セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
「えーっと、ガチで?」
「はい、朝それを言われて」
「たっくんのママに?」
「はい、僕の母さんに」
「そっかー……」
玲香さんは顔を下に向けて何か考えているみたいだった。当然その耳は真っ赤になっている。
玲香さんからしてみれば家族の相談という事で話を聞いてみたら、致している時の声を聞かれてましたと暴露された訳だ。恥ずかしいに決まってる。
「……たっくんさ?」
「……はい」
「いっそのこと二人で挨拶しちゃおっか?」
「え……?」
顔を上げた玲香さんは相変わらず真っ赤だったけど、とても真面目な顔をしていた。
「だっていつかはしなきゃいけないことだし。それにアタシもたっくんのママとパパと仲良くしたいしさ」
「それは、そうですけど……」
「たっくんは、イヤ?」
「別にその、嫌とかではないんです」
「じゃあどうしてそんな顔してるの?」
玲香さんは僕の顔をじっと見つめている。
「……玲香さんはその、ギャルじゃないですか。金髪で化粧とかも色々と、全部」
「……うん、そだね」
「……僕の母さんって玲香さんと正反対のタイプの人なんです。僕が物心ついた時からずっと変わらない、凄く物静かで―――」
そこまで話したところで少し重くなっていた空気が一変した。
「えっ、ちょっと待ってたっくん」
「はい?どうしました?」
「アタシと正反対ってどゆこと?えっなんかすっごい気になるんだけど!えっ見た目とかどんな感じなのたっくんのママって?」
「えっ?どっ、どんな感じって……そうですね、色白で黒髪で何かちょっとクールな感じ?の人……ですかね?」
「えーーっ!?ちょっとガチで会ってみたいんだけど!?たっくん今日デート終わったらたっくんの家《うち》に行っていい?てか明日も休みだし泊りいいよね?」
「え!?はっはい!?」
「やたっ!めっちゃ楽しみっ!」
「いや今のは―――」
「そういえばたっくんの家《うち》何回も行ってるのに会ったことなかったし気にはなってたんだよねっ」
まさか玲香さんが自分と正反対の人という事にこんなに食いついてくるなんて思わなかった。
しかも玲香さんのその勢いに押されて紹介するだけじゃなくお泊りまで良い事になってしまった。
「大丈夫、だよね……?」
◇◇◇
食事をしながら話し合った僕と玲香さんは、それぞれ親から許可を得るために連絡しようということになった。
周りの人達に余り内容を聞かれたくないといった事情もあったので、僕と玲香さんはカラオケボックスに入って部屋を取り、歌を歌う前に電話をかけていた。
「あ、もしもし母さん?」
『どうしたの拓斗』
「あのさ、えーっとその」
『うん?』
「朝の事なんだけど」
『うん』
「説明も兼ねてさ?今日その、彼女を連れて行ってもいいかな?」
『喘いでた子?』
「もっと言葉を選んでよ母さんっ!」
『その子を連れて来る事に反対はしないよ』
「ほ、本当に?」
『うん』
「……そっか」
『用件はそれだけ?』
「え?んー……あっそうだ、今日これから帰るってなるとその、結構外も暗くなるかもしれないし、連れて行く彼女をそのまま家に泊めたり、とかは……?」
『いいよ。その子のご両親の許可があればね』
「えっ?いいの?」
『私は構わないよ』
「ありがとう母さんっ!」
『うん、気を付けて帰っておいで』
母さんから許可を得られた僕は玲香さんの方へと振り向いた。すると玲香さんも了承を得たのか可愛くピースをしながら嬉しそうにしていた。
「アタシのママもパパもいいって!許可してくれなきゃ嫌いになるって言ったらすぐに許可してくれたっ!」
「……ごめんなさい玲香さんのご両親」
玲香さんは了承を得たんじゃなくて了承しろと脅していただけだった。
僕は本当に申し訳ない気持ちで一杯だったけど、あれだけ玲香さんと激しくやっておいてどの面下げて言ってるんだと心の中で自分に突っ込みを入れた。
「それじゃ折角来たんだしいっぱい歌っちゃおっと」
「玲香さんあの、僕歌うのが苦手なんで聞いてるだけでもいいですか?」
