セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん- 作:もすまっく
「んぅ……はぁ、あむ……ぅん……♡」
カーテンの隙間から薄っすらと月明りが零れ落ち、その微かな光はまるで僕たちを祝福してくれているようだった。
「はぁ、はぁ、玲香さんっ……んんっ……」
「んぁっ……たっくんもっろ……んぅ……んふぅ……んっ♡」
どれだけ唇を重ねても、どれだけ舌を絡めても、僕も玲香さんも止まることはない。
お互いにすでに身に着けているものは何も無く、肌の感触が、肌の熱が、触れ合う僕達をより一層燃えがらせる。
「ぁっ……たっく、離れちゃダメ♡……んむぅ♡……んっ……ぁっ♡」
密着している体が少しでも離れれば玲香さんは甘えるような声でそれを止め、すぐに体を寄せて脚を絡ませて来る。
ほんの僅かな隙間でさえも今の玲香さんには我慢出来ないようだった。
「たっくん……たっくん……たっくんったっくんっ♡♡」
「玲香さん……玲香さんっ」
何度も何度も見つめ合い、舌を絡ませ唾液を飲み込み合う。
息が苦しくなって一瞬離れてしまっても、すぐにまた口を重ねて求め合う。
玲香さんから伝わる体の熱や包み込むような柔らかさは、今まで僕が感じていたものとは全く違うものに変わっていた。
こうしてただ肌が触れ合うだけでも驚くほど気持ち良かった。
髪の匂いも、肌の熱も、体の柔らかさも、漏れ出る甘い声も、見つめて来る熱い眼差しも。
彼女の全てが愛おしく、そんな彼女が僕を求めてくれている事が幸せで堪らなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ、玲香さん」
「っはぁ、はぁ、なに?」
言いたくて仕方が無い。
伝えたくて仕方が無い。
この溢れ出る衝動を今の僕は抑える事が出来ない。
「好きです。玲香さんの事、誰よりも大好きです」
いや、そもそも抑える事自体が間違っているんだろう。
だって僕は彼女を二度と不安にさせないと誓い、そして彼女はそれを受け入れてくれたのだから。
「好きです玲香さん。好きです、玲香さんの事が好きです」
「アタシも好き。たっくんのこと大好き。好き、好き、好きっ」
何度も何度も名前を呼び合ったその口を、僕も玲香さんもすぐにお互いの口で塞ぎ合う。
―――そして。
「あっ♡あぁ♡たっくんのが、入って来る♡♡んあっ♡♡」
「玲香さんの中っ、いつもよりも……凄く、きつくて……」
「だって、嬉しいんだもんっ♡気持ちいいんだもんっ♡幸せなんだもんっ♡それにたっくんのだって、なんかすごく、おっきぃ♡んぅぅっ♡♡」
僕と玲香さんは、時間も忘れて激しく何度も何度も交わった。
―――翌朝。
結婚を前提とした新たな恋人関係がスタートした日の朝。
あまりにお互いを激しく求め合う夜の大運動会によって起きるのが遅くなった僕達は、いつもよりもずっと遅めの朝食となってしまった。
母さんの美味しい朝食?を食べ終え部屋に戻った僕達は、少しだけまったりとした時間を過ごしたあと、玲香さんの家に向かうためにと荷物をまとめ始めた時のこと。
「見て見てたっくん」
「どうしたんですか?」
「ほら、もうこれとかぐっちゃぐちゃ」
そう言って見せてくれたビニール袋の中に入れられていたのは、玲香さんが昨日の夜に身に着けていた下着だった。
プロポーズからのキスによって一瞬で体がえっちをするための準備を整えたことで、密口から零れ落ちた大量の愛液がたっぷり染み込んでおり、袋の中は玲香さんが言うようにそれはもうぐっちゃぐちゃになっていた。
「なんでちょっと唾を飲み込んだのたっくん?」
「え?き、気のせいですよ?」
「ふーん?」
「な、何ですか?」
「たっくんは使用済みの下着に興味あり、と」
