デカパイ高級アンドロイドテスター企画inショタ 作:すばみずる
翌日の早朝。まだ太陽が昇りきる前の、薄暗くひんやりとした空気が街を包み込んでいる時間帯だった。
ケンタは眠い目を擦りながらもプラティアと共に外出の支度を整え、マンションのエントランスを抜け出した。
本日の目的地であるスパ&メンテナンス施設の『リフレリリース』までは、ケンタの自宅からだといくつかの交通機関を乗り継いで行く事になり、およそ二時間ほどの道のりになるとプラティアは説明していた。ちょっとした小旅行だ。
「ご主人様。道中、もしお歩きになるのにお疲れになりましたら、いつでもこのプラティアがおんぶいたしますので。遠慮なくお申し付けくださいませ」
マンションの敷地を出て駅へ向かう道すがら、隣を歩くプラティアがいきなり提案をしてきた。昼間の――少なくともどちらも誘っていない状態での、普段の彼女らしからぬ過保護すぎる申し出である。ケンタは慌てて首を横に振った。
「だ、大丈夫だよ。人目があるところでそんなことしたら目立っちゃうから」
ただでさえプラティアの容姿は人目を引く。白銀の髪に、外出用のドレススーツを着ていても隠しきれない豊満な胸の膨らみに細い腰に大きなお尻だ。そんな絶世の美女に小学生の男の子がおんぶされている図など、周囲の視線を根こそぎ集めてしまうに決まっている。
プラティアは少しだけ残念そうに目を伏せたが、すぐにかしこまりましたと微笑んで、ケンタの歩幅に合わせて静かに歩き続けた。
都心の喧騒から遠ざかるように、二人は郊外へと向かう電車に揺られていた。
休日の早朝ということもあり、車内はそれほど混雑していなかった。横に長いシートの端、壁際の席にケンタが座り、そのすぐ隣をプラティアが守るように陣取っている。
車窓を流れる景色が、背の高いビル群から徐々に背の低い住宅街や緑の多い風景へと変わっていく。それをしばらく眺めていたケンタだったが、ふと車内にいる他の乗客たちへと視線を巡らせた。
まばらに座っている乗客の中には、人間の他に、何人かのアンドロイドが混ざっているのがわかる。
彼女たちは一見すると人間と見分けがつかないほど精巧に作られている。しかし彼女らがプラティアと同じ人工の存在であることは、注意深く観察すればケンタにも見分けることができた。
世間に普及しているアンドロイドは基本的に女性型で、どれも一様に胸部が大きく設計されているらしい。ケンタはその豊かな膨らみについ目を奪われて観察してしまったのだが、じっと見ているうちに、彼女たちが人間とは決定的に異なる部分があることに気がついたのだ。
瞳を見ればガラス玉のように無機質に光を反射する虹彩があったり、綺麗すぎるがゆえにどこか不自然な、人工肌特有の均一な質感も気にしているのがうかがえる。
それらは決して見苦しいものではない。社会に溶け込めるほど美しく、スタイルも抜群だ。だがケンタのすぐ隣に座っているプラティアと比べてしまうと、その差は歴然としていた。
プラティアの肌は透き通るように白く、それでいて血の通った人間のような微かな赤みや温もりを感じさせる。瞳の奥には深い知性が宿っており、巨大な胸は他のどのアンドロイドの誰よりも何よりも存在感を放っていた。
やっぱり、プラティアは特別なんだ。
ワンオフの最高級モデルである彼女と共にいる事実が、ケンタの胸に小さな優越感と誇らしさを生み出していた。
そんな風に他のアンドロイドと自分の専属メイドを心の中で比較していたケンタは、ふと、隣に座るプラティアからの視線を感じてハッと我に返った。
見上げると、プラティアが青い瞳でじっとケンタの顔を、そして彼の視線の先を観察するように見つめていたのだ。
「……どうかしたの?」
他の女の人のおっぱいを見ていたことを咎められるのかと少し焦りながら尋ねると、プラティアは静かに首を横に振った。
「いえ。なんでもありませんよ」
そう言って微笑むと、プラティアは唐突に自身の身体を動かした。
「乗客が来るかもしれません。少し、詰めて座りましょうか」
車内は空いていて十分にスペースがあるというのに、プラティアは壁際に座っているケンタの方へと腰を寄せてきたのだ。逃げ場のない壁とプラティアの身体に、ケンタは挟まれる形になる。
自然と、プラティアの衣服越しに押し潰された巨大な胸の側面、いわゆる横乳の柔らかな弾力が、ケンタの肩にむにゅんと重くのしかかってきた。何度味わっても決して慣れない感触に、ビクッと肩を震わせるケンタ。
心臓が早鐘を打ち始めた主に対し、プラティアは自身の胸元から銀色の端末を取り出し、それを口元を隠すように顔の前に掲げた。
