セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
―――人気《ひとけ》の無い学校のトイレには女性の幽霊が出る。
そんな噂がある日を境に聞こえて来るようになった。
―――体験者Fさんの場合(二年生・女子生徒)
「先生に頼まれて備品を置きに準備室の方に向かっていたんです。え?はいそうです。用が無いと殆ど行かないあそこです。はい。それで一人でそこの近くにあるトイレの前を通った時なんです」
Fさんはその時の事を思い出したのか表情を曇らせ体を震わせた。
「女性が泣くような声がトイレの方から聞こえて来て……。はい、女性の声でした。人がいないので凄く静かじゃないですか?そんな所を一人で歩いていたので少し不安になっていたのもあったと思います。はい。それでその声が聞こえた時、私本当に驚いて、凄く怖くなってしまって……はい、そうです」
―――体験者S君の場合(一年生・男子生徒)
「僕はその噂が少し出初めた辺りから行きました。遠いっていうのもあるんですけど、二年生と同じ階にあるじゃないですか?僕は一年なんでそもそもこんな噂が無かったら行こうとすらしなかったと思います。はい、一人です。こういうのって大体一人の方が体験しやすいのかなって思ったんで。はい。はい」
S君はその時の体験を語ってくれた。
「スマホを持って撮影しながらそのトイレに入ったんです。はい?あっそうです、もちろん男子トイレの方です。流石に女子トイレの方はちょっと。それも考えたんですけどやめました。だってそっちを撮影しながら入って女子がいたら色々と終わるじゃないですか?寧ろそっちの方が怖ったんで。え?あっはい。それで男子トイレの方に入ったんですけどその時は何も無くて」
そしてS君は撮影した動画を見せてくれた。
「それで教室に戻りながらスマホを確認してたら何か声っぽい音が入ってて。あっここですここ。丁度トイレから出た辺りのここです。聞こえます?ちょっと女性の声っぽい音聞こえません?撮影してる時は全く聞こえなかったんですけど」
―――体験者Hさんの場合(二年生・女子生徒)
「え?幽霊?知らないけど?女性の声?トイレから?ふーん、そなんだ。いやアタシは聞いたことないかな。ってかどこのトイレの話それ?ふんふん、あーあそこ?あそこのトイレって人が全然来ないからさ?お腹が痛くなったりとか、あと化粧が崩れちゃって顔が酷いときとか?そういうなんか人に聞かれたくないとか見られたくないときに使うって聞いたことあるけど?」
Hさんは言う。
「アタシも一回化粧直そうと思って行ったとき、すすり泣きみたいな声が聞こえたことあってそんとき中に入ったことあるよ?え?別に幽霊とかじゃなくて普通に泣いてる子がいただったけど?」
『さて以上が我々が体験者の方々にインタビューをした時のお話となります』
―――Fさんが聞いたのは本当に女性幽霊の声だったのか?
―――S君の動画に録音されていた女性の声と思しき音とは一体?
―――幽霊ではなく泣いていた生きている女子生徒の声だったのか?
『体験者のお話を聞いた皆さんは、今のお話を一体どう感じ、どう思いましたでしょうか?』
『聞えて来た声や録音された声は幽霊の声だと思いますか?』
『それとも人の目から隠れて泣いていただけの女子生徒の声だと思いますか?』
『我々はこれからもこのような噂や都市伝説を追い続けて行きたいと思います!』
―――最後に、信じるか信じないかは、あなた次第です。
―――オカルト研究会
偶々目に入ったそれを読み進めていた水崎拓斗は頭を抱えていた。
なぜならば廊下に貼られているオカルト研究会による『突撃!オカルト新聞』なるものに、自分の良く知る人物だと思われる人のインタビューが載っており、しかも幽霊騒ぎとなっている噂の出所が『例のトイレ』だったからだ。