クールで上品なインテリアに囲まれたラブホテルの客室。穏やかな趣の内装とは裏腹にして、自分は背を向けた全裸の女の両手首を掴みながら激しく腰を打ち付けていた。
黒味を帯びた赤色の
だが、現在の彼女は容赦なく全身に巡る快楽を前にして、濁点のついた低い喘ぎ声を上げながら悶え続けていた。バックで挿入されたペニスは彼女の膣の奥深くへと何度も突き刺さり、彼女はポルチオを刺激される度に情けない低い声を出していく。どんなに体勢を変えようとも掴まれた両手首が彼女を拘束し、一切と快楽から逃げられない状況に彼女は一層もの興奮を覚えていた。
絶頂の寸前、彼女は「イク」という言葉を連呼する。直後にも背中ごと仰け反った身体は痙攣し、ベッドの上に大量の潮を吹きながら力無く天井を仰いだ。
収まらぬ快楽の余韻で痙攣を続ける彼女。自分は彼女の両手首をパッと手離していくと、彼女はそのままうつ伏せでベッドに倒れ込む。
身体に残り続けた快感に浸るよう、息を切らした様子で沈黙する彼女。その間にも自分は彼女の背中に覆い被さると、勃起したペニスを彼女の背中に擦り付けながら抱き締めて、頭部の側面を彼女の頭にくっ付けて寄り添った。
交わる体温に、互いが微笑する。親愛から来る慣れた空気感で彼女は振り返ってくると、彼女もまた平均的な体格と程よい乳房を押し付けながら、小悪魔らしい勝気な眼差しと共に言葉を投げ掛けてきた。
「アタシさ、今チョー幸せなんだよね~」
「俺もだよ。メーの事を愛してる」
「でも、ラミアの事も愛してるんでしょ?」
「それはそうだけど……」
「別にいいって! だってさぁ、なにもパートナーは一人に絞らなくても良くない? ラミアとかアタシとか、カンキくんの事が好きな女は周りにたくさんいるんだからさ、だったらいっそのこと、みんなまとめて愛しちゃえばいいだけじゃん?」
「気持ちとしてはそうしたいけれど、でも道徳的にそれはどうかなって……」
「いろんな女に手を出しておいて、今更すぎない? もうカンキくんは戻れないトコまで来てるんだよ? 責任取ってアタシ達を幸せにしてくれなきゃ、絶対に許さないから」
「分かった、責任は取るよ。みんなの事を幸せにする。俺はみんなを愛してる」
「ふふん、そうこなくちゃ」
自分は彼女と深い口付けを交わした。絡み合う舌が唾液をかき混ぜて、勝気な彼女に恍惚の表情をもたらしていく。そうしてお互いに抱き寄せ合い、高揚した身体を密着させながら至高のひと時に溺れ切った。
ピンポーン。
自室でスマートフォンを見ながらくつろいでいた自分は顔を上げ、時計を見遣った。
時刻は午後8時。アパートで一人暮らしをしている自分は見当のつかない来訪者に疑問を抱きながら、重い腰を上げてインターホンを確認した。
画面を見ると、そこにはちょこんと佇む小柄な女性が存在していた。ヴァイオレットカラーのセミロングヘアーに同色の大きな瞳、お人形さんのように無機質な容貌は彼女の可憐さを一層と引き立たせている。服装は、華奢な体格を覆い隠すようなシルエットの黒色ポンチョと、清楚な印象を与えてくる白色のブラウス、ふわっとしたデザインが可愛らしい黒色のフリルミニスカートに、黒色のオーバーニー&黒色の厚底ブーツというもの。
彼女のチャームポイントとして、頭にかぶっていた猫耳付きの黒色キャスケットが挙げられた。彼女のあどけない姿にサブカル系のイメージを助長するワンポイントは、男であれば誰もが護りたいと思うだろう。自分もまた例に漏れずインターホンの画面越しに見惚れていくのだが、ふと彼女が提げている大きな黒いボストンバッグに意識が向いていくと、次にもスピーカーから彼女の声が聞こえてきた。
『こんばんはー。ラミアですー』
「こんばんは。どうかしたの?」
『突然ですけど、コチラに泊めて頂けませんかー??』
「え? ……取り敢えず待ってて! 今行くから!」
自分は訳も分からないまま玄関まで移動した。開錠して扉を開けると、そこには健気に佇むラミアの姿。自分は戸惑いを交えつつ彼女を見遣り、言葉を投げ掛けていく。
「やぁ、こんばんは」
「どーも、お疲れ様でーす」
「こんな時間に一体どうしたの?」
「カンキさんのお宅にお邪魔しよーと思い立ちまして、急ですけどお伺いしましたー。アルバイト先でコチラにご自宅があると伺ってたモンですからねー」
「あー、確かに住んでるアパートの場所は話したかも? 取り敢えず大きな荷物もあるし、立ったままだと疲れちゃうだろうから、良かったらちょっと上がっていって」
「わー!! ありがとーございます!! では、失礼しまーす」
そう言って、ラミアはズカズカと玄関に入ってきた。自分は未だ理解が追い付かない思考のまま彼女を迎え入れると、足早にリビングへと上がり込むラミアの背を見遣りながら扉に錠を掛けた。
レストラン&ダイニングバー『
特に、ラミアをはじめとした数人の女性キャストに、自分は気に掛けられていた。身に覚えの無い好意を寄せられる感覚は不思議に感じながらも、満更ではない。今もアパートに訪れたラミアも、自分を気に掛けてくれる女性キャストの一人だった。彼女とは初対面の時から気さくな関係を築けており、まるで初めて会ったとは思えない程の距離感で会話に応じてくれていた。
……その話の流れで、自分が住んでいるアパートの場所は話した気がする。しかし、部屋番号までは伝えていなかったような……?