「えー?別に流行りの曲とかじゃなくていいからさ?少しくらい一緒に歌お?」
「……分かりました、じゃあ少しだけ」
「やたっ!」
「でも僕本当に歌うの下手ですからね?」
「そんなのアタシは全然気にしないよ?ってかアタシがたっくんと一緒に歌いたいんだから上手い下手なんてどうでもいいのっ。ほらっちゃんとアタシの隣に座って?」
素直に玲香さんの隣へ移動した僕は、玲香さんにガッシリと腕を組まれて肩に頭を乗せられる。
腕に当たる胸の感触とふわりと香る玲香さんの匂いが、カラオケの独特な空間も相まって僕の気持ちを昂らせた。
「でもさ、ごめんねたっくん」
「え?何がですか?」
「カラオケって部屋にカメラがあるからさ?これくらいで我慢して?」
「カメラが無かったら何をするつもりだったんですか玲香さん?」
それから僕達は相談を始めた時とはうって変わって二時間ほど楽しい時間を過ごす事が出来た。久しぶりに色々な意味で平和な時間だったと思う。
◇◇◇
急なお泊りという事で急いで準備しないといけなくなった僕達は、カラオケが終わってからそのまますぐに玲香さんの家へと帰って来た。
「たっくんは座って待っててー」
「まだまだ時間はあるのでそんなに急がなくても大丈夫ですからね玲香さん」
「うん、ありがとっ。でもちゃんと色々と考えて持っていかなきゃ」
「その色々の内容が凄い気になるんですけど」
「えーっと下着は多分三枚あれば足りるよね?あとそれからー」
「一泊ですよね?」
「化粧品はとりあえずこれとこれがあればいっか。あっそうだ、買っておいたローション持ってかなきゃ」
「玲香さん?」
僕の声を完全にスルーして何やら詰め込んでいる玲香さん。
僕の親が家にいると分かっているような状況で、一体何をしようとしているのかと嫌な予感と不安な気持ちが膨れ上がっていく。
「こんなんでいっか。たっくん終わったー」
「ちょっと気になるのでまず先に中身を確認させてもらってもいいですか?」
色々と怪しい単語が聞こえていたので念のためそう言って近づいて行くと、玲香さんは荷物を詰め込んだバッグをサッと背中の方へ隠してしまう。
「玲香さん?どうして隠すんですか?」
「女の子の荷物を見ようとするとか……えっち」
「いやいや、ちょっと気になる事があるだけですって」
「イヤ」
「……分かりました、じゃあ見せなくてもいいので質問に答えてください。まず下着は三枚もいらないですよね?」
「いるよ?」
「一泊ですよ?いらないですって」
「汚れたら着替えないと気持ち悪いじゃん」
「汚れる?汚れるって言ったってそんな下着を三枚も……待って?」
先程の予感が見事的中した事で、僕は思わず冷や汗を垂らす。
「どしたのたっくん?」
「あの、玲香さん?もしかして僕の部屋でするつもりですか?」
「えっ?しないの?」
「本気ですか?」
「だってたっくんの部屋だよ?彼女が彼氏の部屋に泊まるんだからヤるよね?」
「当然じゃん?みたいな顔で言わないでください!親がいるんですよ!?」
「もう聞かれてるんでしょ?じゃあよくない?」
「なっ!?えっ!?」
「もうアタシとたっくんがえっちしてるって知ってるんだからさ、逆に隠さないで堂々とヤったらいいじゃん?」
盲点だった。確かにすでにヤっている事を知られているのなら、親がいてもいなくても変わらないじゃないか。
「って騙されませんよ玲香さんっ」
「ムー」
「そんな唇を尖らせて可愛く見せても駄目ですっ」
「なんでよーいいじゃん」
「前回みたく偶々聞かれるならまだしも、親がいるって分かってる中でヤってその行為の音とか声を聞かれるって新手の拷問ですかっ」
「愛し合ってるって証明してるだけじゃん?たっくんのママとパパは喜んでくれると思うよ?」
「っく……で、でも恥ずかしいじゃないですかっ」
「恥ずかしいだけなら気持ちの問題じゃん?それだけなら全然いけるって」
「ぐぬぬ。何か、何か他に理由はないかっ」
「はい、たっくんの負けー」
「負けてないっ、まだ負けてないですっ」
「強情だなぁ」
玲香さんはやれやれといった様子で僕を見つめていた。