セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
僕は玲香さんに伝えるべき事を伝えてから、セクハラをしていたギャル友や男子達に目を向ける。
「僕にとっても玲香さんにとっても皆さんの会話ははっきり言って不愉快なんです。玲香さんに、僕の彼女に二度とこんな事をしないでください」
薄っすらと感じ取っていたであろう僕と玲香さんの関係をきっちりと言葉にして伝える。
「か、彼女って……玲香アンタ……マジ?」
ギャル友の一人が信じられないといった様子で玲香さんを見る。
「え?あーうん……ってか最初に告ったのアタシだし」
玲香さんの爆弾発言に、教室中がパニックを起こしたかのように騒がしくなる。
「は?はぁ?なんで水崎??」
「……マジかよ」
「は?え?嘘だろ?えっマジで?いや在り得ないだろ花宮?えっ?」
玲香さんにセクハラをかましていた男子の一人が特に激しく動揺する。それはそうだろう、恐らくずっと玲香さんを狙い続けて来た彼からしてみれば、横から突然しゃしゃり出て来た僕が実は玲香さんと付き合ってました。告白したのは玲香さんからですなんて言われたら動揺するに決まってる。
「嘘だろ?花宮が水崎と?」
「何であいつ?」
「花宮さんが水崎君を見てる時、何か凄く可愛くない?」
「わかるっ!私も水崎君を見てる時の花宮さん見てそう思ったっ!」
「マジかよーガチでうらやましい」
「水崎なんかと付き合ってくれるなら俺も攻めればよかったわ」
「あんたじゃ無理だって」
「はぁ?わかんねぇじゃん?だって水崎だぞ?」
「あれじゃね?恋人のフリしてなんとかってやつ」
「あーなるほどな、確かにそれならありえそうだわ」
「マジで在り得ねぇんだけど嘘だよな花宮?こんなチビのどこがいいんだよ!?」
余りにも好き勝手に言いまくるクラスの皆に、僕も一言何かを言い返そうと口を開いたその時だった。
「あのさぁ!!」
教室内の空気を震わせる程の怒号が響く。
「……玲香さん?」
その声の主は玲香さんだった。急な大声に驚いた僕が玲香さんを見ると、好き放題言っている皆に向かって強く睨みを利かせていた。
「アンタ達さぁ?さっきからなに好き勝手言ってんの?」
「えっ?ちょっうぷっ!」
玲香さんは横で驚いていた僕をその大きな胸に抱き寄せた。まるで皆に見せつけるようにしっかりと。
「なにも知らないくせしてアタシの彼氏をバカにしてるけどさぁ?アンタらみたいなのと一緒にしないでくんない?」
玲香さんが初めて見せる怒りに満ちた表情とドスの聞いた声に、誰も何も言う事が出来ずただ口を閉ざしてしまう。
「水崎なんかだ?恋人のフリだ?ありえねぇだ?っざけたこと言ってんじゃねぇぞっ!!普段アタシとまともに目も合わせられないような連中がいきなりなにほざいてんだよっ!!」
金髪黒ギャルで高身長というステータスを持つ彼女は、自分の意思とは関係なく多くの人の目を引きつける。美人で巨乳というステータスまで加われば尚更だ。
「ハッキリ言って腹立つしウザイけど、アタシはアタシの事をごちゃごちゃ言われてもそれなりに我慢はしてきたよ?腹立つしウザイけど」
だからこそ玲香さんはある程度の性的な視線やセクハラには目を瞑って来た。多少口汚く罵ったり拒絶したりとかはあったけれどその程度で済ませて来た。
自分の姿がどのように思われているのか、どのような気持ちで見られているかなんて事は、玲香さん自身が一番良く分かっていたからだ。
「けどさ?アタシにだって我慢出来ないことがあるんだよね?」
そんな玲香さんの自己犠牲にも似た優しさに守られて来た彼等は、彼女が見つけた唯一の水崎拓斗《ぼく》という宝物を彼女の目の前で
怒らない訳が無い。我慢など出来るはずも無い。
「でもたっくんに関しては許さないよ?アタシが選んだ恋人をバカにするのだけは絶対に許さないからね?」
玲香さんの強い憎しみすら感じさせる言葉によって、教室の中は静まり返っていた。そんな中ギャル友と思われる声が聞こえた。
「れ、玲香?たっくんて水崎のこと?」
「そうだけど?アタシの彼氏のたっくん」
「いつもそう呼んでんの……?」
「呼んでるけど?悪い?」
「いや悪いって言うか……えっていうか玲香さ?ガチで水崎と付き合ってんの?」
「だからそう言ってんじゃん」
「えっいつから?」
「一昨日別れて一昨日付き合った」
「「「「……え?」」」」
皆が困惑している様子がその声や空気から伝わって来る。
「一昨日たっくんにどうしてもってお願いされたから別れたの。ホンットにイヤだったし絶対に別れたくなかったけど」
「え?一昨日?え?別れて?また付き合って?どういうこと?」
教室にいる誰もが一体何を言っているのか理解出来ていなかった。
「どういうってそのままの意味だけど?」
「えっとちょっと待って……じゃあ玲香と水崎は元々付き合ってたけどその日の内に一度別れてすぐにまた付き合ったって……そういう、こと……?」
「あーうん、そういうこと」