「カンキさん」
「な、なに?」
「イイお部屋ですねー。清掃も行き届いていて、さすがです」
「あ、ありがとう」
自分はリビングへと移動し、ラミアへと促していく。
「荷物は適当に下ろしてもらっていいからね。飲み物や備品とかも自由に使ってもらっていいよ。ただまぁ一人暮らしの身だから、そんな色々は揃ってないけれど……」
「十分ですよー。こーしてカンキさんがいらっしゃるコトに意味があるんですから。じゃー、遠慮なくゆっくりさせて頂きます。ありがとーございます」
それからというものの、自分は奇妙で至福なひと時を過ごした。
ラミアはポンチョを脱ぎ、ハンガーに掛けていく。彼女が着用している白色のブラウスはノースリーブであり、ラミアは惜しげもなく脇を曝け出した。自分はできるだけ凝視しないように努めたものだが、魅惑的な光景に平静を保つのが難しかった。
キャスケットも取り、完全にオフモードに移行したラミアはテレビを見始めた。ベッドを背もたれにしてバラエティ番組を見始めた彼女の姿はあどけなく、自分は意識を逸らしながらも時々と彼女の横顔を見遣っていた。
給湯器が鳴り出すと、ラミアは即座に反応を示した。そして彼女は可憐な声音でありながらも淡泊な調子で喋り出してくる。
「お風呂、頂いてもイイですか??」
「勿論いいよ」
「ありがとーございます。じゃー、さっさと入ってきちゃいますねー」
そう言って、ラミアはボストンバッグから着替えやメイクポーチを取り出してきた。入念に準備を整えてきたのであろう彼女はそのまま洗面所に移動すると、戸を閉めてガサゴソと入浴の支度を済ませていく。
浴室の扉を開け、風呂に浸かる彼女の物音が微かに聞こえてきた。ラミアが入浴している間、自分は若干と耳を澄ませながらベッドで横になっていたものだ。直にも彼女は風呂から上がり、メイクを落としたスッピン姿でリビングに戻ってくる。
白色のヘアバンドで髪をまとめ、紫色のもこもこした寝間着で現れた彼女。スッピンでもその容貌は美しく、可憐な面持ちは健在だった。自分が見惚れるような視線を向けていく中で、ラミアは淡泊な調子で言葉を口にしてくる。
「お風呂、ありがとーございました。空きましたので、カンキさんお次にどーぞ」
「わ、分かった!」
自分は誤魔化すように慌てて洗面所へと移動した。そして服を脱ぎ、浴室に進入する。ここで浴槽の湯に足をつけた時、自分の脳裏にはふと一つの思考が
……これ、ラミアが入ったお湯だよね?
それを意識してから、自分はいよいよと平常でいられなかった。心なしか、普段よりも湯に浸かる時間が長かった気がする。なんだか夢みたいな浮遊感を脳天に漂わせながら、自分は心の奥底に秘めた淡い感情を募らせていく。
さすがに切り上げるべきだ。自制心が働いた自分は入浴を終え、寝間着に着替えてリビングへと移動する。向けた視線の先では、ベッドの上でスマートフォンを操作しながらくつろぐラミアの姿があり、彼女はこちらへと向きながら可憐な面持ちで言葉を投げ掛けてきた。
「どーも、イイベッドですねー。寝心地サイコーです」
「それなら良かった。結局、今日は泊まっていくの?」
「そのつもりでしたけど、ダメですか??」
「ラミアがいいなら、俺も大丈夫だよ。そしたら今日は、ラミアがそのベッド使ってもらっていいから」
「カンキさんはどーされます??」
「俺は適当に床で寝るから気にしないで」
こちらの返答を聞いたラミアは、おもむろにむくっと起き上がるなり平然とした調子でその提案を投げ掛けてくる。
「カンキさんを床に寝かせるのは申し訳ないので、よろしければ同じベッドで一緒に寝ませんか??」
「え……!? いやまぁ気持ちはありがたいけど、それはさすがにモラル的にアウトだから……!」
「そーですか。分かりました」
ラミアはどことなく素っ気ない調子で再び上半身を倒していく。そしてリラックスした様子でベッドに沈み込みながら、ふと微笑した様子で言葉を続けてきたものだ。
「カンキさんのそーいうトコ、ウチはスキですよ??」
「す……っ!? あ、あまりそういう事を言われちゃうと、その、意識しちゃうからさ……!」
「もしかして、照れてます?? 甘々なシチュエーションの過剰摂取で、ラミアちゃんのコトがスキになっちゃいましたか??」
「だ、だからそういう所が余計に……っ!」
「ジョーダンです。ホント、面白いヒトですねー」
こちらが照れ混じりに紅潮する最中、ラミアは安心するような表情を向けてきた。それは、今までに見たことのない彼女の穏やかな表情。何かに対する安堵すらも伺わせて、自分はそんな彼女の一面に大きな衝撃を受けたものだった。
……なんだか、この場面を知っている気がする。一瞬だけ
「そろそろ寝ようか、ラミア。寝る前に歯を磨くよ。ほら、おいで」