかしいわね……」
顔を真っ赤にして逸らす仕草がまたいじらしいと思う反面、ゾクッとした感覚に襲われる。恐らく彼女が純粋無垢な少女なのが要因だろうが、それはもう過去の話。
今はもう宙夢によって汚されている故。
「好きだよ……くれあ」
「……私も、大好き♡」
耳元で囁きながら胸元へと指を這わせていく。ブラウス越しでも分かる弾力のある膨らみとその頂点にある小さな蕾への刺激に対して敏感に反応しているのが分かる。何度も往復させながら、徐々に力を込めたり弱めたり。そうやって焦らすことで、彼女の性欲を煽っていく。
「ひゃぅっ!? や……そんなに強くしないでぇ……♡」
艶のある声とともに弓なりに反った身体は快感を受け入れつつ、抵抗しようとする動きを見せるくれあ。それは弱々しいものであったが、本心ではないことが伺える。しかし、逆に言えばそれはもっとしてほしいと思っている証拠でもあった。
「本当に嫌なのか? なら止めてもいいけど……」
試すような言葉をかけてみたところ、予想通り涙目になりつつも懇願するように訴えかけてきた。
「やめ、ないで……宙夢君からの……もっと欲しい……♡」
素直な告白をしてしまうあたりが余計に興奮材料となり、自制心のタガが外れてしまいそうになる。だが、それはまだ早いと宙夢は深呼吸して落ち着きを取り戻した後、ゆっくりとボタンに手をかけ外していく。1つ2つと順番に開けていき、全て外し終えたところで前を開いた状態へ。すると淡いブルーのレース生地で作られた清楚ながらセクシーなランジェリー姿となった身体全体からは甘い芳香が漂い始めた。
「綺麗だよ……すごく」
素直に褒めたつもりなのだが、“そんなことないわよ”と否定してしまう健気さも相変わらず魅力的であると思いつつ、再度唇を奪い取る。
今度は少し乱暴気味に貪っていくような激しいスタイルを選択した結果、苦しそうな吐息混じりながら必死について来ようと努力している様子は非常に健気であり、可愛くて仕方がない。だがそう思う反面、自分の欲望を抑えきれなくなっているのを感じるようになってしまった。
「ぷぁ……ん……♡」
「っ……ハァ……」
酸欠になりそうになりながら離れると、銀色の橋がかかった後に途切れる。それを名残惜しそうに見つめていた彼女を見ていると堪らない気分になってしまうのを感じて苦笑するしかない。
「宙夢君……なんか今日、凄いかも……♡」
どこか呆れたような口ぶりになっているのは自覚があったが、それでもなお許容してくれるという寛容さにも感謝したい気持ちになる。しかしそんな思考など吹き飛ばす勢いで勢いよく服を脱ぎ捨てたかと思うと、下着1枚だけとなって再び覆い被さってきたので、油断していた隙を突かれてしまった。
「ちょ……まっ……!?」
制止するよりも先に唇を塞がれて言葉を遮られてしまったために何もできないままされるがままとなってしまう。しかも舌まで入り込んでくるおまけ付きだ。歯列や口腔粘膜といった性感帯らしき箇所を中心に丁寧かつ執拗に舐められ続けるにつれて、頭の中に靄がかかったような錯覚に陥ってしまいそうになるぐらい蕩けていく感覚があった。
(あぁ……しあ、わせぇ……♡)
どれくらい経ったろうか。長いキスが終わると同時に身体を離すと同時にもう我慢ができなくなっていた彼女が先程までの態度とは打って変わって積極的に迫ってきたものだから驚きだ。
「どうした?」
「だって……こんなにされたら、もう限界よ……♡」
もどかしさを露骨に出しながらブラジャーを外す動作に入り、ホック部分を解除して肌蹴させる。
「見て……私こんなに感じちゃってる……♡」
