僕の知識レベルで赤血球とか白血球とか見てもな。
やはり気になるのは初めの部分。
作成 2026年11月09日
帝都医療大学 男精管理局長 九条瞳
天内輝
2012年1月9日 生まれ(14歳)
家族構成
母 葵衣(33歳)
相母 クリスティナ(35歳)
長女 アリス(18歳)
長男 輝(14歳)
次女 美雪(11歳)
収容時記録
収容日 2025年9月6日
・身長154cm
・体重38kg
覚醒時記録
覚醒日 2026年07月21日
・身長154cm
・体重35kg
現在
・身長155cm
・体重40kg
特記
・アマナイヒカルを自称
・記憶 自身、事件についての回復、想起は皆無
・教養 偏り大。一般教養は成人並
・性 高い関心と恐怖。嫌悪感は皆無
・精神 安定。RR1.27(Rs1=2.0 / Rs2=1.4 / Rs3=1.1)
「相母ってなんでしたっけ?」
「結婚相手の女性よ」
そうだった。
「クリスティナさんは男性との既婚歴があってアリスさんを産んだ後に離婚、お相手の男性は別の家庭を持たれているわ」
「へー」
1:10の世界で男と結婚してたってすごいな。
「お父さん…じゃない、精子は同じ人ですか?」
「全員別よ」
アリス姉さんとは完全に他人か。
「不安かしら?」
顔に出たのか、大臣に問われる。
「少しだけです」
「そう思うことは全然悪いことじゃ無いわ。ちゃんと言ってね。私達も一緒に考えるから」
「はい」
この人意外と鋭いな、普通のおばちゃんと思ってごめん。
「じゃあもう一つ。不謹慎かもしれませんが」
「良いわよ」
「もう4人で楽しく過ごしている家族の元に、今更被害者の僕が戻ってきた方が辛くなりませんか」
「あなた…そんなこと…」
武藤のおばちゃんが口元を抑える。
えぇ、うそ…
泣いてしまった。
「肉体は天内輝ですけど、心が別人なんですよ僕。家族の名前を見ても何も感じなくて」
「天内君、その話は一旦後にしても良いかしら」
「あ、ごめんなさい」
気持ちが逸ってしまった。
まずはデータの確認だ。
「…よく生きてましたね」
「…そうね。本当に」
話題を変えるデータを探し、何気なく呟いた一言を拾われてしまった。
焦ってまた余計な事を。
少し黙ろう。
レッド◯ボン軍みたいな数字はなんだ…
安定ならいいか。
他には、特にないか。
…んんん?
「九条先生って、もしかして物凄く偉い人なんですか?」
「ちょっとはね」
苦しい話題変えと思われたのか、笑われてしまった。
「年齢詐称してませんか?」
「喜んで良いのよね?」
「玉の輿の席って、まだ空いてますか?」
「あら?待っても良いの?」
「ダメに決まってますっ!…あ、…失礼しました」
いつもの雰囲気にしてしまったせいで、栗華さんが思わずツッコミを入れた。
恥をかかせてしまった。
頭を下げる栗華さんと、気にするなと宥める僕ら。
でもたった一言で場が和んだ。
精液検査結果
・内蔵量(A+) 38ml
・生産速度(A+++)43ml~
・精液量(A+) 9ml
・精子濃度(C) 691万/ml
・運動率(C) 25%
・正常形態率(B) 10%
・増加限界 至
精子提供者ランク 2級
精液平均値(C)
・内蔵量 15ml~
・生産速度 9ml~
・精液量 3ml
・精子濃度 621万/ml
・運動率 23%
・正常形態率 4%
量が多いってのは想像通りだけど、尋常ならざるという数字には見えない。
前世の普通を知らないから反応に困るな。
突出してる量も、向こうのエロ漫画の方が多いんだよな。
ピュルルルる~とか音をたてながら全身精子まみれ、あんな事はこの体の僕にも出来ない。
精子品質は大したことなさそうか。
「これって毎日処理しないと毎日溢れ続けるって事ですか?」
「満タンに近ければ生成速度は落ちるし、全てが射精に回るわけではないわ。それでも相当量が、今後も些細な刺激で溢れるわ」
毎晩ムラついて辛い原因はこれか。
「タンクより供給量が多いって、僕の体バグってますよね?」
「内蔵量に関しては体の成長と共に少し増えるけど…、いい状態とは言えないわ」
少しは、少しなのだろう。
改善は期待できそうにない。
「精液量って?」
