セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
家に着いてから僕は洗面所で手洗いうがいをしっかりと終わらせたあと、母さんのいるリビングのドアを開ける。すると玄関のドアを開けたときから香っていたカレーのいい匂いがより強くなった。
「ただいま母さん。今日はカレーなんだ?」
「おかえり。半端になってた野菜がいくつかあったからね。出来るまではまだ少しかかるからゆっくりしてていいよ」
「うんわかった」
「拓斗」
「どうしたの母さん?」
「何かあった?」
「何かって何もないけど?」
「良い事があった顔をしてる」
「……えっと、うん。ちょっと玲香さんと色々あってさ?それで凄く楽しみなことが増えたんだ」
「夜は程々にね」
「え?いや別にそういうあれとは言ってないんだけど?」
「玲香ちゃん絡みで拓斗が楽しみになるようなことなんて、それしか無いと思っていたけれど違った?」
「母さん酷くない?」
「程々とは言ったけど玲香ちゃんのことは喜ばせてあげるんだよ?」
「母さん聞いてる?」
何かとんでもないことを言われたような気がしながらも部屋に戻った僕は、いつもの場所に鞄を置いたあと制服から部屋着に着替えてからベッドの上で横になった。
「でも本当に言ってみて良かったな。逆バニーなんて絶対断られると思ってたのに」
逆バニーと聞いた時、最初は何の事かと思っていたけれど、まさかこんな事になるなんて夢にも思わなかった。本当にあの時話していた二人には感謝しかない。
「玲香さんの逆バニーかぁ……」
―――たっくん、どうかな?
頬を赤く染めつつも、堂々とその肢体を見せつけながら聞いてくる玲香さんの姿。そんな彼女の姿は本来隠れているはずの部分を露わにして……。
「やばいやばいやばい」
逆バニーというあられもない姿の玲香さんを想像しただけで、僕のそれが元気になり始める。
「考えちゃ駄目だ考えちゃ駄目だ考えちゃ駄目だ」
ひたすら頭の中に浮かんでくる逆バニー姿の玲香さんを打ち消していく。
「そ、そうだ!別のことを考えよう!えーーっと、よしっ他に着て欲しい服がないか検索でもするか!」
逆バニーを調べた際に関連して色々な姿のキャラクターが出て来ていたのを思い出した僕は、他に玲香さんが着てくれそうな服がないかを探してみることにした。
「うーん、どれもいいんだけど逆バニーより衝撃を受けるようなのは無いなぁ」
何を着て欲しいのかを考えながらスマホを弄っていた僕は、母さんにドアをノックされるまで夢中になって続けていた。
―――その日の夜。
「それでですね?送った画像みたいなメイド服なんかは現実的にいいんじゃないかなと思いまして」
『ホントに探してたんだ?えっち』
「だって何でもって玲香さんに言われたら探すに決まってるじゃないですか」
『あはっ、そかそか!ホントに何でも着るからさ?他にあったらもっと言って?』
「他はちょっとまだ見つかってないので、何か良さそうなのがあったらまた画像送りますね」
『りょうかーいっ』
少しだけトーンを上げた玲香さんの可愛い声が僕の耳朶を叩く。
「玲香さんもう一回いいですか?」
『んー?なにを?』
「そのりょうかーいってやつもう一回言ってもらっていいですか?」
『もう一回?りょうかーいっって言えばいいの?』
「はいそうです、もう一回お願いします」
『りょうかーいっ、これでいいの?』
「凄い幸せです今」
『えーなんでなんで?』
「玲香さんのそのりょうかーいって言い方凄く好きなんですよ」
『えっそうなの?』
「何て言えばいいのか分からないんですけど、何か好きなんですよそれ」
『へー?じゃあメイド服着てるときいっぱい言ってあげよっか?』
「是非よろしくお願いします」
『あはっ、りょうかーいっ』
「……うぅ、可愛いすぎる……生きててよかった」
『ちょっ、そんなに?』
そんな話をしていると玲香さんが思い出したように言った。
『あっそうそうたっくんさ?』
「はい?」
『逆バニーのコスプレいつにしよっか?』
「えっ?も、もしかしてあったんですか!?」
『声でかっ、たっくん興奮しすぎっ』
「あっすいません」
『どんだけ嬉しいのさ?』
「それは今すぐ玲香さんを押し倒したいくらいには嬉しいですね」
『え、じゃ今から会お?』
「いやいやいやっ、それくらい嬉しいですよっていう話ですからっ」
『えーつまんない』
「泊まれはしないですけど、土日だったら出来ると思うのでその時にしましょう」
『アタシはたっくんに今すぐ押し倒して欲しいんだけどなー?』
「それは流石に我慢してください」
『ムー』
唇を尖らせている玲香さんの顔がすぐに思い浮かんでくる。
「そっそれで下着の方はちゃんと買えたんですか?」
『あー話逸らしたー』
「今度必ず押し倒しますから!」
『今度じゃヤダ。今がいい』
「そこを何とか」
『イヤ』
「キスもいっぱいしますし、前からも後ろからも玲香さんが満足するまでいくらでもしますから」
『じゃあ我慢する』
「ありがとうございます」
『ふふ、無理言っちゃってゴメンね?それで下着だったっけ?』
「はい、普段使いの物も含めて色々と買ったんですよね?」
『うんいっぱい買ったよー。たっくん専用は三着くらい?かな?』
「僕専用……?」
強すぎるそのパワーワードに思わず唾を飲み込んでしまう。
『あはっ、嬉しい?たっくん専用って聞いて嬉しい?』
「嬉し過ぎておかしくなりそうです」
『そのままおかしくなってくれたら今から会って押し倒してくれる?』
「それは諦めてください」
『えーなんでよー?』
「僕だって必死に我慢してるんですからね?」
『しなきゃいいじゃん』
「ていうかさっき我慢するって言ってくれたじゃないですか?」
『たっくんがおかしくなりそうって言うから押したらいけるかなって』
「ぬるっと僕の理性を破壊しに来るのはやめませんか?」
『壊れちゃっていいよ?だからシよ?』
「我慢します!」
『えーーーっ!?壊れてよーー!』
今日はこのまま勢いに乗ってヤるかヤらないかで議論が白熱してしまったが、最終的に今回は僕が勝利をもぎ取る事ができた。休みならともかく平日の夜に会ってベッドへGOはいくらなんでも辛過ぎる。
「おやすみなさい玲香さん」
『おやすみたっくん』
お互い眠気を感じられる声でお休みを言った後。
「『大好き』です」
その日の通話は終了した。