セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
スッと目が覚める。一切の眠気も感じないままスマホを確認すると時間はまだ朝の五時を過ぎたところだった。
―――久しぶりにあの頃の夢を見た。
アタシはベッドの上で体を丸くしながらクスッと笑みを零す。
―――今にして思えば、なんて大胆なことをしていたんだろうと思う。
男が嫌いになっていたアタシが自分から男の子に胸を押し当てるなんて。しかも「当ててるって言ったらどうする?」とか言っちゃったりしてるし。
急に恥ずかしくなったアタシは熱くなった顔を抱きしめている枕へ顔を隠すように押し付ける。すると枕に顔を押し付けながら抱きしめているだけなのに、なぜかすごく気持ちが落ち着く感じがした。
「……そっか、だからたっくんはアタシの胸が好きなんだ……ふふ、そっか」
甘えるようにアタシの胸に顔を埋めて眠るたっくんの姿。まるで赤ちゃんみたいに眠るたっくんは、アタシの胸で心から安心してるからあんなに安らかな顔で眠っているんだとアタシは改めて気付かされた。
「……抱きしめてあげたいな」
それでたっくんが安心してくれるなら、それでたっくんのあの寝顔を見られるのなら、アタシはいくらだってたっくんを包み込んであげたい。いっぱい甘やかしてあげたい。
「……うー、早くたっくんに会いたいよぉぉ」
枕を抱きしめたままベッドの上でゴロゴロしていたそんな時だった。たっくんのことを想像してふわふわとした気持ちになっていたアタシの耳に、スマホからメッセージが届いたことを知らせる音が聞こえた。
「―――?」
こんな朝から誰だろう?そう思ったアタシは不思議に思いながらもスマホを手に取った。
◇◇◇
「おはようございますっ玲香さんっ」
「あっ!たっくん!おはよ!」
「うわっぷっ」
僕が待ち合わせ場所に辿り着くと同時に、僕に向かって手を伸ばした玲香さんにむぎゅぅっと強く抱きしめられた。相変わらずいい匂いがしてとても柔らかかった。
「んぅーーーっ!たっくんだーーーっ!」
昨日のお昼のときのように玲香さんは僕をぎゅうっと抱きしめる。
「……ふふ、たっくんだ……たっくんだぁ、ふふふ」
その声色からは溢れんばかりの幸せオーラが伝わって来る。僕も玲香さんが幸せに感じてくれているのならそれが一番だったので、何も言わずに玲香さんにこの身を預けていた。
◇◇◇
「(―――んっ♡ たっくん気持ちっ♡ んっ♡あっ♡ やぁ♡ んっ♡)」
便座に両手を付き、隠すところが少ないTバックをずらしたまま挿入した僕は、その肉厚なお尻を突き出している玲香さんに腰を打ち付ける。
声を抑え気味にしても漏れ出る吐息がトイレの中へ静かに響いていた。
学校に着いた僕達は、なぜかまた人が来なくなった例のトイレへと向かい無事に日課(と呼ぶには過激すぎる)を終わらせた。
そしてトイレから出て教室へ向かうその道中のこと。
「……ねぇたっくん」
「どうしました?」
さっきまではあんなに幸せそうな顔をしていたのに、トイレから出る頃にはなぜか少しだけ浮かない顔をしていた玲香さん。
「ちょっとお願いがあってさ?」
「お願いですか?」
「うん」
玲香さんからのお願い。それは恐らく玲香さんが今こうして浮かない顔をしている理由と関係のあることなんだろうと察した僕は、玲香さんを見つめながら話してくれるのをじっと待つ。
そうして待っていた僕に言った玲香さんのお願い、それは。
「……あのね?日課なんだけどさ?やめよっかなって思って」
僕にとって完全に想定外の言葉だった。
◇◇◇
授業中あのときの言葉を思い出し気になった僕は、二つ隣の席に座っている玲香さんの方へ視線を向ける。
するとこのクラスでは最早当たり前過ぎる光景となっている玲香さんの『机の上に鎮座する胸』がついつい目に入ってしまう。
今日もトイレの個室であの胸を僕は……と思った所で前を向いていた玲香さんがふと僕の方に視線を向け、バッチリと目が合ってしまった。
一秒、二秒、三秒……。一度合った目は離れることなく合い続ける。
窓から差し込んだ日の光は教室の床や壁や天井を反射することで教室全体を明るく染め上げている。そのはずなのに、今の僕にはまるで反射した光が玲香さんという個人を照らしているように見えていた。
淡く輝く金色の髪は机の上に乗っている大きな胸にサラサラとかかり、その黒く長い睫毛から覗く彼女の綺麗な瞳は、静かに見つめ合っている僕の瞳を今もずっと捉え続けている。
最初は気まずいと感じていた気持ちもいつの間にか何処かへと行ってしまい、ただじっと見つめ合っていた。
目が離せない。目を離したくない。僕は授業中だということも忘れて玲香さんと見つめ合い、そして同時に玲香さんに見惚れていた。
―――カシャンッ!