「射精一回辺りの平均値よ。天内君はかなりバラツキがあるけど」
「そうなんです、我慢できるようになってきたんです」
「ふふ、頑張ってるからね。偉いわよ」
先生が優しく微笑む。
あ、しゅきぃ…。
頭撫でてほしいなあ。
「…ん、こほ」
僕と九条先生がイチャコラ空気が、大臣の小さな咳払いで霧散する。
「武藤大臣にも伺って良いですか?」
「いいわよお」
おばちゃんは大袈裟な笑顔で前のめりになる。
「量が多いというのは分かるのですが、これは人間離れしている数字ですか?」
「そんな事は無いわ。でも、とっても高い数字なのも確かなの。内蔵量の項目なら国内で上から100人の中に入るし、生産速度は貴方が一番よ」
「一番!?」
馬鹿みたいに並んだ+の数にやばさを感じたけど、まじかよ。
悪目立ちしそうでやだな。
「増加限界に至ってる方ってそんなに少ないんですか」
「2025年度の統計では、男性の0.07%。国内では5000人以上いらっしゃるわ」
「結構いるんですね、僕が1位の原因は分かりますか?」
聞くと、場が重い空気になった。
地雷踏んだかな。
「大臣、天内君は大丈夫です」
九条先生がおばちゃんに訴える。
「包み隠さずに全てお願いできせんか?僕にはその方がありがたいです」
「…わかりました」
「…」
後で事件の話もあるので、草加部さんにも視線を送っておいた。
何の反応もなかったけど、伝わった気がする。
「まず、増加限界を迎えた男性は、”極精”や”リミッター”と呼ばれているの」
「なるほど。リミッターが分かりやすいです」
おばちゃんが頷いて言葉を繋げる。
「貴方の直接吸引は、最も増加効果が期待できる精通直後から最短期間で行われたの。国内最年少のリミッター。他の方より数字が高いのは恐らくそのせいです」
「恐らく?」
「それは九条先生の推察だからよ」
「九条先生の?」
横の九条先生が頷いて補足する。
「厚生健康省の管理記録では精通から2年以内にリミッターになった”健常者”は天内君が初めてなのよ。
精通直後から直接吸引を毎日行った記録自体が0件。
精通直後に行うと効果が高いのは天内輝君、あなたをデータとして得られた推察よ」
「あぁ…、なるほど…」
思わず大きなため息をついて天を仰いでしまう。
本当に大丈夫?と大臣が僕を支えようかと心配しているので、手を向けて頷いておく。
大丈夫、これはあなた方が感じた気持ちと同じだから。
「最後に、一般的な感性をお伺いしたいのですが」
と前置いて言葉を繋げる。
「リミッターまでの過酷さを知り、至った後の辛さを体験している僕には、リミッターにさせるメリットは非常に小さく思えます。この感覚はおかしいですか?」
「そうよねえ…」
大臣は即答しなかった。
この時点で認識の乖離を痛感するな。
九条先生が左傍に顔を向ける。
「ちなみに、水無月さんはどう思う?」
「必要ありません!」
「御堂さんは?」
「必要ないと思います」
「私は有意とするに十分な効果だと思っているわ」
「なんでですか!?」
「先生だってお辛い思いをされているじゃないですか!?」
先生は非難の声は気にせず、視線を僕に返す。
「分かりました」
さすが九条先生、分かりやすいと目で頷く。
全力でチンファイトしあった仲だからね。
最近ではマンコンタクトも取れるようになってきた。
「今ので何をどう感じたのか、教えて貰えるかしら?」
回答に満足した僕に、武藤大臣が問う。
「見えているモノ、大切にしているモノで、答えが変わる問題なのだと思いました」
「3人とも、本当に貴方を大切に思っているわよ?」
「はい。皆さんには毎日とても感謝しています。
でも九条先生は帝男の局長です。武藤大臣同様、国家体系の維持を優先すべき人です。
優しい九条先生がリミッターに有意性を感じているなら、今の日本はそれが必要なほど危うい状況に置かれています」
「~~~っ」
武藤さんが絶句する。
「凄いでしょう大臣?私のお婿さんは」
「もうっ!九条先生っ!」
九条先生が大臣にジョークを飛ばし、ついでに水無月さんを揶揄う。
てか大臣の前でもっこりさせんなや。
ずっと無垢な子供らしく振る舞っても良いけど、九条先生とは普段からこんな感じで会話してる。内心を隠しすぎて疑念を持たれても困る。