セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
「おまたせたっくん」
「おかえりなさい玲香さん。大丈夫でした?」
「うん、ちゃんと拭いて来たし大丈夫」
「そうですか、それなら良かったです」
「ごめんね?」
「いえ全然待ってないので大丈夫ですよ」
「あっ、そっちじゃなくてさ」
「え?」
「アタシたっくんにカイハツされちゃったからさ?ちょっと油断するとすぐこうなっちゃうんだよね。だからゴメンね?」
「してないです。そんなことした記憶はございません」
「えーっ?あんなにいっぱいシてくれたじゃんっ」
「してません。というかこんな人の多い場所でそんなこと言わないでください」
「ムー」
全く、一体何を言っているんだろうか玲香さんは?
否定するべき事はちゃんとしておかないと。知らない間に僕が玲香さんを開発している事にされてしまうところだった。
正直ちょっとだけそういったことに興味があるのは事実だけど、だからといって開発させてくださいなんて玲香さんに言えるわけがない。
だって玲香さんだったら喜んでいっぱい開発してって言いそうだし。
「と、とにかく何とかしないと大変だと思いますよ?今回みたくお店が近くにあるとは限らないですし、かといって替えの下着を何枚も持ち歩くわけにもいかないですから」
「うーん、それはそうかも……」
「何か対策を考えないとデートをするのも大変になっちゃいますよ?」
「対策って言われてもなー、うーん」
「こういうところでのデート以外にも、例えばお祭りとかに行ったときも困る事になりますよきっと?」
「あーお祭りかー。そっかそうだよねー……えーどうしよ?」
ここまで言われてやっと良くない状況だと認識し始めた玲香さんが焦りを見せ始める。そんな玲香さんを見て僕は取り合えずパッと思いついたことを聞いてみることにした。
「んー例えば吸水性のあるやつで使い捨ての物とかないんですか?下着そのものじゃなくてもその、何か吸い取るようなやつで下着に着けるタイプの物とかあればそれで良さそうな気はするんですけど」
「あっ、それならあるよ」
「え?あるんですか?」
「うん。普通はおしっことかで使うやつなんだけどさ?」
「あーもしかして尿漏れとかそっちの方のやつですかね?」
「あっそうそう、それそれ」
「それなら薬局とかに売ってませんでしたっけ?」
「うん売ってる売ってる。んじゃせっかくだし買いに行こっか?」
「行きましょう」
まさか思い付いたことを聞いただけでこんなにあっさりと解決策が見つかってしまうとは。そんなことを思いながら僕と玲香さんは薬局の方へ向かって足を動かした。
僕は心の中で安堵していた。
なぜなら玲香さんがデートのたびに毎回何枚も下着を携帯するなんて出来るわけがないし、玲香さんへの負担が大きすぎるからだ。
それに今回のように事あるごとに下着を替えてたら着替える時間も場所も常に必要になってしまいデートどころではなくなってしまう。
応急処置に近い形とはなったけれど、解決策が見つかったのは素直にほっとした。
日が経つ毎に玲香さんがえっちになっていっているのは流石に僕も理解しているし、実際に体を重ねている僕にもその責任があるとは思う。
だからこそ解決しないといけない問題はこうして二人で一緒に考えて解決いけばいい。
そこまで考えて、こうしてセンシティブなことを当然のように話せる関係になっていることに気が付いた僕は何だかとても嬉しくなってしまった。
「たっくんどしたの?なんか急に嬉しそうな顔してるけど?」
「え?……そうですね。何かいいなって思ったんですよこういうの」
「ん?いいってなにが?」
「今みたいなことって、やっぱり普通の高校生のカップルだと話し辛いと思うんですよ。でも僕と玲香さんってもう当たり前にこういうことを話し合える関係になってるじゃないですか?それが何か凄くいいなって思って」
「ふふ、確かに言われてみたらそうかもっ」
「ですよね?」
「うん、なんかもう夫婦みたいだねアタシ達?」
そう言ってふわりと笑顔を浮かべた玲香さんは本当に魅力的だった。
でも一つだけちゃんと訂正しておきたい事がある。
「僕としては夫婦『みたい』だと困るんですけどね」
あの日覚悟を決めた僕は玲香さんに対し、結婚を前提に付き合ってくださいとハッキリとその意志を伝え、そして玲香さんはそれを喜んで受け取ってくれた。
だから僕としては夫婦『みたい』では困るのだ。僕の覚悟も玲香さんの覚悟も軽んじてしまっているような気がして。
そんな事を考えていた僕の表情を見た玲香さんは何かを察したのか、少し目を伏せるようにして謝罪の言葉を口にした。
「……たっくんごめん、ちょっと軽率だった」
「あっいや違うんです玲香さんっ!責めてるわけじゃないんですっ!」
「……うん」
「ただその……玲香さんをあれだけ不安にさせて、あれだけ泣かせることになってまでやったことじゃないですか?だからそこだけはどうしても大事にしたかったんです」
「……ホントにごめんね?でもアタシ、たっくんのその気持ちすごく嬉しい」
玲香さんは握っている手に少しだけ力を込める。
「こんなに大事にしてくれてるんだって、今こうして改めて言葉で聞いてすごくそれを感じちゃった」
そう言ってくれる玲香さんの顔はいつもの優しい笑顔で。
「だからすごく嬉しい……ホントに嬉しい」
とても幸せそうな目で僕を見つめてくれていた。