※この作品はR-18です。

セメギャル-僕の彼女は金髪黒ギャルの玲香さん-   作:もすまっく

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修正版・第17話 学校の教室と玲香さん③

 僕はセクハラをしていた男子達に視線を戻し、同時にギャル友達にも一度だけ視線を送った。

 

「僕にとっても、玲香さんにとっても、皆さんの会話ははっきり言って不愉快なんです。玲香さんに、僕の彼女に二度とそんなことをしないでください」

 

 

 皆が薄っすらと感じ取っていたであろう僕と玲香さんの関係を、僕ははっきりとこの場で言葉にして伝えた。

 

 

「か、彼女って……玲香アンタ……マジ?」

 

 

 ギャル友の一人が信じられないといった様子で玲香さんを見る。

 

 

「え?あーうん……ってか最初に告ったのアタシからだし……」

 

 

 玲香さんの爆弾発言に、教室中がパニックを起こしたかのように騒がしくなる。

 

 

「は?はぁ!?告ったって、え?なんで水崎??」

「……おい、マジかよ」

「は?え?嘘だろ?えっマジで?いや在り得ないだろ花宮?えっ?」

 

 玲香さんにセクハラをかましていた男子の一人が特に激しく動揺する。

 彼の玲香さんに対する態度から、恐らくずっと前から玲香さんを狙い続けて来たであろう彼からしてみれば、横から突然しゃしゃり出て来た僕が実は玲香さんと付き合ってました、しかも告白したのは玲香さんからですなんて言われたら動揺するに決まってる。

 

「嘘だろ?花宮が水崎と?」

「何であいつ?」

「花宮さんが水崎君を見てる時、何か凄く可愛くない?」

「わかるっ!私も水崎君を見てる時の花宮さん見てそう思ったっ!」

「あれ?ってことはさ?水崎って花宮のあの胸を?」

「うっわマジかよ、ガチでうらやましい」

 

 

 余りにも好き勝手に言いまくるクラスの皆。

 

 

「水崎なんかと付き合ってくれるなら俺も攻めればよかったわ」

「あんたじゃ無理だって」

「はぁ?わかんねぇじゃん?だって水崎だぞ?」

「あれじゃね?恋人のフリしてなんとかってやつ」

「あーなるほどな、確かにそれならありえそうだわ」

「マジで在り得ねぇんだけど嘘だよな花宮?こんなチビのどこがいいんだよ!?」

 

 

 中でも流石に看過出来ない彼等の言葉に一言何かを言い返そうと僕が口を開いたときだった。

 

 

 

 

 

「あのさぁ!!」

 

 

 

 

 

 教室内の空気を震わせる程の怒号が響く。

 

 

「……玲香さん?」

 

 

 その声の主はもちろん玲香さんだった。

 急な大声に驚いた僕が玲香さんを見ると、好き放題言っている皆に向かって強く睨みを利かせていた。

 

 

「アンタ達さぁ?さっきからなに好き勝手言ってんの?」

「えっ?ちょっうぷっ!」

 

 

 玲香さんは横で驚いていた僕を、まるで皆に見せつけるようにその大きな胸に抱き寄せた。

 

 

「なにも知らないくせしてアタシの彼氏をバカにしてるけどさぁ?アンタらみたいなのと一緒にしないでくんない?」

 

 

 玲香さんが初めて見せる怒りに満ちた表情とドスの聞いた声に、誰も何も言う事が出来ずただ口を閉ざしてしまう。

 

 

「恋人のフリだ?ありえねぇだ?水崎()()()だ?」

 

 

 胸に抱き寄せられたことで周囲の様子が一切見えない僕は、ただ何もせず玲香さんの声に耳を傾けていた。

 僕が玲香さんのために怒りを露わにしたように、玲香さんが僕のために怒っていてくれることが素直に嬉しかったからだ。

 

 

「っざけたこと言ってんじゃねぇぞ!!普段アタシとまともに目も合わせられずに胸ばっか見てるような連中がなに適当なことほざいてんだよ!!」

 

 

 金髪黒ギャルで高身長というステータスを持つ彼女は、自分の意思とは関係なく多くの人の目を引きつける。

 そこに美人で巨乳というステータスまで加われば尚更に。

 

 

「ハッキリ言って腹立つしウザイけど、アタシはアタシの事をごちゃごちゃ言われても、発情した猿みたいな目で胸だの脚だのを見られても、それなりに我慢はしてきたよ?腹立つしウザイけど」