「違いますからっ!何かちょっとえっちだなって思っただけですからっ!」
そんなやり取りをしながらも順調に荷物をまとめ終わった僕達は、そのまま玄関へと向かう。
二階から降りて来る音で気が付いた母さんも僕達を見送る為に玄関へとやって来た。
「準備は終わった?」
「うん終わったよ母さん。玲香さんも忘れ物は無いですよね?」
「うん大丈夫」
「それじゃ母さん、玲香さんを家まで送って来るよ」
「気を付けて。玲香ちゃんも」
「はいっ!泊めてくれてありがとうございました彩音さんっ!」
「玲香ちゃん」
「はい?」
「この家を出る時は行ってきます、でもいいからね?」
「―――え?」
「昨日も言ったけれど、私にとって玲香ちゃんはもう娘みたいなものだから。だからいつでも帰っておいで?」
母さんの言葉に目を瞠った僕は思わず隣にいる玲香さんに視線を送る。
玲香さんは言葉が出ない様子で母さんを見つめていた。
「勿論、玲香ちゃんが望まないのであれば無理にとは言わないけれど―――」
「そっ!そんなことないですっ!すっごい嬉しいですっ!」
目を潤ませた玲香さんが勢いよく母さんに抱き着いた。
その勢いに少しだけ驚いた様子の母さんだったけれど、すぐに玲香さんの背中へ手を回して優しく撫でる。
「本当に嬉しいです……彩音さん……」
「拓斗をよろしくね玲香ちゃん」
「―――っ!!」
抱き着いていた体を離し、玲香さんは母さんの手を両手で握る。
「はいっ!任せてくださいっ!」
「もし拓斗に何か不安な気持ちを抱いたら、すぐにでも押し倒してその気持ちを吐き出してしまうんだよ?」
「母さん?」
「あはっ、了解しましたっ!」
「玲香さん?」
ビシッと母さんに敬礼をする玲香さん。
僕の目の前でなんて会話をしているんだと愕然として見ていると、何かを思い出したのか玲香さんの顔が少しだけ曇る。
「あの、彩音さん」
「うん?」
「えと、もしよかったらなんですけど……」
「うん」
「彩音さんを、ママって呼んでもいいですか?」
それを聞いた母さんは珍しく目をパチパチとして面食らっていた様子だったけれど、すぐにいつものクールな表情へ戻し玲香さんに向かってしっかりと頷いた。
「うん、いいよ」
「―――っ!!やったっ!彩音ママありがとっ!」
玲香さんはまるで花が咲いたかのような笑顔で母さんにもう一度強く抱き着いた。
◇◇◇
その日からさらに翌日、いつも通りの時間に学校に着いた僕は教室の自分の席で静かにスマホを使ってローションについて調べていた。
学校で一体何をしているんだという気もしなくもないけれど、気になったのだから仕方がない。
(玲香さんが家から持って来てたけど、結局使わないままだったなぁ)
どうやらローションといっても色々と種類があり、成分によって流して捨ててもいいものからキッチンペーパーなどで拭き取ってゴミとして捨てるものなどいくつかあるらしい。
そんな感じでローションについての知識を深めていると、いつの間にか教室は騒がしくなっており、その中に僕の大好きな彼女の声が混じっている事に気が付いた。
「はよー」
「あれ?玲香今日早いじゃん」
「んー?いつもこんなじゃないっけ?」
「なんかもうちょい遅くなかった?」
「もうちょいってあんま変わんないじゃんそれ」
「確かに」
「あっ玲香おっはー」
「おはよー」
僕はチラリと玲香さんの方へ視線を送る。
そこではいつも仲良くしているギャル友(僕が勝手にそう呼んでいる)と挨拶を交わして話している玲香さんの姿があった。
今日も綺麗で可愛いなと思いながらこっそり見ていると、玲香さんの胸をじっと見つめていたギャル友の一人が口を開く。
「ねー玲香さー?」
「んー?なに?」
「何か前よりそれデカくなってね?」
