攻めギャル-金髪黒ギャルの玲香さんは色々デカイ- 作:もすまっく
日課(と呼ぶには過激すぎる)を終えた僕と玲香さんはタイミングを見て教室へと向かっていた、その道中のことだった。
「……ねぇたっくん」
「どうしました?」
さっきまではあんなに幸せそうな顔をしていたのに、トイレから出る頃にはなぜか浮かない顔をしていた玲香さん。
「ちょっとお願いがあってさ?」
「お願いですか?」
「うん」
玲香さんからのお願い。それは恐らく玲香さんが今こうして浮かない顔をしている理由と関係のあることなんだろうと察した僕は、玲香さんを見つめながら話してくれるのをじっと待つ。
そうして待っていた僕に届けられた言葉は。
「……あのね?日課なんだけどさ?やめよっかなって思って」
僕にとって完全に想定外の言葉だった。
◇◇◇
授業中あのときの言葉を思い出し気になった僕は、二つ隣の席に座っている玲香さんの方へ視線を向ける。するとこのクラスでは最早当たり前過ぎる光景となっている玲香さんの『机の上に鎮座する胸』がついつい目に入ってしまう。
今日もトイレの個室であの胸を僕は……と思った所で前を向いていた玲香さんがふと僕の方に視線を向け、バッチリと目が合ってしまった。
一秒、二秒、三秒……。一度合った目は離れることなく合い続ける。
窓から差し込んだ日の光は教室の床や壁や天井を反射することで教室全体を明るく染め上げている。そのはずなのに、今の僕にはまるで反射した光が玲香さんという個人を照らしているように見えていた。
淡く輝く金色の髪は机の上に乗っている大きな胸にサラサラとかかり、その黒く長い睫毛から覗く彼女の綺麗な瞳は、静かに見つめ合っている僕の瞳を今もずっと捉え続けている。
最初は気まずいと感じていた気持ちもいつの間にか何処かへと行ってしまっていた。目が離せない。目を離したくない。僕は授業中だということも忘れて玲香さんと見つめ合い、そして同時に玲香さんに見惚れていた。
―――カシャンッ!
突然の硬い何かが落ちような音に驚き、反射的にそちらへ顔を向けてしまう。そこには筆記用具を入れていた箱を謝りながら拾おうとしている女子の姿があった。
その様子を見て何が起きたのかを理解した僕は、驚いて鼓動が早くなっていた心臓を落ち着かせるように深く息を吐く。そして落ち着いたところでもう一度玲香さんの方へ視線を向けると、玲香さんはすでに僕の方を見てはおらず、その視線は先生が書いている黒板とノートを往復させていた。
そのことに少し残念な気持ちでいると、玲香さんの太腿の辺りで何かが細かく動いていることに気が付いた。僕がそちらの方に視線だけを向けると、玲香さんは左手に隠し持っていたスマホを先生からは見えないよう軽く振動させるように僕に振ってアピールしていた。
(もしかして、スマホを見ろってことなのかな?)
そう思った僕はこっそりとスマホをポケットから取り出し、玲香さんから送られて来ているであろうメッセージを確認する。
『お昼、屋上前のトコよろしくね♡』
玲香さんからの可愛らしいメッセージは、その一文を見ただけで空高く舞い上がってしまいそうなほど僕の心を軽くしてくれた。
◇◇◇
ブラウス越しに感じる玲香さんの胸は、程よい温もりと柔らかな感触を僕に伝えてくれている。鼻を押し当てて目いっぱい息を吸い込めば、僕の体の中は玲香さんで満たされていった。
「ふふ、たっくんカワイイ」
壁に背を付け、足を伸ばしながら床に座っている僕に跨っている玲香さん。いわゆる対面座位で座っている彼女をぎゅうっと抱きしめながら匂いを嗅ぐこの行為は、僕の大好きな甘え方の一つだ。玲香さんの柔らかさも温かさも匂いも全てを同時に味わうことが出来るから。
「たっくん吸い込み過ぎ、ウケるんだけど」
そんなことを言われてもこんなに甘やかしてくれる玲香さんが悪いと思う。
「あっ、そいえばさ?たっくんと授業中すっごい見つめ合っちゃったね?いくらアタシのこと好きだからってさー?授業はちゃんと受けないとダメだかんねー?」
自分のことを棚に上げてそんなことを言う玲香さん。僕は反論する代わりに玲香さんの腰をさらに強く抱き寄せる。
「んっ、もーどういう返事の仕方なのさー?」
そんな風に言いつつも「ホントにしょうがないなーたっくんは」とまたすぐに甘やかしてくれるその声色は、嬉しくて堪らないといった感情で溢れていて。
「ホントに甘えん坊なんだから」
そう言って玲香さんは僕の顔に胸を押し付けるように体重を預けて来る。その重さは玲香さんから僕への信頼と愛情の証のようにも感じられ、込み上げる愛おしさを抑えきれなくなった僕は、押し付けられている玲香さんの胸にぐりぐりと顔を擦りつける。
「ゃんっ、ふふ、えっちー♡」
玲香さんの全てが僕を優しく包み込んでくれていた。