セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
「ねぇねぇキミめっちゃ可愛いね?そっちの子は弟さん?」
「ありがとー、そうそう弟とデート中だから。でね?最近また新しいやつが出ててさ?」
ちゃんと玲香さんと僕が恋人繋ぎで手を繋いでいたにも関わらずさも当然のように玲香さんに声をかけて来た彼は、分かりやすく言えばチャラ男みたいな感じの男の人だった。
整髪剤を使って整えられている金髪と日に焼けた浅黒い肌の彼は、そもそも背の低い僕は当然として、結構な身長がある玲香さんよりも少しだけ背が高かった。
「あっやっぱそうなんだ?じゃあさじゃあさ?弟さんも一緒でいいから俺と一緒に遊びに行かない?」
「弟と二人っきりでデート中だから。結構いい感じに透けてるやつでさ?」
「俺キョウヤって言うんだけどさ?キミの名前知りたいな?」
「……それ、ちゃんと隠れてるんですよね?」
「え?うん……透け具合はまぁまぁ……かな?」
「絶対スッケスケで色々と見えちゃってるやつじゃないですかっ」
「えーいいじゃーん?ホントはそういうの好きなくせにー♡」
「なぁ名前くらい教えてくれてもいいじゃん?」
「そ、それはもちろん好きですけどっ」
「あはっ、ほらやっぱりっ」
僕達の会話に割り込む形でしつこく食い下がって来るチャラ男。そんな彼を適当にあしらいながら歩いていた玲香さんは、彼がやっと諦めていなくなったところで大きな溜め息を吐いた。
「あーーウザ……マジでしつこ」
「玲香さん、大丈夫ですか?」
「はぁぁ……うん、大丈夫。ありがとたっくん」
「また絡まれると面倒ですし、カフェで少し休みます?」
「んーなんか無駄に疲れちゃったしそうしよっか?ごめんね?」
「謝ることなんて無いですよ玲香さん」
僕は玲香さんにそう言って握っている手に少しだけ力を込める。玲香さんは一瞬だけ視線を繋いでる手に向けてから嬉しそうに微笑んだ。
「ふふ、ありがとっ♡」
◇◇◇
「こちらご注文のストロベリーとアーモンドチョコミルクになりまーす」
「あっはい、ありがとうござまーす」
店員さんにお礼を言って二つとも受け取った僕は、後ろにいた玲香さんに声をかける。
「玲香さん、これこのまま僕が持ちますね」
「うん、ありがとっ」
「席は……あそことかどうですか?」
「いいんじゃない?」
「じゃあ行きましょう」
注文した飲み物を受け取った僕達は、ちょうど空いていた二人用の席に向かった。そして先に席に辿り着いた僕は飲み物をテーブルに置いてから玲香さんの椅子を引いて座らせてあげる。
「飲み物持ってもらってたんだから別にいいのに」
「いえ、これくらいはやらせてください。いつもは気にしないようにしてますけど、やっぱり玲香さんは歩いてるだけでも凄い見られてますし、今日はしつこくナンパまでされて疲れてるでしょうから」
「……うん」
「本当に気にしないでくださいね?僕も玲香さんのためにしたいって思ってしてますし、してあげられること自体が嬉しいんですから」
僕が本当に心から想っていることを素直に言葉にすると、玲香さんはその頬を赤らめ熱い眼差しで僕を見つめて微笑んだ。
「ふふ、やっぱりアタシの彼氏はたっくんしかあり得ないかも♡」
「そうですよ?玲香さんの彼氏は僕しかいないんです」
「あはっ、え、なんか急に頼もしいじゃん?」
「いや、何か思い出したら腹が立って来て」
「それって、さっきのナンパ?」
「はい。ちゃんと恋人繋ぎで手を握ってたのに声かけますか普通?しかも弟さん?って失礼な。僕は彼氏ですけど?みたいな」
「あははっ、そこに引っ掛かってたんだ?」
「いやまぁ、はい」
僕の話を聞いた玲香さんは、ストロベリーラテに刺さっているストローをゆっくりと回して掻き混ぜる。
「ふふ、そっかそっか。でもあーいう奴って気にしないからねーそういうの」
苦笑しながら言う玲香さん。
「ホントはアタシもたっくんを彼氏だって言えればよかったんだけどさ?あーいうのってなんか無駄にプライド高いから面倒なんだよね」
「え?そうなんですか?」
「うん。連れてる男が自分より下だって一人で勝手に勘違いしてさ?あんな男でもイケるなら俺だったら余裕でイケるだろみたいにすぐ思い込んじゃうのね?だからあーやって空気読まないで声かけて来るし、ずっとついて来てしつこく食い下がるんだよね」
「えぇ?」
何それ怖い。
「それであいつにたっくんが弟かって聞かれたとき、アタシは弟とデートしてるって答えたじゃん?今も言ったけど、あーいう奴ってプライド高いからさ?自分で勝手に格下だと思い込んだくせに、その格下だと思ってる男が彼氏だと分かった途端に豹変したりすんだよね。格上である俺を選ばないお前はおかしいって急にキレ始めたりとかさ?」
「……うわぁ」
「だから弟と仲良くデートしてるって思わせておけばブラコンだって思われて諦めてくれやすくなるみたいな?」
思った以上に過酷な話で普通に引いた。
「まーでもアタシはそんなナンパされないけどね?今日みたいなやつで言えば親戚の子を遊びに連れてったりしたときとか、そのくらい?」
「あれ?玲香さんってそんなにナンパされないんですか?」
てっきり百戦錬磨のナンパ撃退術でも身につけているのかと思っていたのに。
「いやなんかさ?アタシって体デカイし肉付きもいいじゃん?だから普段から体を鍛えてて自信を持ってる男とか、よっぽど自己肯定感が高い男とかじゃないと結構近寄り難いみたいでさ?全然ナンパして来ないんだよね。まーナンパされてもウザいだけだからそれはそれで助かってるけど」
「あー……なるほど?……あの?ちなみに玲香さんって今身長何センチくらいあるのか聞いてもいいですか?」
「今?今は確か……百七十八?くらい?」
「ひゃ―――!?」
僕が目指している夢の百八十センチまであと二センチじゃないか!
「たっくんはそのままでいいの」
「あの……僕何も言ってませんけど……?」
「目が言ってる」
「えぇ?」
玲香さんの僕を見る目はどこまでも凄かった。