ギャル友の一人が玲香さんの素晴らしいボリュームの胸を指さしそう言った。
指摘された玲香さんの胸を見た別のギャル友が話に乗ってくる。
「言われてみると確かにデカくなってね?」
「ちょっ、こんなとこで言うなし」
「その大きさでまだ成長するとか玲香ヤバすぎ」
「いいなぁー私にも分けてよ玲香ぁー」
「いや分けるとか無理だし。ってか声デカイから」
「玲香の胸の方がデカイじゃんっ」
「アハハッ、確かにっ」
「アンタらさぁ……!」
そんな会話を聞いてしまった僕は、思わず教室にいる人達の顔を盗み見る。
すると当然の事ながらチラチラと見る人もいれば、その会話の空気に乗じて堂々とガン見している人もいた。
それを認識した瞬間から燃え滾るような衝動が体の内から溢れて来るのを僕は必死に抑えつける。
(―――落ち着けっ、落ち着いて冷静になれ僕っ。玲香さんと話してるのはいつものギャル友の人達じゃないか)
そう自分に言い聞かせはするものの、ここまで急激に怒りと不快感が込み上げて来るのは初めてかもしれない。
(それに玲香さんがこうして皆の注目を浴びてジロジロと見られるのだっていつものことじゃないかっ)
とは言うものの、どれだけ自分にそうやって言い聞かせても込み上げる不快感は無くなることはなく、寧ろその勢いは増していくばかりだった。
その湧き続ける感情を、僕は自分の拳を強く握り締めることで必死に抑え続けた。
―――そして、そんな時だった。
「マジ?花宮まだデカくなってんの?」
玲香さんやギャル友と比較的よく話す男子グループの一人が、彼女達の会話に悪ノリして入って来てしまったのだ。
「は?アンタに関係ないから入ってくんなし」
本気でイラついたような声で一蹴する玲香さんに、その男子はニヤついた顔で話を続ける。
「やっぱいつも揉んでるからそんなに育ってるとか?俺で良かったらもっと大きくするの手伝うけど?」
「いやホントマジでキモイ。話しかけんな」
「アンタに玲香が揉ませるワケないじゃん?いくらなんでも夢見過ぎ」
「お前に聞いてねぇから貧乳」
「はぁ?マジでキモっ!これでもDなんですケド!?」
「花宮と比べたら無いのと一緒だろ」
「うわマジでキモイこいつ」
そんな下品な会話をしている二人の中に、同じ男子グループの別の一人が更に追加で参加してしまう。
「つうか花宮がお前に揉ませるわけないじゃん?揉ませてって言って揉ませてくれるなら俺だって言うわ」
「いやいや、花宮だったらもしかしたらいいよって言ってくれるかもしんないじゃん?」
そんなふざけた会話を教室の中で堂々としている二人。
「ちょっとアンタらいい加減にしてくんない?」
「いやいやマジになんなって花宮?な?冗談だから冗談。つうかお前らがデカくなっただの言い出したのが悪いだろ」
「はぁ?人のせいにすんなし」
「お前らがデカくなった?とか言うからさ?そりゃこっちとしては見ちゃうだろ」
「まぁ確かに見るよな、花宮マジでデカイし。ってか学校で一番デカイだろ?」
そんな状況の中、一つの椅子が音を立てずに動いていく。
「ねぇアンタらさ?他人の体で何勝手に盛り上がってんの?ホントにキモイしやめてくんない?」
しかし教室の中にいる人間には、その椅子が動いたことに気が付いた者は一人もおらず。
「いやでもマジな話、俺でいいならいくらでも手伝うし付き合うよ?」
空気というものはとても恐ろしい。
普通であれば言えないことを、こうして一切の悪気も無く平然と言ってしまうのだから。
「―――だからさぁっ!!」
だけど、空気は空気でしかない。
たった一人の言葉があれば、それはいとも簡単に崩れて消えてしまう。
「やめてもらえせんか?」
誰にも気付かれることなく、その空気の中心へ近づいていた水崎拓斗はこの日、初めてクラスメイトにその怒りを露わにした。