 

 

 だからこそ玲香さんはある程度そういった性的な視線やセクハラには目を瞑って来た。

 自分の見た目がどれだけ魅力的で、そしてそれがどう思われどう見られるかなんてことは、玲香さん自身が一番良く理解しているから。

 

 

「けどさ?アタシにだって我慢出来ないことがあんだよね?」

 

 

 理解しているから耐えて来た。

 

 

 我慢し続けて来た。

 

 

 そんな玲香さんの自己犠牲にも似た優しさに守られて来た彼等は、彼女が見つけた唯一の水崎拓斗《ぼく》という宝物を彼女の目の前で罵り見下した(傷つけた)

 

 

 怒らないわけがない、我慢など出来るはずもない。

 

 

「でもたっくんに関しては許さないよ?アタシが選んだ恋人をバカにするのだけは絶対に許さないからね?」

 

 

 玲香さんの僕を想うその気持ちを表した言葉は、きっと僕以外の人達にとっては強い憎しみすら感じ取ってしまっていることだろう。

 それほどまでに今の玲香さんの言葉は、彼等を強く強く突き刺していたからだ。

 

 玲香さんの啖呵に完全に飲まれていた彼等は、誰もが口を開くことすら出来ないままに、ただただ静まり返っていた。

 そんな中で唯一玲香さんに声をかけることが出来たのは、いつもよく話しているギャル友だった。

 

 

「れ、玲香さ?たっくんて水崎のこと?」

「ん?そうだけど?アタシの彼氏のたっくん。可愛いっしょ?」

「いつもそう呼んでんの……?」

「呼んでるけど?悪い?」

「いや悪いって言うか……えっていうか玲香さ?ガチで水崎と付き合ってんの?」

「だからそう言ってんじゃん」

「えっ、いつから?」

 

 顔が胸に埋まっている僕には見えないけれど、数秒ほどの沈黙から玲香さんが斜め上を見て考えている姿が僕には容易に想像出来た。

 

「……一昨日別れて一昨日付き合った」

 

 やはりというか、玲香さんに告白されてから付き合った日と僕のプロポーズの日、どちらを言おうか悩んでいたらしい玲香さんは、そのどちらも言うことにしたようだった。

 

 

「「「「…………え?」」」」

 

 

 皆が困惑している様子がその声や空気から伝わって来る。

 

「一昨日たっくんにどうしてもってお願いされたから別れたの。ホンットにイヤだったし絶対に別れたくなかったけど」

「え?一昨日?え?別れて?また付き合って?どういうこと?」

 

 教室にいる誰もが一体何を言っているのか理解出来ていなかった。

 

「どういうってそのままの意味だけど?」

「えっと、ちょっと待って……じゃあ玲香と水崎は元々付き合ってたけど、一昨日に一度別れたあと、その日の内にまたすぐ付き合ったって……そういう、こと……?」

「あーうん、そういうこと」

「……なんで?」

「なんでって」

 

 

 玲香さんは抱き寄せていた僕をそっと離すと、潤んだ瞳で僕を見つめる。

 

 

「だって別れたらプロポーズしてくれるってたっくんが教えてくれたから♡」

 

 

 その瞬間から教室の中には阿鼻叫喚の嵐が吹き荒れた。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 今回のことで僕は極々一部の人達からなぜか『勇者水崎』と呼ばれるようになってしまった。

 非常に納得がいかない呼び名ではあるけれど、彼等にとって規格外のギャルである玲香さんとガチで付き合っているという事実はそれ程衝撃的な事だったらしい。

 そして思春期の学生というのはこういったことを周囲の人達に話したくて仕方がないらしく、授業の合間の休み時間が来る度に他のクラスにいる友達にもその情報を次々と伝えていってしまっていた。

 

 そうして爆発的な速度で広がっていった結果、昼休みにはクラスどころか学年全体へと知られるほどにまで僕と玲香さんが付き合っているという情報は共有されることとなっていた。

 当然ながら信じない人もかなりの割合いたという話ではあったけれど。

 

 そこまで凄まじい勢いで広がってしまった一番の理由。

 それはやはり『花宮玲香』というブランドの強さにあると僕は考えている。

 学年が違う生徒ですら、花宮玲香という名前を聞けばすぐにその姿を思い浮かべられるくらいに彼女は有名だったからだ。

 

 主にその胸の大きさで。

 