すると突然の硬い何かが落ちような音に驚き、僕は反射的にそちらへ顔を向けてしまう。そこには筆記用具を入れていた箱を謝りながら拾おうとしている女子の姿があった。
その様子を見て何が起きたのかを理解した僕は、驚いて鼓動が早くなっていた心臓を落ち着かせるように深く息を吐く。
そして落ち着いたところでもう一度玲香さんの方へ視線を向けると、玲香さんはすでに僕の方を見てはおらず、その視線は先生が書いている黒板とノートを往復させていた。
そのことに少し残念な気持ちでいると、玲香さんの太腿の辺りで何かが細かく動いていることに気が付いた。
僕がそちらの方に視線だけを向けると、玲香さんは左手に隠し持っていたスマホを先生からは見えないよう軽く振動させるように僕に振ってアピールしていた。
(もしかして、スマホを見ろってことなのかな?)
そう思った僕はこっそりとスマホをポケットから取り出し、玲香さんから送られて来ているであろうメッセージを確認する。
『お昼、屋上前のトコよろしくね♡』
玲香さんからの可愛らしいメッセージは、その一文を見ただけで空高く舞い上がってしまいそうなほど僕の心を軽くしてくれた。
◇◇◇
ブラウス越しに感じる玲香さんの胸は、程よい温もりと柔らかな感触を僕に伝えてくれている。鼻を押し当てて目いっぱい息を吸い込めば、僕の体の中は玲香さんで満たされていった。
「ふふ、たっくん可愛い♡」
壁に背を付け、足を伸ばしながら床に座っている僕に跨っている玲香さん。いわゆる対面座位で座っている彼女をぎゅうっと抱きしめながら匂いを嗅ぐこの行為は、僕の大好きな甘え方の一つだ。玲香さんの柔らかさも温かさも匂いも全てを同時に味わうことが出来るから。
「あはっ、いくらなんでもたっくん吸い込み過ぎ。ウケるんだけど」
そんなことを言われてもこんなに甘やかしてくれる玲香さんが悪いと思う。
「あっ、そいえばさ?たっくんと授業中すっごい見つめ合っちゃったね?いくらアタシのこと好きだからってさ?授業はちゃんと受けないとダメだかんね?」
自分のことを棚に上げてそんなことを言う玲香さん。僕は反論する代わりに玲香さんの腰をさらに強く抱き寄せる。
「んっ♡ もーどういう返事の仕方なのさー?」
そんな風に言いつつも「ホントにしょうがないなーたっくんは」とまたすぐに甘やかしてくれるその声色は、嬉しくて堪らないといった感情で溢れていて。
「ホントに甘えん坊なんだから♡」
そう言って玲香さんは僕の顔に胸を押し付けるように体重を預けて来る。
その重さは玲香さんから僕への信頼と愛情の証のようにも感じられ、込み上げる愛おしさを抑えきれなくなった僕は、押し付けられている玲香さんの胸にぐりぐりと顔を擦りつける。
「ゃんっ、ふふ、えっちー♡」
玲香さんの全てが僕を優しく包み込んでくれていた。