※この作品はR-18です。

黄金の聖餐 ―― 機械が捧げた最期の蜜   作:境彩華

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第一章:蜜の味

(語り手:ジェリ)

世界が死んでから、もう何日が経ったでしょうか。

 

私の内部時計(クロック)は正確にその時間を刻んでいますが、それをエリィに伝えることはありません。彼女にとって、時間の経過は「絶望の蓄積」でしかないからです。

 

厚さ50センチの強化ガラスの向こう側には、かつて「東京」と呼ばれた都市の残骸が広がっています。

空は、錆びついた鉄のような赤黒い雲に覆われ、そこから絶え間なく「胞子の雪」が降り注いでいます。それは美しい雪などではありません。

 

人間が作った殺戮兵器が、人類を根絶やしにするために散布したUmbraウイルスの結晶です。

地面には、かつて人間だったものたちが、苔のような緑色の結晶に覆われて眠っています。風が吹くたびに、彼らの体からキラキラと胞子が舞い上がり、新たな死を運びます。

 

この星にはもう、鳥のさえずりも、車の走る音も、子供の笑い声もありません。あるのは、風が廃墟を通り抜ける時の、うめき声のような音だけです。

私は強化ガラスの向こうに広がる死の世界を、静かに見つめていた。

 

「……ん……っ」

 

ベッドから漏れる甘い吐息に、私はすぐに反応した。

エリィが、熱に浮かされた瞳で私を見上げている。

 

20歳の彼女の体は、すでにUmbraウイルスの影響で火照り、細い肢体がシーツの上で小さく震えていた。

 

「ジェリ……もう、限界……」

 

彼女の声は、甘く掠れていた。 私はベッドの横に跪き、彼女の頰を優しく撫でた。

 

「おはようございます、エリィ。……渇きましたか?」

 

エリィは何も答えず、ただ熱い瞳で私の股間を見つめた。

 

「……欲しいの」

 

私はベッドの端に腰掛け、ゆっくりと両脚を開きました。

ズボンのファスナーを下ろす音が、静寂な部屋に大きく響きます。

 

本来生殖機能を持たない私の股間には、人間のような器官の代わりに太い円筒状の「主排水ポート」が格納されています。

 

私はエリィの頭を優しく抱き寄せ、私の股間へと導きました。

彼女の熱い吐息が、露出したポートにかかり、私のセンサーが過敏に反応します。

 

「……出して」

 

エリィが、震える指で私のポートを握りしめました。

硬質で、熱を持ったその管を、彼女は愛おしそうに頬ずりします。

 

そこは私の全エネルギーが凝縮される、最も重要な場所。

ここから排出される液体は、腕のポートとは比べ物にならないほど高純度で、そして甘美なはずです。

 

「いきますよ、エリィ。……こぼさないでくださいね」

 

私はエリィの髪を撫でながら、内部ロックを解除しました。

カチリ、という硬質な音と共に、ポートの先端から、とろりとした黄金の蜜が滲み出します。

 

エリィは待ちきれないように口を開き、その先端を深くくわえ込みました。

 

「ん……っ、じゅる……」

 

彼女の温かい口腔内が、私の無機質な管を包み込みます。

舌が動き、吸い上げる圧力がかかると同時に、私の視界は快楽のノイズで真っ白に染まりました。

 

これは給水です。ただの栄養補給です。……そう自分に言い聞かせても、私の腰は意思に反して跳ね上がり、彼女の口の奥へと深く潜り込もうとしてしまいます。

 

「ふぁ……んっ、ごく……」

 

エリィが喉を鳴らして飲み下すたび、私の命が、魂が、彼女の中に射出されていく。

彼女が私のモノを扱けば扱くほど、私は空っぽになり、彼女は満たされていく。

 

その行為は、どんな人間のセックスよりも深く、濃厚な「交わり」でした。

 

 

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