 こうして広がった僕と玲香さんの関係だったけれど、意外にも僕達への影響は殆どなかった。

 理由はいくつかあったけれど、僕が聞いた中でそれっぽいなと思ったのは玲香さんが普通に怖いからという理由だった。

 長身で体の大きな玲香さんから発せられた啖呵は隣のクラスにも当然届いていたようで、その声量と迫力に本気でビビった人が多かったらしい。

 

 もう一つ聞いた話では結構な数の女子生徒の間で、僕が『セクハラで苦しんでいた彼女のために立ち上がった彼氏』と認識されているようで、女子生徒の多くが僕達を支持してくれているとかなんとか。

 例え強い嫉妬心による感情的な理由だったとしても、女子生徒達の間でそのように認識されている僕を悪く言ってしまえば『セクハラを肯定するクズ野郎』というレッテルを貼られる恐れがあるらしく、手出しどころか口出しすら出来ない状態になっているという。

 

 他に聞いた話では『玲香さんカッコイイ!素敵!』みたいな感じの人がチラホラと出て来ているようで、そんなカッコイイ玲香さんを唯一『恋する乙女のような顔にさせてしまう男』である僕を応援してくれているのだとか。

 それも僕を勇者水崎と呼ぶことになった理由の一つだと聞いたときには、思わず顔を覆ってその場にしゃがみ込んでしまった。

 

 好ましく思ってくれるのはとてもありがたい事ではあるんだけど「もし教えてくれたらでいいんだけど……その、二人がするときって水崎くんが受けで花宮さんが攻めなのかな?」とギラギラとした目で聞いてくるのはやめて欲しい。正直怖かった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 僕と玲香さんだけではなく、学年の全ての人達にとって怒涛の一日となってしまった今日、僕達は二人で一緒に玲香さんの家に向かっていた。

 

「それにしても今日は疲れたー」

「大丈夫ですか玲香さん?」

「ホントに皆同じことばっかり聞いてくるんだもん。たっくんと付き合ってるって何回言えば分かるのって」

「あはは、まぁそう簡単には信じられない人もいますよ」

「信じる信じないはいいんだけどさ?いちいち聞いてくんなっての」

「とはいえ数日くらいはやっぱり仕方がないですよ。でももし疲れたらいつでも甘えてください。こうして堂々と学校の中でも恋人として過ごせるようになりましたし、僕ももっと玲香さんには甘えて欲しいです。それにその、僕と玲香さんは結婚を前提に付き合ってるわけですし、ね?」

 

 僕が玲香さんに微笑みながらそう言うと、隣を歩いていた玲香さんはピタリと足を止め、熱っぽい視線で僕を見つめて来る。

 

「どうしました?」

「……ヤバ」

「玲香さん?」

「ちょっえっ?なに?ヤバッ……たっくんマジでヤバい好き♡」

「へっ?」

 

 何かスイッチが入ってしまったのか、玲香さんの熱っぽかったはずの視線が明確に獲物を狙う目へと変化している。

 

「ねぇたっくんさ?今日(うち)に泊まっていきなよ?いいよね?」

「いやいやいやいや!急にそんな事言われても着替えとかないですし!それに母さん達にも言ってないんですよ?それに明日も学校があるじゃないですか?」

「着替えはその辺で買えばいいし、彩音ママには連絡すればいいじゃん?学校は頑張って起きればいいだけなんだしさ?ほら何も問題ないじゃん?」

「いやそう簡単にはいかないと思いますけど」

「ヤダ。たっくんと一緒にいたい。ていうかあの時のたっくん見てからもうずっとキュンキュンしてるしこれ以上はホントにムリ」

「無理って一体何の……ちょっと待って?ちょっと待ってもらっていいですか?」

 

 僕が気付いた事に気付いた玲香さんはガッチリと僕と腕を組み、僕が逃げられないようにしてしまう。

 

「たっくんのせいなんだからちゃんと責任取って?」

「責任は取りますけどっ!でもちょっと待ってもらわないと流石に僕もっ!」

「イヤ。帰ったらいっぱい気持ち良くなろうねたっくん?」

「ちょっと玲香さん!?僕より力が強いのをいいことにこんなっ!あのちょっと聞いてますか!?玲香さん!?」

 

 こうして腕をしっかりと組んだまま連れていかれた僕は、無事に玲香さんの家に連れ込まれた。

 

「たっくん一名様ごあんなーーい♡」

「玲香さん!本当にやるつもりですか!?明日も学校なのに!?玲香さん!?」

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