自身のおっぱいを両側から寄せるように持ち上げた状態で見せつけるくれあ。そんな姿勢になりつつ挑発してくるとは思わなくて、呆気に取られた様子を見せる。普段は控え目なのにこういう時は大胆になるギャップ萌えというものだろう。
「っ……」
見惚れている隙に不意討ち気味で股間に触れてくると強い電撃が走ったかのように全身が震えあがり危うく射精しそうになる程危なかったため、慌てて引き剥がそうとする。
「ダメよ?逃がさないんだから♡」
腰に脚を絡みつかせて固定されてしまった挙句、自由を奪われた状態でさらに刺激を与え続けられてしまう。悶絶寸前まで追い込まれてしまうハメになってしまうが、そうなるともう為す術など残されていない。つまりどういうことかというと、今は観念して身を委ねる以外選択肢が無くないということだ。
「ここ弄るとピクンて反応する……可愛い♡」
弱点を見つけたことで調子に乗って責め続けると、段々硬さと大きさが増していく。すると肌を通して確認できるようになったため、更に興奮が高まる。
「今度は私の番……いい?」
「もちろんさ……おいで」
今度はこちらから主導権を握るべく、くれあは宙夢を押し倒して馬乗り状態へ。それからゆっくりと息を整えつつ、視線を合わせながら、彼の上に座る体勢をとる。
「じゃあ、入れていくわね……」
自分でも分かるくらい顔に血が上っている感覚を覚えながらも、言葉とは裏腹に早く交わりたいと強く願う気持ちが先走る。もう焦らし合うのは止めにしようと決めた瞬間、腰をゆっくりと落としていく。
「っ……はぁぁ……♡」
熱い塊がじわじわと膣内へ侵入してくる感覚。今まで経験してきた中でも特に大きいその質量はある程度予想していても耐え難い圧迫感をもたらす。
「宙夢君、気持ちいい……?」
「あぁ……すごく……」
挿入される感触を確かめるように腰を少し動かすと、それだけで下半身を貫かれるような衝撃が走ってしまう。そのせいでほんの少し声が漏れるが、それでも最奥までしっかりと飲み込んでしまおうと力を込めていく。互いの吐息が交錯する中、すべてが結合した瞬間に満ち足りた感覚が訪れる。
「やっと……繋がったね……♡」
嬉しそうに微笑んでくれる顔が尊くてずっと見ていたい気持ちになるが、そうも言っていられないのが世の常。本番はここから始まるのだ。
「動くね……?」
「……ああ」
言葉を受けた直後、くれあは一定のリズムを刻むように腰を動かす。最初は比較的ゆっくりとした動き。だが次第に速度と振幅が増していくのに伴って、喘ぎ声も大きくなっていく。
「んっ……あっ……いいっ……♡」
淫らな音が部屋に響くたびに快感が膨張していく。膣内で蠢く形に合わせてくれあが自ら腰をくねらせるため、より深い部分まで届いているようで気持ち良さもひとしおだ。
「はぁっ……ま、て……♡ い、く……っ!」
「俺も……だ…!」
絶頂の兆しを迎えた2人は体を重ねたまま強く抱きしめ合う。
「もう……イっちゃう……♡」
「じゃあ一緒に……行こう……!」
達する瞬間まで間近で見つめ合いながら果てる。瞬間、互いの体がビクンっと痙攣し、目の前が真っ白になってしまうほどの快楽が全身を駆け巡った。しかし、そんな中でも感じ合う愛おしさは消えることはなかった。
「はぁっ……はぁっ……♡」
荒い息を吐きながら動きを止めて体を重ねたまま余韻に浸る。だが名残惜しさから何度も膣内を締め付けてしまい、そのたびに宙夢も微かに動く。
「宙夢君」
くれあが甘えるように体を寄せてくる。
「どうした?」
「来年も、その先の誕生日も、宙夢君と過ごしたいな♡」
宙夢はそれに“俺もだ”と返した後、くれあとともに夢の世界に旅立つのだった。