そして周囲の乗客には聞こえないように、ケンタの耳にだけ届く指向性を付けたウィスパーボイスで囁いた。
「ご主人様。電車内ですので……勃起は我慢、ですよ」
「っ!?」
ヒュッと息を呑み、ケンタは身を竦ませた。
他のアンドロイドの胸を見ていたこと、そして今まさに押し付けられている肉の感触によって、ケンタの下半身が反応を示し始めていたことを、彼女のセンサーは見抜いていたのだ。
顔を真っ赤にしてズボンの上で両手を組み、必死に股間を隠そうとするケンタ。
そんな幼い主人の可愛らしい抵抗を見て、プラティアの瞳が妖しく光る。
「……どうしても隠せないのであれば。私の、この膝の上に乗っていただければ、完全に隠蔽した状態でぱいずりえっちは可能ですので。どうかご検討くださいませ♡」
「ぅぇ……!?」
とんでもない提案だった。
公共の交通機関の中で、他の乗客がいるこの密室空間で、一体何を言っているのか。
驚愕に目を見開いたケンタが横を向くと、プラティアは口元を端末で隠したまま、もう片方の手で自らの巨大な乳房を下からぐっと持ち上げてみせた。
持ち上げられた下乳。薄暗いその奥にはスーツの一部が空いており、真っ白な柔肉が待ち構えていた。ケンタの陰茎をいつでもここで迎え入れる準備ができていると言わんばかりだ。
電車の中で、あの暴力的な胸の谷間に挟まれる。
想像しただけで昨夜あの乳房に甘えた感触が蘇りそうになり、ケンタはパッと勢いよく目を逸らして窓の外の景色に釘付けになったふりをした。心臓の音がうるさいほどに鳴り響き、耳まで真っ赤に染まっているのが自分でもわかる。
そんなケンタの頭に、プラティアの手のひらがそっと乗せられた。何も言わずに優しく動かされる手にケンタは意識を持っていかれつつも、視線ばかりは遠くにやらなければいたたまれなかった。
駅に到着するという無機質な自動音声のアナウンスが車内に響き渡り、電車のスピードが徐々に落ち始めた。窓の外の景色がゆっくりと流れ、プラットホームの白線や駅の看板が視界に入ってくる。
降りる準備をしなければならない。だが、ケンタは壁際の座席に中途半端に離しつつも、硬直して動くことができなかった。
原因は明確だ。隣に座るプラティアから吹き込まれた過激な誘惑によって引き起こされたケンタの勃起は、目的の駅に到着しようとしている今になってもいっこうに収まる気配がなかったのである。
背伸びして選んだチノパンの股間部分は、手で隠さないとテントを張ったように盛り上がっているのが露骨に分かってしまう。
どうしよう。ケンタは冷や汗をかきながら、自身の情けない下半身と周囲の乗客たちを交互に盗み見た。休日の早朝とはいえ、車内にはそれなりの数の人間と、そして何人かの女性型アンドロイドが乗っている。
この状態で立ち上がれば、ズボンの不自然な膨らみは誰の目にも明らかだ。公共の場でそんな状態になっているのを見られるなんて考えられない。最悪の場合、誰かにスマートフォンで写真を撮られて、インターネットのおもちゃにされてしまうかもしれない。
頭の中が真っ白になっていく。落ち着こうと考えるほどに落ち着かない心音が邪魔をしている。
電車が停車するまでの数十秒が永遠のように感じられた。焦れば焦るほど下腹部の血流はむしろ活発になり、張り詰めた股間はズボンの生地と擦れて微かな快感すら生み出してしまう。
プシューッという音とともに、電車のドアが開いた。
数人の乗客が立ち上がり、出口へと向かい始める。ケンタはどうすることもできず、ただ両手で股間を隠すようにして座席に縮こまっていることしかできなかった。
その時だった。ケンタの隣に座っていたプラティアがすっと立ち上がる。
そして、まだ硬直しているケンタを見下ろすと、周囲の乗客にも聞こえるようによく通る声で告げた。
「おや。ご主人様、お眠りなのですね。それでは失礼いたします」
何を言っているのか、ケンタが思考を巡らせる暇はなかった。プラティアは少しだけ身をかがめると座っているケンタの脇下に白く滑らかな両腕を差し込み、そのままひょいと、いとも簡単に彼の身体を正面から抱き抱え上げたのだ。
「わっ、ちょっ――」
「しっ。お静かに」
小さな抗議の声は、プラティアの巨大な胸の谷間に顔を押し付けられることで封じられた。
向かい合わせの形で抱き抱えられたケンタの身体は、プラティアの豊かな肉体にぴたりと密着した。ケンタの両脚はプラティアの胸からぶら下がるような形になり、最も見られたくないはずの下半身は彼女の柔らかな乳房に腰ごと乗っかることで周囲からは一切見えなくなった。
