セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
Ex話はいわゆる神の視点、第三者視点での書き方となっていますので、そこだけご了承の上お読みいただけると幸いです。
あれだけ騒がしかった教室が、まるで時が止まったかのように静まり返っている。
「はっきり言います。やめて下さい」
静まり返っている教室内で、水崎拓斗ははっきりと言い放つ。
「……は?え?水崎じゃん」
「……何?急に?」
余りにも突然過ぎる事態に、彼等は困惑すると同時に引きつった笑みを浮かべてしまっている。それは完全に今起きた事に対して頭の処理が追い付いていないからであった。
「いや、水崎お前さ?急に何なんだよ?お前には関係ねぇじゃん?」
「そうだよ関係ねぇじゃん?」
先程からふざけた会話をしていた男子二人が拓斗に突っかかる。
「関係あるから言ってるんですよ。それからそもそも関係無いのに話に入ったのはそっちですよね?」
「はぁ?関係あるって何言ってんのお前?」
「お前が俺達に何の関係があるんだよ?」
「僕は玲香さんに関係あるのであって、二人には何の関係も無いですね」
拓斗の言葉に教室内が一気に騒がしくなっていく。
「え?は?今、玲香って?え?」
「何でお前が花宮を下の名前で呼んでんの?」
「……玲香?」
激しく動揺する男子二人と玲香の友人であるギャル達の視線が、下の名前で呼んだ拓斗と玲香の間を往復する。
そんな周囲の人間の困惑を他所に、花宮玲香の視線は水崎拓斗に固定されていた。そしてその顔には驚きと同時に困惑が広がっている。
(たっくん……?アタシとたっくんの関係がみんなにバレちゃうよ……?みんなには隠すんじゃなかったの……?)
花宮玲香が考えている通り、水崎拓斗はずっと二人の関係を隠し続けるつもりだった。それは自分が花宮玲香に相応しくないと、隣に立つのは自分では無いと、心の何処かでそう思っていたからだ。
しかし、それはかつての水崎拓斗であり、覚悟を決めた今の水崎拓斗では無い。
拓斗は自分を驚いた表情で見つめている玲香に視線を向けると、表情を和らげ優しく微笑んだ。
その微笑みを見た瞬間から、花宮玲香は確信すると同時に水崎拓斗への想いが次々と溢れて来るのを止められなくなっていく。
今だ状況が飲み込めず困惑している中、突然目の前で見つめ合い出した二人に対し誰も何も声を掛ける事が出来ない。
感覚では薄っすらと感じているものの、そんなはずは無いと頭で理解する事を拒んでいるからだ。
拓斗は心から申し訳なさそうに表情を変え花宮玲香に謝罪する。
「ごめんなさい玲香さん。もっと早く止められたのに。本当にごめんなさい」
「……うぅんすっごい嬉しい。でも本当にいいの?」
「はい。こんなふざけた状況を放置し続けるなんて僕には無理です。こんなに玲香さんを侮辱され続けるのを黙っている事なんて僕には無理です」
拓斗の言葉一つ一つが玲香の胸を高鳴らせる。
それはまるで全身の毛が逆立つような感覚だった。
全身が奮えるような感覚だった。
「僕は玲香さんに誓いましたから」
心も体も全てが悦んでいるのが手に取るように理解出来た。
玲香の脳裏に浮かぶのは、一瞬たりともその目を離す事無く見つめてくれていた拓斗の姿。
泣き叫んでいた自分をしっかりと見つめ、そして心からの言葉を伝えてくれた最愛の彼の姿だった。
「二度と不安にさせないと玲香さんに誓いましたから」