セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
「たっくん帰ろっ」
「はい行きましょう」
玲香さんに呼ばれ一緒に教室のドアの方へ向かおうとした時だった。ギャル友の美香さんと無事にお付き合いを始めた彼が僕に話しかけてきた。
「水崎、お前は真っすぐ帰るのか?」
「え?はい帰りますよ?」
「そうか。俺は今からみーちゃんとデートなんだ」
「「みーちゃん!?」」
「あぁ可愛いだろ?俺が美香の事を―――」
「喋んなっつっただろうがっ!」
話している途中の彼が横から飛び蹴りをして来た美香さんによって吹き飛ばされる。割と凄い勢いだった。
「だっ大丈夫ですか!?」
「問題ない。これくらいは彼女のスキンシップの内の一つさ」
本当に何の問題もないようにスッと立ち上がった彼は、ずり下がっていた眼鏡をクイっと指で上げながらそう言った。
「ねぇ美香、みーちゃんって」
「う、うっせぇし!聞き間違いだから忘れろっ!」
「可愛いじゃないですかみーちゃん」
「「は?」」
「すいませんでした」
なぜか横にいた玲香さんも一緒になって僕を睨んで来た。玲香さんもちゃんと嫉妬深いので、僕が玲香さん以外の女子の愛称を呼んだ上に可愛いと言ったことにお怒りのようだった。
「ったく余計な事言うなしっ!早く行くよっ!」
「じゃあまた明日な水崎。待ってくれみーちゃん!」
「う、うん、また明日」
彼は大股で足早に歩いて行ってしまった彼女を駆け足で追いかけて行く。僕は突然のことに驚きながらも仲睦まじげな二人の様子を微笑ましく思いながら見送った。
学校の帰り道を歩きながら玲香さんと教室での出来事を改めて話していると、玲香さんがハッとした様子で声を上げた。
「あっそうだ忘れてた!」
「どうしたんですか?」
「アタシ今日と明日、たっくんと途中までしか一緒に帰れないや」
「え?!」
途中までしか一緒に帰れない?なぜ?どうして?どんな理由で?
突然のことに衝撃を受けて狼狽える僕を見た玲香さんは、笑いながらも僕を安心させようとすぐにその理由を教えてくれた。
「あはっ、そんなに心配しなくてもママと買い物に行くだけだからさ?」
「えっあっ華凛さんと買い物ですか」
「安心した?」
「えっと、はい、安心しました」
「もーたっくんってばホントにカワイイんだから」
むぎゅうっと玲香さんに抱きしめられる。
「昨日帰った時にママと話してさ?胸がそろそろきつくなってきたからいっそのこと新しく下着を揃えちゃおって」
「……」
抱きしめられていた僕は玲香さんからそっと体を離し、無言のまま今も成長を続けているらしい大きな胸を見つめる。
「えっち」
「いやだって」
「ふふ、前に言われた時よりもほんのちょっとだけなんだけどね?」
「まだあれからそんなに日も経ってないのに……?」
「うん。だっていっつもたっくんのこと考えて興奮してるんだもん。だからそれでどんどん大きくなっちゃってるみたいでさ?」
「それって僕のせいなんですか?」
「それ以外になにがあるのさ?」
「ですよね」
「おっきいサイズって高いんだからね?」
「そ、それは大変なご迷惑を……」
「あはっ、冗談だから気にしないで?」
「でも高いのは高いんですよね?」
「うん普通はね?でもママが立ち上げたブランドのやつだし、ぶっちゃけ家族割みたいなの使えちゃうからそこまででもないんだよね」
「え?ブランド?華凛さんが立ち上げたって、え?」
「あれ?言ってなかったっけ?ママが代表やってる会社のブランドなんだけどさ」
「聞いてないですよ?前にお父さんがお金持ってるとかは聞いたと思いますけど」
「あれーそうだったっけ?まーパパも持ってるから別にいっか」
「あの?ひょっとして玲香さんって凄くいいところのお嬢様なんじゃ……?」
「んーそうなのかな?言われてみればそうなのかも?」
玲香さんが実は結構なお嬢様だという事に驚いた僕が言葉を失っていると、さっきと同じように大きな胸で包み込むように抱きしめてくれた。
「お嬢様のおっぱいを独り占めしてる感想は?」
「やばいです。凄い気持ちいいです」
お嬢様と付くだけでどうしてこんなにも神聖さを感じてしまうのだろうか。
「あはっ、でもお嬢様ってなんかアタシのガラじゃないよね?」
「そんなことないですよ」
「えー?そかな?たっくんはアタシのどんなとこがお嬢様っぽいって思う?」
