「もうディスク3を見る必要がない、そう感じたなら辞めていい。彼女らもまだ見ていない」
「見ます」
「これ以上知っても、君にできる事など何もないと分かっただろう」
これは草加部さんが正しい。
ディスク2を見る限り、次は凄惨さが増すだけだ。そして知ることで危険が増す。
捕まえる、復讐する、晒しあげる。
無理だ、これは国家の闇そのものだ。
遣り合おうなど考えれば、間違いなく潰される。
僕にこれを見せたい者がいると云うのなら、その理由は幾つもない。
草加部さんは、その悪意から僕を守ろうとはしてくれてる。
「供養してあげたいんです」
「~っ、君は回復した!意地になってその奇跡を無駄にするんじゃない!」
初めて草加部さんが人間らしさを見せた。
「違うんです。そうじゃないんです、草加部さん」
「何がっ」
僕は胸に手を当てて答えた。
「天内輝君は亡くなりました。もうここには居ないし、帰ってくることもありません」
「………」
「僕は、天内輝君がこの体に呼んでくれた、アマナイヒカルです」
「………」
「これから、この体で生きていくからこそ、僕は知らなきゃいけないんです。
頑張ったね。
辛かったね。
おやすみなさいって。
心から輝君に言ってあげるために」
「………好きにしなさい」
「心配してくれてありがとうございます」
………
………
………
主犯が編集したと思われる『天内輝の成長記録』。
それが収められたディスクの再生が終わった。
そこには細部に渡る身体の成長記録の他、飼育、調教、教育、奉仕、接客、罰、絶頂の記録が赤裸々に残されていた。
僕は胸の前で手を握り、目を閉じて輝君に追悼の意を捧げた。
………
「ようやく送ってあげられました。ありがとうございます」
顔を上げて感謝を伝えると、三人もまた黙祷してくれていた。
「…そうか」
「────。子供達って降ろされずに産まれてくるんですか?」
「ああ」
販売された精子で産まれる子も含めたら、何千人何万人にもなりそうだ。
事情を知らず産まれてくる子供達同士での近親相姦リスクは、厚生健康省が対策を練っているそうだ。
「ちょっと、お目汚し失礼します」
「〜っ」
言いつつ、僕はサッと服を脱いでローライズのパンツ一枚になった。
ナプキンの羽が見えているのが恥ずかしい。
三人はギョッとして口を開けて固まっている。
構わず、自分の体の隅々を確認するが、腕や足、お腹も綺麗だ。
「僕にはなんで傷がないんでしょう?」
「…奴が凄腕だったからだろう。体にメスを入れる事に興奮を覚え、傷自体は好まなかった性質、それが幸いした」
この体は何度か執刀されていた。
最も酷い時には開腹までされていたのにその傷もない。
色んな客がいて殴打もされてたが、青あざや鬱血の跡もない。
首から上はチンポ以外で殴られてはいなかったが。
暴力以外でキツかったのは、腹を保冷剤で冷やして腹下しさせ、ビチグソ垂れてる輝君を犯す謎プレイ。
思い出したら吐き気がしてきた。
とはいえ、主流プレイはノーマルだった。
コスプレ、イメプレが人気、個人衣装だけで数百点。
授業も確かに頻繁に受けていて、制服・スク水・体操服の輝君が何度も映っていた。
数十人に及ぶ自称先生達から勉強を教わっていた。
自称ママやお姉ちゃん、大きなお友達、妹や娘、上司や部下もいた。
「失礼しますね」
パンイチのまま草加部さん達に近づく。
そして何か言われる前に、左手で草加部さんの、右手で警護官Aさんのチンコをぐわしと握る。
「~~~っ!」
「~っ、なっ!」
念のためにもう一揉みと一摩りすると、固く脈打つチンポにゾクっと反応してしまい、膣キュンしてしまった。膣内をマン汁が垂れる感覚に嫌気がさす。
横で目を丸くしている警護官Bさんは、僕が近づくと期待の目に変わったのを感じる。
はい、ぐわし。
「ふぁ♡」
念のためにもう一揉み、一摩り。
「んん♡」
トプ…
Bさんの声と体臭で身震いして少し射精した。グッと膣を締めてこれ以上は耐える。
「な、何をしてるんだね君は!!」
ギンギンにフル突起させていた草加部さんが怒声をあげた。
勃起が目立たないように押さえつける何かを履いているようだったけど、触れば流石にわかる。
精子が漏れてしまった僕は、いそいそと服を着ながら答える。
ナプキンをしていても少し香ってきた気がする。
「生理現象の確認です。あれほど酷い映像を見た後でも、僕の裸で三名ともすぐ勃起してました」
そう言うと悔しそうに怒っているが、別に責めてはいない。
「映像では、僕に謝りながら、泣きながら犯している人もいました」
「一緒にするな」
中条寺さんが静かに激昂する。
「皆さんの自制心はとても高い。それを承知の上で聞きます。
僕は今、見知らぬ貴方達のチンポを握っただけで少し射精しました」
草加部さんを見て僕は尋ねる。
「リミッターの僕は、四六時中精子の匂いをさせる男です。警護出来るのでしょうか?」
「その前に、何のために私の陰茎まで触れた?」
「悔しかったから、ついでに勃たせてやろうと」
「悔しい…?」
「でも草加部さんもガチガチに勃ってました」
「~っ!」
この人への八つ当たりは、これで終わり。
それで、どうなんですか?お二人さんは。
「出来るわよ、舐めないでちょうだい」
Aさんがキッとした目で、赤髪のポニーテールを小さく揺らして答えた。
「あたしはー、ちょっと自信がないから、偶にご褒美がほしいかなーって」
「ご褒美?」
ショートボブのBさんは面倒な言い回しをする。
「聞いても、…怒らない?」
「3秒以内に言わないと怒ります」
はよ言えや。亀頭掻き毟るぞ。
「偶にでいいから、私に搾精させて欲しいなーって。必要なんでしょ?」
「…は?」
「馬鹿者っ!今すぐこ」
「いいですよ」
「はぁ!?」
「こ…」
「~った!約束だよっ!」
「おっしゃる通り出して貰えないと辛いんです。眠れなくるし、僕も困っているので」
「ひまり、私は櫛内陽毬だよ。宜しくねっ」
シュバっと寄ってきて、早速指切りさせられる。
運動性能高いな。
「なんで…。さ、搾精なんて自分で出来るだろう?」
「オナニーはしないんです。恐らく夢中になって止められなくなるので」
「お、おな…。いや、分かった。自己紹介が遅れてすまない、中条寺司紗だ」
「よろしくお願いします」
差し出された手とがっしりと握手を交わす。
のだが、離れないな。長くない?
「その、なんだ…。眠れぬほど辛いのなら、私も力になろう」
ソワソワと視線を外しながら、中条寺さんがカッコつけながら助力を申し出た。
すけべ心ではなく、善意に思える。
第一印象から髪の色同様に、熱血漢というか、正義感が溢れているのを感じるし。
どうしようか。
貴方は結構ですとか茶化して反応を楽しむシーンなのだろうけど、そんな気分では無いし手を握られ続けている僕にも余裕がない。
近づいて体を寄せ、彼女を見上げながら囁いた。
「優しくして下さいね」