傍から見れば、朝早く起きたせいで電車の中で寝入ってしまった子供を、メイドのアンドロイドが優しく抱き抱えて運んでいるという一風変わりつつも無くはない光景に見えているのだろうか。状況を理解する前に、ケンタはなすがままに車外へと運び出された。
プラティアの足取りはケンタという重りと他の荷物を持っているとは到底思えないほど軽く、ヒールの音が規則正しくホームに響く。
顔を胸に埋められたケンタは息をするたびに鼻腔を満たす甘い香りと、自身の陰茎が公衆の面前でプラティアの乳房に押し付けられているという背徳的な状況に、羞恥と興奮で頭がおかしくなりそうだった。
やがてヒールの音が止まり、周囲の喧騒が少し遠のいた。
乗り換え用の通路の隅、自動販売機の影になる比較的人通りの少ないスペースに到着したらしい。
しかしプラティアはケンタを床に下ろすことはせず、彼を抱き抱えたままの姿勢でふうっと小さく息を吐いた。
「少し、戯れが過ぎてしまいましたね」
ケンタに語り掛ける調子は、いつもの冷静なメイドの声だった。
「私の不用意な行動のせいで、ご主人様に恥をかかせてしまいかねない状況を作ってしまい、誠に申し訳ございません」
謝罪の言葉を口にしながらも、彼女の腕のホールドは少しも緩まない。ケンタは苦しい体勢のまま、プラティアの豊かな乳の谷間から少しだけ顔を上げて彼女を見上げた。
プラティアは澄ました顔のまま、どこか誇らしげな、まるで大きな手柄を立てたかのような自信満々の表情を浮かべていた。
「ですがご安心ください。ご主人様の可愛らしい勃起は、プラティアがしっかり隠蔽いたしましたので」
隠蔽という表現に、ケンタは呆気を取られた。確かに彼女の咄嗟の機転によって、ケンタは公衆の面前で股間を膨らませたまま歩くという社会的死を免れることができた。その点については感謝しなければならないのだろう。
しかし、どうにも腑に落ちない。
そもそもケンタをそんな状態に追い込んだのは、他ならぬプラティア自身なのだ。電車の中で横乳を押し付け、ぱいずりえっちなどという破廉恥な提案をしてきたのは彼女の方である。
いつもは完璧に家事をこなし、ケンタの体調や精神状態を第一に考える冷静沈着なメイド。そんな彼女は、どこかおかしい。
「どうしたのプラティア。今日はなんか……ちょっと、変というか」
ケンタはプラティアの上乳に手を当てたまま、怪訝な顔で尋ねた。
小学生の言葉では上手く表現できなかったが、明らかに普段の彼女とは行動の様子が異なっていた。無駄な挑発、大胆すぎる隠蔽工作、そしてその自信満々な態度。
ケンタの指摘に、プラティアはぴたりと動きを止めた。何度か瞬きを繰り返し、内部で急速な演算処理が行われているのがわかる。
数秒の沈黙。やがて最高級のアンドロイドが誇る完璧な人工皮膚に、まるで人間の少女のようなほんのりとした朱色が差した。プラティアは自覚があったのか、少し口を噤んだあと、気まずそうに視線を泳がせて白状した。
「……ご主人様との初めてのお出かけで、少し舞い上がってしましました」
「舞い上がる、って」
「浮かれていた、と言い換えても構いません。……申し訳ございません」
あまりに潔い言い分に、ケンタは言葉を失ってしまう。
つまり彼女は、ケンタと一緒に外に出られたことが嬉しくて嬉しくて、テンションが上がりすぎて奇行に走ってしまったということなのだ。
ケンタに奉仕をする時以外は感情の起伏が少ないように見えていたプラティアが、今日のお出かけに対してはしゃいでいた。そんな事を明かされて、ケンタの胸の奥は猛烈なくすぐったさで満たされていく。呆れると同時に、そんな彼女の一面がひどく愛おしく、可愛らしく思えた。
とはいえ、このまま彼女のペースに乗せられていては目的地であるスパ施設に着く前にまたどんな騒動を引き起こすかわからない。ケンタは一つ咳払いをし、主としての威厳を保つように少しだけ低い声を出した。
「とりあえず……その、施設に着くまでは、えっちなことは我慢しようよ」
「んんっ……」
切実な提案にプラティアは少しだけ呻いた気がしたが、すぐに元のお澄ましメイドの表情に戻り頷いてみせた。
「……かしこまりました。ご主人様のおっしゃる通りですね」
そう言って、プラティアはようやくケンタの身体をゆっくりとホームの床に下ろした。
冷たい風に吹かれて、ケンタの下半身の熱もようやく落ち着きを取り戻しつつあった。
プラティアは乱れた衣服を直し、ケンタの髪を整えてから手を差し伸べる。
ケンタはその手をしっかりと握り返して、目的地へ向かうための乗り換え電車のホームへと足を向けた。