「……なんで?」
「なんでって」
玲香さんは抱き寄せていた僕をそっと離し、潤んだ瞳で僕を見つめる。
「だって別れたらたっくんがプロポーズしてくれたから」
その瞬間から教室の中には阿鼻叫喚の嵐が吹き荒れた。
今回の事で僕は極々一部の人達からなぜか『勇者水崎』と呼ばれるようになった。非常に納得がいかない呼び名ではあるけれど、彼等にとって規格外のギャルである玲香さんとガチで付き合っているという事実はそれ程衝撃的な事だったらしい。
そして思春期の学生というのはこういった事を話したくて仕方が無いらしく、授業の合間の休み時間が来る度に他のクラスにいる友達にもその情報を共有していってしまった。
そうして爆発的な速度で広がっていった結果、昼休みにはクラスどころか学年全体へと知られる程にまでなっていた。
そこまで凄まじい勢いで広がってしまった一番の理由。それはやはり『花宮玲香』というブランドが強力過ぎたからだろうと思う。学年が違う生徒ですら名前を聞けばすぐにその姿を思い浮かべられるくらいに彼女は有名だったのだ。
こうして広がった僕と玲香さんの関係だったけれど、意外にも僕達への影響は殆どなかった。理由はいくつかあったけれど、僕が聞いた中でそれっぽいなと思ったのは玲香さんが普通に怖いからという理由だった。
長身で体の大きな玲香さんから発せられた啖呵は隣のクラスにも当然届いていたようで、その声量と迫力に本気でビビった人が多かったらしく、僕と玲香さんの話が伝わっていく際にその時の恐怖がかなり誇張されていってしまったらしい。
もう一つ聞いた話では、結構な数の女子生徒の間で僕が『セクハラで苦しんでいた彼女の為に立ち上がった彼氏』と認識されているようで、女子生徒の多くが僕達を支持してくれているとかなんとか。
女子生徒達の間でそのように認識されている僕を批判してしまえば、例え嫉妬心から来るような感情的な理由からだったとしても『セクハラを肯定するクズ野郎』というレッテルを貼られる恐れがあるらしく、手出しどころか口出しすら出来ない状態になっているという。
他に聞いた話では『玲香さんカッコイイ!素敵!』みたいな感じの人がチラホラと出て来ているようで、そんなカッコイイ玲香さんを唯一『恋する乙女のような顔にさせてしまう男』である僕を応援してくれているのだとか。
好ましく思ってくれるのはとてもありがたい事ではあるんだけど「もし教えてくれたらでいいんだけど……その、二人がする時って水崎くんが受けで花宮さんが攻めなのかな?」とギラギラとした目で聞いてくるのはやめて欲しい。正直怖かった。
僕と玲香さんだけではなく、学年の全ての人達にとって怒涛の一日となってしまった今日、僕達は二人で一緒に玲香さんの家に向かっていた。
「それにしても今日は疲れたー」
「大丈夫ですか玲香さん?」
「ホントに皆同じことばっかり聞いてくるんだもん。たっくんと付き合ってるって何回言えば分かるのって」
「あはは、まぁそう簡単には信じられない人もいますよ」
「信じる信じないはいいんだけどさ?いちいち聞いてくんなっての」
「数日くらいは仕方が無いですよ。でももし疲れたらいつでも甘えてください。こうして皆に知られたんですから教室でも堂々と出来ますし、僕も玲香さんに甘えてもらえると嬉しいですから」
僕がそう言うと、隣を歩いていた玲香さんはピタリと足を止め、熱っぽい視線で僕を見つめて来る。
「どうしました?」
「……ヤバ」
「玲香さん?」
「ちょっえっ?なに?ヤバッ……たっくんマジでヤバい好き」
「へっ?」
何かスイッチが入ってしまったのか、玲香さんの熱っぽかったはずの視線が明確に獲物を狙う目へと変化している。
「ねぇたっくんさ?今日
「いやいやいやいや!急にそんな事言われても着替えとかないですし!それに母さん達にも言ってないんですよ?それに明日も学校があるじゃないですか?」
「着替えはその辺で買えばいいし、彩音ママには連絡すればいいじゃん?学校は頑張って起きればいいだけなんだしさ?ほら何も問題ないじゃん?」
「いやそう簡単にはいかないと思いますけど」
「ヤダ。たっくんと一緒にいたい。ていうかあの時のたっくん見てからもうずっと我慢してるしこれ以上はホントにムリ」
「我慢してるって何を……ちょっと待って?ちょっと待ってもらっていいですか?」
僕が気付いた事に気付いた玲香さんはガッチリと僕と腕を組み、僕が逃げられないようにしてしまう。
「たっくんのせいなんだからちゃんと責任取って?」
「責任は取りますけどっ!でもちょっと待ってもらわないと流石に僕もっ!」
「イヤ。帰ったらいっぱい気持ち良くなろうねたっくん?」
「ちょっと玲香さん!?僕より力が強いのをいい事にこんなっ!あのちょっと聞いてますか!?玲香さん!?」
こうして腕をしっかりと組んだまま連れていかれた僕は、無事に玲香さんの家に連れ込まれた。
「たっくん一名様ごあんなーーい」
「玲香さん!本当にやるつもりですか!?明日も学校なのに!?玲香さん!?」