サークルの姫化しそうな文芸部女子が調子に乗って前からちょっと好きだった陰キャ先輩挑発したら全然ダメにされてどこでも中出し懇願する愛され嫁を目指してしまう話 作:よるのけだま
春。
都の西北には大学があるというが、この部室にあるのは性欲だけだ。おもにわたしの。
部室にはわたしと2年のセンパイがひとり。ふたりでここでおっぱじめてもカギをかければ、だれにもわからないだろうが、問題はわたしとセンパイは出会ってまだ1ヶ月少々。おっぱじめるためには助走が足りないということだ。
なぜわたしはおっぱじめたがっているのか。
きっかけとしてはなんということもない。
今日、授業が3限で終わりで、しかも結構早めに終わったので、のそのそと部室に来た。あー、2年のセンパイだ、あんま話したことないな、ちょいビジュいいけど、と思った。
好きな本はなんですか? と訊いてくる男子がいたら、サリンジャーあたりで可愛らしく入って、そのあとドグラ・マグラや伊藤計劃あたりをサブカルっぽく雑に経由して、舞城王太郎に行き着いてやろう。
もしそこで、さいしょから阿修羅ガールの単行本版の表紙写真『女生徒』がエロイという話をしてくるやつなら、いきなり抱かれてやってもいい。
そういう打算的なところがわたしにはあった。じゃあまあいいか、とギリギリありなビジュをしている田茂次センパイにためしに訊いたら、でも、舞城王太郎がぁ、に入ったところでもののみごとに、
「
クソ、こいつに抱かれるのか、ムカつくな、が2%。98%がピンク。え、とりあえず交際から始めてみるか、と思った。いやでも、わたしだけなんかそういうのムカツクから、会話は事前に重ねておこう。
「田茂次センパイって、付き合ってるひといますか?」
「いると思うか?」
「思いません。いたことは?」
「いると思うか?」
「ですよね、よかった」
「他人の過去を喜んでどうする。あとそのサークルの姫ムーブやめろ。コナかけたら願いが叶うわけじゃない」
こいつだけは生かしてはおけない、とわたしは思った。
そして、そのときには部室にはわたしの性欲があふれていることに気づいた。おっぱじめたがっている、残念な女子がいる。わたしだ。残念ながら。
「せ、センパイは童貞ですかっ!」
なぁにを言ってんだ、なぁにを。
入野桜子、なにを言いはじめてるんだ、淑女たれ! オフィーリア! 尼寺へ行かせるぞ、がんばれわたしのなかの貞淑!
「セクハラは男女も年齢も関係なく成立するから気をつけて」
スン。
いま、スンとされました。いいでしょう、てめえがその気ならやってやりましょう。
「交際を申し込みます。田茂次健一郎センパイ。わたしと交尾を前提にお付き合いしてください。しかし、わたしはそれなりに独占欲が強く、気が気ではないので経験がどこまであるか教えてください。わたしは処女です。交際経験もなく、キスすら、というか手すら繋いだことがない。メンヘラ処女です。完全に。顔はまあまあかわいいことは自覚していますが、おだてあげられると弱いこともまた自覚しており、サークルの姫になって兄弟大量生産してしまうルートもふつうにありえそうで怖いです。なのでわたしの自己肯定感を絶えず上げてくれる包容力のある異性をこころもからだも欲しています。おだて程度で股を開かない女性になりたいのです。男慣れすればその心配もいずれ消えると思うので、センパイがわたしの自己肯定感を上げるのはおそらく時限でだいじょうぶ。そこまでめんどくさくはないと思います。ただ、彼氏である以上はある程度かわいい、愛してるなどのことばは半永久的にほしいです。自己肯定感自己肯定感うるさくて恐縮ですが、ただシンプルに同じようにずっと愛されているだけで自己肯定感はあがるタイプです。自信があります。さて、センパイはこれを抱けますか? いいですか? ダメですか?」
「入野、せめて付き合うには可愛らしくするとか、話があうとかなんらかの交際に至るモチベーションを煽らないとダメなんじゃないかと俺は思う」
「え、フラれた?」
「そんなに意外か?」
「ぜったい田茂次センパイはわたしのことが大好きだと思っていたので、真剣に落ち込むまであと20秒くらいしかないです。訂正するならいまです」
「俺、なにか訂正すべき情報与えたっけな……」
「わたしからすると訂正して欲しい情報しかないので見解の相違ですね。もしかしたら気が合うのかもしれません」
「どのあたり?」
「カラダの相性がいいかもしれませんし、意外とわたしこう見えてそこそこ性欲強い自信があるので、子孫繁栄願望があればさらにオススメできます」
「既知の情報がゼロどころか、確定的情報がゼロなのは交渉として下の下だぞ」
「それを世間ではかわいいで押し切ると言います。押しきれませんか。発情している女性をここまで簡単に手に入れられる確率が今後の田茂次センパイの人生でどれだけあるかを考えませんか?」
「リスクが多いということは、リスクが多いということです」
「クソッ! 埒が明かない。馬場に、行きませんか。まず休憩から入ってなんの問題がありますか?」
「すまんが、出直せ」
わたしはスカートをたくし上げて、童貞専用兵器みたいな純白のパンツを見せてあげ、シャツをめくってブラジャーをずらし、Fカップの白くてうつくしいおっぱいを放り出した。
きっとピンク色の乳首や、たぶんはじめて見るだろうえっちな陰毛に田茂次センパイとてたじたじだろうと思っていたら、
「なにしてんの」とセンパイはわたしの手をどけて、スカートをもとに戻し、ブラジャーの中におっぱいをしまって、シャツを整えてくれた。
おっぱい触られたんだけど、と抗議してもよかったのだが、無理に決まっている。触られた乳が熱い。センパイのてのひらの触れた部分がやけどしたみたいになっている。意外とちゃんとしっかり支えてブラに入れられた。乳首もできれば触って欲しかったがしょうがない。そこまで求めるとさすがにはしたない。
「えっ……ほんとにここまでしてダメなんですか?」
「このアプローチで落とせる男なんてロクなもんじゃないよ」
「……ほんとに嫌いなんですね、わたしのこと」
「いやあ、けっこうダメなことしたけどな、いま俺」
「それは思いました。センパイに触られたとこ、おっぱいちょっとえっちな感じするもん」
「そろそろ授業終わるから、だれか来たらほんとうにかわいそうだと思って。入野がしまいそうになかったから、勝手にしまった。悪かった」
屈辱と敗北がそこにあった。