「どんなところって、それはだって綺麗ですし可愛いですし優しいですし……それに色々と大きいですし凄くエッチですし」
「お嬢様っぽいとこじゃなくてたっくんが好きなとこでしょそれ?」
「それは、まぁはい」
「ふふ、っていうかやっぱりたっくんってエッチなアタシが好きなんだ?」
「大好きですね」
「およ?なんかたっくん素直じゃーん?」
「だって本当の事ですし」
「あはっ、ありがとっ」
思わず胸が高鳴ってしまう、そんな魅力ある笑顔だった。
「あっそれでねたっくん?」
「はい?どうしました?」
「さっきの下着の話なんだけどさ?」
「はい」
「実はさ?すっごい下着があるんだよね」
「……それは一体どんな?」
「ママが
僕は思わず玲香さんの顔を見つめてしまう。ゴクリと唾を飲み込んだ音はやけに大きく聞こえた。
「た、例えばですけど、一体どんなものが?」
「例えば?そだなー?例えば一部が簡単に外せるようになってて、それ外したら穴があいててそこだけ丸見えのやつとか?」
「その下着僕のおすすめなんですけど一着いかがですか?」
「たっくんってホント分かりやすいよね?」
何を言っているのやら。僕は自分の気持ちに素直なだけです。とにかくそのブランドはあとでカタログを見せてもらおうと心に決めた。
「ちなみに下着以外は何か買うんですか?」
「んーどうだろ?なにかあれば買うかもしんないけど他は特になかったかな?」
「そうなんですね」
「たっくんはなんかあるの?」
「えっ?いや何もないですけど?」
「嘘はよくないよ?」
「嘘なんて吐いてないですけど?」
「今のたっくんってホントは言いたいけど我慢してる顔だよ?」
「そんな顔してないです」
「ほらほら玲香お姉さんに全部言ってごらん?」
玲香さんはこうやってすぐに甘やかそうとしてくれる。でも今の僕の頭の中に思い浮かんでいるものは、そんな玲香さんでも流石に引いてしまうかもしれない。
「いやでも、流石にあれはちょっと」
「なになに?何が欲しいの?あれってなに?」
「い、言わないと駄目ですか?」
「ダメ」
「……あの、実は学校で偶々近くの男子が話してるのを耳にしたのがあって」
「うんうんそれで?」
「その人達はコスプレの話をしてたんですけど」
「コスプレ?ふんふんそれで?」
「それで、僕が聞いたのはえーっとなんか『逆バニー』っていうやつで」
「……逆バニー?なにそれ?」
「バニー衣装っていうのは分かりますよね?」
「うんそれくらいなら分かるけど?」
「その逆っていうことなんですけど、あっちょっと検索したやつ見せますね」
僕はポケットからスマホを取り出し、その時に検索して見つけた画像を履歴から表示させて玲香さんへ向けて見せると、玲香さんはスマホの画面に映し出されている逆バニーの参考画像をじっと見つめる。
「たっくんさ?」
「……はい」
「これをアタシにってことだよね?」
「…………はい」
しばらく見つめていた玲香さんがその画像から目を離し、少し考えるような素振りで腕を組む。
「うーん……。一応探してみるけどさ?もし無かったらごめんね?」
恥ずかしがるでもなく嫌がるでもなくドン引きするでもない。本気で考えてくれていることに対して逆に僕が驚いてしまう。逆バニーだけに。
「あっえっ?いいんですか?」
「いいよ?」
「本当に?」
「うんいいよ?たっくんはアタシに着てほしいんでしょそれ?」
「着て欲しいです」
「ならいいよ?あとさっきも言ったけど無かったらごめんね?」
「むしろ探してくれるだけでもありがたいですっ」
「あはっ、たっくん鼻息荒すぎ」
「だって逆バニーですよ?今のが許されるんだったらもう怖いものなんて無いじゃないですか」
「確かにドヘンタイな格好してるもんねそれ」
「でもまさか許可が貰えるなんて……本当に楽しみです玲香さんの逆バニー姿」
「どんだけ見たかったの?まーアタシはたっくんがその気になってくれるなら何でも着るけどさ?」
「何でもですか?」
「たっくん反応早すぎてウケる」
「いやだって今何でもって」
「うん言った言った。なに?もしかして他にもあるの?」
「あります」
「なに着て欲しいの?」
「メイド服とか競泳用水着とか、あとえーっとそれから―――」
「競泳用のやつってアタシ入るのかな……?」
帰りの途中で別れるまで、僕と玲香さんはそんなことを話し続けていた。