セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
「―――んぅ♡」
湯船に浸かりながら僕と玲香さんは正面から抱き合い、濃厚な口付けを交わしていた。
「んっ♡……んぅぅ♡……はぁ♡……んふ♡……ん、おっぱいも吸って♡」
吐息のような甘い声で囁いた玲香さん。僕はその張りのある大きな胸にあえて音を立てながら何度もキスを繰り返し、最後にそのピンと尖った先端へと優しく吸い付いた。
「―――んぁ♡……んふぅ♡……あっ♡……ふふ♡」
玲香さんにいっぱい甘えたくて仕方なかった僕と、何かの夢を見てムラついてしまっていた玲香さんの二人が一緒になってお風呂に入ればこうなるのは当然だった。
「―――あっ♡……たっくん♡……んぅ♡……やっ♡指でくりくりしないで♡……んっ♡」
こうして僕も玲香さんも大満足の時間を過ごしたあと僕達は仲良く食卓を囲み、その様子を母さんは優しい瞳で見守ってくれていた。
◇◇◇
寝るために必要な準備を全て終えた僕達は、二人で一緒にベッドで横になりながらお互いの温もりを感じようとぎゅうっと抱きしめ合っている最中だった。
「ん、たっくんもっとくっついて」
「はい」
「脚も絡ませて?」
「わかりました」
「腰ももっと強く抱き寄せて?」
「もちろんですよ」
「アタシの匂いいっぱい嗅いで?」
「喜んで」
「ふふ♡」
玲香さんはとにかく少しでも僕と体を触れ合いたいがためにこうした我儘を言って来るけれど、僕はそんな可愛らしい我儘を言う彼女がとても好きだった。
我儘とは言っているけれど、正直なところ我儘なのかお願いなのかよくわからなくなっているような気がしないでもない。
取り合えず僕は素直に玲香さんの言うことを聞きながらその胸に顔を埋めて匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
お風呂から上がったあとに着替えた玲香さんの姿は、下がお尻が見えそうなくらい丈の短いショートパンツ、上は白のノースリーブの上にいつかのふわもこっとしたカーディガンを羽織っていた。
玲香さんの匂いとその柔らかさを堪能していた僕は彼女のその魅力的なお尻を触りたくなり、抱き寄せるために回していた手をその短いショートパンツに包まれているむっちりとしたお尻へと移動させていく。
「―――んっ♡」
そしてそのままショートパンツの上から肉厚で弾力があり、それなのにしっかりと指が沈み込むほど柔らかなお尻をぎゅっと掴み、自分に向かって強く抱き寄せた。
「もー♡おっぱいに頬ずりしながらお尻まで揉むとか、たっくんのえっち♡」
「僕は玲香さんに甘えてるだけですよ」
「知ってる♡」
「僕も玲香さんが知ってて言ってるのを知ってて言ってます」
「あはっ、だよねー?流石アタシの彼氏のたっくん♡」
―――ねぇ彼女めっちゃ可愛いね?そっちの子は弟さん?
―――ドクン……と一度だけ強く心臓が鼓動した。
玲香さんの体の中でも取り分け目立つ大きな胸へと向けられる不躾な視線と、その隣に立つ僕を見下すようなあの男の目が浮かび上がり、それが僕の心を急速に冷やしていく。
(……違う)
つい今の今まであった温かな気持ちは消え去り、強烈な不快感が内側から込み上げて来る。
(……僕は弟なんかじゃない……僕は、玲香さんの彼氏なんだ)
玲香さんが言った彼氏という言葉によって過ったあの男の姿。その姿に嫌悪感を抱いた僕は無意識の内に体に力が入ってしまっていた。
そして僕をよく知っている玲香さんが、そんな僅かな変化に気が付かないわけがなく。
「……もしかして、ナンパ男のこと考えてたり……する?」
いきなり核心をついて来た玲香さんに驚いた僕は、擦り寄せていた顔を彼女の胸から離し、心配そうな顔で僕を見つめる玲香さんと視線を合わせた。
「……どうして、そう思ったんですか?」
「今アタシが彼氏って言ってからね?たっくんの体すごく強張ったんだよね。だからもしかしたらそうなのかなって」
「……そう、ですか」
「うん」
「……すいません」
謝る必要なんて無いのにも関わらず、僕はどうしてか謝罪の言葉を口にしていた。でもそんな僕の頭を玲香さんはぎゅうっとさっきよりも強くその胸に抱きしめてくれた。
「……アタシこそごめんね?」
「れ、玲香さんが謝ることはっ」
「んーん、そんなことないよ?アタシもあのとき面倒とか言わないでさ?ちゃんとたっくんはアタシの彼氏だって言えば良かったのに言わなかったじゃん?」
「それはっ」
「それに今改めて思ったんだけどね?それってプロポーズまでしてくれたたっくんの気持ちに対する裏切りじゃんって……そう思ったんだよね」
そんな風に言ってくれる玲香さんはどこまでも温かくて。
「……もし仮にたっくんが女の子にナンパされてさ?それで隣にいるアタシがその子にたっくんのお姉さんですか?って聞かれたときにたっくんが姉ですって答えるのと同じことしたんだよ?アタシだったらそんなの嫌だもん……なのにアタシその嫌なことをしちゃってた……だから、ごめん」
胸に包まれている僕の頭に、玲香さんが頬をすり寄せる感覚が伝わって来る。
「……ホントにごめんね」
玲香さんは抱きしめている力を緩めて少しだけ体を離すと、少しだけ泣きそうな表情で僕をじっと見つめる。
「アタシだったらちゃんと言って欲しい。アタシは姉じゃなくて彼女ですって、やっぱりちゃんと言って欲しい」
「玲香さん……」
「だからホントにごめんね?あれだけ学校でもアタシとたっくんの関係を見せつければいいとか言って来たのにさ……ホント、酷い彼女だよね……ごめん……ホントにごめん」
玲香さんの僅かに震えているその声は、僕を強く奮い立たせる。
「…そんなこと、ないですよ」
あの状況で一番大変な思いをしたのは玲香さんで、僕はそれに合わせて会話を続けていただけだ。
「最低なことなんてないです。絶対に」
しつこく付きまといながら話しかけて来るあの男を、ただひたすらに無視し続けるというやり方を選んでいただけだ。
「……たっくん」
僕がこうして彼氏という言葉一つでその時のことを思い出し、不快な気持ちになってしまうのは。
「僕にとって玲香さんは世界に一人しかいない大切な彼女です」
他人から弟扱いされたということや、玲香さんに彼氏と言ってもらえなかったということよりもきっと―――。
「それだけは誰に何と言われようと、絶対に間違いないです」
弟じゃなくて彼氏ですと、彼女が迷惑しているのでやめてくださいと、そう言ってやることだって出来たのに。
あの男に堂々とそう言ってやる道を自分で選ぶことが出来たはずなのに。
―――きっと、その道を選ばなかったからだ。